テーマ株の一つ!高配当利回りディフェンシブ株のオススメ銘柄10選

  • 2018年6月21日
  • 2021年10月15日

デイフェンシブ(defensive)とは、防御的なさまを言います。

株式市場では、どんな状況下でも底堅い動きをする銘柄をディフェンシブ株と呼んでいます。

内需に関連した比較的安定感のあるセクターが中心です。

混迷する株式市場で何を買って良いか迷ったら、ディフェンシブ株をスクリーニングしてみてはいかがでしょうか。

今回は、代表的な10銘柄をご紹介します。

銘柄選択のご参考になれば幸いです。

1、ディフェンシブ銘柄とは?

ディフェンシブ銘柄とは、不景気時でも業績が悪くなりにくい(景気に業績が左右されにくい)銘柄のことを指します。

日本では長くデフレマインド(物価が上がらず、節約志向)が続いていますが、やはり不景気になったり給料が上がらず可処分所得が少なくなったりすると人々の消費行動は低下しがちになります。

需要がなくなれば供給を行う必要が薄れてきますから、供給量が少なくなり、業績が縮小してしまうということになります。

ですから多くの銘柄で「景気の悪化=株価の下落」という方程式が、基本的には成り立っているということになります。

対してディフェンシブ銘柄は「景気の悪化に強い」という特徴を持っています。

景気が悪化しても比較的需要が下がらないものを扱っている企業が、そういった銘柄群に属していると言えます。

2、ディフェンシブ株はどんな業種?

「景気の悪化に左右されにくい」「需給関係が極端に悪化しない」というのがディフェンシブ銘柄の主な特徴でしたが、実際には下記のような業種群がその代表例として挙げられます。

  • 電気、ガス(インフラ)
  • 陸運(インフラ)
  • 食料品(生活必需品)
  • 医薬品(生活必需品)

こういったものは好景気・不景気関係なく一定の需要があるもので、業績もそれなりに安定した動きを見せます。

そのため、株価も比較的安定した動きを見せるというのが大きな性質のひとつと言えるでしょう。

「どんな会社がディフェンシブ銘柄なのか」ということについては詳しく後述しますが、ここでも簡単に紹介しておきます。

皆さんが知っている、名の通った企業も多いのではないでしょうか。

(1)電気、ガス(インフラ)

東京電力、関西電力、東北電力、東京ガス、大阪ガスなど。

(2)陸運(インフラ)

東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)など。

(3)食料品(生活必需品)

JT(日本たばこ産業)、サントリー食品インターナショナル、アサヒ飲料、明治HDなど。

(4)医薬品(生活必需品)

武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共、大正製薬HDなど。

ある程度ディフェンシブ銘柄について理解したうえで知っておきたいのは、「上記のディフェンシブ銘柄にも下落の可能性はある」ということです。

例えば電気・ガスといった業種は、電力自由化によって勢力図が変わりつつあります。

東京電力をはじめとした大手が寡占していた顧客を、電力自由化によって他の企業が囲い込みに行っている様子が近年は見て取れます。

また、食料品というと非常にざっくりとしたくくりですが、外食産業などは不景気・好景気の波がはっきりと出やすい業種と言えます。

不景気の際は安価で利用できるサイゼリヤ、吉野家などが人気化しますが、その一方、高単価でリッチな店舗形態を持つものは顧客の足が遠のきやすいです。

こういった感覚は、日々のニュースや毎日の生活の中からも感じ取れるものだと言えます。

生活に密着した銘柄が多いので「この銘柄群・業種は社会がどう変化したら業績が良化するか、悪化するか」ということを考えながら投資を行っていくと、腕が磨かれることは間違いないでしょう。

3、高配当ディフェンシブ株のメリット・デメリット

ディフェンシブ株の大きなメリットとして挙げられるのが「高配当」です。

そのため「高配当ディフェンシブ株」などと一括りにして呼ばれることもあります。

高配当、というのは「配当金が高い」ということで、投資家に還元される金額が他の銘柄群に比べて高いということになります。

一見すると素晴らしい点のように思えますが、高配当ディフェンシブ株には他にも色々な側面があります。

この項目では、そういったことを踏まえディフェンシブ株のメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

(1)ディフェンシブ株のメリット

①配当金が高い銘柄が多い

前述したように、ディフェンシブ銘柄の多くは配当金が高いことで知られています。

出た利益の多くを配当金として株主に還元することで投資魅力を高める目的があるとともに、安定した業績推移であるため高い配当を続けて出しやすい、というのがその大きな理由です。

例えば2018年5月時点におけるJT <2914> の配当金・配当利回りを見てみましょう。

JTと言えばたばこで知られている会社ですが、医薬品・食料品も事業展開しており、ディフェンシブ銘柄の代表格としても見られています。

出典:ヤフーファイナンス

1株配当は150円、配当利回りは4.96%となっています。

これは日経平均の平均配当利回りが1.73%であることを考えると、非常に高い数字だと言えるでしょう。

②不景気時でも比較的需要があり、株価が安定しやすい

何度か見てきたように、ディフェンシブ銘柄はその名の通り「守りが強い」銘柄群のことを指します。

ディフェンシブ株が物色されやすいのは市場全体が軟調なとき、また市場見通しが不透明で積極的な買いが市場全体に見られないときが多いです。

株式市場はずっと右肩上がりというわけではないので、ディフェンシブ株が買われるタイミング・逆に売られるタイミングは必ず出てきます。

ディフェンシブ業種・銘柄の動きを毎日観察していると、それが読み取れると思います。

(2)ディフェンシブ株のデメリット

①キャピタルゲインの観点で利回りが低い場合がある

配当金が高い、というのはインカムゲイン面から見た大きなメリットですが、その一方でディフェンシブ株はキャピタルゲイン面で他の銘柄に劣るというデメリットがあります。

業績・株価とも安定しがちなだけに、株価の上昇面での値上がり益を期待しにくいということです。

相場全体の上昇時にはディフェンシブ銘柄のパフォーマンスが落ちる場合もあるので、全体感を持って投資を行うことが大事と言えるでしょう。

②ディフェンシブ銘柄でも下がる時は下がる

ここまで何度もディフェンシブ銘柄は不景気時に強く株価が安定しやすい、と述べてきましたが、ディフェンシブでも下がるときは下がります。

「2、ディフェンシブ株はどんな業種?」の最後でも少し触れたように、業界全体におけるビジネスモデルの変化などが予見され、業績に影響を与えると考えられた際にはしっかりと株価下落が起きます。

ただ、そういった際でも「配当金」が変わらなければ、「配当利回り」は相対的に上がります。

(※配当利回り = 1株配当金 ÷ 1株株価 なので、分母の株価が下がれば配当利回りは上昇する)

逆に株価の下落をチャンスと見て買いを入れる投資家も多く存在する、というのは頭に入れておきたい事象です。

4、ディフェンシブ関連のテーマ株検索方法

ディフェンシブ銘柄については、多くのウェブサイト・各種証券会社の検索ツールを利用すれば簡単に見つけることができます。

(1)みんなの株式 株テーマディフェンシブ関連銘柄一覧

URL;みんかぶ

PER・PBRをあわせて確認できるほか、各銘柄についてのニュースもあわせてチェックすることが可能です。

(2)kabutan ディフェンシブ関連銘柄

URL:kabutan

PER・PBRをあわせて確認できるほか、各銘柄についてのニュースもあわせてチェックすることが可能です。

5、オススメのディフェンシブ銘柄10選

この項目では、実際にディフェンシブ銘柄を10銘柄紹介していきます。

先にも述べたインフラ系、食品・医薬品系の会社が主となっています。

(1) 関西電力<9503>

東京電力に次いで国内電力業業界2位に位置する電力会社です。

高浜原発に続き大飯原発の再稼働が行われ収益基盤が増えた一方、ガス料金の値下げという業績にとってのポジティブ・ネガティブ材料が混在しています。

売上高および利益は安定して一定水準を保っており、配当利回りも2.24%あたりと市場平均利回りを越えた水準にあります。

(2)東京ガス<9531>

国内ガス業界トップの東京ガスの配当利回りは1.86%程度です。

2017年後半~2018年前半の株価値上がりがあり、配当利回りはやや低めとなっています。

先にも少し述べた通り、電力・ガスの小売販売自由化によってガス業界の競争は熾烈化しています。

その中でいかに顧客の囲い込みができるかが今後重要となるでしょう。

(3)武田薬品<4502>

2018年5月にアイルランドのシャイアー社を買収することで話題になった、武田薬品工業の配当利回りは3.84%程度です。

ただこの配当利回りは、シャイアー買収にあたっての株価下落の影響もあって、高い数値となっています。

薬品会社は薬の特許が切れると収益源がなくなるため、新薬開発などで収益源を確保することが重要です。

過去にもM&Aを行ってきた医薬品会社は多く存在しますが、成功例・失敗例の双方があり非常にシビアなところです。

(4)日新製糖<2117>

製糖業界で大きなシェアを占める日清製糖も、ディフェンシブ銘柄の一角として知られています。

スポーツクラブの運営も行っているのは面白いところかもしれません。

配当利回りは3.33%、PERは22、PBRは0.91と、まさにディフェンシブ銘柄、といった投資指標の数値が並んでいます。

(5)明治HD<2269>

明治HDは「チョコレートは明治」のCMで知られるお菓子業界トップシェアを誇る会社です。

配当利回りは直近の株価の上昇もあり1.50%程度ですが、お菓子の詰め合わせが貰える株主優待が人気です。

1株配当が130円なので最低単元の100株であれば配当金は13,000円となりますが、そこに2,000円相当の株主優待がつくので実質配当は、もう少し上がることになります。

(6)KDDI<9433>

携帯キャリアおよびインターネット回線を主な事業として扱っているKDDIは、ディフェンシブ株の枠からはやや外れますが高配当銘柄として知られている企業です。

配当利回りは3.40%程度、また増配が16年近く行われていることもよく話題になる企業です。

ディフェンシブから外れるのはメリット・デメリット両方の側面がありますが、大きなメリットとしては値上がり益を期待できる、キャピタルゲイン面での期待値が高いという点です。

(7)JT<2914>

「3、高配当ディフェンシブ株のメリット・デメリット」でも少し紹介したJTの配当利回りは5%近くになります。

たばこ業界は禁煙の動きが進む一方で市場縮小が進むものの、電子たばこのような新たな代替品が生まれてきてもいます。

たばこ業界を占う上では、米国のフィリップ・モリスの株価動向なども参考にしてみるとよいでしょう。

(8)西日本旅客鉄道(JR西日本)<9021>

山陽新幹線・北陸新幹線が運輸事業において大きな柱となっています。

他のJR各社に比べて不動産事業・流通事業の利益割合が大きく、事業多角化を図っている様子が見て取れます。配当利回りは2.20%程度となっています。

(9) エーザイ<4523>

「元気出していきましょう、エーザイ」のコピーで有名なエーザイの配当利回りは1.85%程度です。次世代アルツハイマー認知症薬の開発品が豊富であるものの、16年3月期を機に業績は頭打ち傾向にあります。

ただ直近の株価は上昇傾向にあり、2015年3月高値の9,756円を目指せる8,000円近くで推移しています。

(10) キリンHD<2503>

アサヒグループホールディングスに次ぎ、ビール類シェア国内2位のキリンホールディングス。一番搾り、のどごし生などの商品が有名です。

配当利回りは1.61%程度ですが、明治HDと同じく株主優待のバラエティが富んでおり、ビールや清涼飲料を貰えるのが嬉しいポイントです。

あわせて読みたい!

6、ディフェンシブ株に詳しい投資家さんのブログ4選

株式ブログ

実際ディフェンシブ株に投資を行うにあたり、個人投資家さんのブログを見ると参考になるでしょう。

(1)こびと株.com

URL:こびと株.com

書籍で学んだ内容と実際のマーケットでは往々にして違うことが起こりますが、ディフェンシブ銘柄に関しても同じことが言える、といった記事内容をポストしているブログです。

他にも株式投資に関する考え方や、収入を増やす方法についての記事が多く個人投資家には刺さる内容が多いと思われます。

(2)長く地道に米国株投資

URL:長く地道に米国株投資

米国株を中心に記事を書かれている方のブログです。

リンク先では、「なぜディフェンシブ株に投資すべきか?」という考えを述べています。日米のマーケットの違いを知りたい方にはうってつけのブログでしょう。

(3)紅式部のKyoの株

URL:紅式部のKyoの株

紅式部さんという女性の方が書かれているブログです。

女性の投資家は男性に比べ優待や配当金にフォーカスを当てる方が多く、その点でかなり参考になるブログだと言えるでしょう。

ほぼ毎営業日更新されているので、その日の市況を知るのにも役立つのではないでしょうか。

(4)日米株での配当金生活を目指して

URL:日米株での配当金生活を目指して

日本株・米株両方への投資を行い、配当金での再投資で資産を増やすことを目標とされている方のブログです。

先にも紹介したJT・KDDIについてリンク先の記事では書かれています。

こういったブログを見ることはもちろん勉強になりますが、余裕が出てきたら自分でもこういった記事作成を行ってアウトプットをするのも良い勉強になるでしょう。

まとめ

今回はディフェンシブ銘柄について、その特徴やメリット・デメリットなどを詳しく見てきました。

ここ数年は相場環境が良化しており、こういった銘柄に長期的に注目が集まることは多くないですが、いずれ来るであろう、相場の下落トレンドで役立つ知識であることは間違いないでしょう。

またディフェンシブ銘柄の株価の動きを見てみると、現在の市場の地合いがどういったものなのか、という感覚も身に付きます。

今回の記事の内容が後の投資に役立てば幸いです。