株式投資における「利食い」とは?利食いすべき5つのタイミング

  • 2018年3月8日
  • 2021年10月15日

あなたは、株式投資をしていて、一番満足する瞬間はどんな時ですか?

将来に期待の持てる有望な株を見つけて、その株が期待どおり上昇を続けているのをみて満足していませんか。

確かに有望な株を買うことができれば、あとは株価が上がるのを待つだけです。

一見、簡単そうにも思えます。

しかし、株価が上がっても待っているだけでは利益は出ません。

そのままでは絵に描いた餅(含み益といいます)であり、その株を売り利益を手に入れる必要があるのです。

この「株を売って利益を現実に手に入れる(確定する)こと」を、「利食い(売り)」と言います。

この記事では、利食いとはなにか、利食いすべきタイミングはいつなのかを解説していきます。

1、利食いの意味を知ろう

利食いのタイミングが、株式投資で利益を出せるかどうかの重要なポイントです。

一番高いところで売れるのが理想ですが、それはほぼ不可能です。

なぜなら一般の投資家が、高値だと気づく頃には、もうその値段で株を買ってくれる投資家はいないからです。

買ってくれる人がいなくなれば、株価は下がります。

株価が下がればまた買う人も出てくるだろうと待っているうちに、ダラダラと下げ続け、含み益がなくなってしまうというのはよくある失敗です。

もちろん、あまりに早く利食いすると利益が少なくなってしまい、せっかく苦労して買った株を活かしきれません。

そこで重要となるのが、株を購入する前に「利食いのルール」を決めておくことです。

2、まずは、利食いのルールを決めましょう

株式投資で勝てない人の最大の特徴は、感情的に売買をしてしまうことです。

株式投資の基本は「利益は大きく・損失は小さく」です。

しかしこの基本を、感情的に売買する人は自分の都合のいいように解釈してしまいがちです。

利益を大きくしようとして、もうちょっと上がったら売ろうと欲を出しすぎて利食いのタイミングを逃してしまう。

あるいは損失を小さく抑えようと、想定外に株価が下がったにもかかわらず損失を確定せず、再び上がるのを待っている間に損失を拡大させてしまう。

その結果、利益は小さく・損失は大きくなってしまい、勝てないということになるのです。

これは、株価がどのくらい動いたら売るという「利食いのルール」(+「損切りルール」)を定めておくことで、ある程度は防ぐことができます。

どのような利食い(損切り)のルールを定めるかは人それぞれですが、一般的に目標とする値幅は、デイトレードなど短期の投資スタイルでは相対的に小さくなり、長期投資では相対的に大きくなります。

(1)「%」を基準とした利食い(損切り)

利食い(損切り)のルールとして、客観的に定めやすいのが、◯%上がったら(下がったら)利食い(損切り)するというルールです。

たとえば20%上がったら利食いするというルールを定めたのであれば、1,000円で買った株は1,200円になった段階で売ります。

1,200円で売るということは、その株を買う時点で決まっているため、買い注文と同時に指値で売り注文を入れておきます。

これで売買に感情が入り込む余地はなくなりました。

このとき、損切りの売り注文も逆指値の成行注文で同時に入れておきます。

利益は大きく・損失は小さくという基本のもと、損切りラインは、利食いラインの1/3以下というのが目安となります。

ただし底値で買えるということはほとんどないため、多少の下落は想定しておかなければなりません。

すぐに損切りに引っかかってしまわないために、ある程度の幅も必要です。

+20%で利食いするルールであれば、損切り水準は-5〜-7%程度が目安となります。

株価が損切りラインとして定めたパーセンテージと同程度上がってきた段階で、損切りラインを買値に引き上げるのも、損失を小さく抑える方法として有効です。

株価1,000円(購入)

  • 注文:売指値1,200円(+20%水準・利食いライン)
  • 注文:売逆指値950円(-5%水準・損切りライン)

↓ (株価上昇)

株価1,050円(+5%)

  • 注文:売指値1,200円(+20%水準・利食いライン)
  • 注文訂正:売逆指値1,000円(買値水準・損切りライン)

この方法をトレイリングストップと言います。

損切りラインが買値に設定されれば、成果がマイナスとなることはなく(手数料分を除く)、あとは利食いを狙うだけとなるため、精神的にも楽になります。

(2)トレイリングストップを使った利食い

このトレイリングストップを使った利食いの方法もあります。

この方法では、購入時に特定の利食いラインを定めず、損切りラインだけを設定しておき、株価が上昇するごとに損切りラインを切り上げていきます(買値水準を上回れば、利食いラインとなります)。

株価1,000円(購入)

  • 注文:売逆指値950円(-5%水準・損切りライン)

↓ (株価上昇)

株価1,050円(+5%)

  • 注文訂正1:売逆指値1,000円(買値水準・損切りライン)

↓ (株価上昇)

株価1,100円(+10%)

  • 注文訂正2:売逆指値1,050円(+5%水準・利食いライン)

この方法では、株価が強い上昇トレンドを形成した場合に大きな利益を得られる可能性が高くなります。

一方で上昇の勢いがそれほど強くなく、比較的大きな上下動を繰り返しながら上昇していく場合には、早い段階で利食いラインに引っかかってしまい利益を伸ばせない可能性も高くなります。

また株価が上がるごとに、注文を訂正していかなければならないという手間があり、注文を出すタイミングが遅れてしまって利食いがうまくいかないということもあります。

あらかじめ利食いラインを設定するか、トレイリングストップを用いるかは、上昇トレンドの強さなどに応じて、臨機応変に対応すべき部分と言えます。

(3)購入理由を基準とした利食い(損切り)

株を購入するには、その銘柄をその価格で買う理由があるはずです。

たとえば、PERやPBRといった指標から割安だと判断して購入したのであれば、その割安感がなくなる株価水準が利食いラインとなります。

もしなんとなく買うというのであれば、もう一度購入を考え直しましょう。

指標以外にもチャートの形状など理由は様々ですが、その理由がなくなった時が利食い(損切り)のタイミングとなります。

利食い(損切り)のルールは自分にあったものを用いればいいのですが、重要なのは、自分で決めたルールを破らないことです。

損切りラインを切り上げるという方法は、場合によっては有効ですが、間違っても最初に設定した損切りラインを下げるようなことはしないでください。

3、グランビルの法則4つの売りのタイミング

売買のタイミングを判断する方法として、グランビルの法則というものもあります。

この法則では、現在の株価と過去株価の平均値をグラフ化した「移動平均線」との位置関係によって買いなのか、売りなのかを判断します。

売り、買いのタイミングとして、それぞれ4つのポイント(シグナル)があります(図のA〜G)。

保有している銘柄のチャートに売りシグナル(図のE〜G)が現れた場合には、上昇から下落に転じる可能性が高くなるため、利食い売り検討しましょう。

(信用取引で売建(空売り)をしている場合には、買いシグナル(図のA〜D)が決済のタイミングとなります。

(参照:日本証券業協会

買いシグナル
A移動平均線が長期間下降あるいは横ばいで推移した後上昇に転じ、株価がその移動平均線を下から上へ抜ければ買い
B株価が移動平均線を下回っても、移動平均線が上昇している場合には、一時的な調整とみて買い
C移動平均線を上回る水準で停滞していた株価に上昇中の移動平均線が接近していったものの、株価が移動平均線を割り込むことなく再度上昇したときは買い
D下降中の移動平均線を株価が大きく下回って下落した場合、移動平均線の水準まで株価が自律反発する可能性が高い

 

売りシグナル
E上昇から横ばいあるいは下落に転じた移動平均線を株価が上から下へ割り込むと買い
F下降中の移動平均線を株価が下から上に抜けてもなお移動平均線の下降が続く場合には売り
G移動平均線を下回って推移する株価が、停滞あるいは上昇して下降中の移動平均線に接近したものの、移動平均線を上回ることなく再度下落したときは売り
H上昇中の移動平均線を株価が大きく上回って上昇した場合、移動平均線の水準まで自律反落する可能性が高い

4、株式市場全体の大きな流れの中から売りのタイミングを知る

株式相場には理由はよくわかりませんが、毎年同じ時期に同じような値動きをする傾向があります。これをアノマリーと言います。

アノマリーは論理的に説明できるものではありませんが、そのような傾向があることは多くの投資家が意識しています。

相場は投資家の心理が反映されるものであることから、アノマリー通りに動くだろうという心理が相場をアノマリーに沿った形に導いているとも言えます。

  • 日経平均株価のアノマリー

アノマリーは相場全体の傾向であり、必ずしも個別株の株価へ影響するものではありませんが、高値をつけやすい時期を利食いのタイミングの目安のひとつとすることはできます(長期投資向きの方法です)。

日経平均株価には、以下のようなアノマリーがみられます。

1月前半年末からの高値や手仕舞いした機関投資家など大口の投資家の買い戻しなどの影響で、高値をつけやすい。
2〜3月

(年度末)

2月に一旦落ち着いた後、3月の年度末・決算に向けて株価が上昇しやすい。
4〜5月GW年度末からの上昇が続き、4月は統計上最も上昇率が高い。GW頃は休場日が多く、値動きも荒くなりやすい。米国で有名な相場格言(Sell in May:5月に売れ)の影響か、5月を高値に相場は下げやすくなる。
6〜9月6月以降は夏枯れ相場ともいわれ閑散期に入る。出来高は小さく、株価も軟調に推移する傾向。お盆休みや海外のバカンスシーズンの影響が考えられる。9月は統計上世界的に株価が落ち込みやすい。
10〜12月バカンス明け、機関投資家などの買いで株価が持ち直す。ただし日経平均採用銘柄の入れ替えやファンドの決算期にあたる10〜11月は損益確定の売りも入りやすくなる。その後クリスマス・年末に向け相場は上げやすい。

5、気配値(板)から売りのタイミングを知る

これはデイトレなど短期投資において使える方法ですが、気配値(板)からも、売りのタイミングを図ることができます。

気配値(板)からは、各価格帯における注文の多さ(板の厚さ)を知ることができます。

値上がりを狙っている場合には厚い売り注文は抵抗となり、この抵抗を超えなければ株価が反落しやすくなります。

そのため、厚い売り注文のある手前の価格が売りのタイミングとなります。

ただし、厚い売り注文を超えることができた場合には、株価の上昇が加速することもあります。

複数単元を保有しているのであれば、株価上昇の勢いなどをみながら、段階的に売り注文を出すなど、徐々に利食いを進めていくとよいでしょう。

画像では、節目である220.0円の売りが厚く、その上の売りは薄くなっているので220.0円の売りを超えれば株価上昇が加速する可能性もあることがわかります。

6、成長株と割安株の売りのタイミングを知る

数ヶ月〜数年単位で株を保有する中長期投資における、主流ともいえるのが「成長株(グロース株)投資」「割安株(バリュー株)投資」です。

(1)成長株の売りのタイミング

成長株は、革新的なビジョンや技術などをもち、将来的に業績・企業価値の成長が期待できる銘柄のことを言います。

成長株の売りのタイミングは、その企業や業界の成長の終わりが見え始めたときだと言えます。

株価は将来の期待を織り込んで動くため、業績が低下し始めた時にはすでに株価は下がっています。

そのため利食いのタイミングを図るには、業績「予想」の段階で判断しなければなりません。

これまで順調に伸びていた業績の伸びが鈍化した場合には、売りを検討します。

(2)割安株の売りのタイミング

割安株は、企業本来の価値に比べ株価が割安なまま放置されている銘柄のことです。

割安株の売りのタイミングは、株価が割安ではなくなったとき、つまり株価がその企業本来の価値を正しく反映した価格まで上がったときです。

割安かどうかを判断する指標としてはPERやPBRなどがありますが、購入時に用いた判断基準が、割安性を示さなくなった場合には売りを検討します。

(例:特に問題は見当たらないにも関わらず予想PERが10倍(同業他社の予想PERは20倍)の株を購入。その後株価が上昇し、予想PERが20倍に近づいたタイミングで売却。)

7、わかりやすい!株主優待株の売りタイミングを知る

特徴的な値動きをするものとしては、株主優待株があります。

特に人気の優待株では、権利確定日の1〜2ヶ月前から株価が上昇し始め、権利落ち日(権利確定日の翌営業日)に下落するということが起こります。

株主優待をもらうというのも投資の楽しみ方のひとつですが、やっぱり現金主義というのであれば、この値動きを利用して利益を出すことを狙えます。

  • 買いのタイミング 権利落ち日〜1週間程・権利確定日の3ヶ月程前
  • 売りのタイミング 権利確定日前1ヶ月程前

マックスバリュ東海は2月権利確定の、人気優待株です。

2月末の権利確定日前に高値をつけ、その後株価が下落するというパターンの値動きが確認できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

株式投資においては購入する銘柄選びだけでなく、その株を売り利益を確定させる「利食い」のタイミングがポイントとなります。

特に株式投資で勝てない原因のひとつである「感情的」な売買を、あらかじめ利食いのルールを定め、それに従って売買を行うことで防ぐことが重要です。

自分にあった利食いのルールとタイミングを見つけ、株式投資の成功をより確実なものとしていきましょう。