寄り付きとは?株式用語を学習して投資力をあげる4つのポイント

  • 2018年3月29日
  • 2021年10月15日

株式取引には、少し変わった専門用語が出てきます。

「寄り付きや引け」読むことはできても、さっぱり意味がわからないことがあります。

なんとなくわかっているつもりで使っている株式用語をおさらいしてみましょう。

意外と本当の意味を知らずに取引している人も多いので、正しく意味を知り、さらに経済ニュースや相場情報を読み解く力をアップさせましょう。

今回は寄り付きの意味や仕組み、株式取引への活用方法などをまとめていきます。

デイトレーダーや少しでも有利な価格で株を売買したいという人はぜひ参考にしてください。

1、寄り付きとは?

寄り付きとは、1つの取引時間帯の中で行われる最初の取引のことを言います。

株式取引には前場(9時~11時30分)と後場(12時30分~15時)があり、それぞれ寄り付きと呼びますが、一般的には単に「寄り付き」といえば前場の1番最初の取引のことを指します。

その日の始値は、その日の寄り付きで売買された価格のことを指しています。

そのため寄り付き値とも言います。

取引開始時間を寄り付きと呼ぶのかと勘違いしている人もいるようですが、取引は必ずしも9時ちょうどに行われるわけではありません。

1・2分遅れることもあり、また注文が偏りすぎて取引が成立しないこともあります。

ちなみに取引時間帯における最後の取引は引け、後場の引けを大引けと言います。

寄り付けと引け以外の取引をザラ場と呼びます。

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2、寄り付き値の重要性

寄り付き値に注目することは、デイトレードやスイングトレード(保有期間が1週間程度の取引)をしていくうえで重要です。

注目するポイントは主に2つあります。

(1)寄り付き値がその日の節目となる

寄り付き値は、上記でみたように多くの注文が交錯するなかで取引が形成されるため、必然的に出来高(取引数量)が多くなります。

出来高の多いところは株価の節目となりますので、価格がもみあう中で寄り付き値を超えるとその後も上昇しやすく、割り込むと下落しやすいという傾向にあります。

また、寄り付き値=その日の始値ということを考えると、寄り付き値を割り込むということは、日足チャートで陰線を描くことになり、超えれば陽線になります。

一般的に陰線は売り、陽線は買いを示すので、日足チャートを見た投資家が追随して注文を出し、株価が方向づけられるということも言えます。

ただし、その後の情報や市場参加者の動向などの状況によっては、必ずしも当てはまりませんので、参考の参考程度にとどめておいてください。

(2)直近の終値と比べる

前営業日の終値に対して寄り付き値が大きくかけ離れることがあります。

日足で見るとチャートが連続していないことから、「窓を開ける」と言います。

一般的には、窓を開けた方向についていく取引がすすめられています。

直近の終値に比べて寄り付き値が高い場合は買い、という具合です。

ただし、窓のほとんどはいつか埋まるということも定説になっています。

その「いつか」が今日なのか1ヶ月後なのかはわかりませんが、注意が必要です。

3、寄り付き売買の注意点

寄り付きとその前後に売買を行う際の注意点です。

(1)寄り付き前

寄り付き前に注文を出しておくことは、ある意味ギャンブルの要素が強いと言えます。

寄り付き値は上記のように数多い注文の中で決まるので、予想と大きくかけ離れることがあります。

指し値で買えるとは限りませんし、成り行きだと予想外の価格で約定するかもしれません。

板は寄り付き前でも証券会社のツールによってはリアルタイムに見ることができるので、その日の相場を占うことができると考える人もいますが、刻一刻と変わる注文状況の中で判断するのは至難のワザです。

あまりあてになりません。

ただ、中には買い数量と売り数量のバランスが極端になっているようなわかりやすい板もありますので、参考になることもあります。

(2)寄り付いた瞬間

寄り付き直後の取引は、相場の流れを示す手がかりが何も無い状況なので、動きを予想したり流れに乗ったりという取引が難しく、あまりおすすめできません。

初心者は様子を見たほうが良いでしょう。

(3)寄り付き後

株式市場では寄り付いた後の数十分、つまり午前9時台がもっとも活発に取引される時間帯です。

デイトレードなら稼ぎ時と言えます。

凄腕のデイトレーダーも、「朝10時で仕事は終わり」という人が少なくないようです。

ただし、値動きが荒いということでもあります。

信用取引や価格の変動が激しい人気銘柄などリスクの高い取引をしている場合は注意が必要です。

一瞬で大金を稼ぐ可能性がある反面、失うこともあるのです。

4、寄り付きでの株価決定方法

寄り付き(および引け)と、ザラ場とでは価格が決まる仕組みに違いがあります。

前者は板寄せ方式、後者はザラ場方式です。

(1)ザラ場方式の寄り付き手順

ザラバ方式では、「時間優先の原則」と「価格優先の原則」に基づいて取引価格が決まります。

成り行き注文(価格を指定しない注文方法)はすぐに約定し、指し値注文(価格を指定する注文方法です。

「◯円以下なら買い、◯円以上なら売り」)は直近の取引価格に最も近いものから約定していきます。

①手順1

直近の取引価格(現在値)101円のA株に101円で600株、99円で100株の買い指し値注文をします。

102円で500株、102円で100株の売り指し値注文が入ります。

注文状況(板といいます)

売り数量 価格 買い数量
200 103
500 102
101(現在価格) 600
100 100

②手順2

成り行き売り注文が100株、出されました。現在価格である101円で約定します。

売り数量 価格 買い数量
200 103
500 102
101(現在価格) 500
100 100

③手順3

続いて成り行き買い注文が200株、出されました。

現在価格に最も近い102円で約定します。

売り数量 価格 買い数量
200 103
300 102(取引価格)
101 500
100 100

④手順4

指し値買い注文が103円で400株、出されました。

現在価格である102円で300株が約定し、同価格での売り注文がなくなります。

次に現在価格に最も近い103円で残りの100株が約定します。

売り数量 価格 買い数量
100 103(取引価格)
0 102
101 500
100 100

このようにしてザラ場の価格は動いていくのです。

(2)板寄せ方式の寄り付き手順

板寄せ方式では、指し値買い注文と指し値売り注文の数量のバランスがとれるところで仮の価格が決まります。

そして次のような順序で取引が成立し、ザラ場の例で一番上に掲げた図のような「板」ができあがります。

  • 成り行き注文はすべて約定する
  • 取引価格よりも高い指し値買い注文と、取引価格よりも低い指し値売り注文はすべて約定する
  • 取引価格の指し値買い注文と、指し値売り注文のどちらかがすべて約定する

時間優先の原則は適用されず、すべて同時にされた注文とみなして取引されます。

①手順1

前営業日の引け後以降の注文状況です。

すべて同時に注文されたとみなします。

売り数量累計 売り数量 価格 買い数量 買い数量累計
200 成り行き 300
3100 200 103 200 200
2900 500 102 2000 2200
2400 1000 101 600 2800
1400 300 100 100 2900
1100 200 99 800 3700
900 900 98 100 2700

②手順2

価格ごとに買い注文数量累計と売り注文数量累計のどちらが多いが比べていき、立場が入れ替わる101円と102円のどちらかが寄り付き値です。

仮に101円とします。

売り数量累計 売り数量 価格 買い数量 買い数量累計
1100 成り行き 1200
3100 200 103 200 200
2900 500 102 2000 2200
2400 1000 101(仮の寄り付き値 600 2800
1400 300 100 100 2900
1100 200 99 800 3700
900 900 98 100 2700

③手順3

まずは成り行き注文を成立させます。

成り行き同士、仮の寄り付き値とした101円で約定させます。

そうすると買い1200株-売り1100株=100株が余ってしまいます。

売り数量累計 売り数量 価格 買い数量 買い数量累計
0 成り行き 100
3100 200 103 200 200
2900 500 102 2000 2200
2400 1000 101(仮の寄り付き値) 600 2800
1400 300 100 100 2900
1100 200 99 800 3700
900 900 98 100 2700

④手順4

あまった100株の成り行き買い注文は、仮の約定価格である101円の売り注文と成立させます。

これで成り行き注文がすべてなくなりました。

売り数量累計 売り数量 価格 買い数量 買い数量累計
0 成り行き 0
3100 200 103 200 200
2900 500 102 2000 2200
2400 900 101(仮の寄り付き値) 600 2800
1400 300 100 100 2900
1100 200 99 800 3700
900 900 98 100 2700

⑤手順5

次に、101円よりも高い買い注文と、101円よりも低い売り注文を101円で約定させます。

売り数量累計 売り数量 価格 買い数量 買い数量累計
0 成り行き 0
3100 200 103 0 0
2900 500 102 0 0
2400 300 101(仮の寄り付き値) 600 600
0 0 100 100 700
0 0 99 800 1500
0 0 98 100 1600

⑥手順6

最後に、約定価格である101円に残った売り注文300株と買い注文600株をぶつけます。

600株-300株=300株の買い注文が残ります。

売り数量累計 売り数量 価格 買い数量 買い数量累計
700 200 103
500 500 102
0 101(寄り付き値) 300 300
100 100 400
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5、寄り付き情報をリアルタイムにチェック

寄り付きに関する情報をチェックするには、次のようなツールがあります。

先ほど少し触れた、リアルタイムに寄り付き前の板はネット証券各社で見ることができます。

楽天証券、SBI証券、マネックス証券などです。

投資情報配信サービスのロイターやトレーダーズ・ウェブでは、外資系証券会社の注文状況が配信されており、寄り付き前の市場全体の状況を確認できます。

まとめ

寄り付きとは一般的にその日で最初に行われる取引のことを言います。

交錯する多数の注文の中から価格が形成されるため、相場の節目となります。

寄り付き前の注文状況をリアルタイムで見たい人は、楽天証券、SBI証券、マネックス証券などのネット証券を利用するとよいでしょう。