早期リタイアで「失敗」する理由は?成功するための方法とは

定年前に会社を辞める、早期リタイア。悠々自適な生活に憧れ、早期リタイアを目指すサラリーマンが増えています。

しかし、早期リタイアには思わぬ失敗事例もあります。どんな落とし穴があるのか理解しておかないと、せっかく会社を辞めたのに、苦しい思いをしてしまうかもしれません。

 

この記事では、早期リタイアにはどのような失敗事例があるのか、なぜ失敗してしまうのかについて詳しく解説していきます。現役サラリーマンの方は、失敗しないためのポイントを押さえ、今から早期リタイアの準備をしていきましょう。

早期リタイアで失敗した事例

憧れの早期リタイアですが、準備をしておかないと失敗してしまうかもしれません。「こんなことになるなら、会社を辞めなければ良かった」と後悔しないようにするためにも、まずはどのような失敗事例があるのかについて理解していきましょう。

主な失敗事例には、「お金、孤独感、生活の変化」の3つがあります。いずれも、早期リタイアに夢を見すぎており、現実をわかっていないために失敗してしまった事例です。

ご自身の現状や早期リタイア後の理想像と照らし合わせながら、失敗しないためのヒントにしてください。

お金が足りなくなった

早期リタイアの失敗事例で最も多いのが、お金が足りなくなってしまう事例です。貯金を切り崩して使い切ってしまい、せっかく早期リタイアできたのに、また就職先を探さなければならないという状況になってしまう人が多いのです。

お金が足りなくなる原因は、人によってさまざまですが、次のような原因が挙げられます。

  • サラリーマン時代の貯金が充分でなかった
  • 副業で稼げなくなり、収入が減った
  • 生活リズムが変わり、趣味への出費が多くなった
  • 健康保険や年金の保険料の自己負担分が増え、支出が増えた

要約すると、サラリーマン時代に立てた計画が甘かったといえます。お金が足りなくなって苦労しないようにするためにも、現役時代のときから早期リタイア後の暮らしを具体的にイメージし、何にいくら使うのか、本当に足りるのか、厳しく見積もっておく必要があるでしょう。

孤独感に耐えられなくなった

意外と多いのが、早期リタイア後の生活であまり他者と関わることがなくなり、孤独を感じるようになる失敗事例です。

孤独感や退屈さが常態化すると、メンタルヘルスに大きく影響し、うつ病になってしまう人もいます。体の不調につながって健康を害する場合もあるので、早期リタイア後の孤独感を軽く見てはいけません。

 

一般的なサラリーマンだと、1日中誰とも話をしない日は少ないです。むしろ、「煩わしい人間関係がない」「気が合わない同僚と話したくない」といった理由から、早期リタイアに憧れる方も多いでしょう。

しかし、実際に人と関わる必要がなくなると、孤独を感じて調子が狂ってしまう人がいます。

 

寂しくなったら友人に連絡を取れば良いと感じるかもしれませんが、平日の日中、働いている友人に構ってもらうことはできません。土日や平日の夜に友人に会って寂しさを紛らわそうとしても、仕事で活躍している友人の話を聞いて、孤独感が一層強まってしまうこともあります。

早期リタイア後に人とのつながりを作ることは難しくはありません。社会人サークルに入ったり、カルチャースクールに通ったりするなどの方法が考えられます。費用がかかることも想定し、現役時代から資金の計画を立てておきましょう。

生活の変化に適応できなかった

早期リタイア後に生活の拠点を変えたものの、生活の変化に適応できなかったという失敗事例もあります。都会で働いていた人が田舎に移住した場合に起こりやすい失敗です。

人口が多く騒音も多い都会に暮らす人の中には、ゆったりとした田舎の暮らしに憧れる人が大勢います。確かに田舎の良さはありますが、田舎ならではのデメリットもあります。

 

たとえば、田舎は人間関係が非常に濃いです。ご近所づきあいはもちろん、行事にも参加しなければなりません。任意参加の行事であっても、事実上は強制参加という地域もあります。

住民同士がお互いの顔を覚えているので、生きづらさを感じてしまうこともあります。都会暮らしが長い人が、早期リタイアをきっかけに田舎に移住したものの、濃い人間関係に疲れ切ってしまった…という失敗は非常に多いです。

早期リタイアで失敗する主な原因

前の章で紹介したような早期リタイアの失敗を避けるためにも、なぜ失敗してしまうのか、その原因を学んでいきましょう。

早期リタイアで失敗する主な原因としては、退職前の下調べが不十分であることや、お金の計画ができていないこと、人間関係の変化を想定していないことが挙げられます。これらの原因を詳しく解説していくので、早期リタイアで失敗しないためのヒントにしてください。

退職する前に一切調べていない

上述した早期リタイアの失敗事例は、退職前の下調べをしっかり行うことで、ほとんど回避できます。現役時代から早期リタイア後の暮らしを具体的にイメージし、それが実現可能なのか、現実的に調べれば良いのです。

たとえば、田舎暮らしに夢を見ている人は、田舎のメリットばかりを見ており、デメリットが目に入っていない可能性があります。そのため、「憧れの田舎暮らしを始めたのは良いけれど、ご近所づきあいが煩わしい」といった失敗が起きてしまうのです。

 

早期リタイアに憧れている人は、早期リタイアのメリットばかりを見ており、デメリットが見えていないかもしれません。早期リタイア後の暮らしの良い点ばかりを想像するのではなく、デメリットはないのか調べたり考えたりしましょう。

デメリットを調べた上で、それでもメリットのほうが上回っているのか、よく検討してから早期リタイアに踏み切りましょう。

お金の計画ができていない

現役時代に、早期リタイア後のお金の計画ができていなかったり、計画していても見込みが甘かったりすると、早期リタイア後にお金が足りなくなる失敗が起こります。

早期リタイアすると、定期的な収入がなくなるだけではなく、最低限必要な生活費も変わってきます。

 

たとえば、健康保険や年金の保険料など、会社が負担していた支出も自分で支払う必要があります。早期リタイア後は毎月いくら支払う必要があるのか、わからない状態で退職すべきではありません。

退職後の出費を試算した結果、現状の貯金額で早期リタイアは無理だという結論になる人も多いと思います。

 

しかし、会社勤めを続けるのも無理だと感じるなら、アルバイトや副業など、負担の少ない仕事に切り替える選択も可能です。少しでも収入があれば、お金が足りなくて困窮するリスクも小さくなるので、負担の少ない仕事を始めるのはおすすめです。

人間関係の変化を想定していない

早期リタイアしたら人間関係が現状と変わることを、想定した上で退職に踏み切りましょう。

職場での人間関係はきっぱり忘れ、習い事や社会人サークルで新たな人間関係を作ると考えるくらいでちょうど良いです。早期リタイアしてから孤独感にさいなまれるのではなく、あらかじめ想定しておきましょう。

 

たとえば、「今の職場で自分を慕ってくれる部下とは、退職後も仲良くしていきたい」と考えている方は多いです。しかし、早く辞めて仕事での関係がなくなった元上司と、ずっと仲良くしたいと思う部下は少ないのではないでしょうか。

早期リタイアして時間にゆとりができると、つい昔の部下を誘って飲みに行きたくなりますが、部下がついてきてくれるのは最初だけ。誘っても体よく断られることが増えるでしょう。

 

利害関係がなくなったり、ライフスタイルが異なったりすれば、人が離れていくのは仕方がないことです。それでも関係が続く人とは本当の友人として仲良くすれば良いですが、全員とそのような関係を築けるわけではないと理解しておきましょう。

早期リタイアで失敗しないためのポイント

ここまでで、早期リタイアの失敗事例とその原因について解説しました。ここからは、どのようにすれば早期リタイアで理想の暮らしを手に入れられるのかを考えていきましょう。

まずは、早期リタイアで失敗しないためのポイントを解説します。いずれも、現役のサラリーマン時代からやっておきたいことです。今すぐに行動し、理想の暮らしを手に入れる準備をしていきましょう。

早期リタイア後の目標を明確にする

「仕事が嫌だから逃げたい」といった後ろ向きな動機で早期リタイアすると、孤独感に耐えられなくなったり、安定した収入が入ってこない不安に苦しんだりしやすいです。そうならないためにも、早期リタイア後に自分は何をしたいのか、明確な目標を考えましょう。

たとえば、サラリーマンの頃は時間を割けない趣味に打ち込んだり、就職と同時に諦めた夢に再挑戦したりすることが挙げられます。学生時代に、小説家やバンドマンになりたいと思っていた人が、早期リタイア後に再挑戦し、生き生きと第二の人生を送る事例は多々あります。

 

起業やボランティアを目標にするのも良いでしょう。起業なら、具体的にどのような事業をやってみたいのか、資金繰りの計画も含めて検討します。ボランティアなら、参加したいボランティア団体を探し、週末に参加して少しお試ししてみるなど、退職する前から行動を始めましょう。

退職して「こんなことになるなら、会社を辞めなければ良かった」と後悔しないためにも、早期リタイア後の目標は明確にしておきましょう。仕事が嫌なだけなのか、早期リタイアしなければできないことがあるのか、よく考えてください。

資金の計画を立てる

早期リタイア後、お金が足りなくなって困窮することがないよう、現役時代から資金の計画を立てておく必要があります。具体的には、貯金を取り崩す計画や、資産運用の計画などです。

貯金を取り崩すだけで生活ができないなら、アルバイトや副業など負担の少ない仕事に取り組んで補ったり、資産運用でお金を増やしたり、対策を講じなければなりません。

 

月々の生活費はいくら必要か、早期リタイア後に趣味の支出が増えないかよく考えておきましょう。退職後は健康保険や年金の保険料を自分で支払うので、具体的にいくら支払うのか調べておくことも重要です。

早期リタイア後の支出を見積もった上で、貯金を取り崩すだけで良いのか、アルバイトや副業で収入を少し補ったほうが良いのかも考えましょう。

 

収入が必要であれば、月々どれくらい稼げれば良いのか考え、自分のライフスタイルでできる仕事はあるか考えます。せっかく早期リタイアしたのに、週5日アルバイト漬けという生活になっては意味がないので、現在の貯金額で早期リタイアして大丈夫なのか、吟味して判断する必要があります。

支出を減らす

早期リタイアすると定期的な収入はなくなりますが、支出が減るわけではありません。むしろ、仕事がなくなるため、趣味や贅沢のためにお金がかかり、現役時代よりも支出が増えたという事例は少なくありません。

そのため、節約できる支出は減らしておくことが重要です。減らしてもストレスにならない費用を減らし、お金の無駄遣いをやめましょう。

 

最初に見直したいのが、家賃、光熱費、スマホ使用料といった固定費です。スマホは格安プランが登場してきていますし、電気代も自由化によってお得なプランができています。

自分が加入しているプランは高額ではないか、もっとシンプルにできないか、一度考えてみましょう。

 

家賃は更新の時期でなければ動きにくいですが、あらかじめ考えておいて損はありません。会社に通いやすいエリアに住んでいる方も、早期リタイアすれば、自分が好きな場所に住むことができます。

もし今住んでいる家の家賃が高いなら、移住したいエリアと家賃相場を調べ、早期リタイア後の移住先の候補にしても良いでしょう。

早期リタイアにおすすめの資産運用方法

繰り返し解説してきたように、早期リタイアで最も重要な課題になるのが、お金です。充分にお金を貯めて早期リタイアしたはずだったのに、「お金が足りなくなってしまった!」ということがないよう、お金は少しでも増やしておきたいところです。

そこで、現役時代でも早期リタイア後でも取り組みたいのが、資産運用です。この章では、早期リタイアをする方におすすめの資産運用方法を紹介していきます。ここで紹介する5つの方法について、特徴を表にまとめました。

資産運用方法 特徴
株式投資 配当のほか、株主優待を得られる
不動産投資 定期的な収入が期待できる
投資信託 プロに銘柄選びと運用を任せられる
ETF(上場投資信託) プロに銘柄選びと運用を任せられる
投資信託よりも手数料が低い
ヘッジファンド プロに銘柄選びと運用を任せられる
大きな利益を狙える

これら5つの方法について、詳しく解説していきます。

株式投資

株式とは、企業が資金調達のために発行する証券です。企業の利益の一部は株主に配当金として支払われるので、株主は不労所得を得られます。

早期リタイア後の収入を補うのにも向いています。株価の上昇により、利益を得ることもできます。

 

一部の企業では株主優待の制度があり、投資をすると自社商品や割引券などをもらえます。株主優待狙いの投資家の中には、年間の食事のほとんどが株主優待でまかなえるので、ほぼ食費がかからないという方もいます。

株式を保有すると、配当金と優待の両方を狙えるので、利益を早期リタイア後の生活費に充てることができます。

不動産投資

不動産投資とは、マンションやアパートを購入し、賃貸住宅として貸し出して家賃を得る投資方法です。購入時よりも不動産の価格が上がれば、売却により利益を得ることもできます。

不動産投資の主な収益は家賃なので、入居者がいる限り、毎月一定額の不労所得を得ることができます。毎月の収入があると、貯金を取り崩す額が少なくなるので、貯金が減っていく恐怖や老後への不安がやわらぐでしょう。

投資信託

投資信託は、投資会社にお金を預け、代わりに運用してもらう商品です。手数料は投資家が負担しますが、投資信託の運用で得られた利益は投資家に支払われます。

上述した株式や不動産の運用では、投資先を自分で選ばなければなりませんが、投資信託では銘柄選びや運用をプロに任せられます。投資先を選ぶ知識がない初心者でも、大きな失敗をしにくい投資方法です。

ETF(上場投資信託)

ETFは、投資信託と同様、プロに銘柄選びと運用を任せられる商品です。商品名に「上場」とあるように、証券取引所に上場している商品です。

ETFは証券取引所で売買するため、銀行や証券会社の窓口で申し込みを行う投資信託よりも、運用コストが小さいです。投資家が負担する手数料も低い傾向にあるので、手数料の節約を重視する人におすすめです。

ヘッジファンド

ヘッジファンドも、プロに銘柄選びと運用を任せられる商品です。投資信託やETFと異なるのは、運用の自由度が高く、非常に高い利回りを狙えることです。

ヘッジファンドは、一般の投資家には取引しにくい専門的な商品を駆使しているため、年率10パーセントから20パーセントといった高い利回りを狙えます。

  • 投資信託やETFは1%~5%程度
  • 株式投資は3%~7%程度
  • 不動産投資は5%~10%程度

が利回りの目安となるため、ヘッジファンドの期待利回りが群を抜いていることがわかります。

そのため、資金を大きく増やしたい人におすすめです。

まとめ

仕事を辞めたいサラリーマンにとって、早期リタイアは憧れです。しかし、しっかりと準備をしないで早期リタイアをすると、失敗してしまうかもしれません。

お金の準備や目標の明確化など、早期リタイアをする前にやっておくべきことがあります。退職後に後悔しないよう、今から準備しておきましょう。