テレビ東京系「ガイアの夜明け」やNHK「プロフェッショナル」などにも取り上げられ、個人投資家や投資ブロガーからの支持を集めている投資会社、それが鎌倉投信です。
では、鎌倉投信の投資手法や運用成績などの実態はご存知でしょうか。
鎌倉投信に大切な資産の運用を任せて安心なのでしょうか。
この記事では、鎌倉投資の実態と評判について解説していきます。
1、鎌倉投信とは
鎌倉投信は2008年、鎌田恭幸氏が外資系金融機関で共に働いていた仲間4人と設立した独立系の投資会社です。
バークレイズ・グローバル・インベスターズなどで20年近く資産運用のプロとしてのキャリアを築いていた鎌田氏は、利益志向が強く、投資先の最終利益にしか興味を持たない金融業界の在り方に疑問を感じ、それまで培ってきた投資スキルを「社会の持続的発展に貢献する」ために活かそうと同社を創業しました。
鎌倉投信で運用しているのは、2010年3月に設定された『結い2101(ゆい にいいちぜろいち)』のみであり、証券会社を介さず投資家へ直接販売しています。
「2101」には2101年という次なる世紀に向けて、”人と人””世代と世代”を”結ぶ”豊かな社会を、共に創造したいという想いが込められています。
「人材を生かせる会社(人)」「循環型社会を創造する会社(共生)」「匠(たくみ)の技術・感動的なサービスを提供する会社」という3つを銘柄選択の柱として、55社(2017年7月19日時点・運用報告書第8期)へ投資しています。
2、『結い2101』の運用方針
鎌倉投信唯一の投資信託『結い2101』は、「人・共生・匠」という3つを銘柄選択の柱とし、これからの社会にほんとうに必要とされる会社、 みんながファンとなって応援したくなるようないい会社へ投資することを運用方針としています。
またあえて高いリターンを目指すことはせず、キャッシュ比率30%(株式組み入れ比率70%)、価格変動リスクを10%以内(東京株式市場の平均は約20%)という運用方針のもとに、少しずつ資産を増やしていく年輪運用を目指しています。
投資する先の会社が行う事業やその会社に関わる 様々な人によって創造されるほんものの価値や豊かさを蓄えて行くことを投資と考え、「投資は“まごころ”であり、金融は“まごころの循環”であるという投資哲学を掲げています。
(出所:いい会社とは 鎌倉投信)
また株価や配当、基準価額といった数値上の結果だけでなく、投資する先の会社が行う事業、その事業やそこに関わる人によって創造される「社会形成」や、 価値を創造する会社と関わることによって得られる投資家の「こころの満足度」にも重点が置かれています。
(出所:投資の果実とは 鎌倉投信)
3、『結い2101』の資産状況・運用成績
『結い2101』の基準価額、純資産とも順調に伸びており、直近1年のトータルリターンではTOPIXをやや上回りました。
しかし直近5年でみるとTOPIXを下回っています。
これはあえて高いリターンを狙わず、リスクを抑えた運用を行うというファンドの運用方針に沿ったものと言えます。
これは、シャープレシオの高さにも現れています。
これは堅実な運用として評価できる反面、リスクをとって高いリターンを求める投資家には向きません。
また世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は昨年、35兆円相当だった国内株のポートフォリオの3%をESG指数に連動させ、その割合を10%に高めることを目指しており、ESG(環境・社会・ガバナンス)」と持続可能な投資に向けた動きが広がっています。
こうした動きは社会全体にとってもプラスといえ、応援する企業の発展につながり、鎌倉投信の理念とも一致します。
しかし組み入れ銘柄に中小型株の多いファンドに多くの資金が流入することで、自ら株価を引き上げてしまい、投資効率の悪化も懸念されます。
(出所:基準価額・純資産総額の推移 『結い2101』投資信託説明書 交付目論見書 )
結い2101 | TOPIX | ||
基準価額 | 19,775円 | — | |
純資産 | 388.34億円 | — | |
トータルリターン(年率) | 1年 | 8.79% | 7.29% |
3年 | 6.45% | 4.13% | |
5年 | 7.79% | 9.43% | |
シャープレシオ | 1年 | 2.19 | — |
3年 | 0.93 | — | |
5年 | 1.24 | — |
基準価額・純資産:2018年9月21日時点
トータルリターン・シャープレシオ:2018年08月31日時点
(参考:モーニングスター)
(トータルリターン相対比較チャート 参考:モーニングスター)
4、より高いリターンを狙うなら別の選択肢も
鎌倉投信(『結い2101』)は、リスクを抑えた堅実な運用で、これからの社会に必要とされる会社を応援しながら、長期的なリターンを得たいという方にとっては選択肢のひとつと言えます。
しかし、高いリターンを狙う投資家には鎌倉投信の運用方針はなじまず、個別株や投資会社、ヘッジファンドなどへ投資するほうが良いかもしれません。
彼らは目先の株価ではなく企業本来の価値に着目し、割安だと判断した銘柄へ集中投資を行っています。
また物言う株主(アクティビスト)として、企業価値・株主価値の向上を図るため、企業に対して提案・要求などを積極的に行っています。
このような働きかけによって、比較的早いタイミングで高いリターンが期待できるのも魅力と言えます。
まとめ
鎌倉投信とその運用商品である『結い2101』は、高いリターンを狙うのではなく、リスクを抑えた堅実な運用でこれからの社会に必要とされる会社を応援しながら、長期的にリターンをあげることを目指すファンドです。
現状としては、その方針に沿った運用が行われており、シャープレシオの高さなどが評価できるファンドです。
ただそれは、今後も高いリターンはあまり期待できないということでもあり、より高いリターンを狙うのであれば、投資会社やヘッジファンドなどへ投資したほうが良いかもしれません。
どのくらいのリターンを狙いたいのか、それに適した投資先を選択することが大切です。