株のトレードだけで生活している人たちのことを、専業トレーダーと呼びます。
雑誌やブログなどでも、株で稼いだお金だけで生活している専業トレーダーが何人も紹介されています。
その中には「億トレーダー」や「億り人」といった投資家もいます。
今回は個人投資家のあなたと専業トレーダーの違いについて、さらには成功している専業トレーダーの投資スタイルを見ていきたいと思います。
どうすれば彼らのように専業トレーダーになれるのでしょうか。
誰でも一度は考える、「株のトレードだけで生活してみたい」という思いを実現するために必要な心構えや、メリット・デメリットなどを考えてみましょう。
1、株トレーダーが億トレーダーになるのに必要な3つこと
株のトレーダーの中にも専業トレーダーやサラリーマントレーダーなど、毎日の相場との関わり方によって位置づけが違ってきます。
そして目標とする億トレーダーについて知ることで、少しでも早く近づくことができるでしょう。
(1)株トレーダー:運だけでは勝てない投資手法の確立
もし、あなたの買った株が「運」よく10倍になることがあったとして、
それが投資対象を分析し狙った投資ではなく、「運」よくうまくいっただけであれば、本物の専業トレーダーではありません。
手元にまとまった運用資金ができたことは、大きな強みになりますが、それを「運」に任せて運用し続けていると、いずれ大きな失敗で資金を失う可能性も高くなります。
「運」まかせのトレードで得たお金はすぐになくなるものです。
たとえ時間とお金を使っても、自分にあったトレード手法を確立し、確実に利益を積み重ねるという方法で億トレーダーを目指しましょう。
たとえ失敗があったとしても挽回する力量を備えていれば、専業トレーダーとしての成功を手にする可能性は高くなるはずです。
(2)株トレーダー:焦らない!相場観を身に着けるまでの時間が必要
「運」や「相場」だけでなく、「確立されたトレード手法」に従ってトレードし、安定した利益が出せるようになるまでには、時間が必要になります。
そこまで辛抱することができないと「専業トレーダー」の道は難しいでしょう。
「安定して継続的に利益を出すことができる」というのが、専業トレーダーにとっての絶対条件です。
これは簡単にできるようになるものではありません。
実際に、長期にわたって継続的に利益を出し続けられているのは、トレーダーの10%程度と言われています。
トレーダーとしての経験を重ね、実力をつけ、自分にあったトレード手法を身につけることができれば、専業トレーダーへの道はそう遠くはないかもしれません。
(3)株トレーダー:チャンスを待つだけの資金が必要
毎日トレードを行えば、当然失敗を繰り返してしまうこともあるでしょう。
トレーダーとしての手腕が発揮できる前に、投資資金が底をついてしまったら大変です。
そのため、無くなっても生活に影響のない金額の範囲で始めましょう。
あるいは株トレードのシミュレーションを利用するなど、自分にとって経済的なダメージの少ない金額でトレードを行い、経験を重ねていくことが専業トレーダーへの第一歩となります。
2、成功している億株トレーダーの共通点
多くの投資家がいる中で、億トレーダーとして成功する投資家もいれば、いつまでたっても投資資金が一向に増えない(むしろ減っていく)投資家もいます。
では億トレーダーとして成功している投資家と、それ以外の投資家では何が違うのでしょうか。
成功している億トレーダーの共通点から、億トレーダーとなるために何が必要なのかを考えてみましょう。
(1)順張りを好む
日本人は、株価が下がってくると割安とみて買い、上がってくれば割高だとみて売るという「逆張り」好きと言われています。
それに対して成功している億トレーダーは、上がっていく銘柄を素直に買う「順張り」、上がっていくはずの銘柄の株価が、その流れに反して下がったときに買う「押し目買い」を好むという共通点があります。
逆張りは、株価が反発(反落)することで利益を狙うものですが、安く買い高く売るという、株式投資の基本に沿っているようにも思えます。
しかし株価が下がっているのには理由があり、株価が下がったからといって、株価が「割安」になったとは限らず、反発する保障はありません。
むしろボロ株を買ってしまうリスクも伴います。
株価のトレンドが持つパワーは強力で、それに逆らう「逆張り」はリスクを伴うため、精神衛生的にもあまり好ましい投資スタイルとは言えません。
それよりも成長する銘柄を見極め、その成長トレンドにのって利益をあげていく「順張り」のほうが利益を得られる可能性は高いと言えます。
また精神的にも楽で、投資を長く続けやすいというのも成功の秘訣かもしれません。
(2)チャートのきれいな銘柄を好む
これは「順張りや押し目買いを好む」という特徴に繋がると言えますが、成功している億トレーダーは、チャートが右肩上がりのきれいな上昇トレンドを描いている銘柄を好むという共通点があると言えます。
このような銘柄は、トレンドが変わりチャートが崩れるまでは値動きが予想しやすく、リスクを抑えながらも着実に利益を出せる可能性が高くなると言えます。
成功している億トレーダーは、このような銘柄を好んでトレードすることで、リスクを抑えながら着実に利益を重ねていけるのだと言えます。
(3)リスク管理を徹底している
ここぞという時にはリスクをとって大きなトレードを仕掛けることができなければ、なかなか億トレーダーにはなれません。
もちろん億トレーダーとなれる実力があっても必ずうまくいくわけではなく、損失を出すこともあります。
失敗しても損失を挽回できる範囲に留めてリスクを最小化しましょう。
厳しい相場を生き抜き、成功している億トレーダーは、こういったリスク管理を徹底していると言えます。
(4)情報網をもっている
成功している億トレーダーは、同じ億トレーダーの仲間や独自のコネクションを通して、最新の情報をリアルタイムで得ながらトレードをしていることも多いようです。
3、専業株トレーダーのメリット・デメリット
専業トレーダーとなればこんな良いことがある、あるいはこんなはずじゃなかったと後悔しないために、専業トレーダーとなることのメリット・デメリットを知っておきましょう。
(1)専業株トレーダーのメリット
①実力次第で大きな利益が得られる
株トレーダーは実力さえあれば、いくらでも利益を得ることができます。
後述する「億トレーダー」のように、個人で数億、数十億を稼ぐことも可能です。
また税金面でもメリットがあります。
給与所得などの総合課税所得に対する最高税率は55.945%(所得税45%+住民税10%+復興所得税0.945%)であるのに対し、株の譲渡所得(売買益)にかかる税率は20.315%(所得税15%+住民税5%+復興所得税0.315%)と半分以下です。
年俸1億円のプロ野球選手と、年間1億円稼ぐ億トレーダーでは、プロ野球選手は税金を払えば手元に半分も残らないのに対し、億トレーダーは8,000万円近く残り、手取り額には大きな差があります。
プロ野球選手や億トレーダーのような高額所得者でなくても、年間課税所得330万円以上の所得税率は譲渡所得税率を超えてくるため、税金面でのメリットが生じてきます。
②自分のペースで生活ができる
専業トレーダーは、基本的にサラリーマンのように出勤する必要はなく、パソコンとネット回線があればどこでもトレードできます。
またストレスの大きな原因となっているといわれる、職場での人間関係に悩まされることもありません。
日本株でトレードをするのであれば、株式市場が開いているのは9時〜15時で、基本的にトレードはこの時間内で行うことになります。
米国株や先物取引など、取引をする対象によってトレードする時間帯は異なりますが、なにを取引対象とするかも自分のスタイルに合わせて選ぶことができます。
デイトレードなど短期売買であれば、市場が開いている時間内はパソコンの画面に張り付いていることが多いと思います。
値動きの大きい寄付から1時間程度に集中してトレードするというスタイルのトレーダーもいます。
また長期投資では、あらかじめ指値で注文を入れておき、この時間帯にも相場を見ないというトレーダーもおり、時間の自由度はかなり高くなります。
もちろん、トレード手法や投資銘柄の分析などにも時間を割くことが必要となります。
会議や取引先との打ち合わせのように、決められた時間的な制約も基本的にありません。
満員の通勤電車や煩わしい職場の人間関係、物理的・時間的な制約から解放され、自分のペースで生活できるというのは、専業トレーダーの大きなメリットだと言えます。
③いつでも相場をチェックできる
一般的なサラリーマンの勤務時間は、株式市場が開いている時間と重なることが多く、トレードは制限されます。
専業トレーダーとなれば、自分の好きなだけトレードに時間を割くことのできるので、その分トレードチャンスを増やすことができるというメリットもあります。
またいつでも相場を確認できるので、いち早く急変やその兆候に対応することができ、損失拡大やリスク軽減にもつながります。
(2)専業株トレーダーのデメリット
①収入が不安定になる
毎月給料という安定収入のあるサラリーマンと異なり、専業トレーダーの収入は日々のトレードの成果に左右され、収入が不安定になります。
サラリーマンでは給料が少ないということはあっても、マイナスになることはありませんが、専業トレーダーはマイナスになることも十分考えられます。
安定して継続した利益が出せるということが、専業トレーダーとしての条件とはいいましたが、「常に」勝ち続けることは難しいのも事実です。
それでも最終的には利益が出るように立て直せる、実力とメンタルが専業トレーダーには必要となります。
また病気やケガでトレードができなくなれば収入はなくなり、その際にも雇用保険などの保障はありません。
まとまった資金ができれば、株式投資だけでなく不動産に投資し、安定した家賃収入を確保するといったことも考えていくとよいでしょう。
②社会的な立場・信用
専業トレーダーとなった後、職業欄に何を書くのかという問題があります。
トレーダー?個人投資家?自営業?
株式投資が当たり前の欧米などに比べれば、日本では専業トレーダーは「職業」として受け入れられにくい部分があります。
また収入が安定しないために、賃貸契約やローン、クレジットカードなど様々な面で支障が出ることもあります。
③人との交流・社会的なつながりの減少
専業トレーダーになると、職場での人間関係といったものがなくなります。
それまで職場での人間関係が煩わしいと思っていた人でも、いざそれがなくなると、同僚と飲みにいって愚痴っていたことを懐かしく感じるものです。
社会人になると、職場や仕事関係の人間関係が大部分を占めている人も多く、それがなくなった後、何もしなければ、人と交流する機会は減っていきます。
お金は得られても、人や社会的なつながりを失ってしまうのでは本末転倒だと言えます。
自由に時間が使えるというメリットを生かして、自分から交流関係を広げることも専業トレーダーには必要だといえるでしょう。
4、専業株トレーダーに向いている人の特徴と心構え
(1)専業株トレーダーに向いている人の特徴
以下のような特徴にあてはまるのであれば、専業トレーダーとして向いていると言えます。
- 計画的で、自己管理ができる
- 目先の結果に一喜一憂せず、冷静な判断ができる
- 切り替えが早く、自分の間違いを認めることができる
逆に、感情的に取引をしてしまう人や、自分の考えに固執して間違いを認めないような人は、トレードを次にうまくいかすことができずに、大きな失敗をしやすいため、トレーダーには不向きです。
また専業トレーダーは資金管理やスケジュール管理などを計画的に行える、自己管理ができる人でなければ続けていくのが難しくなると言えるでしょう。
(2)専業株トレーダーとなる心構え
専業トレーダーとなるからには、生活費や社会保険料・税金など、すべてのお金をトレードの収益によってまかなっていくという心構えが必要となります。
いくらトレーダーに向いているとしても、思うように利益が出ず、損失を出すこともあります。
そんなときにも生活していけるのか、どう対応するのかを想定しておく必要があります。
また投資資金とは別に、少なくとも半年〜1年程度の資金を準備しておくようにしましょう。
トレードができるのも生活ができてこそで、この余裕資金は投資における気持ちの余裕ともなって、冷静なトレードにも繋がります。
専業トレーダーとなった後にも、失敗して資金を失い、トレードを続けられなくなることもあります。
そうなれば、トレードから身を引くという覚悟も必要です。
あえて「専業」にこだわる必要はなく、「兼業」トレーダーに戻ることもできます。
そして、トレードを休むのも方法の一つです。
それまでの経験は無駄にはならず、資金がたまり、再びチャレンジする時に活きてくるはずです。
5、専業株トレーダーのブログをチェック
成功している専業億トレーダーは、どのようなトレードをしているのか、彼らのブログをご紹介します。
成功者の投資スタイルそして生活スタイルまで垣間見ることができると思います。
ぜひ、良いところは盗んでください。あなたに足りない手法や投資の精神を学べることと思います。
(1)専業億トレーダーの銘柄予想・トレード記録
(2)投資家テスタの投資日誌
(3)かぶ1000投資日記
7、億トレーダーを目指すあなたへオススメの本
最後に億トレーダーを目指す上で、参考になるオススメの本をご紹介します。
(1)株3年生の教科書
利益を増やし、損失を減らすという、投資の利益を最大化するための思考のフレー ムワークと実践法が解説されている良書です。
(2)億を稼ぐトレーダーたち
スゴ腕を持った9人のトレーダーたちがどうやって成功に至ったのか、どんな迷いを経て現在の手法や考え方に到達したのか、その成功土台にある「成功哲学」に迫 った良書です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
専業トレーダーとして株だけで生活をしていくのは、決して簡単なことではありません。
専業トレーダーにはメリットもありますが、リスクやデメリットも伴います。
専業トレーダーを目指すのであれば、それらのメリットやデメリットを理解した上で、しっかりとした心構えを持って臨まなければなりません。
成功している専業トレーダーのスタイルなども参考に、継続的に利益をあげられる自分の投資スタイルを確立し、しっかりと準備した上であれば、専業トレーダーという選択肢もみえてくるのではないでしょうか。