ヘッジファンドを探していると、結局どの会社が良いのかわからなくなってしまい、「手っ取り早くランキングに頼りたい!一番良い会社はどこ?」と思ってしまうかもしれません。ですが、それは少々危険かもしれません。混乱してくると、利回りなどのわかりやすい数字しか見えなくなってしまい、詐欺に引っかかってしまうこともあるのです。
ヘッジファンドは各社がオリジナルで考えた投資理論で運用しているため、そもそも比較しにくいのです。投資手法を知って、自分が一番納得できるものに投資するのが良いでしょう。
この記事では、まずヘッジファンドを選ぶときのポイントについて解説します。
次に、編集部が考えるヘッジファンドランキングを掲載していきます。順位だけでなく、各社がどんな運用をしているのか理解するヒントにし、自分に合ったヘッジファンド選びに役立ててください。
ヘッジファンドを選ぶポイント
個別の会社をランキングで紹介する前に、まずはどんなポイントに気を付けてヘッジファンドを選んだら良いのか解説していきます。以下の3つのポイントを押さえ、自分に合ったヘッジファンドを探しましょう。
- 投資手法
- 手数料
- 最低申込額
投資手法
ヘッジファンドによって大きく異なるのが投資手法です。
具体的な会社は後述しますが、例えば「Japan Act」は国内の割安株への投資で、「トータスパートナーズ」はESGに着目した投資です。どんな方法で運用しているのか確認し、収益を得る仕組みに対して納得できるヘッジファンドに申し込みをしましょう。
残念ながら、投資家のお金を集めるだけ集めて逃げる詐欺集団も存在します。詐欺に遭う人は、利回りの高さや担当者の雰囲気など、ヘッジファンドの運用の能力とは関係ない部分で判断し、「よくわからないけどなんだか良さそう」という感覚でお金を出してしまっていることが多いです。
「我々のファンドは利回りが高いんです」と言うだけなら誰でもできるので、騙されてはいけません。
ヘッジファンドにお金を預けるなら、納得できる手法かどうかが重要です。「この手法でこの利回りなら納得感があるな」と思った上で、詳しくヘッジファンドを比較して自分に合った会社を選びましょう。
手数料
ヘッジファンドに申し込む場合、手数料は主に次の3つがかかります。
- 申込時手数料
- 管理報酬
- 成功報酬
これらの支払いを踏まえ、納得できるヘッジファンドに申し込みをしましょう。
申込時手数料は、申し込みの際に必要となる手数料です。ヘッジファンドによっては無料の場合もあります。
管理報酬は、運用する金額に対してかかる手数料です。年率5パーセントの場合、1,000万円を預けるなら50万円が管理報酬となります。
成功報酬は、ヘッジファンドが利益を出したときや、目標利益を上回った場合にかかる手数料です。利益に対して30パーセントの成功報酬を支払う場合、利益が100万円なら管理報酬として30万円を支払います。
投資家が得られる利益は70パーセントの70万円となります。
成功報酬が高すぎると感じられるかもしれませんが、成功報酬があるからこそヘッジファンドは真剣に運用してくれるとも考えられます。ヘッジファンド会社の収益はこれらの手数料で、利益を上げれば上げるほど成功報酬をもらえて儲かる仕組みだからです。
ヘッジファンドが運用するのは顧客という他人のお金ですが、成功報酬を稼ぐためには利益を上げる必要があり、成功報酬は彼らにとってのインセンティブになります。
ヘッジファンド選びの際に気をつけたいことは、手数料を支払いすぎて投資家がほとんど儲からなくなってしまう事態です。過去の実績利回りと手数料を理解し、手数料を支払っても十分な利益が出ているファンドなら、投資しても良いと考えられるでしょう。
最低申込額
ヘッジファンドの最低申込額は1,000万円に設定されていることが多いです。基本的には、これくらいのまとまった資金を出せる人向けの投資商品だと考えておきましょう。
ただし、各社に問い合わせをすると、必ずしも1,000万円でなくても良い場合があります。追加出資をしていくなら数百万円からでも始められるヘッジファンドもあります。
第1位:Japan Act
Japan Actはアクティビスト投資を行うヘッジファンド会社です。年利10%以上の利回りを出した実績があり、優秀なヘッジファンドです。
Japan Actの投資手法、手数料、最低申込額について解説していきます。
投資手法
Japan Actの投資手法はアクティビスト投資とバリュー投資です。
この2つの手法は重なる部分があり、銘柄によって臨機応変に対処していると推察できます。
アクティビスト投資とは、割安で放置されている企業の株式を買い、株主の立場から経営に提言を行う投資方法です。提言によって業績が上向きになれば、割安だった株価が上昇するため、Japan Actの利益につながります。投資先の企業も業績の向上は大きなメリットになるので、両者にとってWin-Winの投資方法です。
Japan Actでは、株式会社サンエー化研や昭和パックス株式会社などに提言を行っています。どのような提言を行ったのか、また決議の結果がどうなったのかは、公式ホームページで公開されています。
一般的にヘッジファンドは秘密主義な会社が多く情報を公開したがりませんが、Japan Actはホームページで銘柄情報を公開しています。ホームページ上の説明が充実しており、信頼感のあるヘッジファンド会社です。
また、バリュー投資とは、本来の企業価値に対して割安な株価で放置されている株式を購入し、評価が見直されるのを待つ投資方法です。本来の企業価値に株価が追いつくだけでも利益が出るので、失敗しにくい投資方法として知られています。
手数料
Japan Actの手数料は、管理報酬が出資額の2.5%、成功報酬が利益の40~50%です。
ヘッジファンドの手数料は会社によって異なりますが、管理報酬は3%から5%、成功報酬は30%から50%程度に設定している会社が多いです。Japan Actの手数料は業界では平均的といえます。
最低申込額
一般的なヘッジファンドと同様、Japan Actの最低申込額も1,000万円です。
ただし、今後の投資状況によっては1,000万以下で増やしていくことも可能なようです。投資を始める前に面談を行う際、資金についても相談してみましょう。
第2位:BMキャピタル
BMキャピタルも人気のヘッジファンド会社です。利回り10%以上を出した実績があり、高利回りで知られています。
BMキャピタルの投資手法、手数料、最低申込額について解説していきます。
投資手法
BMキャピタルは、バリュー投資が中心となる投資になります。
Japan Actの手法と同様に、BMキャピタルは割安な株式への投資をメインにしています。社員の企業分析では高く評価できる会社なのに、市場ではあまり評価されておらず割安で、今後の株価上昇が狙える会社の株式に投資しているのです。
よって、損失が大きくなりにくく、収益を追求しやすい投資方法を採用しているといえます。
投資手法ではありませんが、東大・京大といった高学歴かつ外資系銀行出身のメンバーで構成され、株式の高い分析力も強みとなっています。
手数料
BMキャピタルの手数料は、成功報酬が投資の利益に対して30%から50%、管理報酬が預けている資産額の5%前後です。
成功報酬は平均的なヘッジファンドの水準ですが、管理報酬は標準的か少し高めです。成功報酬は利益が出なければかかりませんが、管理報酬は利益がプラスでもマイナスでも差し引かれるので、年率5%以上の利益が出ないと手数料負けしてしまいます。
BMキャピタルは年率10%から20%程度の利回りを出した過去の実績があるので、実績からいえば5%の管理報酬を差し引いても利益は出ています。ただし、過去の実績は将来の成果を保証するものではないことは理解しておきましょう。
最低申込額
BMキャピタルの最低申込額は、原則として1,000万円です。1,000万円以下で投資を始めたい場合は、面談のときに相談できるそうです。
最低申込額を1,000万円以上としているヘッジファンドは非常に多く一般的なので、BMキャピタルの最低申込額は業界内では平均的だといえます。
第3位:トータスパートナーズ
トータスパートナーズは、ESG投資を行うヘッジファンド会社です。利回りはJapan ActやBMキャピタルに比べると控えめですが、長期投資に向いています。
トータスパートナーズの投資手法、手数料、最低申込額について解説していきます。
投資手法
トータスパートナーズも、バリュー投資を基本に投資をしています。本来の企業価値に対して株価が割安と判断できる銘柄に投資し、値上がり益を狙う手法です。
銘柄選びの軸でユニークなのが、ESG投資です。ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字からなる投資哲学です。投資先の企業を選ぶとき、環境への配慮や社会貢献度、収益を上げつつ不祥事を防ぐ経営ができているかを指針にします。
従来は売上至上主義で環境や労働の問題には無関心という企業も多かったものの、現代ではそのような姿勢では生き残りにくくなりました。SDGsに代表されるように、環境問題や社会問題に取り組み、コンプライアンスも重視しながら収益を上げることが現代の企業には求められています。
このような経営ができている企業は倒産のリスクが低く、長期にわたって利益を生み続けられると考えられます。よって、ESG投資はヘッジファンド会社のみならず、機関投資家や個人投資家にも広がっているのです。
トータスパートナーズもESG投資を行っており、長期的な利益が期待できます。投資を通じて間接的に社会貢献もできるヘッジファンドです。
手数料
トータスパートナーズの管理報酬は四半期ごとに1.5%で、年間約6%です。成功報酬は50%となります。
平均的なヘッジファンドの手数料と比べると、やや手数料は高い印象です。手数料を考慮した上で3%から8%程度の利回りが出る想定ですが、Japan ActやBMキャピタルよりも手数料が高額となっています。
最低申込額
トータスパートナーズの最低申込額は1,000万円です。多くのヘッジファンドは最低申込額が1,000万円なので、標準的な水準です。
1,000万円よりも少額で投資を始めたい場合は、相談が可能なようです。面談の際に相談してみてください。
まとめ
ヘッジファンドを選ぶとき、最も重要なのは「投資手法」「手数料」「最低申込額」の3つです。投資手法は自分が理解できるものか、手数料は高すぎないか、自分の余剰資金の範囲で投資できるかを確認しましょう。
おすすめのヘッジファンドとして、Japan Act、BMキャピタル、トータスパートナーズを紹介しました。これまでの収益性が高く、手数料が低めのJapan Actなど、それぞれの特徴を理解して自分に合ったヘッジファンドを選びましょう。