今回は、高い利回りで注目を集めているインフラファンドをご紹介いたします。
高利回りの投資先としては、以前から不動産投資や不動産を証券化したREITなどはよく知られていますが、インフラファンドはそれと同じ、あるいはそれ以上の利回りも見込める期待の商品と言われています。
どんな仕組みで高利回りになるのか?
リターンとリスクも考えながらインフラファンドの魅力に迫りたいと思います。
インフラファンド投資を始める前に、基礎から学んでポイントをおさえておきましょう。
1、インフラファンドとは?
(1)インフラファンドとは?
まず、インフラ(インフラストラクチャー)とは、一般的に電気・ガス・上下水道などのライフラインや学校・病院・道路・鉄道・空港といった公共施設のことを言います。
インフラファンドとは、これらインフラの運営権(*1)に太陽光発電施設など再生可能エネルギー発電設備(*2)を加えた、インフラ資産を投資対象とするファンド(投資信託)です。
(*1)公共施設等運営権民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する公共施設等(道路、鉄道、港湾、空港、上下水道等)の運営権
(*2)太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電、又はバイオマス発電設備
オーストラリアや米国など海外では、様々なインフラ資産を投資対象とした多くのインフラファンドが上場しています。
一方日本では、2014年の法改正によってインフラファンドの組成・上場が可能になりましたが、現在上場しているインフラファンドは4銘柄(2018年1月現在)とまだまだこれから発展が期待される分野となっています。
(2)インフラファンドの仕組みは?
インフラファンドは、投資家から集めた資金でインフラ資産を購入・保有し、そこから生じた収益を分配する仕組みです。
またインフラファンドは、利益の90%以上を投資家に分配することによって実質的
に法人税が非課税となることから、高い分配金が期待できるのが特徴です。
2、インフラファンドとREITは似ている?
インフラファンドとREIT(リート・不動産投資信託)は、投資対象がインフラ資産と不動産という違いはありますが、その仕組み自体は基本的に同じです。
3、インフラファンドの利回りは高い?
ではインフラファンドの利回りはどのような状況なのでしょうか。
2018年1月現在、東証に上場しているインフラファンド4銘柄の予想配当利回りは、以下のようになっており、
4銘柄の平均で約6%(5.92%)となっています。
予想分配金利回りは2018年の予想年間分配金・2018年1月4日始値を元に算出しました。
この6%という利回りは、利回りが高い投資先として人気の高いREITの平均分配金利回りの約4%(4.11%・2018年1月9日時点 参考:不動産投信情報ポータル)や東証1部全銘柄の配当利回りの1%前半(1.37%・2018年1月9日現在 参考:日本経済新聞社)と比べても高い水準にあります。
4、その他インフラファンドに投資するメリットは?
高い利回りがインフラファンドに投資する大きなメリットですが、それ以外にもインフラファンドに投資するメリットはあります。
(1)収益が景気変動の影響を受けにくい
インフラファンドでは、その名の通り投資対象がインフラ資産です。
インフラ資産は、わたしたちの生活において欠かすことのできないものであるため、景気の変動を受けにくいというメリットがあります。
(2)長期的に安定した収益が期待できる
現在日本において上場しているインフラファンドは、すべて「太陽光発電設備」を投資対象としたファンドとなっています。
太陽光発電設備を投資対象とするインフラファンドの主な収益源は、売電収入(太陽光発電設備を賃借するテナントからの賃料)です。
そのため日照時間に影響を受けますが、過去の日照時間のデータから収益の予想がつき、景気変動に左右されず長期的に安定した収益が期待できる珍しい投資商品だと言えます。
不動産を投資対象とするREITでは、投資先である不動産価格やテナントの入居率・テナント料などが景気変動によって変動し、収益へ影響します。
5、インフラファンドに投資するリスクは?
現在日本において上場しているインフラファンドは、すべて「太陽光発電設備」を投資対象としたファンドであるため、インフラファンドの投資リスクは、現状では太陽光発電におけるリスクのみとなっています。
(1)売電価格の下落による収益性低下リスク
太陽光発電設備で発電された電気は、再生可能エネルギー電気の固定価格買取制(FIT)によって、電気事業者(電力会社など)による買取価格(売電価格)が設置から一定期間固定されることになります。
インフラファンドが主に投資対象とするメガソーラーであれば、20年間の買取価格が固定されるため、その間は安定した収益が得られるというメリットがあります。
一方で、平成24年度以降に新設の太陽光発電施設については、買取価格の段階的な引き下げが行われ、平成29年度以降については入札制度(出力2,000kW以上が対象)が導入されています。
(参考:経産省・資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー)
現時点でインフラファンドに組み入れられている太陽光発電設備については、売電価格は当面固定されているため、ファンド収益への影響はありませんが、今後組み入れを行う太陽光発電設備において収益性の低下が懸念されます。
(2)流動性リスク
不動産などに比べ太陽光発電設備は市場規模が小さく、上場しているインフラファンドも4銘柄(2018年1月現在)と少ないため、流動性リスクが懸念されます。
またファンド規模を拡大していくには、投資対象となる市場規模が小さいことはネックとなります。
今後は太陽光発電設備以外のインフラ資産への投資対象の拡大などが期待されるところです。
6、上場しているインフラファンドの特徴
では最後に、現在上場しているインフラファンド4銘柄の特徴などについてご紹介します。
(1)タカラレーベン・インフラ投資法人(9281)
タカラレーベン・インフラ投資法人は、マンションデベロッパーであるタカラレーベン(8897・東証一部)の出資により設立されたファンドで、2015年4月に東証が開設したインフラファンド市場の上場第1号のインフラファンドとなりました。
タカラレーベンは太陽光発電マンションを皮切りに、2013年から本格的に太陽光発電事業に参入しています。
太陽光発電設備を投資対象とし、関東地方を中心に太陽光発電施設20件を保有し、総出力は約54.74MW(2017年12月現在・タカラレーベン・インフラ投資法人ポートフォリオ)となっています。
*2017/11以降は予想分配金
(2)いちごグリーンインフラ投資法人(9282)
いちごグリーンインフラ投資法人は、REITにも出資しているいちご株式会社(2337・東証一部)が設立したインフラファンドです。
いちご株式会社は、いちごECOエナジー株式会社を設立し、2012年に太陽光発電事業へ参入しました。
全国15ヶ所に太陽光発電施設を保有し、総出力は約29.43MW(2017年8月現在・いちごグリーンインフラ投資法人)となっています。
(3)日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9283)
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人は再生可能エネルギーによる発電事業を行うリニューアブル・ジャパン株式会社が設立したインフラファンドです。
運用はアールジェイ・インベストメント株式会社により行われています。
全国に太陽光発電施設を8件保有し、総出力は約21.77MW(2017年7月現在・日本再生可能エネルギーインフラ投資法人)となっています。
リニューアブル・ジャパン株式会社は、現在は太陽光発電所事業のみを行っているのですが、風力やバイオマスといった他の再生可能エネルギー発電への進出も計画しており、将来新たなインフラファンド設立なども期待されます。
*2017/07は実績値
(4)カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は、太陽光発電事業を行うカナディアン・ソーラー・プロジェクト株式会社が設立したインフラファンドです。
カナディアン・ソーラー・プロジェクト株式会社は、太陽光発電事業の世界的大手カナディアン・ソーラー・グループの日本法人であり、上場インフラファンドとしては最初の外資系ファンドです。
九州・関東地方に太陽光発電施設を13件保有し、総出力は約72.7MWとなっています(2017年10月現在・カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人)。
運用はカナディアン・ソーラー・アセットマネジメント株式会社が行っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
インフラファンドはREITと同じような仕組みを持ち、高い利回りの期待できる投資商品です。
現状では、日本国内で上場しているインフラファンドは太陽光発電設備に投資するファンドのみであり、市場規模が限られているため、ファンド自体の大きな成長はあまり期待できないかもしれません。
しかし景気に左右されず安定した高い利回りが得られることは、インフラファンドの最大のメリットであり、分配金による収益をメインとした有望な投資先のひとつであると言えます。
今後、太陽光発電施設以外にもインフラファンドの投資先が拡大していけば、インフラファンドのさらなる成長も十分に期待できます。
この記事をきっかけに、インフラファンドをあなたのポートフォリオに加えることを検討してみてはいかがでしょうか。