株の配当利回りで投資先を選ぶのはあり?知っておきたい9つのこと

「配当金」は株式投資の魅力の一つです。

投資先企業によりますが、高い利回りの配当を出している会社であれば、銀行預金と比べて遥かに高い利回りを得ることができます。

では配当利回りの高い銘柄はどこでしょうか?

今回は現時点で配当利回りが高い銘柄の探し方と、ここ数年高い配当利回りを維持し続けている銘柄をご紹介します。

数年間高い利回りを維持している会社は、今後も投資先として有望と言えます。

今回の内容をお読みいただければ、投資すべき銘柄を決められるはずです。

また、配当利回りから投資先を選ぶことは有効な手法ですが、利回りばかりに気を取られると失敗してしまう可能性があります。

ですので、配当利回りを重視して投資する注意点についてもご紹介していきます。

メディア「BIGTRADERS」が徹底リサーチの上まとめた内容ですので、きっと参考になるはずです。この記事があなたの資産運用のご参考になれば幸いです。

1、配当金とは?

(1)配当金とは

まずは「配当金」とはどういうものなのかを確認しておきましょう。

配当金とは、企業が利益を出した際に、利益の一部を株主にお金として還元するものです。

なお、全ての企業が配当を出しているわけではありませんのでご注意ください。

そして配当金が出る=業績がいい会社という図式も成り立たない点にも注意が必要になります。

利益が出ても配当金を出さずに会社を成長させる投資資金に回すことで、株価を上昇させて間接的に株主に還元している会社もあります。

(2)配当金の計算方法

配当金は1株あたりいくら、という形で還元されます。

例えば配当金が1株30円の場合、100株保有していたら下記計算式の通り3000円の配当金を受け取れることになります。

30円×100株=3000円

(3)配当金もらえるタイミング

配当金の支払われる時期や回数に関して、特別決まりはなく、企業によって異なります。

なお、年2回という日本企業が多いようです。

(4)配当を受け取るための条件

そして、配当金をもらうためには条件(どのタイミングで株を持っている必要があるか)があります。

具体的には権利確定日に株式を所有していることが必要となります。

詳しくは「7、配当を受け取るための条件」の項目で紹介しているので参考にしてみてください。

2、そもそも配当利回りに注目した株式投資は有効なのか?

そもそも配当利回りを重視した株式投資は有効なのでしょうか?

著書「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」で知られるジェレミー・シーゲル氏の調査によると、「配当利回りを重視してポートフォリオを組んだ場合、NYダウやS&P500などの米国の主要な株価指数を上回るパフォーマンスを発揮できる」ようです。

配当利回りを重視した株式投資は有効と言えます。

3、株の配当利回りの算出方法と具体的なシミュレーション

株 大損

配当利回りを重視した投資方法の有効性についてご理解いただいたら、具体的にどのように収益が上がるかをイメージしていただくためシミュレーションを紹介していきます。

まずは前提として配当利回りの計算方法を紹介していきます。

(1)配当利回りの計算方法

一株当たりの年間配当金を現在の株価で割って求めるのが、配当利回りとなります。計算方法は以下の通りです。

配当利回り(配当利率ともいう)=1株あたりの配当金÷購入株価×100

仮に、株価が2000円で配当が50円であった場合の配当利回りを計算してみます。

50円÷2000円×100=2.5%

なかには、配当利回りが年4%以上という高利回りの株もあります。

2017年10月現在の東証一部の平均配当利回り(加重平均)は、1.87%になります。

2%を割り込んだのは、1年10ヶ月ぶりということです。そしてこれは株価が上昇していることを意味します。

配当利回りの計算方法においては株価が分母に来るので、分母が大きいほど配当利回りの数字も小さくなるからです。

(2)配当利回りの具体的シミュレーション

配当利回りが年2%の株式を購入したとしたら、1年でいくらくらいの収益を得ることができるでしょう。ここでは分かりやすく、1年間株価が安定していたとします(そんなケースはほぼありませんが分かりやすく株価が安定していたという条件でシミュレーションしていきます)。

つまり、キャピタルゲインは無視してインカムゲインのみ考えます。

仮に1株5万円の株を1単元100株合計500万円所有していたとします。

この下部の配当金が年間10万円だとすると、配当利回りは2%となります。

2%という配当利回りがいかに大きいかは銀行預金と比較するとよく分かります。

銀行預金では、2017年12月時点で相対的に高金利となっているオリックス銀行でも0.18%程度です。

0.18%では、同様に500万円を運用金額としたとしても、年間で9000円しかお金は増えません。

インカムゲインは2%の配当利回りの株の1/10以下です。

500万円×0.18%=9000円

4、10年以上増配を続ける優良企業5選

次の項目「5、配当利回りランキングはどのように調べたらいい?」の中で配当利回りが高い企業の探し方を紹介していきますが、その前に配当利回りから投資先を選ぶ際にご参考となるよう、特にオススメの企業を5社厳選してピックアップしました。

いずれも10年以上増配を続けている会社です。増配とは、配当の支払い金額が前回を上回っていることを言います。

増配を継続している企業は配当を出している企業の中でも優秀な部類に属すると言えます。

※以下の銘柄の数値の情報は、2017年12月20日時点のものです。最新の方法は「5、配当利回りランキングはどのように調べたらいい?」でご説明する方法で確認してみてください。

(1)花王(4452)

2017年12月時点でも増収増配を続けています。

予想一株配当は 108円 予想配当利回り 1.4%  前期配当性向 37.1%

(2)キヤノン(7751)

2017年10月には上方修正を発表するなど、株価を押し上げる材料に恵まれました。

予想一株配当は 160円 予想配当利回り 3.68% 前期配当性向 108.7%

(3)しまむら(8227)

ファミリー向けの衣料品店で、今ではなくてはならない存在にまで発展を遂げています。お客様のニーズにあった品揃えには定評があります。

予想一株配当は 230円 予想配当利回り 1.7% 前期配当性向  25.7%

(4)科研製薬(4521)

老舗の製薬会社で、常に新しい研究で結果を出してきた会社です。

予想一株配当は 150円 予想配当利回り 2.52% 前期配当性向 27.9%

(5)ユニ・チャーム(8113)

紙おむつ、生理用品の販売では、常にトップクラスのシェアを誇っています。

ペット用品などの成長市場でもシェアを増やしてきています。

予想一株配当は 18円 予想配当利回り 0.61% 前期配当性向 21.5%

5、配当利回りランキングはどのように調べたらいい?

次は、配当利回りの高い銘柄を探す方法をご紹介していきます。

すぐに簡単に探す方法はインターネット上のサイトです。

その中でもおすすめはヤフーファイナンスの配当利回りランキングです。以下ではヤフーファイナンスを加えておすすめの方法を紹介していきます。

(1)ヤフーファイナンス

URL:ヤフーファイナンス

(2)日本経済新聞(電子版)

URL:日本経済新聞(電子版)

(3)みんなの株式

URL:みんなの株式

(4)SBI証券

URL:SBI証券

証券会社によっては、スクリーニング機能で配当利回りが高い銘柄を知ることができます。例えばSBI証券もその一つです。

「ホームページ→国内株式→スクリーニング」で方法が掲載されています。利用してみてください。

6、配当利回り重視で銘柄を選ぶ注意点

配当利回りランキングが上位だからといってすぐ「買い」なわけではありません。

注意点があります。ここでは3つの注意点をご紹介していきます。

これらの注意点を踏まえて銘柄を選ぶ際に役立ててください。

(1)「配当利回りが高い=好業績」ではない!

高配当=好業績というわけでは決してありません。

もちろん業績が好調な場合には増配になり、配当利回りが高くなる傾向がありますが、だからと言って高配当=好業績ではないので注意が必要です。

株主に、ずっと株式を保有し続けてもらいたい(ひいては株価を維持したい)と思ったら、配当金をいかに継続して出し続けるかが重要な課題になります。

そのため多少業績が悪化しても配当金を出すよう努めることもあります。

このように、配当利回りが高いから好業績という図式には必ずしも成り立たないということを覚えておきましょう。

ちなみに、逆に好業績であっても配当金を出さない企業も存在します。

あえて配当金を出さずに、成長のための投資によって企業価値を高められれば、結果としてそれが株価上昇に繋がり、間接的に株主に還元されるのです。

(2)高配当利回りの場合は直近で急激な株価の下落がなかったか注意

配当利回りが高い企業の場合、実は注意が必要です。

なぜなら、先ほど配当利回りの計算方法で説明したように現在の株価が下がっていると高配当利回りとなります。

ですので、直近で急激な株価の下落があれば、数字上は高配当利回りとなるのです。

株価の下落は何らかの要因があるはずです。もし業績の悪化が株価下落の原因であるならキャピタルゲインは望めませんし、中長期的には業績悪化による減配も懸念されます。

高配当利回り銘柄は直近で急激な株価の下落がなかったかチェックする必要があるのです。

(3)配当性向が高すぎる会社は要注意

「配当性向」という指標があります。

企業が利益のうち、どれくらいを配当金に回しているかを表す指標です。

配当性向は以下の計算式で算出されますが、配当性向が高ければ配当金も高くなる傾向があり、インカムゲインを狙った投資としては魅力的です。

配当性向=1株あたりの配当金÷1株あたりの当期純利益(EPS)×100

ただし、中長期的な投資先として考えているのであれば配当性向が高すぎる会社は要注意です。

企業が成長するには利益を投資に回していくことが不可欠です。もし十分に投資に回さずに配当金の支払いを優先しているのであれば、中長期的には成長が止まる可能性があります。

生み出した利益のうち、配当に回す割合と将来成長していくための投資に回す割合はバランスが重要なのです。

その観点で配当性向が高すぎる会社は要注意です。具体的には、配当性向が50%を超えている場合は注意しましょう。

7、配当を受け取るための条件

権利付き最終日までに株を所有していること、それが配当を受け取るための条件となります。「権利付き最終日」とはどういうことなのでしょうか。

まずはそこから見ていきましょう。

(1)権利付き最終日(権利取り日)

株主として株主名簿に記載されるためには、権利確定日の3営業日前までに株を購入しておく必要があります。

この日のことを「権利付き最終日」といいます。

「権利付き最終日」の1日だけでも株をもっていれば配当を受けられるということになります。

(2)権利落ち日

権利付き最終日の翌日のことを権利落ち日と言います。

すでに配当の受け取る権利がなくなっているので、一斉に売られることがありますので株価は下落しますので注意が必要です。

(3)権利確定日

株式をもっていると「権利確定日」といって株主として配当や株主優待をうける権利が確定される日があります(←大体が決算期末や月末であることが多いです)。

権利確定日が月末の場合、下記のようなイメージになります。

  • 28日(月) 権利付き最終日(「権利確定日」3営業日前)
  • 29日(火) 権利落ち日(「権利確定日」2営業日前)
  • 30日(水) (「権利確定日」1営業日前)
  • 31日(木) 権利確定日

※土日は非営業日なのでカウントしません。土日が途中に入るときは要注意です。

補足になりますが、権利確定日が近づくにつれ株価は上昇傾向が見られます。

「権利付き最終日」だけ株を保有していればいい、と考えて権利確定日ギリギリで買う場合は、かなりの高値になっているかもしれません。

逆に「権利落ち日」は売る人がたくさんいるので、大体の場合、比較的安く購入することができます。

ですから株式を購入する際、「権利落ち日」を狙うと利益が出やすいということです。

株式投資を検討している場合は覚えておきましょう。

まとめ

株式の配当金についてはご理解いただけましたでしょうか。

銀行の定期預金に預けるより、ずっと高い利回りを享受できる投資方法です

預金との大きな違いは、元本保証ではないということです。

ですからケースによっては企業の業績の悪化などでゼロがなくなってしまうこともあります。

逆に、好業績かつ成長し続ける企業に投資できれば、その企業の株を保有している限り、配当金を受け取り続けることが高い確率で可能です。

くれぐれも配当利回りにだけ着目することのないよう、総合的な企業分析をして安定した投資ライフを送っていただきたいと思います。