ETF(上場投資信託)の配当金(分配金)利回りはどれくらい?平均と高利回りランキング

分散投資ができて、投資信託より手軽に取引できることで人気のETF(上場投資信託)。ただ、利回りがどれくらいなのか気になっている人も多いのではないでしょうか?「利回りは低い?」「利回りが高い銘柄はある?」など、さまざまな疑問を抱えていることでしょう。

そこで、今回はETFの平均的な利回り、高利回りの銘柄、分配金受け取りの際の注意点、手数料の低いネット証券などについて紹介しています。この記事をご覧いただくことで、ETF利回りへの疑問が解消され、安心して取引できるようになりますので参考にしてみてください。

ETFの分配金の利回りはどれくらい?

まずは、ETFの分配利回りについてみていきましょう。利回りがどれくらいあるかを知っておくことで、ポートフォリオに組み入れるかどうかの判断がしやすくなります。

また、平均利回りを把握しておくことで、各ETFの利回りが高いか低いか比較することが可能になります。

平均の利回り

ETFは、1月と7月に分配金基準日を設けている銘柄が多いです。2018年4月から2019年3月の分配を実施した銘柄のうち、117銘柄が7月、90銘柄が1月に分配を実施しています。

そして、分配金の支払いをしている154銘柄の実績分配金利回りは次のようになっています(JPX「2019年 6月版 分配金に着目したETF投資のご紹介」より 2019年3月29日時点)。

実績分配金利回りと構成比

 

  • 利回り4%以上:3銘柄(約1.9%)
  • 利回り3%以上4%未満:31銘柄(約20.1%)
  • 利回り2%以上3%未満:44銘柄(約28.5%)
  • 利回り1%以上2%未満:63銘柄(約40.9%)
  • 利回り1%未満:13銘柄(約8.4%)

分配を実施しているETFの平均の利回りは2.15パーセントです。利回り1パーセント以上2パーセント未満の銘柄が約4割を占めますが、2パーセント以上の銘柄は全体の5割ほどあり、少数ですが4パーセントを超えるものもあります。

個人向け国債や社債など他の投資商品と比較しても、ETFの利回りは決して低いわけではありません。

高利回りのETF

分配を実施しているETFの中でも、利回り上位15銘柄を紹介します(2019年3月29日時点)。

  1. 上場インデックスファンド新興国債券:5.95%
  2. iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債ETF(為替ヘッジあり):4.86%
  3. NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信:4.01%
  4. iシェアーズ 米国リートETF:3.97%
  5. UBS ETF 英国株(MSCI英国):3.88%
  6. UBS ETF 英国大型株100(FRSE100):3.85%
  7. NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信:3.70%
  8. UBS ETF MSCIアジア太平洋株(除く日本):3.66%
  9. NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信:3.64%
  10. 上場インデックスファンドアジアリート:3.53%
  11. NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)上場投信:3.53%
  12. NEXT FUNDS 外国REIT・S&P先進国REIT指数連動型上場投信:3.51%
  13. ダイワ上場投信・TOPIX-17 銀行:3.47%
  14. ダイワ上場投信・TOPIX-17 金融(除く銀行):3.46%
  15. 上場インデックスファンドJリート(東証REIT指数)隔月分配型:3.39%

これら上位15銘柄の平均利回りは、約3.8パーセントと魅力的な水準となっています。

高利回りのETFの分野

分配を実施しているETFの中でも、外国債券指数に連動する銘柄やREIT指数に連動する銘柄は、利回りが高いものが多いです。実際、分配を実施しているETFの利回り平均が2.15パーセントなのに対し、外国債券やREITのETFの利回り平均は3.12パーセントと、1パーセント近くも高い水準となっています。

したがって、高利回りのETFに投資したい場合は、外国債券やREITを対象とすると良いでしょう。リスクも高くなりますが、高いリターンを期待できます。

ETFの分配金を受け取りで押さえるべきポイント

ETFの分配金を受け取るにあたり、押さえておきたいポイントをお伝えしましょう。これから解説するポイントを知っておかないと、分配金の管理や収支計画が疎かになってしまいます。特に、税金に関する知識は事前に把握しておく必要があるため、しっかりと確認しておいてください。

ポイント1:決算日に配当されることが多い

ETFの分配金は、決算日(権利確定日)にETFを保有しておく必要があります。決算日にETFを保有しておくには、決算日の2営業日前である権利付最終日までに投資しておかなければなりません。そして、分配金は決算日である分配金支払基準日から40日ほどで支払いとなります。

なお、決算日が休日の場合は、決算日の3営業日前が権利付最終日となり、決算日の翌営業日に分配金が確定します。

一般的に、ETFの分配金は決算日に支払われることが多いため、事前に銘柄の決算日を確認し、配当の管理をするようにしましょう。

ポイント2:決算日は年4回が主流

決算日は、年1回、年2回、年4回など、各銘柄によって異なります。ただし、主流は年4回となっています。

ETFを選ぶ際は、決算日が年何回あるのか、そして何月にあるのか(1月・4月・7月・10月など)を確認するようにしましょう。

決算日は権利確定日となるため、決算日を把握すれば権利付最終日を把握でき、タイミングを逸することなく投資できます。

ポイント3:税金を考慮に入れる

ETFで得た売買益や分配金には税金がかかります。税金がかかることを知らずに譲渡益や分配金を使ってしまうと後悔する可能性があるため、税金がどれくらいかかるのか把握をしておきましょう。

税金を考慮したうえで譲渡益や分配金を再投資したり、買い物代金や支払いに充てるようにしてください。

分配金は配当所得

まず、分配金は配当所得であり、総合課税もしくは申告分離課税の対象となります。

ただし、特例として確定申告不要制度があり、分配金を受け取る際に源泉徴収されるため確定申告は不要です。

税率は20.315パーセント(所得税15パーセント、復興特別所得税0.315パーセント、住民税5パーセント)となります。

譲渡益は申告分離課税

また、ETFの売買で得た利益である譲渡益に対しても税金がかかることを覚えておきましょう。譲渡益の場合は、申告分離課税となり確定申告が必要で、税率は分配金同様に20.315パーセントです。

ただし、特定口座を開設していて「源泉徴収あり」を選択している場合、取引する度に証券会社が譲渡益から源泉徴収をするため、確定申告は不要です。確定申告の手間を省きたいのであれば、特定口座を活用すると良いでしょう。

2014年1月より開始されたNISA口座(少額投資非課税制度)を利用すれば、年間120万円までの譲渡益や分配金に対して最長5年間非課税となるためお得です。税負担を極力抑えたい場合はNISA口座の利用も検討することをおすすめします。

ETFの分配金利回りランキング

続いては、ETF利回りが高い銘柄の内容について解説します。いずれの銘柄も都度状況は変化しますが、利回り重視で運用したいのであれば検討してみると良いでしょう。

ただし、利回りが高いからこそリスクが潜んでいることを理解したうえで運用してください。

上場インデックスファンド新興国債券

上場インデックスファンド新興国債券は、分配金利回り5.95パーセント、最低購入金額47,550円、管理会社は日興アセットマネジメントです。直近の権利付最終日は、2019年7月5日となっています。決算日は、毎年1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回です。

円換算したブルームバーグ・バークレイズ自国通貨建て新興市場国債・10%国キャップ・インデックスの変動率に一致させることを目標として運用されています。投資対象は海外債券で、1口単位から売買が可能です。

分配金は426円(2019年7月10日)で、純資産総額は196億6,600万円となっています。

iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有)

iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有)は、分配金利回り4.86パーセント、最低購入金額2,405円、管理会社はブラックロックです。直近の権利付最終日は、2019年7月8日です。

純資産総額は42億5,244万2,383円で、決算日は毎年1月11日、4月11日、7月11日、10月11日の年4回となっています。

投資対象をドル建てのハイイールド社債としながらも、米ドルと円の為替変動リスクの低減を図っています。

iシェアーズ 米国リート ETF

iシェアーズ 米国リート ETFは、分配金利回り3.97パーセント、最低購入金額2,140円、管理会社はブラックロックです。直近の権利付最終日は2019年8月7日です。純資産総額は75億288万7,919円で、投資対象は不動産です。決算日は毎年2月9日、5月9日、8月9日、11月9日の年4回です。

アメリカのREITで構成されるFTSE Nareit Equity REITs インデックス(TTM 円建て)との連動を目指して運用されています。アメリカのREIT市場に幅広く投資できる銘柄です。

ETFは利回りで選ぶべき?

どのETFに投資をするか銘柄を選ぶ際は、利回りを重視すべきなのでしょうか?利回り重視で選ぶことは、多くのリターンを獲得できるメリットがある一方、デメリットやリスクがあります。

ここでは、ETFを利回り重視で選ぶ場合の主な注意点について確認していきましょう。

利回りが高いETFはリスクも高い

ETFに限った話ではありませんが、利回りが高い銘柄は自ずとリスクも高くなるため注意が必要です。なぜなら、外国債やREITなどの利回りが高い銘柄は、価格が大幅に上昇する可能性もあれば、大幅に下落することもあるためです。

利回りが高いETFは、短期間で多くの譲渡益を得たり、毎回たくさんの分配金獲得が狙えるため魅力的ですが、多くの損失を抱える恐れがあることを理解したうえで投資するようにしてください。損切り設定などのリスク管理を徹底しなければ、あっという間に大損する可能性もあります。

一般的にリターンとリスクはイコールであるため、利回りが高いETFはリスクも高くなることを十分考慮したうえで運用するようにしましょう。

海外のETFはハイリスク・ハイリターン

新興国投資など、高いリターンが期待できる海外ETFもあります。国内ETFに比べて利回りが高い傾向があり、多くの分配金や譲渡益を狙いたい場合におすすめの投資先です。

ただし、ニューヨーク証券取引所やロンドン証券取引所、香港証券取引所など、海外の証券取引所に上場している海外ETFは、国内ETFにはないリスクがあります。それは、為替リスクです。

海外ETFの場合、円建てではなく外貨建てで投資をするため、投資先の価格変動だけでなく、為替レートが変動することで大きな損失を負う可能性もあります。そのため、通貨分散を図ったり、FX取引なども組み合わせて為替ヘッジをするなどのリスク管理が大切です。

 

新興国銘柄を中心に高利回りが期待できる海外ETFですが、同等のリスクがあることも理解したうえで投資するようにしましょう。海外ETFに投資する場合は、別にリスクが低い銘柄にも投資をするなどして分散を図ってください。

手数料が高いETFにも注意が必要

いくら利回りが高いETFでも、手数料が高い銘柄には注意が必要です。

ETFを運用する際は、売買手数料や信託報酬がかかります。ETFはインデックス運用を基本としていて積極的に銘柄の入れ替えをしないため、投資信託に比べると信託報酬は安い傾向があります。

しかし、銘柄によっては手数料が高いものがあるため、投資前に必ず確認するようにしましょう。利回りが高くても手数料の高さで相殺されるようであれば意味がありません。

 

また、海外ETFに投資をする際も手数料に気をつけてください。信託報酬は国内ETFよりも低い水準に設定されているため「手数料が安い」と思うかもしれませんが、売買手数料が高い傾向があります。

たとえば、楽天証券の海外ETFの場合、アメリカの銘柄であれば約定代金の0.45パーセントの手数料がかかります。中国の銘柄であれば540円〜5,400円です。

そして、売買手数料以外にも為替手数料や信託報酬、口座管理費などのコストもかかります。手数料が高いETFに投資をする際は、手数料分を吸収できるほど収益が出せる銘柄か調査し、運用するようにしましょう。

ETFの手数料が低いネット証券

ETF取引をするのであれば、手数料が低いネット証券がおすすめです。ネット証券は、最低限のコストでありながら取扱銘柄も充実していて、ポイントを獲得できるなど魅力的なところが多いです。

ここでは、手数料が低くおすすめのネット証券3社について紹介していますので、ETF投資を始める際の参考にしてください。

1.SBI証券

SBI証券であれば、格安の手数料で取引が可能です。約定金額に応じて手数料が決まるスタンダードプラン、約定代金合計額によって手数料が決まるアクティブプランがあり、それぞれの手数料は次のとおりです。

スタンダードプラン

  • 5万円まで:50円
  • 10万円まで:90円
  • 20万円まで:105円
  • 50万円まで:250円
  • 100万円まで:487円
  • 150万円まで:582円
  • 3,000万円まで:921円
  • 3,000万円超:973円

アクティブプラン

  • 10万円まで:0円
  • 20万円まで:191円
  • 30万円まで:286円
  • 50万円まで:429円
  • 100万円まで:762円

以降、100万円増加ごとに400円ずつ増加

※税別表示

 

アクティブプランを活用すれば、売買手数料0円を実現することも可能です。また、売買手数料の1.1パーセント相当のポイントも獲得できます。

オリコン日本顧客満足度ランキング ネット証券で第1位を獲得するなど、低コストで使い勝手も良く人気の証券会社です。キャッシュバックキャンペーンなど、期間限定でお得なキャンペーンを実施していることもあります。

なお、アメリカ株式の手数料については、約定代金の0.45パーセントで、最低5ドル、最高20ドルです。

2.楽天証券

楽天証券の取引手数料は業界最低水準であり、手数料の1パーセントから2パーセントをポイントバックしてくれるためお得です。

手数料が業界最低水準の超割コースと、少額で何度も取引する場合にお得ないちにち定額コースの取引手数料は次のとおりです。

超割コース

  • 5万円まで:50円
  • 10万円まで:90円
  • 20万円まで:105円
  • 50万円まで:250円
  • 100万円まで:487円
  • 150万円まで:582円
  • 3,000万円まで:921円
  • 3,000万円超:973円

いちにち定額コース

  • 10万円まで:0円
  • 20万円まで:191円
  • 30万円まで:286円
  • 50万円まで:429円
  • 100万円まで:858円
  • 200万円まで:2,000円
  • 300万円まで:3,000円
  • 以降100万円増加ごとに1,000円ずつ追加

※税別表示

 

このように手数料が安いため、取引コストを抑えた投資ができ、高い利回りが期待できます。

また、売買手数料0円の「手数料0円ETF」も対象運用会社4社(MAXIS、iSharesなど)で86銘柄用意されています(2019年6月27日時点)。

 

さらに、海外ETFにおいては、アメリカETF・ETNが282本、中国ETFが29本、シンガポールETFが34の合計345本(2019年6月19日時点)も取り扱っているなど、幅広い銘柄から投資先を選ぶことが可能です。

アメリカ株式の手数料については約定代金の0.45パーセントで、最低5ドル、最高20ドルとなっています。

3.DMM.com証券

DMM.com証券も、SBI証券や楽天証券と同様に業界最低水準の手数料で取引することが可能です。

国内株式の現物取引手数料は50円〜となっており、手数料に対して1パーセントのポイントを獲得できます。

  • 5万円まで:50円
  • 10万円まで:80円
  • 20万円まで:97円
  • 50万円まで:180円
  • 100万円まで:340円
  • 150万円まで:400円
  • 300万円まで:600円
  • 300万円超:800円

※税別表示

アメリカ株式の手数料も、SBIや楽天同様に約定代金の0.45パーセントで、最低5ドル、最高20ドルとなっています。

まとめ

ETFの平均的な利回りと、高利回りの銘柄、分配金受け取りの際の注意点、手数料の低いネット証券について解説しました。

ETFの利回り平均はそれほど低くありませんし、4パーセントを超える銘柄もあります。手数料の低いネット証券を利用すれば、安定した収益を出し続けることも可能です。

 

手軽に分散投資できるETFですが、手数料や税金に注意し、リスク管理を徹底したうえで投資するようにしてください。今回紹介した内容をぜひ参考にして、早速ETF取引を始めてみましょう。