投資信託は7つの種類に分類される!選び方の3つのポイント

投資信託について調べていると、「インデックス」「アクティブ」「分配金」といった投資信託ならではの用語に遭遇します。これらの用語は投資信託の特徴を表すもので、自分の目的に合った投資をするためには理解しなければならない用語です。

日本には6,000本を超える投資信託がありますが、投資先や投資する国など7つの項目で分類することができます。この記事で投資信託の種類について理解を深め、自身の運用目的に合った商品を選んでください。

投資信託の種類の分け方

投資信託の分け方は、主に次の7つです。

  1. 形態
  2. 投資先
  3. 投資する国
  4. 運用の方法
  5. 分配金の有無
  6. 購入できる期間
  7. 解約できる期間

1つの投資信託は上記の7つのポイントで決まっているとも言い換えられます。例えば、「日本の株式に投資する分配金ありのインデックスファンド」の場合は次のようになります。

  • 投資先:株式
  • 投資する国:日本
  • 運用方法:インデックス型
  • 分配金の有無:あり

それぞれの項目が投資信託のどのような性質を表すのか、次の項目から具体的に見ていきましょう。

投資信託の形態による種類

投資信託を担う会社の関係性によって、投資信託は次の2種類に分けることができます。

  1. 契約型投資信託
  2. 会社型投資信託

なお、一般的に目にする投資信託のほとんどは契約型投資信託です。

1.契約型投資信託

契約型投資信託は、「販売会社」「運用会社」「受託会社」の3社が信託契約を結んで運営される投資信託のことです。3社が契約を結ぶので「契約型投資信託」という名前がついています。

投資家は、販売会社(銀行や証券会社)で投資信託に申し込み、資産運用は運用会社(信託投資会社)が行い、資金や損益の管理は受託会社(信託銀行)が行う仕組みです。

2.会社型投資信託

会社型投資信託は、投資を目的とする投資法人を設立して運営される投資信託のことです。会社を設立するので「会社型投資信託」と呼ばれます。
投資家はその法人の株主になるため、分配金を受け取るだけでなく、株主総会を通して会社の経営に関わることもできます。この点が契約型投資信託との大きな違いです。

投資信託の投資先による種類

投資信託を買うことで、株式や債券などに投資することができます。投資信託によってどのような金融商品に投資できるかは異なり、主に次の5つに分けられます。

  1. 株式
  2. 債券
  3. 不動産
  4. コモディティ
  5. バランス型

1.株式

株式型は、企業が発行する株式に投資する投資信託です。株式に投資することで、企業から配当を貰ったり、株価が上がることによる値上がり益を得たりすることができます。

株式は後述する「債券」よりも値動きが激しいため、ハイリスク・ハイリターンな投資です。資産を大きく増やしたい場合は株式に投資することがおすすめです。

2.債券

債券型は、国が発行する国債や企業が発行する社債に投資する投資信託です。発行元が破綻しない限り利息を得られますし、満期時には元金が戻ってくるので、ローリスク・ローリターンの投資となります。

ただし、現在は世界的な低金利状態なので、どの国債への投資も利回りが非常に低くなっています。リスクを取って株式や不動産に投資した方が、利回りが高く資産を増やしやすい状態です。

3.不動産

不動産に投資する投資信託には「REIT(リート)」という名前が付いています。REITを買うことで、オフィスビルやホテルなどの物件に投資することができます。

不動産投資は個人でもできますが、都心の利益が出やすいオフィスビルなどは既に不動産投資会社が押さえており、個人で投資をすることが難しいです。しかし、こういった物件に投資するREITがあるため、個人でも収益性の高い都心のオフィスビルに投資することができます。

今から不動産投資で利益を上げたいなら、REITを購入するのがおすすめです。

4.コモディティ

金や原油、穀物などをまとめて「コモディティ」と呼び、これらに投資する投資信託コモディティ型に分けられます。株式市場と値動きが連動しにくいため、資産を分散するために金などに投資するケースがあります。

なお、コモディティのことを「商品」と呼ぶことがあります。英語か日本語かの違いであり、意味は同じです。

5.バランス型

バランス型は、これまで紹介した投資先を複数含めた投資信託です。バランス型を選ぶメリットは、一つの商品を購入するだけで株式や債券など様々な金融商品に分散投資できることです。

投資信託の投資国による種類

投資信託は、投資する国によっても分けることができます。国によって経済の成長性が違うため、リターンやリスクにも違いが出ます。

投資先の国は、大きく次の5つに分けることができます。

  1. 日本
  2. 先進国
  3. 米国
  4. 新興国
  5. 全世界

1.日本

日本の株式や債券、不動産などに投資する投資信託のことです。商品名に「日本」や「国内」といったキーワードが含まれていることが多いです。

国内に投資するメリットは、為替リスクがないことです。日本円で日本の金融商品を売買すると投資信託なので、外国為替市場の値動きの影響を受けません。

逆に、これ以降説明していく海外への投資は為替リスクを含みます。

2.先進国

アメリカやヨーロッパなど、ある程度経済が成熟した国に投資する投資信託です。経済の急成長が見込めないため資産の急激な値上がりは期待できませんが、安定して手堅いリターンを得ることに向いています。

なお、先進国に日本を含むかどうかは投資信託によって異なります。日本の扱いについては商品の説明欄や目論見書に書かれています。

3.米国

アメリカの株式や債券、不動産などに投資する投資信託のことです。商品名に「米国」と入っていることが多いです。

「アメリカは先進国に含まれるのでは?なぜアメリカ単体の投資信託があるの?」と疑問に思う人も多くいるかもしれません。もちろん、先進国の投資信託にアメリカも含まれますが、アメリカ限定の投資信託があるのには理由があります。

 

それは、アメリカは先進国でありながら今後も大きく経済が成長する可能性を持っているからです。これからも人口増加が見込まれているため、国内の需要が伸びていくと予想できます。

また、AppleやGoogleのようなイノベーションが起こりやすく、スタートアップ企業が急成長して経済を成長させる可能性が高いのです。

 

以上の理由から、アメリカは先進国の中で特に成長することが見込まれており、新興国に似たような側面も持っています。そのため、アメリカだけに投資する投資信託があるのです。

4.新興国

経済発展の最中にある新興国の株式などに投資する投資信託です。中国やインド、ブラジルがその代表格でしょう。

まだ経済が発展している段階のため、安定しておらず値動きは大きくなりやすい傾向にあります。一方で、急速な経済成長とともに株価なども急騰する可能性があるので、リスクを取ってでも大きく資産を増やしたい人におすすめの投資先です。

5.全世界

全世界に投資する投資信託とは、これまで説明してきた国々を網羅する金融商品です。先進国にも新興国にも投資するので、各国の個別のリスクを薄めることができます。

なお、全世界に日本を含むかどうかは投資信託によって異なります。日本の扱いについては商品の説明欄や目論見書に書かれているので、読んで理解してから投資をしましょう。

投資信託の運用の方法による種類

投資信託は運用会社に資産運用を任せる商品で、その運用方法は大きく分けて次の2通りです。次の項目でそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

  1. インデックス型
  2. アクティブ型

1.インデックス型

インデックス型とは、日経平均株価やTOPIXといった市場を代表する指標(インデックス)に連動するように運用する商品です。

市場平均と同じくらいの利回りになるので、「他の投資家と同じくらいの平均的なリターンが得られれば良く、平均を上回ることにはこだわらない」といった人向けです。

「平均と同程度のリターン」と説明すると、魅力を感じない方が多いかもしれません。ですが、インデックス型の大きなメリットは投資信託を保有する際にかかる信託報酬が低いことです。

指標に連動する運用をするためには指標を構成する銘柄を買えば良いので、運用会社で銘柄分析などの手間がかかりません。そのため、低コストで運用できる投資信託となっています。

2.アクティブ型

アクティブ型は指標を上回ることを目指す投資信託です。インデックス型を超えるリターンが出るように運用する投資商品ということです。

的確な銘柄分析によって市場平均を大きく上回るアクティブ型投資信託もありますが、結果的に市場平均を下回ってしまう投資信託もあります。すべてのアクティブ型投資信託がインデックス型よりも優れているとは言い切れることはできません。

 

アクティブ型は信託報酬がインデックス型よりも高くなりやすく、運用益を下げる要因となっています。過去実績を見て、最低でも高額な信託報酬に見合ったリターンを出せている投資信託を選びましょう。

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投資信託の分配金の有無による種類

投資で得られた利益は、分配金として投資家に支払われたり自動で再投資されたりして、投資家に還元されます。わかりやすく言うと「分配金の有無」と考えられ、次の3種類に分けることができます。

  1. 分配型
  2. 再投資型
  3. 無分配型

1.分配型

分配型の投資信託では、投資家に対して定期的に分配金が支払われます。タイミングは毎月、四半期、半年など投資信託によって異なります。

定期的にお金を受け取ることができるので、不労所得を得て生活を楽にしたい人におすすめです。ただし、分配金からは税金が徴収されるので、税金が引かれた後の金額が投資家の口座に振り込まれます。

2.再投資型

再投資型の投資信託にも分配金はありますが、投資家に支払われるのではなく同じ投資信託に自動的に再投資されます。MRFやMMFといった公社債投資信託に多い仕組みで、分配金が支払われると口数が増加します。

ちなみに、再投資に買付手数料はかかりません。分配金も支払われず再投資の手数料もかからないため、投資家は分配金があったことを認識しにくいです。

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3.無分配型

分配金は支払わず、利益を投資信託の資産として貯めたり投資したりするのが無分配型の投資信託です。複利効果を活かして投資できるので、分配型の投資信託よりも早く資産を増やすことができます。

無分配型と名前はついていますが、分かりやすく言い換えると「自動再投資型」と言えるでしょう。利益を分配金にしない代わりに再投資して、資産を早く成長させるのが無分配型の投資信託です。

投資信託の購入期間による種類

実は、投資信託を購入できる期間は商品ごとに決められています。購入できる期間で投資信託を分けると、次の2種類です。

  1. 追加型
  2. 単位型

なお、一般的には「追加型」の投資信託が多いです。

1.追加型

追加型の投資信託は、いつでも購入することができます。いつでも投資信託を始めることができ、また買い増しも自由に行うことができます。

投資信託の運用が始まる前は、申込価額で購入します。運用が始まってからは、そのときの基準価額での購入となります。

2.単位型

単位型の投資信託は、購入できるのは運用が始まる前の決まった募集期間だけです。募集期間以外には購入することができません。

米型の投資信託は、募集期間中の申込価額で購入できます。

投資信託の解約期間による種類

投資信託は、解約できる期間によっても分類することができます。具体的には次の2つです。

  1. オープンエンド型
  2. クローズドエンド型

なお、最近はオープンエンド型が一般的です。

1.オープンエンド型

オープンエンド型の投資信託の場合、投資家が解約したいと思ったらいつでも解約し、換金することができます。投資信託を運営する側の視点で言い換えると、いつでも資産を取り崩して投資家に返せるということです。

投資信託を解約する場合、基準価額で換金額を計算します。その際、「信託財産留保額」という解約手数料のようなものが差し引かれることがあります。

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2.クローズドエンド型

クローズドエンド型の投資信託は、投資家への換金を認めていないファンドです。投資家が解約したいと思っても、自由に解約することはできないのです。

クローズドエンド型の投資信託をどうしても換金したい場合は、取引所などを通して他の投資家に買ってもらう必要があります。なお、現在はクローズドエンド型の投資信託はほとんどありませんが、一部のREITではクローズドエンド型の商品があります。

投資信託の分類はファンド名と目論見書で確認する

投資信託の種類は、ファンド名を見れば概ねわかります。ファンド名に書いていないところまで詳しく知りたいときは、目論見書を確認しましょう。

例として、「ニッセイ日経平均インデックスファンド」を見てみましょう。商品名から、次のことがわかります。

  • 投資先:株式(日経平均株価への投資のため)
  • 投資する国:日本
  • 運用の方法:インデックス型

その他の情報を知りたい場合は、目論見書を見てみましょう。例の場合、目論見書から次の分類であることがわかります。

  • 形態:契約型投資信託
  • 分配金の有無:分配型、再投資型の2つ
  • 購入できる期間:追加型
  • 解約できる期間:オープンエンド型

投資信託を選ぶ際のポイント

投資信託の種類について理解したところで、具体的に投資信託を選ぶ際のポイントをお伝えしていきます。次の3点に気をつけて選ぶことをおすすめします。

  1. 投資先を分散させる
  2. 運用目的を明確化する
  3. 自分に合ったリスクを取る

選び方1:投資先を分散させる

複数の投資先に資産を分散させた方が低リスクの用ができます。「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言のとおりです。

もし、全財産を一つの会社の株式に集中させていた場合、その会社が不祥事などを起こして株価が大暴落した場合、全財産がなくなってしまう可能性があります。このような事態を避けるには、複数の会社の株式を買って分散させておけば、個別の会社のリスクに影響されにくくなります。

 

投資信託でも考え方は同じで、できるだけ広く投資先を分散させた方がリスクを下げることができます。ポイントとなるのは、投資先や投資する国です。

例えば、次のようなスタンスがおすすめです。

  • 株式の投資信託だけでなく、債券や不動産に投資する投資信託も買う
  • 特定の国だけではなく、全世界の株式に投資する投資信託を買う
  • バランス型の投資信託を買って、1種類で複数の投資先に分散投資する

選び方2:運用目的を明確化する

自分自身の運用目的を決め、目的に合った投資信託を買いましょう。ポイントとなるのは、分配金の有無です。

定期的な不労所得が欲しいなら分配金を受け取れるファンドを買った方が良いです。一方、将来に向けた資産形成が目的なら、再投資型の投資信託を買って複利効果で資産を成長させた方が良いでしょう。

選び方3:自分に合ったリスクを取る

投資信託は預金と違って元本保証ではなく、元本割れしてしまうリスクがある金融商品です。自分が納得できる程度のリスクを取っていく必要があります。

1円でも元本割れしてしまうことに恐怖を感じるなら、定期預金などで無リスクの運用をするしかありません。ですが、それだと利回り0.02パーセントなどほとんどお金を増やせないままになってしまいます。

 

「リスク」という観点でポイントになるのは運用方法です。比較的低リスクなのはインデックス型で、市場平均と連動するので大きく損をする可能性が低くなります。そのかわり、大きく得をする機会も少なくなります。

リターンを追求して短期間で資産を大きく成長させたいなら、アクティブ型の投資信託がおすすめです。ファンドマネジャーの市場の読みが当たって運用が上手く行けば、インデックス型よりも多くの運用益を手に入れることができるでしょう。

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まとめ

投資信託の種類について解説してきました。7つの分け方をおさらいしておきましょう。

  1. 形態
  2. 投資先
  3. 投資する国
  4. 運用の方法
  5. 分配金の有無
  6. 購入できる期間
  7. 解約できる期間

投資信託の種類を理解できるようになると、自分に合った投資信託を探しやすくなります。特に重要なのは、投資先、投資する国、運用の方法、分配金の有無の4つです。

多くの証券会社のホームページでは、これらのポイントで投資信託をスクリーニングできるようになっています。投資信託の種類を理解し、自分の運用目的に合った投資信託を探せるようになりましょう。