PBR(株価純資産倍率)1倍割れの中から本当の割安株を探す6つのポイント

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株式投資に関して学んでいると、必ずと言ってもよいほど登場するのが「PER」「PBR」「ROE」という指標です。

これらは株価を利益面、資産面といった様々な視点から見て割安かどうかを図るために用いられる数値ですが、様々な指標の中でも代表的な3つとして知られています。

今回はその中でも「株価」と「純資産」の比から算出する「PBR」に関して見ていきます。

決算資料や財務諸表を読みとき、それを投資に活かすうえではまずは上記3つのアルファベットとその意味はしっかり押さえておきたいところです。

当記事でPBRについての理解をしっかりと深め、それから付随して他の2つに関しても学習を進めていきましょう。

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1、PBR(株価純資産倍率)とPBR1倍割れの意味を知ろう

先ほども述べた通り、また日本語訳からもわかる通り、PBR(株価純資産倍率)は株価と純資産の割合から表される指標です。

会社が持つ自己資本に対し、株価がどういった水準にあるのかを示す際に使われます。

詳しくは後述しますが、PBRは

PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)

といった計算式で表されます。

右辺の株価、純資産に関しては会社情報を調べれば容易に確認でき、またPBR自体も基本的な投資指標として『Yahooファイナンス』のようなwebサイトほか証券会社のアプリを使用することでチェックすることが可能です。

PBRに関しては、基本的に「1」が重要なボーダーラインとして扱われることをまずは知っておきましょう。

株価が1株あたり純資産の何倍か、を示すので、単位は倍となり「PBR1倍」のように使われます。

また、PBRは1倍を切ると割安、上回ると上回った分だけ割高、というのが一般的な考え方です。

純資産は返済する必要のないお金で「解散価値」とも呼ばれ、その状態で会社が解散したとして株主にどれくらい資金が還元されるか、ということを意味しています。

上場企業は自社の経営にも目を向けつつ、投資家を意識したマネジメントを行っていかなければなりません。

純資産(解散価値)は株主に帰属する価値を示しているため、基本的に株価は1株あたり純資産を下回らない、というのが基本的な考え方になります。

ただ、将来の業績が悪くなる見込みであったり資産に含み損があったりという場合は、株価の下落を織り込んでBPSが1倍を下回っているという場合もよくあるパターンです。

PBR1倍割れは割安、という考え方は正しいのですが、そこから株価が上昇しない「晩年割安株」といったような銘柄も多く存在するため、PBRはあくまでもひとつの投資指標、として頭に置いておくとよいでしょう。

2、PBRの計算方法は?

「株価をBPSで割る」という下記の式がPBRの計算式でした。 

PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)

それでは、PBRに関して知る前に、計算式に用いられる「株価」と「純資産」の意味をきちんと知っておきましょう。

(1)株価

こちらに関しては皆さんにとっても馴染みの深いところかもしれません。

ニュースなどで「○○社の株価は○○円」ということを目にされたことは多いと思いますが、PBRの計算式に使われるのもその株価です。

「計算式にいつの株価を入れるのか」ということについてはあまり深く考える必要はないのですが、最も新しい終値を分母の値として利用するとよいでしょう。

というのも、株価は市場が開いており売買が行われる間は常に価格が変動しているためです。

株価を知りたい、という場合にはgoogleで「企業名 株価」で検索すると簡単に見つけることができます。

たとえば以下の画像は「トヨタ 株価」と検索したときに、一番トップに出てくるチャートおよび情報です。

(2)純資産

純資産は別名自己資本とも言われるもので、会社が持つ返済不要な資金のことを指します。

「貸借対照表」というものに記載されており、定期的に開示される決算短信にも毎回記載がされているので、気になった方はチェックしてみるとよいでしょう。

さて、貸借対照表には純資産の他にも「資産」「負債」といったカテゴリーがあることで知られています。

文字で見ても分かりにくいと思いますので、図で見てみましょう。

今回計算式に使う純資産は右下のボックスに位置するものです。

実際の貸借対照表では「純資産の部」という表記で、内訳として資本剰余金、利益剰余金、自己株式といったものがあり、計算に使用する際は「純資産合計」というところの値を確認します。

資産、負債に関しても細かく見ていくと様々な内訳が存在するのですが、今回とはややずれた内容になるため割愛します。

ところで、「1株あたり純資産(BPS)ってなんだ?」と思われた方もいるかもしれません。

BPSは純資産を「発行株式数」で割ったもので、PBRの因数となる要素のことです。

PBRと同じく資産面から見た企業の安全性を図る指標の一つと言えます。

そのため、PBRの計算式は以下のようにも表されると言うことができます。

※時価総額=1株株価×発行株式数

「ごちゃごちゃしてよく分からなくなってきた」という方は「PBR=株価÷1株あたり純資産(BPS)」のみを理解しておけば大丈夫です。

PBR自体、銘柄検索をするとチェックできるものも多いため、そういったツール・アプリを使っている方であれば計算式の内容はともかく、「1倍がボーダー」ということを知っておけばよいでしょう。

ここまで見てきた株価と純資産で、実際に気になる会社のPBRを実際に算出してみると理解が深まるはずです。

決算短信は初見だとやや複雑なものに見えますが、慣れる意味でもPBRを意識してチェックしてみることをオススメします。

3、PBRを重視した投資のメリットとデメリット

「1、PBR(株価純資産倍率)とPBR1倍割れの意味を知ろう」でも述べた通り、PBR”のみ”を投資判断指標として利用することは推奨できません。

PBR1倍割れは将来の業績悪化を織り込んでいる、また既に業績において赤字が続いている、という会社もあるためです。

(2016年PBRが0.3付近だったタカタが後に倒産したのはその最たる例だと言えます)そのため、他のいくつかの投資指標も使いつつ銘柄を選んでいく必要があるでしょう。

以下、PBRを「重視」した際のメリットとデメリットを簡潔に記載しておきます。

(1)メリット

資産面からその企業の安全性・割安性を図ることができる。

PBR1倍をサポート・レジスタンスラインとして見ることができ分かりやすい。

(2)デメリット

PBRのみを利用してしまうと視点が偏ってしまう可能性があり、将来の業績悪化や現時点での業績の状況に気づけない。

4、PERとの違いはどこ?

さて、最初に見てきたように初心者向けの株式投資本を読んでいるとPBR以外にも「PER(株価収益率)」「ROE(自己資本利益率)」などといった指標を目にします。

こういった指標の中でも、PERとPBRは更にベーシックなものと考えられています。

ROEに関しては最近注目が高まってきている指標で、海外投資家も大きな注目を集めるものです。

PERとPBRの大きな違いは、PBRが資産面から株価の割安性を計っているのに対し、PERは業績(利益)面から株価の割安性を判断しているという点です。

基本的に会社の純資産というのは、短期間にそこまで変動する要素ではありません。

純資産として計上される資本金、資本剰余金、利益剰余金という主たるもののうち、企業が稼いだ利益から使われないで貯まっていく利益剰余金以外は、ほぼ数値が変わらないことが多いためです。

それと比較し、PERの因数となる純利益は純資産と比べると振れ幅が大きい数字だと言えるでしょう。

特に新興企業においては、純利益が短期間で大きく増加・減少する企業も少なくありません。

PERの計算式は、PBRの計算式の純資産を純利益に置き換えたものになります。

PBR = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)

EPSに関しては、決算短信の最初のページで確認することができます。

任天堂 <7974>の決算資料を実際に確認してみましょう。

任天堂のようなゲームメーカーは、商品のヒットが業績に直結する業種です。

直近nintendo switchが大ヒットを見せたことにより、EPSは前期と比較して857円→1125円と300円近い上昇幅を見せています。

EPSは「1株あたりでどれだけの純利益を稼ぎ出せるか」という指標ですので、大きければ大きいほど稼ぐ力が高い、ということを示しています。

また株価が変動しない場合、EPSが大きくなればなるほどPBRは低下することがPERの計算式から分かります。

「EPSは高ければ高いほどよく、PERは好業績の反面低ければ割安」ということになります。

「PERは低ければ低いほど割安」というような意見も稀に見かけますが、これも一概にはそう言えないものです。

PERは業種平均・同業他社との比較が必要となる指標ですし、また低PER企業も低PBRと同じく将来の業績悪化を織り込んでいる、ということが往々にしてあるためです。

業績面からのPER、資産面からのPBRと二つの視点から企業を見ることで投資に関する視野は広がることは間違いありません。

これに加え、「この会社の業績はこれから伸びるのか?」という考えが大事になってくると言えます。

5、PBRを使った銘柄選び方から売買のタイミングまで

何度も書いてきたようにPBRを使ううえでは単眼的な視点ではなく、複合的な視点を持つ必要があります。

投資判断指標としてPBRを利用する際には、以下のチェックポイントを意識するようにしましょう。

(1)業績が安定して伸びているか

低PBR企業にありがちなのは、「業績が伸びないため割安でも買われないまま」という状態です。

業績が将来良くなることが分かれば、見直し買いが入ってくる可能性があります。

企業のビジネスモデルや取引先の経営状態、また景気にどういった影響を受けるか、ということも考えてみることが大切です。

(2)営業キャッシュフローがプラスとなっているか

営業キャッシュフローとは、企業が本業で稼いだ毎期のキャッシュのことを指しています。

決算短信に示されている「純利益」というのは、そのままそのお金が会社に入ってきている、ということではありません。

その純利益の中にはすぐではなく、ある程度時間を空けて利益として入ってくるような売上債権も内訳に含まれているためです。

反面、「キャッシュフロー計算書」に記載される営業キャッシュフローは期ごとの実際のキャッシュの出入りを示しています。

他にもキャッシュフローには投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローというものがありますが、中でも一番大事なのは営業キャッシュフローと言っても過言ではありません。

営業キャッシュフローがマイナスだと、利益がたとえプラスであってもその期には実際の現金が入ってきていないということになります。

現金が入ってこないと資金繰りに困ってしまう可能性もあり黒字倒産というケースも考えられるため、営業キャッシュフローは必ず見ておきたいポイントです。

(3)有利子負債が現金に比べて少なくなっているか

企業の資産を見るうえで重しとなってくるのが借金、つまり「有利子負債」です。

有利子負債は貸借対照表の「資産」「負債」「純資産」のうち、「負債の部」に記載されています。

利子つきの借金である有利子負債に対し、どれくらいの現金を持っているか、ということを「資産の部」の現金同等物(現金+有価証券)からチェックしてみましょう。

現金同等物<有利子負債

となるようであれば、借金を使い利益を稼ぎ出そうとしていると言うことができ、安全性にはやや疑念が生まれてしまいます。

先ほど例に挙げた任天堂は有利子負債がゼロ、つまり自社の現金だけで経営を行っている優良企業として知られる企業です。

以上の三点を意識したうえで「低PBR」かつ「業績の伸びが予想できる」「営業キャッシュフローがプラスで推移している」「有利子負債が現金に比べて少ない」という点を抑えた企業を投資先として選ぶと良いでしょう。

(4)売買のタイミング

一つの購入・売却のタイミングとしては、PBRが1倍割れをしている銘柄が株価上昇し、1倍越えとなったタイミングで売る、というものです。

市場全体のトレンドも意識する必要はありますが、比較的期待値の高い投資手法のひとつです。

6、低PBRランキング

PBR、PERの計算式を途中見てきましたが、それらは自分で計算しなくとも既にデータとして見ることができるサイトが多く存在します。

皆さんが利用されている証券会社のツールやアプリでももちろんチェック可能ですが、ここではYahoo!ファイナンスのランキングを一例として挙げています。

Yahoo!ファイナンス

この記事作成時点では銀行、そして電力といった業種セクターが上位に名を連ねています。

銀行に関しては現在の低金利で収益源の確保が難しく、またフィンテックなどのテクノロジー発展で更なる苦境に立たされているというのが業界全体の課題だと言えます。

また、ランキングにあるような地銀はメガバンクに比べると更に厳しい状況にあると考えられ、直近では経営統合を行う地銀が多く見られています。

このように、業種によってPBRに関する考え方は大きく異なります。

企業選定を行う際には、業種の裏にある状況、またその企業の業績やこれからの動向についてリサーチしてみるとよいでしょう。

業界全体をざっくりと知るには、『会社四季報』や『業界地図』が適しています。

個別企業を知る前に、まずは全体の動向を押さえてみるのもオススメしたいやり方です。

まとめ

さて、ここまでPBRに関して「そもそもPBRとは何か?」ということから始め、その計算方法や投資にどう使うか、といったことを見てきましたがいかがだったでしょうか。

繰り返しとなりますがPBRは重要指標であり、あくまでも一つの視点でしかありません。

これを知ったうえで、どう活かしていくかというのが大事になってくるところです。

実際に銘柄を購入せずともPBRをチェック・リサーチすることは容易です。

様々な銘柄のPBRを見てみて、これからの投資に反映させていきましょう。

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株式投資、FXの経験が4年~の個人投資家です。
「金融・ファイナンス・経済・時事ニュース・投資」の記事を中心に執筆しております。

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