ファンドラップとは?かかる手数料は?メリット・デメリットとおすすめの人

近ごろ、「ファンドラップ」を顧客におすすめする証券会社や信託銀行が増えてきています。また、ネットで投資について調べていて、ファンドラップにたどり着いたという方も多いでしょう。

しかし、「すすめられたから」「みんなも投資しているみたいだから」といった安直な理由で投資すると、失敗してしまうかもしれません。本当にファンドラップが自分に合ったサービスなのか、投資をする前に見極める必要があります。

 

そこで、この記事ではファンドラップとは何か、そしてメリットやデメリットについてお伝えしていきます。ファンドラップが向いている人と向いていない人についても解説したので、ご自身に照らし合わせてみてください。

「向いていないな」と思われた方向けに、他の投資方法も紹介しています。

ファンドラップとは?

ファンドラップとは、投資家が証券会社や信託銀行にまとまったお金を預け、管理や運用を行ってもらうサービスです。ファンドラップの「ラップ」は包むという意味で、投資に関して包括的なサービスを行うため、「ファンドラップ」という名称になりました。

包括的なサービスとは、「投資家のニーズのヒアリング」から「投資家に合った資産の運用と管理」、「定期的な運用報告」までの、一連のサイクルの代行です。なお、金融機関によってはファンドラップのことを「ラップ口座」と呼ぶこともありますが、基本的に両者は同じものです。

 

ファンドラップは、投資をしてみたいけど自力でできる自信がない人を中心に人気があります。しかし、手数料が高すぎて運用益を食ってしまうなど、問題点もあります。

そこで、次はファンドラップのメリットとデメリットについて整理していきましょう。

ファンドラップのメリット

まずは、ファンドラップに投資するメリットとして次の2点を解説します。

  1. プロに運用を任せられる
  2. 忙しい人でもできる

これらは「ファンドラップに投資するべき理由」と言い換えられるため、ご自身の状況に照らして投資するべきかどうか検討してみてください。

メリット1:プロに運用を任せられる

ファンドラップの最も大きなメリットが、プロに資産運用を任せられる点です。

投資をした経験がない人がこれから投資を始める場合、口座を開設して商品を選び、お金を入金して購入するといった手間がかかります。ことばだけだと簡単そうですが、実際には大量にある商品の中から将来性を判断して投資先を選ぶなど、投資知識のない初心者にとっては難しいことの連続です。

しかし、ファンドラップならニーズに応じた投資先をプロが考えてくれますし、運用も任せることができます。投資の腕に自信がない人でも始められることは大きなメリットです。

メリット2:忙しい人でもできる

自力で投資をする場合、投資や経済の知識や、株価のチャートを分析する技術を身につける必要があります。知識のない状態で投資を行うと、知らない間にリスクの高い商品に手を出してしまい、運用に失敗する危険性があります。

上手く資産運用するためには知識や技術が必要ですが、身につけるためには時間を費やさなければならないため、サラリーマンなどで忙しい人にとっては難しいかもしれません。

 

しかし、ファンドラップならこの問題を解決できるメリットがあります。先ほどお伝えしたように、投資に関するほとんどの仕事をプロに任せられるため、投資家には特に専門的な知識は不要です。勉強する時間がない人も気軽に投資を始められるのです。

ファンドラップのデメリット

一方で、ファンドラップには次のようなデメリットもあります。

  1. 手数料が高い
  2. 必要資金が高額

詳しく解説していきますので、デメリットについても理解を深めてから投資しましょう。

デメリット1:手数料が高い

ファンドラップのデメリットとして、手数料が高いことが挙げられます。運用や管理を証券会社などに一任するため支払う手数料です。

手数料を支払う分、投資家のものになる利益は小さくなってしまいます。

 

ファンドラップを利用すると、年間手数料や成果報酬を支払います。年間手数料は預けている資産の1パーセントから2パーセントほどに設定されていることが多いです。

年間手数料は、利益が出ている場合だけでなく、運用が上手くいかずマイナスになっているときも必ず差し引かれてしまうのです。

 

1パーセントから2パーセントといった手数料は、他の投資商品と比べて安くはありません。後で紹介する投資信託やETFの場合は1パーセント未満の商品も多いため、これらもあわせて検討してみてください。

デメリット2:必要資金が高額

ファンドラップは、最低申込金額が高いというデメリットがあります。一般的には、最低申込金額が300万円に設定されており、一般的にはかなりの大金と言えるでしょう。

最低申込金額が300万円以上というのは、他の投資方法に比べるとかなり高い方です。そのため、これまで投資をしたことがない人がいきなり注ぎ込むには大きな金額だと言えます。

 

10万円から100万円ほどの資金があれば、基本的にはあらゆる商品を選ぶことができます。後でも解説しますが、投資信託の場合は100円でも始められます。

ファンドラップがおすすめの人・おすすめでない人

ファンドラップには「手間がかからない」といったメリットがある一方で、「手数料が高い」などのデメリットがあります。結局、投資するべきかどうかますます迷ってしまうという方もいるかもしれませんね。

そこで、ファンドラップがどんな人に向いており、どんな人に向いていないのかについてお伝えしていきましょう。ご自身がどちらに当てはまるか考えていただければ、ファンドラップに投資するのが良いかどうか見えてくるでしょう。

ファンドラップがおすすめの人

ファンドラップが向いている人は、300万円以上を投資したいと思っており、かつ投資に労力をかけたくない人です。本業が忙しくて投資の勉強をしたり、売買の注文を出したりする手間を惜しむ人には、ファンドラップはおすすめできます。

忙しい人が自力で投資しようとすると、最低でも銘柄選びや決算資料の読み込み、売買注文などの労力がかかります。これらがネックに感じられることでしょう。

 

銘柄選びとは、投資を始める前に「どの商品に投資するべきか」を決めることです。商品の将来性を調べたり、説明資料を読んだりしなければなりません。

さらに、商品によっては売買注文を出すために専門的なチャートの分析を要することもあり、難しく感じられるでしょう。

 

一方で、ファンドラップに投資する場合は銘柄選びや売買の手間を省くことができます。証券会社などの担当者に対して希望のリターンやリスク許容度を伝えれば、自身のニーズに合った投資商品を選び運用してくれるからです。

そのため、忙しくて投資に時間を割けない人はファンドラップを検討しても良いでしょう。

 

ただし、300万円以上などまとまった資金で申し込まなければならないことや、手数料が高いため投資家が得られる利益が減ってしまうことは覚えておいてください。これらを踏まえたうえで「ファンドラップは無理かも」と感じる場合は、後でお伝えする別の投資方法もチェックしてください。

ファンドラップがおすすめでない人

ファンドラップが向いていない人は、少額で投資したい人です。また、投資に関する知識があって自力で運用できる人も、あえてファンドラップに投資する意義は薄いでしょう。

ファンドラップでは300万円以上などまとまった金額での投資が一般的ですが、もっと少額で始められる投資方法はたくさんあります。10万円ほどの資金があれば選択肢はかなり広がります。

また、すでに投資に関する知識がある人にとっては、ファンドラップでプロに任せることはメリットになりにくいです。自力で運用すれば、手数料を節約することができるからです。

 

このように、ファンドラップが向いていないのは少額で投資を始めたい人や、投資の知識があってプロに任せることにメリットを感じられない人です。そういった方は、これからお伝えする、ファンドラップ以外の投資方法の中から、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

下記の記事では、ファンドラップの種類についてご紹介しています。

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ファンドラップの他の投資方法

ファンドラップ以外にも、投資にはさまざまな方法があります。ここでは、ファンドラップと同様にプロに運用を任せられる商品を4つ紹介していきます。

  1. 投資信託
  2. ETF(上場投資信託)
  3. ロボアドバイザー
  4. 投資会社

最低申込額や手数料が異なるので、ファンドラップが向いていないと感じる人は、この中から投資先を選んでみてください。

投資方法1:投資信託

投資信託は、投資家から集めたお金をまとめ、投資のプロが株式や債券などで運用する商品です。

投資信託のメリットは、100円といった少額から始めることができる点です。運用をプロに任せる点はファンドラップと同様ですが、最低申込金額が低く始めるハードルが格段に低いです。

 

投資信託のデメリットは、銘柄選びや注文を投資家自身で行うことです。プロに任せられるのは運用の部分のみなので、その他の手間を任せられない点がファンドラップと異なります。

投資信託がおすすめなのは、最低申込金額が高くてファンドラップを諦めている人です。最も知識やスキルが必要な運用の部分はプロに任せられる商品なので、初心者でも失敗しにくい投資方法です。

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投資方法2:ETF(上場投資信託)

ETF(イーティーエフ)は「上場投資信託」のことで、投資信託の仲間です。投資信託と同じで、投資家から集めたお金をまとめ、投資のプロが株式や債券などで運用する商品です。

ETFのメリットは、今回紹介する投資方法の中で最も手数料などのコストが低く抑えられている点です。多くのETFで信託報酬(ファンドラップの年間手数料に相当)が1パーセント未満となっており、ファンドラップに比べて低コストです。

 

ETFのデメリットは、注文方法がやや難しいことです。証券取引所に上場しているため、証券会社を経由して売買の注文を出さなければなりません。

購入する際は、価格が変動する中で自分が買いたい値段で注文を出し、その値段でETFを売りたい人がいれば取引が成立します。売却のときも同様です。

需要と供給の釣り合わない値段での取引はできないので、買い手・売り手がいる範囲内で安く買ったり高く売ったりする分析力が必要になります。

 

このとおり、ETFは注文方法が難しいため、投資信託など他の投資方法に慣れてきた人におすすめです。利回りは投資信託よりも高い傾向があるため、ぜひ挑戦してみてください。

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投資方法3:ロボアドバイザー

ロボアドバイザーは、毎月決まった金額を自動で多様な商品に投資してくれるサービスです。投資先を選ぶのも、簡単なアンケートに基づいてリスク許容度を診断し自動で行ってくれます。

ロボアドバイザーのメリットは、ファンドラップと同様に投資の手間のほとんどを任せられることです。投資先選びもアンケートで行い、毎月決まった金額を自動的に積み立て投資してくれるので、労力がほとんどかかりません。

 

ロボアドバイザーのデメリットは、手数料がかかるため利回りがあまり高くないことです。この点もファンドラップとよく似ています。

ロボアドバイザーとファンドラップとの大きな違いが、最低申込金額です。ファンドラップでは300万円ほどが必要となりますが、ロボアドバイザーは10万円以上に設定されていることがほとんどです。

最初に10万円投資すれば、その後は1万円単位で積み立てられる仕組みであることが多く、少ない金額での投資ができるのです。

 

ロボアドバイザーがおすすめなのは、ファンドラップのようにプロに任せられる投資をしたいけれど、資金が少なくてできないと悩んでいる人です。最低申込金額が低いため、始めるハードルはロボアドバイザーの方が圧倒的に低いです。

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投資方法4:投資会社

投資会社はヘッジファンドなどを運用する投資のプロが在籍する会社です。ヘッジファンドはファンドラップや投資信託と同様、プロに資産運用を任せる商品です。

投資会社に投資するメリットは、利益にシビアな運用をしているため高い利回りが期待できることです。市場全体が右肩下がりの状況でも、専門的な投資方法で収益を上げるため、プラスの利回りが期待できます。

ファンドラップでは平均5パーセントほどの利回りですが、投資会社の運用なら5パーセント以上を狙えますし、年によっては20パーセント以上の利回りを実現することさえあります。

 

投資会社に投資するデメリットは、申込金額が高くハードルが高いことです。500万円や1,000万円といった大きなを最低申込額に設定している会社が多いのです。

これだけの大金の運用を一つの会社に任せるとなると、不安に感じている人も多いでしょう。

 

ファンドラップは300万円が最低申込金額になっているケースが多いため、投資会社よりはハードルが低いと言えます。1,000万円近くのお金を投資しようとしているなら、ファンドラップだけでなく投資会社も検討してみると良いでしょう

高い利回りを狙えるため、富裕層に人気の投資方法です。

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投資を始める前の注意点

ファンドラップ以外にも投資方法を解説してきましたが、いずれの投資においても始める前に理解しておきたい注意点があります。ここでは3つの重要な注意点を解説していくので、リスクをしっかりと理解してから投資を始めるようにしてください。

  1. 元本割れのリスクがある
  2. 余剰資金で投資を行う
  3. 長期投資を前提に考える

注意点1:元本割れのリスクがある

投資は、預金と違って元本保証ではなく元本割れするリスクがあります。

例えば、投資先の企業で不祥事が起これば株価が急落するため、資産の評価額が下がってしまいます。最悪の場合、投資先が元本を返済できないような状況に陥るケースも考えられます。

 

紹介したファンドラップや投資信託などは、これらのリスクが比較的低く抑えられています。一般的にさまざまな銘柄に少しずつ分散させて投資するよう設計されており、一つの投資先の破綻が大きく影響する可能性は低いです。

とはいえ、少しのリスクがあるため元本割れの可能性については理解してから投資を始めましょう。

注意点2:余剰資金で投資を行う

投資には元本割れリスクがあるため、必要なお金は使わず余剰資金で行うようにしましょう。なぜなら、生活費や将来の住居購入のために貯めているお金などを投資に使い運用に失敗してしまった場合、生活が苦しくなる可能性が高いからです。

余剰資金は、資産の合計額から生活費と使い道が決まっているお金を引いた資金のことです。

 

生活費は、半年から1年分くらいの暮らしにかかる費用を見込んでおきましょう。勤めている企業が倒産したりリストラされたりといった万が一の事態が発現しても、再就職まで安心して生活できるようにするためです。

使い道が決まっているお金とは、住宅購入や子供の養育費などのことです。これらを引いて残った資金が、余剰資金です。

注意点3:長期投資を前提に考える

投資は、始めてすぐに結果が出るものではなく、数年から数十年をかけて資産を増やしていくものです。明日、明後日にすぐ増えることを期待するのではなく、長い目で結果を見ていきましょう

例えば、株式投資を始めると毎日の株価が気になってしまい、仕事が手につかなくなってしまう人がいるものです。それで本業に支障が出て左遷されては無意味ですよね。

投資は長期間で行う資産形成なので、焦らずに定期的に成果を確認していけば良いでしょう。

まとめ

プロに資産運用を包括的に任せられるファンドラップについて解説してきました。

ファンドラップのメリットは、プロに任せられるため初心者でも始めやすいことや、忙しい人でも取り組めることです。一方、デメリットは手数料が高いことや最低申込金額が高額であることが挙げられます。

 

自分に合っている投資方法はどれなのかについて、ファンドラップ以外に紹介した投資方法を検討してみてください。

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