近年、日本でもようやく投資を始める人が増えてきました。銀行預金がゼロ金利の状態なのに、老後には2,000万円を自力で準備しなければならなくなったからです。
この記事をご覧になっている方も、「自分も投資をした方が良いのではないか」と思っていることでしょう。しかし、普通に生活していても誰も投資について教えてくれないのでやり方すらわからない人の方が多いのではないでしょうか。
この記事では、まず投資とは何かについて説明し、次に投資のやり方をステップごとに解説していきます。初心者がつまずきやすい投資商品選びの参考となるよう、商品についても紹介します。
投資とは?
投資とは、企業や国などにお金を貸すこととも考えられます。
借り手が利益を上げたら、投資家はその一部を受け取ります。満期が決まっている投資の場合、満期が来たら最初に貸したお金も返してもらうことができます。
注意点として、投資は元本保証ではないことがあります。投資先が破綻したら、最初に貸したお金(元本)は返って来ない可能性があるのです。
このようなリスクはありますが、銀行預金に比べて高い利回りが期待できます。投資するメリットについては後ほど詳しく解説しますが、2020年現在は銀行にお金を預けていてもほぼ増えないため、投資の人気が高まっているのです。
銀行預金との違い
銀行預金は、文字どおり銀行にお金を預けることです。銀行預金は基本的に元本が保証されています。
一方、投資は元本割れする可能性があります。ただ、投資は1パーセントから5パーセントもの利回りを期待することができ、投資するだけでお金を増やせる可能性があるのです。
銀行預金の金利はほぼゼロに近いので、預けておくだけではほとんどお金は増えません。
以上を総合すると、投資はハイリスク・ハイリターン、銀行預金はローリスク・ローリターンと言えます。リスクを取ってでもお金を増やしたい人は、投資を始めた方が良いでしょう。
投資のやり方
投資について理解したところで、具体的な投資の始め方・やり方を見ていきましょう。投資のやり方は、次の5つのステップに分けることができます。
- 証券口座を開設する
- 資金を入金する
- 投資商品を選び購入する
- 分配金を受け取る
- 投資商品を売却する
ステップ1:証券口座を開設する
投資を始めるには、まず専用の口座を開設する必要があります。証券会社のホームページから口座開設を申し込みましょう。
申し込みの際、運転免許証などの本人確認書類と、マイナンバーの提示が求められます。本人確認書類として運転免許証やパスポート、マイナンバーの書類としてマイナンバーカードや通知カードを手元に用意しましょう。
書類の提出方法は、証券会社の指示に従ってください。
最近は写真を撮ってウェブ上にアップロードする形式が増えています。紙でコピーを取って郵送することでも受け付けてもらえるので、自分に合った方法で提出しましょう。
口座の開設が完了すると、証券会社から郵便やメールでそのお知らせが来ます。これで投資をできるようになったので、次のステップに進みましょう。
なお、外貨預金は銀行口座があれば始めることができます。ほとんどの方はすでに銀行口座をお待ちだと思いますので、外貨預金はすぐに始められますよ。
ステップ2:資金を入金する
証券口座が開設できたら、投資をするための資金を入金しましょう。証券会社の口座にログインすると、「入金」といったボタンがあるので、そちらをクリックしてください。
入金方法は、ホームページの指示に従って進めましょう。
最近は、同じグループ会社の証券口座と銀行口座を連携しておくと、普通預金の金利が高くなるサービスが増えています。例えば、SBI証券と住信SBIネット銀行、楽天証券と楽天銀行などです。
もし同じグループ会社に口座を持っているなら、その銀行口座から証券口座に入金することをおすすめします
ステップ3:投資商品を選び、購入する
入金ができたら、いよいよ投資商品を購入します。証券口座からは株式や投資信託、国債などさまざまな商品を買うことができるため、自分に合ったものを選びます。
しかし、膨大な商品の中から自分に合ったものを選ぶのは大変な作業です。投資を始めたばかりの人が、最初につまずくポイントでしょう。
そこで、商品ごとにどんな人におすすめなのか、後ほど詳しく解説していきます。商品選びでつまずいている方は、「初心者におすすめの投資方法」を確認してください。
ステップ4:分配金を受け取る
商品を買うことができたら、そのまま放置しておくか、売却するかの2つの方法で利益を得ることができます。まずは、買ったまま放置しておくことで得られる「分配金」について説明しましょう。
投資商品を買うと、投資先から利益の一部を定期的に還元してもらうことができます。これが「分配金」です(株式では配当金と呼ばれます)。
分配金は銀行預金の利息のようなものですが、1パーセントから5パーセント程度の利回りを期待でき、銀行預金より利回りが高いです。不労所得を得られるため、分配金がもらえるかどうかは商品選びでも重要なポイントです。
注意していただきたいことは、すべての商品で分配金が発生するわけではない点です。
投資信託の場合、分配金あり・なしが商品によって決まっています。株式でも、配当金がない銘柄もあります。
ですが、分配金がない商品が損というわけではありません。投資家に還元しない代わりに再投資または事業への投資を行うため、商品の値上がりに寄与することが多いのです。
将来的な資産の値上がりを目標とするなら、分配金なしの商品もおすすめです。
ステップ5:投資商品を売却する
一度買った投資商品は、いつか売却して手放すことになると考えておきましょう。売却するタイミングは決まっておらず、数年後でも数十年後でも構いません。
売却するタイミングは、目標の資産額に到達したときや、著しく値上がりしたから値下がりする前に売却したいときなどです。臨機応変な対応が求められるので、最適な売却タイミングを考えるのは投資を始めて慣れてきてからでも良いでしょう。
投資のメリット
投資のやり方についてご理解いただいたところで、そもそもどうして投資をするべきなのかお伝えしていきましょう。投資をするメリットを3つ解説していきますね。
- 銀行預金より利回りが高い
- 複利効果で資産を増やせる
- 不労所得が得られる
メリット1:銀行預金より利回りが高い
銀行預金よりも高い利回りが期待できることが投資メリットの一つです。最近は、定期預金ですら最高でも0.02パーセントほどの低い金利となっていますが、投資なら1パーセントから5パーセントの利回りを狙うことができます。
この金利差はどれほど大きいのでしょうか?100万円を銀行預金した場合を計算してみると、1年後には100万2,000円にしかなりません。しかし、投資をしていれば101万円から105万円に増やせると見込めるのです。
メリット2:複利効果で資産を増やせる
高い利回りを生かして複利効果で資産を雪だるま式に増やせることも投資のメリットです。複利効果とは、投資で得られた収益をまた投資に回すことで、元本を増やして収益をどんどん生み出すことです。
利回りが5パーセントだった場合を想定して、複利効果について解説していきましょう。
まず、元本が100万円だったと仮定すると、1年後には5パーセント増えて105万円になります。得られた5万円を投資に回すと、2年目は105万円を投資できるので、5パーセントの利益が出ると110万2,500円になります。
このように、増えた分をまた投資に回して……と繰り返していきます。
複利を利用して5年運用すれば、約130万円になります。10年なら約160万円、20年なら約270万円になり、元本の2倍を超えます。
一方で、銀行預金だと利回りはほぼ0パーセントなので、20年預けても100万円はほとんど増えません。高利回りを活かしてお金を増やせることは、投資のメリットなのです。
メリット3:不労所得が得られる
不労所得を得られることも投資のメリットです。投資方法によっては分配金や配当金をもらえるため、生活費を補うことができます。
ただし、投資で得られた不労所得を使ってしまうと、2つめのメリットで解説した複利効果の恩恵を受けることはできません。資産を増やすなら利益は再投資した方が良いでしょう。
不労所得で生計を立てたいなら、複利効果は諦めるしかないかもしれません。
投資のデメリット
一方で、投資にももちろんデメリットがあります。次に説明する3つのデメリットを理解した上で、投資を始めるようにしてください。
- 元本割れのリスクがある
- 商品の売買に手数料がかかる
- すぐに換金できない
デメリット1:元本割れのリスクがある
元本割れのリスクがあることは投資のデメリットです。
例えば、100万円で投資を始めても、運用に失敗して80万円などに下がってしまうといったケースは珍しくありません。リスクを取って運用し、成功したらお金を増やせる、というのが投資なのです。
一方、銀行預金なら元本が保証されています。元本割れが怖い場合は、銀行預金をおすすめします。
デメリット2:商品の売買に手数料がかかる
商品の売買に手数料がかかることも投資のデメリットです。銀行預金なら基本的に手数料は無料ですが、投資の場合は手数料がかかり、その分は損となります。
とはいえ、あまり頻繁に売買しなければ、投資で支払う手数料は少なくなります。できるだけ長期的な運用を心がけ、支払うコストを削減しましょう。
デメリット3:すぐに換金できない
すぐに換金できないことも投資のデメリットとして挙げられます。
株式投資の場合、売却してから3営業日程度で現金として引き出せるようになります。投資信託の場合は、最低でも3営業日以上必要で、商品によっては換金に5営業日から7営業日ほどかかることもあります。
いつでも引き出せる銀行預金とは違うことを理解しておきましょう。即時に引き出すことができないため、生活費などを投資に使うことは控えた方が良いでしょう。
初心者におすすめの投資方法
投資のメリット・デメリットについてご理解いただいたところで、具体的な投資の方法について解説していきましょう。初心者にもおすすめの方法を7つ紹介するので、それぞれの利回りやどんな人におすすめなのかお読みいただき、ご自身に向いている投資方法を見つけてください。
方法1:国債
国債とは国が発行している債券です。国債に投資することで投資家は国にお金を貸し、見返りとして利息を受け取ることができます。
満期が来れば、貸したお金である元本が戻ってくる、期限つきの投資です。
国債のメリットは、低リスクで運用できることです。債券を発行しているのが国なので、破綻するリスクは低いと考えられるからです。
一方で、利回りが低いというデメリットもあります。国債の平均的な利回りは、1パーセント弱なので、銀行預金よりは高いですが「お金をガンガン増やしたい」と考える方には物足りないでしょう。
国債はリスクが低いので、元本割れが怖い初心者の方におすすめです。
方法2:外貨預金
外貨預金とは、米ドル、ユーロ、豪ドルなどで預金をすることです。日本は低金利ですが、外貨預金なら高金利なことも多いのです。
外貨預金のメリットは、預金の海外版のためわかりやすいことです。
一方、デメリットとしては為替リスクが挙げられます。預入時よりも円高になると、元本割れしてしまう可能性があります。
外貨預金は、銀行口座があれば始められます。初心者の方で、証券口座を解説するのが煩わしいと感じるなら、外貨預金から始めてみてはいかがでしょうか?
なお、金利は次の数値程度だと考えてください。
- 米ドル:1%~2%
- ユーロ:0.02%前後
- 豪ドル:1%前後
方法3:投資信託
投資信託は、投資家から集めたお金をまとめ、投資のプロが株式や債券などで運用する商品です。具体的な銘柄選びなど、難しいことは投資のプロに任せることができます。
投資信託のメリットは、プロに運用を任せられるため、投資の知識がない初心者でも失敗しにくいことです。デメリットは、プロに任せるため手数料がかかり、利回りが低くなってしまうことです。
投資信託は100円から始められるので、投資できる資金が少ない人にもおすすめの投資方法です。なお、投資信託の利回りは1パーセントから3パーセントほどです。
方法4:ETF(上場投資信託)
ETF(イーティーエフ)は「上場投資信託」のことで、投資信託の一種です。投資信託と同様、投資家から集めたお金をまとめ、投資のプロが株式や債券などで運用する商品です。
ETFのメリットは、投資信託よりも利回りが高いことです。投資信託よりも手数料が抑えられているため、利回りが高いのです。
デメリットは、証券取引所に注文を出さなければ買えないことです。
注文方法が投資信託よりも難しいため、投資に慣れてきたらチャレンジしてみてはいかがでしょうか?なお、ETFの利回りは3パーセントから5パーセントほどです。
方法5:REIT(不動産投資信託)
REIT(リート)は「不動産投資信託」のことで、投資信託の仲間です。不動産投資専門のETFとイメージしていただくと良いでしょう。
REITのメリットは、分配金利回りが高いことです。分配金利回りが4パーセントから6パーセントほどなので、少ない投資額でも大きな不労所得を狙えます。
一方でデメリットは、値上がり益が小さいことです。分配金は高いのですが、値上がりはあまり期待できない商品なのです。
REITがおすすめなのは、不労所得で生計を立てることを目標に投資を始める人です。なお、REITの利回りは4パーセントから6パーセントほどを目安にしてください。
方法6:株式投資
株式投資は、投資家が株式を買うことでお金を企業に出資する投資です。企業はそのお金で事業を行って利益を出し、投資家に「配当」という形で利益の一部を還元します。
株式投資のメリットは、配当金のほかに「株主優待」をもらえることです。一部の企業では株主優待の制度を導入しており、企業の自社製品や割引券などをもらえます。
一方で、デメリットは将来性のある企業の見極めが難しいことです。
株式投資がおすすめなのは、企業の財務諸表やIR情報を読んである程度理解ができる人です。優待の内容などに惑わされず投資するべき銘柄かどうか判断できるスキルがあると、株式投資で失敗しにくいでしょう。
なお、株式投資の利回りは、3パーセントから5パーセントほどです。
方法7:ロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、毎月決まった金額を自動で多様な商品に投資してくれるサービスです。簡単なアンケートに基づいてリスク許容度を診断し、自分に合った投資先に自動で投資してくれるのです。
ロボアドバイザーのメリットは、投資を放置しておいても良いことです。一方のデメリットとしては、投資をロボアドバイザーに任せるため手数料がかかることです。そのため、利回りは少し低めになっています。
ロボアドバイザーは積立投資を自動で行ってくれるので、忙しいサラリーマンなどにおすすめです。なお、ロボアドバイザーの利回りは、投資する商品によりますが、3パーセントから5パーセントほどです。
まとめ
投資のやり方や投資商品について解説してきました。
初心者の方は、投資に対して難しそうな先入観を持っており、不安を感じているかもしれません。ですが、始めてみれば意外と簡単なもので、筆者はストレスなく運用できています。
この記事をお役立ていただき、投資を始めていただければと思います。定期的に分配金が振り込まれているのを見ると「投資を始めて良かった」という気持ちになりますよ。