塩漬け株から利益を生み出す方法と脱出するための5つのポイント

  • 2019年3月20日
  • 2021年10月15日

株式投資をはじめると、食べる塩漬けかぶとは違う塩漬け株があることをしるはずです。

「あっと言う間に!」気づいた時にはかなりの漬かり具合だったりすることはありませんか。

塩漬け株ってなに?と首を傾げる方もいらっしゃるでしょう。

そこで、知っていたらきっとためになる塩漬け株について解説していきます。

なぜ塩漬け株ができてしまうのか、原因と対処法、そして塩漬け株を作らないためにはどうすればいいのかを考えていきましょう。

1、塩漬け株とは?

塩漬けとは、野菜や肉・魚などを塩に漬け込み長期保存する調理法のひとつです。

それが転じて、購入した株が値下がりしてしまい、売るに売れなくなってしまった株のことを「塩漬け株」と言うようになりました。

カブの塩漬けは、長期保存する、さらに素材をより美味しくするといった「目的」を持って「意図的」に行うものです。

そして、よほどのことがなければいずれ食べ頃がやってきます。

塩漬け株がいただけないのは、食べ頃(株価が買値まで戻ってくること)がいつなのかわからないこともあり、ときには「ない」ことさえあるということです。

それは意図したものではなく、「失敗」の結果です。

2、塩漬け株ができあがる心理

塩漬け株は「失敗」の結果であり、初めから塩漬け株を作ろうと思って作ってはいません。

購入後に株価が下がってから、「長期的な成長を狙っている」あるいは「配当のインカムゲインが目的で」といった理由をつけて、自分は「失敗」したのではないと思いたい気持ちもわかります。

もちろん長期的な成長や配当を狙って「長期保有株」として株を買い、結果的に株価が下がることもあるでしょう。

もし株を購入した根拠が崩れていない、あるいは事前に想定していた値動きの範囲内だというのであれば、まだ失敗といってしまうのは早いかもしれません。

そのうち株価が戻ってくることもあります。

でも、本来利益を得ようとしていたタイミングではないなら、それはたまたまであり、「失敗」にかわりありません。

むしろ株価が戻って来ない、あるいは数ヶ月・数年先ということのほうが多く、ズルズルと損失が拡大していき、ますます売れない悪循環に陥るというのが典型的なパターンです。

塩漬け株できるまでの過程は、おおよそ以下のようなものです。

  1. 株価が上がると思って株を買う
  2. 予想に反して、株価が下がる(ちょっと買うタイミングがずれただけで、そのうち上がるだろうと思って持ち続ける)
  3. さらに株価が下がる(失敗したかなと思いつつも、株価が戻ることを期待して持ち続ける)
  4. さらに株価が下がる(完全に失敗したと思っているが、損失が大きくなりすぎて売るに売れない)

どのくらい株価が下がるかはケースバイケースですが、1から2までは銘柄の選択が間違っていなかったとしても起こり得ることで、株価が変動するものである以上、仕方ありません。

問題なのは、3の段階で株を持ち続けたことです。

このとき株を売っていれば、ある程度の損失は覚悟しなければなりませんが、塩漬け株はできません。

このとき株を持ち続ける理由には、大きく分けて2つあります。

(1)値上がりするはずだと信じる気持ち

1つ目は「この株は一時的に値下がりしているだけで、業績や成長性からみれば値上がりするはずだ」と信じているパターンです。

外部要因などによって相場全体が下げていることが原因で株価が下がっているのかもしれません。

しかしこのような場合にも、基本的に購入前に損切りラインを設定しておくべきであり、そのラインを下回れば一旦損切りを行うということが、リスク管理の面では重要になります。

また、値上がりすると思っている理由はなんでしょうか。

その理由が、ニュースやマネー雑誌で紹介されていた一時的に株価を押し上げるような材料であれば、すでに株価は上がりきっている可能性が高く、そのままにしておくと塩漬け株になる可能性は高いと言えます。

(2)損失や失敗を認めたくない心理

2つ目は「含み損は発生しているけど、売らなければ損失は確定しない」というパターンです。

損切りが必要だという意識はあるものの、損失や失敗を認めたくない人間の心理が勝ってしまったことによって起こります。

この場合には、購入前に損切りルールを設定し、そのルールに機械的に従うようにして売買に感情を持ち込まないことを徹底することで、塩漬け株ができることを防ぐことができます。

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3、塩漬け株を持っていることのデメリット

株 大損

塩漬け株を持っていることは、それだけで以下のようなデメリットを生みます。

(1)塩漬け株は資金効率を悪化させる

塩漬け株を持っていることによる最大のデメリットは、投資資金まで塩漬けにしてしまうということです。

投資資金がいくらでもあるならいいですが、実際にはそうはいきません。

もし投資資金が100万円で、50万円で買った株が塩漬けになってしまえば、残り50万円しか余力がなくなってしまいます。

もし投資資金が50万円なら、もうなにもできなくなってしまいます。

そうこうしているうちにも相場は動いており、絶好のチャンスが巡ってくることもあります。

しかし投資資金がなくては、指をくわえて見ていることしかできません。

塩漬け株は、資金効率を悪化させ、含み損だけでなく機会損失という損失をもたらすものだと認識しましょう。

(2)塩漬け株は精神的なストレスとなる

塩漬け株は投資資金を圧迫するだけでなく、精神的にもストレスとなります。

上がっては下がる繰り返し、いつ見ても一向に含み損がなくならない塩漬け株は、損失が広がる不安を常に抱かせ、その株を見るだけで気分が憂鬱になります。

その精神的なストレスが投資行動全体に影響し、なんとか挽回しなければという思いから、冷静な判断ができなくなってしまう可能性もあります。

4、塩漬けになった株への3つの対処法

塩漬け株は別に持ちたいわけではありません。

けれど、もうすでに塩漬けになってしまった株があってどうしたらいいのかわからないという方もいると思います。

ここからは塩漬けにしてしまった株をどう対処すれば良いのか、その対処法3つご紹介します。

(1)塩漬けになっている株を売る(損切り)

最も手っ取り早く、今すぐにでもできる塩漬け株解消法です。

塩漬けにしているのは結局あなた自身なので、塩漬けの呪縛というのは決断次第でいつでも逃れることができたのです。

損失は確定することになりますが、それ以降損失が拡大することはなくなり、売却代金は現金化されて新たな投資資金となるというメリットがあります。

(2)塩漬け株を損切り+新規買い

この方法では、塩漬け株の損切りを行うことを前提として、その売却代金で新たに株を購入します。

株価が下がっている、あるいはいつまでもくすぶっている塩漬け株が値上がりするのを待っているのではなく、もっと株価が上がりそうな銘柄に乗り換え、塩漬け株による損失分+αの利益を狙うという方法です。

例えるなら、たまたま乗った電車が各駅停車だったとして、目的地までその電車に乗り続けるのではなく、次の駅で快速電車に乗り換えて目的地に早くたどり着くのと同じようなものです。

時間がかかる各駅停車でも目的地に着くならまだ良いですが、株には行き先表示がないので、行き先が異なってしまうかもしれません。

途中で乗り換える快速電車についても、ちゃんと目的地に止まるのか、つまりきちんと値上がりする銘柄なのか、選択は慎重に行う必要があります。

また、いくら値上がり期待が高くても株式投資に絶対はないので、損切りなどのルールを決め、そのルールを守るなど、乗り換えた銘柄をさらに塩漬けにしないのは言うまでもありません。

(3)塩漬け株は長期保有株として持ち続ける

買値よりも株価は下がってしまい、すぐには株価が回復する見込みはないものの、長期保有する価値が見出せる塩漬け株への対処法です。

この方法は塩漬け株を損切りできない「言い訳」と紙一重であるため、客観的な判断で行うことが重要になります。

長期保有する価値が見出せるかどうかは、およそ以下のような基準で判断します。

  • 安定した高い配当のある銘柄か
  • 株主優待のある銘柄か
  • 現在の株価であれば買ってもいいと思える銘柄か

高配当銘柄や優待銘柄は一般的に株価が下がりにくい傾向があり、配当金や優待品によって少しずつ株価の値下がり分を補填し、長期保有によって損失を軽減することも期待できます。

また、自分の買値ではなく現在の株価を基準にして、客観的な判断で買っても良いと思えないような銘柄は、今後さらに値下がりする可能性が高いと言えます。

そのため、いくら配当や株主優待があるといっても、早めに損切りするべきでしょう。

また長期保有する価値が見出せる銘柄であり、現在の株価がその企業の価値に対して割安だと判断できるのであれば、その銘柄を買い増す「ナンピン買い」という方法もあります。

ナンピン買いは平均購入単価を下げ、株価が反転すれば含み損解消を早める効果が期待できます。

その反面ナンピン買いの後さらに株価が下がってしまうことも考えられます。

傷を広げることになるリスクの高い方法でもあります。

そのため、資金的な余裕と株価が反転する明確な根拠がなければ行わないのが賢明です。

5、塩漬け株から利益を生み出す方法

塩漬け株を長期保有することにした場合、配当や株主優待をメインに、株価の回復を待つことになります。

その間ただ保有しているだけではなく、塩漬け株を活用して利益を出す方法もあります。

(1)塩漬け株を貸株サービスで金利を入れ受け取る

低リスクで利益を出す方法として「貸株サービス」という仕組みがあります。

この貸株サービスとは、保有している株を証券会社に貸し出して金利を受け取る仕組みです。

わたしたちが貸し出した株は、信用取引などの決済などに用いられます。

貸出金利は0.1%の銘柄が多いですが、10%を超える高金利の銘柄もあります(SBI証券・2019年3月時点適用金利)。

SBI証券の貸株サービス適用金利一覧で確かめてみてください。

SBI証券貸株サービス適用金利(2019年3月時点)
貸出金利銘柄数
0.1%3,000~3,800銘柄程度
0.4%0~150銘柄程度
0.5%100~500銘柄程度
1.0%以上100~600銘柄程度
【12.0%】PKSHA(3993)
【10.0%】JIG-SAW(3914)

株主優待の権利確定日には自動的に貸し出しを中断する仕組みもあり、貸出金利を受け取りながら、配当金(または配当金相当額)や株主優待は通常通り受け取れるようになっています。

また貸株中であってもいつでも売却することができるので、普通に保有している場合と大きな差はありません。

*ただし名義がその都度変わるため、優待の長期保有特典などの対象から外れるといったデメリットや、貸出先の信用リスクなどはあります。

(2)信用取引やFXの担保として活用

また、塩漬け株を信用取引やFXの担保として預け入れて利益を出す方法もあります。

信用取引やFXでは、証拠金として一定の担保を証券会社に預けて取引を行いますが、その際に保有する株式を担保とすることができます。

このとき保有する株式の評価額に一定の割合(代用掛目)をかけた金額が担保額となります。

これにより塩漬け株を売却することなく、投資資金として活用することができます。

ただし株価が変化すれば担保額も変動し、担保額が不足するリスクや、信用取引やFXで損失が出た場合に担保となっている株が強制売却されてしまうといったリスクが伴います。

取引額やレバレッジを適切に設定し、担保額の目一杯まで取引しないようにするなど慎重な取引を心がける必要があります。

6、塩漬け株について語るブログ3選

塩漬け株について、自身の経験や考え方などを綴っているブログをご紹介します。ほかの投資家が塩漬け株をどう考え、向き合っているのかを知るための参考としてみてください。

(1)元・塩漬け株の地獄のスパイラルから脱出した「たかし」

元・塩漬け株の地獄のスパイラルから脱出した「たかし」

(2)ウォッカさんのブログ(みんなの株式)


ウォッカさんのブログ

(3)主婦が株で稼ぐために試行錯誤しています まりあのデイトレブログ

主婦が株で稼ぐために試行錯誤しています まりあのデイトレブログ

7、これを読んで塩漬け株を学ぼう

(1)塩漬け株で毎日金利を得る方法 桜ゆり子(著)


塩漬け株で毎日金利を得る方法

『塩漬け株で毎日金利を得る方法』では、塩漬け株をFXの担保にして外貨投資を行い、株主優待や配当金に外貨金利を加え、年利10%以上を目指す投資法が紹介されています。

塩漬け株を損切りせず活用したい方にとってのひとつの選択肢となる手法だと言えます。

(2)損切り・塩漬け無用の最強の株投資 杉村富生(著)

損切り・塩漬け無用の最強の株投資

著者は「短期売買中心」「細かくロス・カットすべし」との風潮に一石を投じ、あまり神経質にロス・カットすることは買っては投げの繰り返しで「損切り貧乏」につながると言います。

一方で「塩漬け株」持ち続けることの問題も指摘し、このような非効率な投資を防ぐための方法を、勝ち組投資家、負け組投資家の例をあげながら解説し、具体的な「儲け方」が紹介されています。

(3)さらば塩漬け株 三木彰(著)

 

さらば塩漬け株

本書では、塩漬け株を上手に解消する方法、二度とつくらないノウハウが解説されています。

なぜ塩漬け株を作ってしまうのか、その理由がこの本の中にあります。

まとめ

最後に、今後塩漬け株を作らない方法を記しておきます。

株を買う前に損切りライン(売買ルール)を明確に設定し、株を買った後はその損切りライン(売買ルール)を必ず守る。

これに尽きます。

損切りしなくても良いように、購入する銘柄の選択をしっかり行うことももちろん大切ですが、適切なタイミングで損切りできれば塩漬け株は生まれません。

このことをしっかりと認識し、効率的な投資を目指しましょう!