軍資金2000万円を株式投資で安定的に増やす投資法

一生懸命貯蓄に励んで2000 万円の軍資金を作ることができました。

さあこれから資産運用を始めよう!と意気込んでいらっしゃることでしょう。

貯蓄した資産を減らしてしまうのではないか、リスクへの不安の一方で、個人投資家の中にも「億り人」と呼ばれる投資によって1億円以上の資産を築いた人もいるという事実に、ワクワクする気持ちもお持ちでしょう。

株式投資で、必ず資産を増やせるのであればなんの問題もありませんが、投資にはリスクがつきものです。

資産を減らしてしまうこともあるのは事実です。

「億り人」の中には100万円程度から投資を始めたという人も少なくはありません。

自分にあった投資スタイルを確立し、それを継続することによって、まとまった資金がなくても大きな資産を築くことはできるのです。

もちろん投資を始めても、すぐにうまくいく保証はありません。

しかし信用取引やFXなど元手以上の資金を動かす方法を除けば、仮に100万円投資した場合、どれだけ失敗しても最大100万円の損失です。

軍資金100万円であればチャンスは1回しかなく、そこから億り人となった人もいることを考えると、2000万円の資金はぐんとチャンスが広がります。

まずは失敗しないようにしっかりと準備をして投資し、仮に失敗したとしても、失敗から学び同じ失敗を繰り返さないことがポイントとなります。

さまざまな投資方法がある中で、2000万円を株式取引で運用する方法とリスクを最小限におさえる方法をご紹介します。

株式投資で成功を手にするためのお手伝いができれば幸いです。

目次

1、軍資金が2000万円あるなら株式投資を勧める理由

ではなぜ株式投資なのか、その理由をいくつか挙げてみます。

(1)分散投資しやすい

株式以外にも投資対象にはさまざまなものがあり、不動産もそのひとつです。

軍資金が2000万円あれば、借入をすればワンルームマンションやアパート1棟を買うこともできるでしょう。

しかし2000万円では保有できる物件の規模や数には限界があります。

少数の対象に集中投資することになります。

もし物件を1つしか保有しておらず、その物件周辺の地価や家賃相場が下落すれば、それが資産全体の価値や運用成果に大きく影響してしまいます。

一方の株式投資では、軍資金が2000万円あれば多くの銘柄に分散投資することができます。

また全額を一気に投資する必要はなく、一定の金額は現金として持っておくこともできます。

残しておいた資金によって、時期を分散して株式を買い増ししたり、有望な銘柄が現れた場合にはすぐに投資することができます。

さらに相場環境が荒れているときには投資資金を一旦引き上げて現金化し、相場が落ち着くまで様子をみることも容易に行うことができます。

分散投資は投資リスクを軽減するために有効な方法であり、2000万円を安定的に運用する方法として、株式投資はおすすめだと言えます。

(2)経済全体への関心が高まる

株式投資を行う上でどの銘柄に投資するのか、銘柄選択がとても重要です。

そのためには、まず経済全体の仕組みを理解し、業績や財務状態といった会社の数字を読むことができるようになるなど、基本となることを学ぶ必要があります。

さらに基本をおさえた上で、日々変化する経済や企業の動向などに常にアンテナを張り、情報を常に最新の状態に更新し続けていなければなりません。

株を持っていない人にとって、北朝鮮のミサイルやアメリカの大統領選の動向、日経平均株価が上がったかどうかは、日々の生活に直接あまり関係のないことです。

しかし株を持っている人にとっては、保有する資産の増減に直結する重要な問題となります。

そのため株式投資することによって、経済全体への関心が高まり、より真剣に向き合うようになります。

経済の仕組みや状況がどうなっているのかよく知らないまま生活していると、国の年金制度や経済政策が変わったときなどに対応することができず、生活に困ることにもなりかねません。

資産を増やすことだけでなく、常に経済全体に関心を持つ習慣を身につけられる株式投資はおすすめです。

2、株式投資のメリットとデメリット

では株式投資を行うことでどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

(1)メリット

①売却益(キャピタルゲイン)を期待できる

株式投資の大きな目的が、売買によって利益(売却益)を得ることです。

上場企業の株式は市場で取引されており、買い手と売り手の需給状況に応じた株価で売買が行われています。

取得したときの株価よりも値上がりしたタイミングで株式を売却すれば、売却益を得ることができます。

市場で注目されていなかった企業がその実力を評価され、大企業による買収や業務提携が発表されたことによって、株価が急騰することもよく起こります。

そのような銘柄に対し事前に目をつけて投資していれば、まるで自分が評価されたような気分にもなります。

利益だけでなく、そういった楽しみがあるのも株式投資のメリットであり醍醐味だと言えます。

②配当金(インカムゲイン)・株主優待がもらえる

株式は保有しているだけで、保有株数に応じた配当金や株主優待をもらえるメリットがあります。

株式はその会社の所有権を細分化したもので、株主はその会社の持ち主(オーナー)です。

そのため会社が稼いだ利益は株主のものとなるため、その利益を株主に分配するのが配当です。

保有する株数はその会社の保有割合(持分)に比例するため、1株あたり◯円というように、株数に比例して配当金が支払われます。

また人気を集めている株主優待は、株式をより多くの(個人)株主に長期保有してもらうことを目的に、多くの企業で実施されています。

「優待株」はこのような優待目的で長期保有する個人投資家に支えられ、相場環境が悪いときにも株価が下がりにくいという傾向があります。

売買のタイミングを見極め利益(キャピタルゲイン)を狙う”狩猟的”な方法だけでなく、値動きに一喜一憂しすぎることなく配当金(インカムゲイン)や優待を待つ”農耕的”な投資方法もあるのも株式投資のメリットです。

③企業の経営や経済全体への関心が高まる

前述のように、株価に影響する経済全体への関心が高まるメリットがあります。

また株主には保有する株数に応じて、会社の最高意思決定機関である株主総会における議決権が与えられ、企業の経営(意思決定)に参加することができます。

個人で購入できる程度の株数では、会社の意思決定を変えるのはなかなか難しいと言えますが、株主総会に出席し直接経営陣に質問できるのは大きなメリットです。

その際の経営陣の回答なども、その銘柄の魅力や保有し続けるのか判断する上での貴重な材料となります。

(2)デメリット

①株式が紙切れになることもある

株式はその企業の価値を細分化したものであり、企業が倒産すれば価値は0になってしまいます。

完全に会社がなくなってしまわない場合でも、経営債権のため100%減資という形で株式の価値を0とし株主に負担を求める経営判断がなされる場合もあります。

日本航空など、かつては潰れないと言われていた企業の株式でさえ紙切れとなることもあり、絶対に安全な銘柄はありません。

1つの銘柄に投資資金のすべてを投資するのではなく、複数の銘柄に分散して投資することがリスク軽減に有効です。

②多くの銘柄の中から投資する銘柄を自分で選ぶ必要がある

東証だけでも3000以上の銘柄があり、その中から銘柄を分析し、投資する銘柄を自分で選ぶ必要があります。

すべての銘柄を常に把握しておくことは難しく、多くの銘柄に埋れてしまって投資チャンスを逃してしまうこともあります。

一方で銘柄が多ければ、それだけ投資チャンスが多いことでもあります。

実力がありながら多くの銘柄に埋れて株価が冴えない銘柄にいち早く目をつけ投資できれば、大きな利益も期待できます。

③希望の価格で売買が成立しない場合がある

上場株式の価格は買い手と売り手の需給状況に応じて決まり、買い手と売り手がいて初めて売買が成立します。

そのため不祥事などでその企業の評価が大きく低下した場合などには、その会社の株を買いたいと思う人が少ない上に株を売りたい人が殺到するため、売買が成立しない可能性が高くなります。

そうなれば株を売りたくても売れないことが起こります。

逆に、新製品の発売などで急に人気が高まり、買いたくても買えないという状況も起こります。

3、ポートフォリオの組み方

投資を行う上ではその投資(運用)目的に応じて、またリスクを軽減するために、投資資金をどのような割合で各金融商品(株式・債権・不動産・預貯金・金など)または銘柄に割り当てるかを、あらかじめ設定しておきます。

これがポートフォリオです。

(1)リスクを軽減するためのポートフォリオ

各金融商品、例えば株式であれば、どの業種(セクター)の銘柄なのか、景気に株価が影響されやすい景気敏感株なのか、逆に景気に左右されにくいディフェンシブ株なのかといった基準でより細かくポートフォリオを設定します。

リスク軽減を目的とするポートフォリオで重要なのが、複数の金融商品・銘柄を組み合わせる際に、なるべく反対の値動きをするものを組み合わせることです。

①リスク軽減のための金融商品(アセットクラス)ポートフォリオの例

債権 + 株式

債券価格と株価は一般的に逆相関の関係にあるとされ、株価が上がれば債券価格は下がり、株価が下がれば債券価格は上がる傾向にあります。

②リスク軽減のための銘柄ポートフォリオの例

景気敏感株 + ディフェンシブ株

景気が悪化した場合、景気敏感株は大きく下落しやすい一方、ディフェンシブ株の下落は小幅にとどまります。

このようにポートフォリオを組むことで、ポートフォリオ全体のリスク(価格変動幅)が軽減されます。

軽減されるのは損失ではなくリスク(価格変動幅)です。

そのため、期待できる利益の額も抑えられることになります。

(2)投資(運用)目的によるポートフォリオ

どのような目的で投資(運用)するのかによって、どの金融商品を選ぶかがある程度決まってきます。

①すぐに必要となる可能性のある資金(病気など急な出費に備えるためのお金)

生活費のようにすぐに必要となるわけではないものの、病気など急な出費に備えておくお金になります。

お金が必要となれば、すぐに現金化できるように流動性や安全性の高い金融商品で運用します。

定期預金や短期債券のようなローリスクローリターンの商品が向いています。

②5〜10年程度先に必要となる資金(教育資金・マイホーム頭金など)

元本が大きく減ってしまう可能性がある金融商品は避け、必要となる時期にきちんと現金化できることを重視します。

人向け国債や学資保険など保険商品のほか、一部の投資信託商品などが向いています。

③数十年先に必要となる資金(老後資金など)

10年以上運用ができるのであれば、短期的な価格変動リスクが大きくても、長期的に高いリターンが見込めるのであれば株式投資や投資信託などで積極的に運用するのが良いでしょう。

④今後使う予定のない資金

現金として保有していても今後使う予定の資金については、価格変動リスクの大きい株式や流動性の低い不動産などへ投資しても良いでしょう。

4、購入する銘柄選びのポイント

実際に購入する銘柄を選ぶための分析方法としては、ファンダメンタル分析とテクニカル(チャート)分析があります。

(1)ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズ分析は、経済全体に状況や企業の業績・財務状況などのデータを分析し、その銘柄の将来の株価を予想するものです。

業績予想や保有資産が効率的に活用されているかなど、企業の現状と将来性・成長性を重点的に分析します。

ファンダメンタルズ分析では、次のようなデータを用いて銘柄分析を行います。

①決算書(財務諸表)

銘柄分析における最も重要なデータが、事業年度ごとに公表される決算書です。

決算書は貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つから構成される、企業の業績や財務状況に関する報告書です。

いわば企業の成績表・健康診断票とも言えるもので、企業の業績や財務状況を客観的に分析する上での重要な要素が満載されています。

貸借対照表
(B/S)
企業の資産・負債・純資産(資本)の金額が記載されており、企業の財務状況を把握することができます。
また、資産額が負債額と純資産額の合計額と等しくなる(バランスする)関係にあるため、バランスシート(B/S ビーエス)とも言われます。
損益計算書
(P/L)
企業の収益と費用の数字を示したものでどのくらいの儲けが出ているのか、企業業績を把握することができます。P/L(ピーエル)とも言われます。
キャッシュフロー計算書
(C/F)
企業の会計期間中のキャッシュ(現金・現金同等物)の増減を示したもので、営業活動・投資活動・財務活動の3つに区分されており、企業がどのように現金を得て、どのように現金を使ったのかを把握するのに役立ちます。

損益計算書には会社の利益の種類がいくつかあります。

ここでは会社の数字を読むために必要な収入項目について簡単に解説しておきます。

売上高企業が商品やサービスを提供することによって得た売上金の総額です。
営業利益売上高から仕入費用や、販売管理費、人件費、広告宣伝費などの必要コスト(原価)を差し引いた、本業の儲けを表す金額です。
売上高に対する営業利益の割合(営業利益率)が同業他社と比べ大きければ、効率の良い営業が行えていると言えます。
経常利益営業利益から財務活動など営業以外での損益を加えた金額です。
純利益経常利益から特別利益・特別損失、法人税を引いた企業の最終的な儲け(利益)を指します。利益といえば純利益を指すことが一般的です。

決算書の数字の数字(予想値を含む)からは、各種株価の割安性を判断するため指標が計算できます。

②株価収益率(PER) 【=株価/1株あたり当期純利益】

株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、株価が1株あたり当期純利益の何倍なのかを示す指標で、収益性の高さから株価の割安度を判断します。

一般的にPERは低いほど割安とされますが、同業種・同規模の企業と比較して判断することがポイントとなります。

③株価純資産倍率(PBR) 【=株価/1株あたり純資産】

株価純資産倍率(PBR:Price Book-Value Ratio)は、株価が1株あたり純資産額の何倍なのかを示す指標です。

1株あたり純資産とは会社が解散した場合に株主には払い戻される対価に相当し、これが1倍を下回っていれば、理論上株を買い占めて会社を解散すれば利益が出る計算となります。

そのため一般的にPBRが1倍を下回っていれば株価は割安とされます。

④自己資本利益率(ROE:Return on Equity)【=当期純利益/自己資本】

自己資本利益率(ROE:Return on Equity)は、株主から集めた資金(自己資本)を使って、どれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標で、ROEが高いほど良いとされます。

ただし特別利益が出た場合など一時的に数値が高くなることもあり、特別利益などの影響ではないか、P/Lやこれまでの推移などから確認が必要です。

⑤総資産利益率(ROA)【=当期純利益/総資産額】

総資産利益率(ROA:Return on Asset)は、負債も含めた会社の保有する資産(総資産)使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標で、ROAが高いほど効率的な経営が行われているとされます。

ただし特別利益が出た場合など一時的に数値が高くなることもあり、特別利益などの影響ではないか、P/Lやこれまでの推移などから確認が必要です。

⑥配当利回り【=1株あたり年間配当金額/株価】

株価に対する配当の割合であり、配当の高さを判断する指標です。

⑦時価総額 【=株価×発行済株式総数】

時価総額は企業の価値(時価)の総額=規模を示す指標です。

一般的に時価総額の小さい銘柄は、少しの資金でも株価が動きやすく急騰・急落が起こりやすい傾向があります。

(2)テクニカル分析(チャート分析)

テクニカル分析(チャート分析)とは、過去の株価の推移(チャート)をもとに将来の株価を予測する分析方法です。

① ローソク足チャート

日本で最も一般的なチャートがローソク足チャートです。

ローソク足とは、1つの棒のような図形で一定期間の始値、高値、安値、終値の4つの価格を示したものです。

このローソク足を時系列順に並べていくことでローソク足チャートができあがります。

始値と終値の間は四角で表示し、この四角い部分を「実体」と言います。

【始値<終値】であれば「陽線」、【終値<始値】であれば「陰線」となります。

高値と実体、安値と実体の間は垂直線で結び、この線を「ひげ」と言います。

このローソク足の形状から売買のタイミングを判断するのが、ローソク足を用いたテクニカル分析の方法です。

【買いのタイミングに現れるローソク足形状の例】

【売りのタイミングに現れるロウソク足形状の例】

【トレンド転換点に現れるローソク足形状の例】

②移動平均線

テクニカル分析で、最も一般的に用いられるのが「移動平均線」です。

移動平均線とは、過去の一定期間の株価の終値の平均値を結んでできるグラフのことで、過去5日間の平均を使った場合には、5日移動平均線という具合になります。

移動平均線は株価のトレンド判断に用いることができ、移動平均線が上向いていれば上昇トレンド、下向きであれば下落トレンドとなります。

また期間の違う移動平均線の組み合わせを投資タイミングの判断材料とすることもあり、「ゴールデンクロス」「デッドクロス」などが有名です。

【ゴールデンクロス:短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜ける】

【デッドクロス:短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜ける】

③ダブルボトム

株価が下落後、底を打って一旦反転したものの失速し、再び底値付近まで下落後、再度反転した場合に形成されるチャート形状を「ダブルボトム」または「二番底」と言います。

底割れしなかったことで下落トレンドが終わったと考える投資家が多く、上昇トレンドに転換するサインとされています。

二番底から反転し、株価が中央の高値上回ったところが買いのタイミングの目安です。

逆に株価が2回天井をつける「ダブルトップ」(または「二番天井」)は、上昇トレンドから下落トレンドへの転換サインとされます。

底または天井が三回現れる「トリプルボトム」「トリプルトップ」は、3回反転したことからより強い転換のサインとなります。

このローソク足を用いた分析法は、「トレンド系」と呼ばれる分析法のひとつです。

トレンド系の分析手法は、主に相場の方向性の予測に用いられる手法で、このほかにも「一目均衡表」や、「パラボリック」、「エリオット波動」などがあります。

④オシレータ系

「トレンド系」に対し、買われ過ぎ、売られ過ぎといった相場の活況を分析する手法が「オシレータ系」と呼ばれる分析手法です。

オシレータ系の分析手法は、主に短期売買における投資判断に用いられ、RSIなどが代表的です。

RSI(Relative Strength Index・相対力指数)

株価が上昇または下落する力の強さを測る指標といえ、株価の売られすぎ・買われすぎを示し、逆張りの売買シグナルとしてよく用いられます

RSIは、前日終値に比べていくら上昇(下落)したかをもとに計算され、その値は50を中心として、0から100までの範囲で動きます。

一定期間の終値がすべて「前日比上昇」ならRSIは「100」、すべて「前日比下落」ならRSIは「0」となります。

RSIの値が0に近づいてくれば売られ過ぎている可能性が高くなり反転のサイン、100に近づいてくれば買われ過ぎている可能性が高くなり、反落のサインとみることができます。

ただし強い上昇トレンドで株価が下がってもすぐに前日比上昇を続けるような状況では、RSIは100に近い水準に張り付いたようになります。

逆に、株価が下がり続けるような状況では、RSIはゼロに近い水準に張り付いたようになります。

このように強いトレンド相場においては、RSIが100または0に近づいていても、トレンドが継続する限り株価の反落、反転が起こりにくく、逆張りによって損失が拡大するリスクが高くなります。

そのため、トレンド系の指標からトレンドの転換が見られない段階では、いくらRSIでサインがでていても逆張りは見送る方が無難です。

5、投資資金2000万円の運用を始める前の心構え

続いては投資家が陥りやすい失敗をご紹介します。

意識していないと陥りやすい失敗なので、実際に運用においては常に心に留め、同じような失敗をしないようにしましょう。

(1)十分な分散投資の効果が出ない

個人投資家は投資資金の制約があり、十分なリスク軽減効果が得られるほど多くの銘柄に対して分散投資することが難しい傾向があります。

特定の銘柄ばかりに資金を集中していると、何かのきっかけでその銘柄の株価が急落してしまうと、資産全体に深刻なダメージとなるリスクが高まります。

できる限り銘柄の分散を心がけ、売買の都度、保有銘柄に集中や偏りが生じていないか、ポートフォリオが適正なバランスに保たれているかをチェックするようにしましょう。

(2)投資ウエイトのコントロール

また銘柄数自体は分散されているようでも、特定の銘柄に投資ウエイトが偏っている場合には、実質的な分散効果が小さくなってしまいます。

投資資金が限られる中で、値がさ株に投資することは、それだけで投資ウエイトが偏りやすくなります。

分散投資の効果を出すためにも、銘柄数だけでなく、投資ウエイトについてもバランスよく分散がなされているかも売買の都度チェックするようにしましょう。

(3)業種の偏りに注意する

また銘柄数や銘柄ごとの投資ウエイトはバランスがと取れていても、それがすべて商社株、自動車株など特定の業種に偏っていると、分散効果は低くなります。

それは同じ業種の銘柄は、外部要因によって同じ方向に動きやすく、相場環境が悪化した際の損失が拡大しやすくなるためです。

利益が出ている銘柄を残し、損失が出ている銘柄は損切りしていくのは有効な投資法だと言えます。

しかし、その結果として保有銘柄の業種に偏りが生じることもあります。

これはそのときの相場トレンドにおいて上がりやすい業種の銘柄が残りやすくなるためです。

たとえ同じ業種でなくとも、同じような値動きをする傾向があるものもあります。

売買後には偏りが大きくなっていないかをチェックすることが大切です。

(4)投資対象を広げて考える

投資するときに自分の馴染みのある銘柄にしか目を向けないことは、チャンスを自ら閉ざしてしまっているようなものです。

リスク分散の面でも好ましくありません。

特定銘柄の値動きを徹底的に極め、その銘柄専門でトレードする投資家もいます。

資金力があれば、値動きのくせを利用して、少しの値幅でそれなりの利益をあげることも可能ではあります。

しかしその銘柄になにか起こったときのリスクは大きくなり、成長を狙って大きな利益を狙える可能性も限られてくると言えます。

全く知らないような銘柄によく分析もせず投資するのは問題ですが、様々な銘柄に投資対象を広げ、幅広い視野を持って投資することが大切です。

(5)売りすぎてポートフォリオが安定しない

明確な売りの根拠がある場合には、利益確保や損失限定のため「全売却」という選択でも問題ありません。

ただ買いの根拠とした要因が失われているわけではないのであれば、一時的な調整である可能性もあります。

そのためリスクを下げるために損切りを行うにしても、まずは一部の売却に留めておくことが良いケースもあります。

保有する銘柄を全売却することは、ポートフォリオのバランスを大きく変え、ポートフォリオが安定しない原因ともなります。

投資資金が少なければ1単元しか保有していない場合もあるので、やむを得ない場合もありますが、このことを心に留めておくようにしましょう。

(6)過去の株価の動きを気にしすぎる

歴史は繰り返すように、株価は過去と同じような動きをすることがあります。

それは時代や環境が変わっても、株価は投資家の心理を反映して動くためです。

またチャート形状から株価の動きを予測するテクニカル分析は、過去の株価の動きを判断材料とする最たるものです。

しかし基本的に過去の株価の動きだけで、将来の株価を予測することはできないと考えるのが無難です。

もし過去の動きで将来の株価が予測できるなら、株価はそれを織り込みに行くはずで、結果的に予測は外れることになるからです。

テクニカル分析を用いる場合にも、判断の1要素として、他の要素とあわせて判断することが大切です。

(7)自分の買値にこだわる

株価の値動きを見る場合、どの期間について、何を基準に見るかによって、評価は変わってきます。

投資家が陥りやすいのは、自分が買った銘柄の評価を、自分が買ってからの期間について、自分の買値を基準に判断してしまうということです。

株価が買値より値下がりすれば、その銘柄は「ダメ」な銘柄だと決めつけてしまうことがあるのです。

ある銘柄の業績やニュースに対する株価の反応などを評価するには、自分が買ってからではなく、もう少し長い期間を見る必要もあります。

また自分の買値は、将来の株価の動きにとって何ら影響しません。

買値までは売れないのは、自分の買値に投資判断が影響されてしまっている状態です。

自分の買値に投資判断が影響されることは、自分中心に相場が動いていると勘違いをし、うぬぼれている可能性が高いでしょう。

この勘違い、うぬぼれは大きな失敗のもととなるため、すぐに改め、相場の動きに対して自分は無力だということを認識することが大切です。

6、リスク別銘柄の選び方

株式投資においても、どのようなタイプの銘柄にどのようなスタイルで投資するのかによって、リスクの大きさも変わってきます。

それぞれリスク別に、どのようなタイプの銘柄・スタイルが該当するのかをみていくことにしましょう。

(1)ローリスク

長期投資短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、成長性や企業価値などに比べ株価が割安だと判断できる銘柄に投資し、本来の株価に戻るまで長期的に保有する投資スタイル。
高配当株株価の値上がりを狙うのではなく、長期投資により配当金(インカムゲイン)受け取りをメインとした運用を行う。
少額投資1つの銘柄に投資する金額を資産全体の5%程度までに抑えることによって、多少リスクの高い銘柄でも資産全体に対する相対的なリスクを下げる方法。

(2)ミドルリスク

優待株人気の優待株は、優待目的で長期保有する個人投資家が多いため、相場環境が悪いときにも、株価が下がりにくい傾向がある。
優待獲得の権利落ち後には株価が下落しやすくなるため注意も必要ですが、この株価パターンを利用して利益を狙う方法もあり。
もちろん株主優待を目的に長期投資するのもあり。
値動きの
良い小型株
急成長中の新興銘柄などは投資家の関心も高く、時価総額の小さな小型株は株価が動きやすく短期間に比較的大きなリターンを狙うことができる。

(3)ハイリスク

仕手株仕手筋と呼ばれる特定の投資家によって意図的に資金が流入し、株価の吊り上げ・吊り下げの対象となる銘柄。
株価の吊り上げにあった場合、うまく逃げられれば利益が出ることもある一方、高値掴みとなって含み損を抱えるケースが多い。
出来高が突如急増した銘柄や、発行済株式数の少ない銘柄、時価総額の小さい銘柄などは、仕手筋に狙われやすくリスクが高い。
IPO銘柄
(後追い)
IPO銘柄(新規公開銘柄)の新規上場日には公開価格の何倍もの初値をつけたり、ストップ高で値段がつかないこともあり、非常に人気を集めることも多く、当選してIPO銘柄を購入できれば、大きな利益を得るチャンス。
ただし公開直後のIPO銘柄は株価が乱高下しやすく、後追いで便乗しようとして株価が急落することもありリスクが高い。

7、どの銘柄を買うかより勝てるタイミングを計ることも大切

いくら良い銘柄であっても、買うタイミングを間違ってしまえば、利益をあげるどころか損失を出してしまうこともあります。

例えば、ニュースなどで注目を集めている企業の株が良さそうだと思い、話題に乗り遅れまいと買ったとします。

このような銘柄は、すでに同じように考えた投資家によって買われており、株価が上がりきっている可能性が高くなります。

その後も新たなニュースが続き、株価がさらに上昇することもありますが、単発で終わった場合には、株価が下がるリスクの高まった株を高値で買ってしまったことになります。

期待で買われた銘柄の株価は、期待が大きいほどオーバーシュートしやすく、期待が冷めてきたときの下げもキツくなります。

そのようなリスクを避けるためにも、買いたいと思う銘柄があっても、すぐ飛びついてしまわないようにすることが大切です。

株価は割高ではないか、相場全体の状況はどうなのかを考え、勝てるタイミングであるなら投資をしましょう。

今が勝てるタイミングでないならば、そのタイミングが来るまで待つ選択も大切です。

8、損切りが最大の武器

株式投資で成功するためには、常に勝ち続ける必要はありません。

勝てるトレードでは利益を伸ばし、負けたトレードでは損失をなるべく小さく抑えることが株式投資で成功するためのポイントです。

買ったものの予想に反して株価が下落してしまった場合、含み損を抱えることになります。

含み損を抱えた人間の心理として、また株価が戻るだろうと期待し、損失を認めたがらない傾向が強く現れます。

そのときに売却し損失を確定(損切り)しておけば、それ以上損失が拡大することはなくなり、売却代金でまた新たな株に投資することができます。

損切りをした後に株価が反転し、やっぱり売らなきゃよかったと後悔することもありますが、それと同じ(むしろそれ以上の)確率で、あのとき売っておけばよかったと後悔することになるのです。

これを防ぐためには「損切り」が大切になるのですが、わかってはいても人間の心理がこれを邪魔します。

ここでのポイントは、どこまで下がれば損切りをするのかをルールとして定め、感情を挟まずルールに従って機械的に損切りを実行することです。

株を買う時点で、これ以上下がれば損切りするラインに逆指値売り注文を入れておくのも有効です。

9、成功を目指す個人投資家のブログ

ここではサラリーマン投資家として成功を目指している個人投資家さんのブログをご紹介しますので、参考としてみてはいかがでしょうか。

(1)32歳サラリーマン米国株投資日記

32歳サラリーマン米国株投資日記

(2)たこ吉の資産1億円を目指すブログ

たこ吉の資産1億円を目指すブログ

(3)投資道

投資道

(4)サラリーマンが株式投資でセミリタイヤを目指してみました

サラリーマンが株式投資でセミリタイヤを目指してみました

10、株式情報サイトのご紹介

銘柄情報の収集など株式投資における情報収集には以下のサイトが役立ちます。

(1)ケンミレ株式情報

ケンミレ株式情報

(2)四季報オンライン

四季報オンライン

(3)みんかぶ

みんかぶ

(4)株マップ

株マップ

まとめ

いかがでしたでしょうか。

軍資金2000万円を株式投資で安定的に運用するためには、その目的に応じたリスクをとって運用することがポイントとなります。

また株価は予想と異なる動きをすることも多く、その際には損切りやポートフォリオの確認・調整なども必要となります。

株式投資をうまく活用し、軍資金2000万円をもとにさっそく資産運用してみましょう。