親子上場とは?メリット・デメリットと儲けるための3つのポイント

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ソフトバンクグループ(9984)が通信事業会社を上場させるというニュースで注目を集めている親子上場ですが、親子上場にはさまざまな問題も指摘されています。

この記事では、親子上場はどのようなものなのか、そして投資家が親子上場を利用して儲けるためにはどうすれば良いのかを解説していきます。

1、親子上場とは?

 

親子上場とは、親会社と子会社のそれぞれが証券取引所に上場して株式を公開している状態のことを言います。

親会社とは、原則ある会社(子会社)の発行株式の過半数以上を保有する会社であり、子会社の経営には親会社の意向が働くことが一般的です。

欧米にはほとんど見られない親子上場ですが、日本ではNTT(9432・親会社)とNTTドコモ(9437・子会社)、トヨタ自動車(7203・親会社)と日野自動車(7205・子会社)など、どちらも日経225銘柄として採用されているような、日本を代表する企業同士が親子上場であるケースも少なくありません。

通信事業会社ソフトバンクの上場を計画しているソフトバンクグループ(9984)も、すでに子会社のヤフー(4689)と親子上場の状態にあり、今回の上場が実現すれば親子会社3社とも日経225銘柄に採用される可能性も高いとみられます。

2、親子上場のメリット・デメリット

(1)メリット

① 親会社にとってのメリット

子会社株式を市場で売却することにより、大規模な資金調達が可能です。

親子会社がそれぞれの事業分野で独自に成長を模索することで、企業グループ全体の価値の最大化が期待できます。

② 子会社の独立により負担低減効果

多角経営企業の株価が相対的に低く評価される、コングロマリット・ディスカウントの低減効果があります。

③ 子会社にとってのメリット

  • 独立性が高まり、経営の自由度が増す
  • 従業員のモチベーションの向上

④ 投資家にとってのメリット

  • IPOによる収益機会の獲得
  • 多角経営企業の事業分化により投資対象としての事業が明確となる

(2)デメリット

① 親会社にとってのデメリット

  • 子会社に対する影響力・支配力が低下
  • 子会社の独立に伴い、より詳細な情報開示が必要
  • 子会社利益の外部流出

② 子会社にとってのデメリット

  • 親会社から独立して事業を行うことによる、営業力の低下や管理コストの増加
  • 親会社の影響力は残り、完全に自由な経営は難しい
  • 親会社の利益が優先され、子会社の利益が侵害される恐れがある

③ 投資家にとってのデメリット

親会社の利益が優先され、子会社の少数株主の利益が侵害される恐れがある。

3、親子上場は増えている?問題点は?

(1)親子上場は外国人投資家に受け入れられにくい

親子上場にはメリットもありますが、子会社上場に対しては問題視されることも多く、特に上記の子会社にとってのデメリットであげた点については、企業統治(ガバナンス)の観点から問題が指摘されています。

特に企業における「所有」と「経営」の独立性とガバナンスが重視される欧米諸国では、親子上場に否定的であり、欧米では親子上場がほとんどみられないこともそれを示しています。

日本市場においても外国人投資家の影響が大きくなるにつれ、2006年のピーク時には400社を超えていた東証の親子上場企業は、2016年度末には270社(2017/7/6付・日本経済新聞)まで減少しました。

また中核的な子会社を上場させ親会社が利益を得ることには、新規公開による利益の二重取りではないかという問題も指摘されています。

そのため子会社上場に際しては、独立性(持株比率や実質的に親会社の一事業部門となってないか)やグループ企業内での内部管理体制整備など、特に慎重な審査が行われることになっています。

(2)減少傾向にある親子上場が再び注目される

外国人投資家に受け入れられにくい親子上場は、時代に逆行するものとして減少が続いていました。

それが最近になって再び注目され始めました。

これは株高によって子会社上場による資金調達のメリットが大きくなったことや、投資家にとって新規株式公開(IPO)が重要な投資機会として認識されるようになったことが要因と考えられます。

4、平成最後の大型IPO「ソフトバンク」親子上場の株価予想

2018年2月7日、ソフトバンクグループはグローバルな規模で投資を進めるソフトバンクグループと、グループの通信事業分野の中核であるソフトバンクの役割と価値を明確化することを目指し、ソフトバンクの上場準備を開始したと発表しました。

孫社長率いるソフトバンクグループは2017年、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を立ち上げており、総額980億ドル(約10兆円)とされるファンドの内、ソフトバンクとしては280億ドル(約3兆円)を出資することを予定しています。

9000億円は買収したイギリスARM社の株式を充てることになっているものの、2017年末時点で15兆円を超える有利子負債を抱えるソフトバンクグループが、残る2兆円もの資金をどのように用意するのかが注目されていました。

そのタイミングで発表された通信事業会社ソフトバンクの上場は、保有するソフトバンク株式の3割程度を売り出し、2兆円程度の資金を調達するものとされ、ビジョン・ファンドへの出資資金に充てることが目的とみられます。

2兆円規模のIPOとなれば過去最高のIPOであるNTT株の約2.2兆円に匹敵し、過去最高を更新するIPOとなる可能性もあります。

NTT株のIPOでは、公社の民営化に伴い国が売り出す株式であることや、バブル絶頂期にあったことも重なり、初値は公開価格119万7,000円を33.6%上回る160万円となり、4月には318万円の高値をつけました。

この上場計画が最初に報道された2018年1月15日には、ソフトバンクの株価は一時525円高となり、株式市場も大きく反応しています。

ではIPOが実現した場合、ソフトバンク株はどうなるのでしょうか。

公式発表にもあるように、現在のソフトバンクグループは通信事業会社としての面は薄れ、投資会社としての色を強めています。

そのためソフトバンクの株価は、経営の多角化によるコングロマリット・ディスカウントの影響を受け、理論上の株価よりも低く評価されているとみられています。

事業ごとの価値を積み上げて試算したソフトバンクグループの理論上の株価は、12,000円程度とするアナリストが多く、現在の株価との乖離があります。

もちろん巨額の有利子負債やビジョン・ファンドの評価などさまざまな要因も影響してきますが、通信事業会社の上場によってコングロマリット・ディスカウントが低減されれば、株価の上昇も期待されます。

5、親子上場が解消されるのはどのようなケース?株価はどう動くか?

親子上場は、親会社が上場する子会社の株式を取得し、子会社を上場廃止とすることによって解消されます。

子会社の株式を取得する方法としては、親会社が子会社の株式を買い集める「株式公開買付(TOB)」と、子会社の株主に対して親会社の株式を割り当てる「株式交換」などが用いられます。

(1)株式公開買付(TOB)

TOBによる方法では、親会社が子会社の株を買い受ける「期間」「株数」「価格」を公に提示して、証券取引所の外で子会社の株を買い集めます。

上場廃止を目的としたTOBでは、流通する子会社株式の全部を買い付ける「全部買付」が行われることが一般的です。

子会社の株価(市場価格)は、通常TOBにおける買付価格にさや寄せするように動きます。

TOBでは、プレミアムのついた市場価格よりも高い買付価格が設定されることが多く、TOBによって子会社の株価が上昇しやすくなっています。

また子会社の規模にもよりますが、親会社の株価へはそれほど影響しません。

(2)株式交換

株式交換による方法では、子会社の株主に親会社の株式を割り当てます。

株式交換は株主総会の特別決議(出席した株主の議決権の3分の2以上による賛成)があれば行うことができ、子会社株主全員から株を買い取ることができなくとも完全子会社化が可能となります。

株式交換では、子会社株1株あたり親会社株何株を割り当てるのかという「株式交換比率」が定められます。

子会社(A社)の株価が1,000円、親会社(B社)の株価が500円である場合、対等な、A社株1株に対してB社株2株が割当てられれば対等な条件であり、このときの株式交換比率は1:2となります。

もしA社株1株にB社株2株以上を割り当てる株式交換比率となれば、理論的には子会社株主にとって有利な条件となり、子会社の株価は対等な条件で釣り合う水準まで上がります。

一方子会社株主にとって不利な条件で株式交換比率が決まった場合には、子会社の株価は下がることになります。

ただ、株式交換発表直後には様々な思惑から株価の変動が大きくなりやすく、注意も必要です。

6、親子上場銘柄で儲けるための3つのポイント

最後に、親子上場銘柄で儲けるためのポイントを押さえておきましょう。

(1)親子上場前

企業価値の向上やコングロマリット・ディスカウントの低減などが見込まれる場合、親会社の株価の上昇が期待されます。

また新規上場となる子会社の株価についても、IPOが人気を集めている今、公開価格を大きく上回る可能性が高いと言えます。

(2)親子上場中

親会社と子会社が別々に上場している場合であっても、連結決算が義務付けられていることから、子会社の業績や保有資産などは親会社にも反映されることになります。

これによって親子会社間の株価には連動性が生まれますが、反映されるまでのタイムラグなどによって株価に歪みが生じる場合もあります。

通常この歪みはすぐに解消されますが、市場の注目度が思ったより低いときや、そのほかの要因が影響して歪みが放置されたままになることもあります。

この放置された歪みを見つけ投資することができれば、歪みが解消されることによる利益が期待できます。

(3)親子上場の解消時

組織再編などによって親会社が子会社を完全子会社化し、親子上場を解消するタイミングは儲けのチャンスとなります。

完全子会社化のためTOBが実施されれば、プレミアムのついた買付価格が設定されることが多いため株価の上昇が期待できますし、株式交換の場合でも株式交換比率次第では株価が上昇する要因となります。

組織再編などが期待される親子上場会社の子会社の株は、TOBなどを見据えて買われやすく、株価が上昇しやすい傾向があるため、儲けるチャンスとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

親子上場は利益相反などガバナンスの問題もあり、投資家にとってメリットばかりではありませんが、仕組みを理解していれば儲けるチャンスを掴むこともできます。

親子上場について正しく知り、投資に活かしていただければ幸いです。

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証券会社、生損保代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。

(保有資格)1級FP技能士・証券外務員一種
(試験合格)宅建士・行政書士

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