株の出来高から今後の株価を予想するための3つの方法

  • 2018年3月13日
  • 2021年10月15日

株価の動きを見る時や銘柄を選択する時には、チャートを参考にする方も多いでしょう。

まずは、チャートの値動きにばかり目がいくと思いますが、今回は下記画像の下の方にある棒グラフが何であるのか、あまり気にしていなかったみなさんのために、出来高について説明したいと思います。

この棒グラフは「出来高」をあらわすもので、今後の株価を予想する上でとても役立つツールになります。

では、どうやって出来高を株価の予想に使えば良いのか、見ていくことにしましょう。

1、出来高とは?

「出来高(できだか)」とは、1日・1週間など一定期間のうちに売買が成立した株数をあらわす指標です。

出来高は「売買高」とも言います。

また、売買単価(株価)に出来高をかけた「売買代金」は、売買で動いた総額をあらわす指標であり、出来高とともによく用いられます。

出来高は各銘柄のほか、市場全体についても公表され、出来高の増加は市場や各銘柄の取引が活発になっていること、相場の勢いを判断する材料となります。

2、需要と供給のバランスを考える

(1)価格は需要と供給で決まる【需給曲線】

以下のグラフは横軸を数量、縦軸を価格として、市場の商品の数量に応じて、いくらならその商品を買いたいかを示す「需要曲線」と、いくらなら売りたいかを示す「供給曲線」から成り立っています。

そして、商品が市場で取引される価格が、理論上2つの曲線が交わる価格(均衡価格)に決まることを表しています。

このグラフは「需給曲線」といい、中学生の社会の教科書にも載っている経済学の基本とも言えるもので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

 

これを株式に当てはめてみるとこうなります。

買いたい人と売りたい人のニーズが一致する価格が「株価」(均衡価格)、その取引が成立する数量が「出来高」(均衡数量)、この2つでできる四角形の面積が「売買代金」に対応します。

(2)「需要」の変化による株価・出来高への影響

「需要」とは、簡単にいえば「株を買いたいと思う人(買い注文)の多さ」です。

「需要」が変化した場合、株価や出来高には次のような影響があります。

①需要が増加(買いたい人・買い注文の増加)

株を買いたい人が増えると、高くても買いたいという人(注文)が増えてきます

その結果、需給曲線のグラフでは需要曲線が右に移動し、株価は上昇、出来高は増加します。

②需要が減少(買いたい人・買い注文の減少)

株を買いたい人が減ると、高い価格では売買が成立しなくなってきます。

その結果、需給曲線のグラフでは需要曲線が左に移動し、株価は下落、出来高は減少します。

(3)「供給」の変化による株価・出来高への影響

「供給」とは需要の逆、つまり「株を売りたいと思う人(売り注文)の多さ」です。

「供給」が変化した場合、株価や出来高には次のような影響があります。

①供給が増加(売りたい人・売り注文の増加)

株を売りたい人が増えると、安くても売りたいという人(注文)が増えてきます。

その結果、需給曲線のグラフでは供給曲線が右に移動し、株価は下落、出来高は増加します。

②需給が減少(売りたい人・売り注文の減少)

株を売りたい人が減ると、安い価格では売買が成立しなくなってきます。

その結果、需給曲線のグラフでは供給曲線が左に移動し、株価は上昇、出来高は減少します。

(4)株価上昇の2つの要因

上記のように、株価が上昇要因には2つあります。

<①需要が増加(買いたい人・買い注文の増加)→出来高は増加 ②供給が減少(売りたい人・売り注文の減少)→出来高は減少 ①では買いたい人が増えたことが原因の積極的な上昇であり、上昇の勢いが強い傾向があります。

一方②では売りたい人が減ったことが原因の消極的な上昇であり、上昇の勢いが弱く、反落しやすい傾向があります。

どちらも最初は株価が上昇するものの、出来高を伴う上昇であれば上値を狙える可能性が高くなりますが、出来高を伴わない上昇には注意が必要だと言えます。

株価と出来高の関連から判断する基本的な投資スタンスをまとめると以下のようになります。

    実際の価格(株価)は、買いたい人が増えて売りたい人は減る(需要増・供給減→上昇トレンド)、あるいは買いたい人が減って売りたい人が増える(需要減・供給増→下落トレンド)というように、需要と供給がそれぞれ影響しあった結果で決まります。

    3、出来高から大きく上昇する銘柄を見つける方法

    (1)出来高は株価に先行する【逆ウォッチ曲線】



    出来高と株価との動きには、上記のような相関があるとされています。

    この関係は「逆ウォッチ曲線」といわれ、株価はこの①から⑧までのサイクルを繰り返しながら推移していくというものです。

    実際には様々な要因が株価に作用してくるため、いつも理論通りの動きをするわけではありませんが、こういった傾向があるということを知っておくことは大切です。

    このサイクル読み取れるのは、「出来高は株価に先行」して動く傾向があることです。

    つまり①から②にかけての出来高上昇のタイミングを捉えることが、株価が大きく上昇する銘柄を見つける上でのポイントになってきます。

    (2)出来高増加をもたらす要因

    では、株価上昇の前兆である出来高増加をもたらす要因にはどのようなものがあるのか、主な要因を確認しておきましょう。

    ①好決算や好ましいニュースの発表など(ファンダメンタル要因)

    好決算やヒット商品の発売など、その企業にとって好ましいニュースの発表は、出来高増加をもたらす大きな要因となります。

    特にそれまで業績の低迷していた企業で想定以上の決算内容となった場合など、サプライズが大きいと出来高は急増しやすくなります。

    ②株価上昇、注目を集めたことによる投資家の参入

    前述のニュースなど株価が上昇して注目を集めるようになると、新たにその銘柄を買う投資家が増加し、出来高が上昇する要因となります。

    ③株式分割による流動性の上昇

    人気を集めて1株数千円や数万円まで値上がりした株は、売買単位が数十万円から数百万円となるため、個人投資家などが買いにくくなってしまいます。

    そこで1株を分割することで1株あたりの株価を下げて、投資しやすくする仕組みが株式分割です。

    買いやすくなったことで、もともと人気株だったことから新たな買いが入り、出来高が増加する要因となります。

    ④大口投資家による空売りの買い戻し

    ヘッジファンドなど大口の投資家が空売りを仕掛けた銘柄で、手仕舞いのため買い戻しが入った際には出来高が急増します。

    4、出来高ランキングのチェック方法

    株 大損

    出来高増加が株価の上昇する銘柄を見つけるための材料だとわかっても、すべての銘柄で出来高増加の要因がないかをチェックしていくのは大変です。

    そこで便利なのが、出来高が急上昇した銘柄のランキングです。

    ヤフーファイナンスの「出来高増加率ランキング」では、前日比での出来高の増加率上位銘柄を一覧で確認することができます。

    また株マップ.comの提供している「出来高急上昇銘柄ランキング」では、過去22日間の平均売買代金に対する当日の売買代金(リアルタイム更新)の割合が大きい銘柄が一覧で表示され、出来高(売買代金)の急増した銘柄を確認することができます。

    その上で出来高が増加した要因や株価のトレンド(上昇しているのか下落しているのか)などによって、最終的に投資すべき銘柄なのかを判断していくことになります。

    (ヤフーファイナンス「出来高増加率ランキング」)

    (株マップ.com「出来高急上昇銘柄ランキング」)

    5、出来高は株価急落リスクの判断材料にもなる

    出来高の増加した銘柄は株価上昇していく場合もありますが、急増はその後の株価急落のリスクも高い傾向があります。

    それは出来高急増の原因として、「好材料などによる急激な人気上昇」あるいは、「ネガティブサプライズによる投げ売り」というパターンが多いためです。

    急激な人気上昇による株価上昇は利益をあげるチャンスでもありますが、人気が冷めた時の株価の下落もきつくなりやすいと言えます

    そのため、その銘柄の実力をはるかに上回るような株価の高騰ではないかということをよく確認した上で、リスク管理を徹底するべきだと言えます。

    出来高急増銘柄は株価急落リスクも大きいことを念頭において、出来高が減少あるいは横ばいとなってきた段階で、早めの利食いを検討しましょう。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。

    出来高はその銘柄や市場の取引の活発さや相場の勢いを示す、いわば人気のバロメーターと言えるものです。

    そして、その後も株価上昇が続くしっかりとした相場なのかを確認する重要な要素であり、出来高の増加がその後の株価上昇を予想するための判断材料ともなる強力なツールなのです。

    いままで出来高を意識していなかったという方も、今後はぜひ出来高を活用していただければ幸いです。