投資信託の分配金とは?あり・なしの違い&分配金利回りランキングTOP10

投資信託には「分配金あり」と「分配金なし」の2種類があります。投資信託を選ぶとき、どちらを選ぶべきか迷いやすいところです。

さらに、分配金ありの投資信託を選んだら、今度は分配金利回りが気になりますよね。どの商品に投資すれば効率良く多くの分配金を受け取れるのか気になっている方も多いでしょう。

 

この記事では、投資信託の分配金「あり」と「なし」の2種類について、仕組みやメリット・デメリットを解説します。分配金利回りが高い投資信託や、投資信託の他に分配金を受け取れる商品を紹介するので、投資の参考にしてもらえれば幸いです。

投資信託は分配金「あり」「なし」の2種類

投資信託は、資産運用によって利益を出す投資商品です。投資信託には分配金ありとなしの2種類のコースがあり、これらは利益をどのように投資家に還元するかが異なります

「分配金あり」の投資信託では、運用で得られた利益の一部または全部を、投資家に支払います。預金における利息と似たようなイメージで、定期的に分配金が投資家の口座に支払われます。

 

一方、「分配金なし」の投資信託では、運用で得られた利益は投資家に支払わずに、再投資されます。元本だけでなく利益を再投資することで資産を急成長させられるため、分配金は支払われないものの、投資家の資産を増やすことで利益を還元しています。

分配金あり・なしどちらの投資信託にも、メリットとデメリットがあります。前提の知識となる分配金ありの投資信託について仕組みを解説した上で、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしていきます。

投資信託の分配金が支払われる仕組み

投資信託の分配金には、「普通分配金」と「元本払戻金」(特別分配金)の2種類があります。これらは意味がまったく異なるため、違いに注意して理解しておいてください。

普通分配金

普通分配金は、投資信託の運用で得られた「利益の一部」から支払われる分配金です。運用で利益を多く出せている投資信託は、分配金も多い傾向があります。

投資信託の利益であるため、所得税・住民税の課税対象となります。

元本払戻金(特別分配金)

元本払戻金は、投資家が投資した「元本の一部」を払い戻すための分配金です。投資の「利益」を還元しているわけではない点に注意しましょう。

運用で利益が出ていない投資信託なのに分配金を潤沢に支払っている場合、元本払戻金を多くしている傾向があります。

 

別名「特別分配金」と呼ばれるので、普通分配金よりも良さそうな印象を受けるかもしれません。しかし、元本を払い戻しているだけであり、投資信託の利益とは関係ない分配金であることを押さえておきましょう。

また、元本払戻金は非課税です。「利益」ではなく「元本」であるため、課税の対象外なのです。

「分配金あり」の投資信託のメリット

「分配金あり」の投資信託のメリットは、次の2点です。定期的に利益を現金で受け取れる特徴ゆえのメリットです。

  1. 定期的な収入を得られる
  2. 利益を確保できる

それぞれについて詳しく解説していきますね。

メリット1:定期的な収入を得られる

分配金ありの投資信託なら、定期的な収入を得ることができます。決算を迎えると、運用による利益が勝手に自分の口座に振り込まれるからです。

そのため、不労所得を作る目的で分配金ありの投資信託を購入する投資家は多くいます。分配金が生計を立てるための収入になるからです。

メリット2:利益を確保できる

分配金ありの投資信託であれば、売買しなくても利益を確保できます

一方で、分配金なしの投資信託の場合、売却したときに利益が確定します。買ってから売るまでの間に値上がりして利益が出ていても、売った段階でマイナスになっていたら損失になります。

その点、分配ありの投資信託では利益を分配金としてもらえるため、最終的に損となるリスクが低いメリットがあります。

「分配金あり」の投資信託のデメリット

分配金ありの投資信託のデメリットは、次の2点です。分配金をもらわない方が得というケースもあるため、デメリットもしっかりと押さえておきましょう。

  1. 元本が払い戻されるだけのことがある
  2. 分配金に税金がかかる

デメリット1:元本が払い戻されるだけのことがある

上述したように、投資信託の分配金には「普通分配金」と「元本払戻金」の2種類があります。普通分配金が少なく元本払戻金が多い場合のように、分配金ありの投資信託でも元本が払い戻されるだけのことがあります

元本払戻金は利益ではなく元本の返却なので、あまり喜ばしいものではありません。利益だと思って無駄づかいすると、投資に回すべき資産を消費してしまいます。

 

分配金をぜいたくに消費に回していたけど、実はほとんど元本払戻金で儲かっていないのにぜいたくをしていた……と後でわかるケースもあります。

通常、分配金を受け取るときは、普通分配金がいくら、元本払戻金がいくらと計算され、合計の金額が振り込まれます。2種類の分配金の内訳については書面で開示されるので、よく確認しましょう。

デメリット2:分配金に税金がかかる

普通分配金は利益の還元なので、所得税や住民税がかかります。普通分配金の約20パーセントが税金として徴収されるため、投資家が受け取れる利益は少なくなることを覚えておきましょう。

投資信託の商品を探す場合も、税金が徴収されることを念頭に置いておきましょう。

 

証券会社のホームページなどで大きく書かれている利回りは、税引き前の利回りであることが多いです。その利回りを信じてしまうと、税引き後に実際に受け取れる分配金が少なく感じられるでしょう。

「予定していたより利益が少ない」とがっかりしないよう、普通分配金からは税金が徴収されることを覚えておきましょう。

「分配金なし」の投資信託のメリット

分配金なしの投資信託にも、メリットはあります。次の2点を紹介していくので、しっかりと覚えておいてくださいね。

  1. 複利効果で資産が増える
  2. 長期の資産形成に向いている

メリット1:複利効果で資産が増える

分配金なしの投資信託では、投資で得られた利益を同じ商品に再投資します。利益を元本に組み入れられるため、利益が利益を生んで資産をどんどん増やすことができるのです。

利益が利益を生む効果を「複利効果」と呼び、分配金なしの投資信託では複利効果で資産を増やすことが前提になっています。分配金として利益を受け取ることはできませんが、分配金ありの投資信託よりも資産総額は大きくなることが期待できます。

メリット2:長期の資産形成に向いている

複利効果は期間が長いほど威力を発揮するため、分配金なしの投資信託は長期の資産形成に向いています。分配金ありの投資信託でも、受け取った分配金で投資信託を購入すれば、再投資したのと同じ効果を得られます。

とはいえ、自分で買い付けすることは手間ですし、分配金なしの投資信託ならこの作業を自動的にやってくれるものだと捉えることができます。長期の投資で分配金再投資が前提なら、分配金なしの投資信託の方が向いているでしょう。

分配金なしの投資信託のデメリット

分配金なしの投資信託にも、デメリットがあります。デメリットとして押さえておきたいのは、次の2点です。

  1. 売却するまで利益が得られない
  2. 不労所得にはならない

デメリット1:売却するまで利益が得られない

分配金なしの投資信託で利益が確定するのは、売却したタイミングです。保有している間にどれだけのプラス状態であっても、売却するときにマイナスになっていたら、投資の成果はマイナスということになります。

利益が得られるかどうか売却するまでわからないことは、分配金なしの投資信託のデメリットだと言えます。コツコツと着実に利益を現金に変えたいなら、分配金ありの投資信託の方がおすすめです。

デメリット2:不労所得にはならない

投資をする目的の一つに不労所得を作ることがあげられますが、分配金なしの投資信託は不労所得になりません。投資信託を保有している間、分配金など現金の収入を生まないからです。

不労所得を目的に投資をするなら、分配金ありの投資信託がおすすめです。年金の代わりや早期リタイア後の生活費などを、分配金でまかなうことができます。

分配金が受け取れる他の投資方法

分配金を受け取れる投資方法は、投資信託の他にもあります。次の3つを紹介していきますので、投資信託と比較してどちらの方が自分に合っているのか検討してみてください。

  1. ETF(上場投資信託)
  2. REIT(不動産投資信託)
  3. 株式投資

投資方法1:ETF(上場投資信託)

ETF(イーティーエフ)は「上場投資信託」のことで投資信託の仲間ですが、証券取引所で売買できるという特徴があります。

ETFの分配金利回りは3パーセントから5パーセントほどです。投資信託よりも経費が低く抑えられており、投資信託よりも高利回りの傾向があります。

 

ETFのメリットは、投資信託と同様でプロに運用を任せられる点です。投資信託よりも高利回りが期待できることも嬉しいところです。

一方、ETFのデメリットは、好きな金額での買い付けができないことです。ETFは、一口いくらと決まった価格で証券取引所を介して売買します。そのため、投資信託のように100円や1,000円など自分が好きな金額分だけ買うということができません。

 

また、証券取引所に売買注文を出す必要がある点も、初心者にとっては難しく感じられるかもしれません。ですが、投資信託とほとんど同じ商品性なのに、経費が低く高い分配金利回りを得られることは大きなメリットです。

ETFに投資し、投資の初心者を抜け出しても良いでしょう。

投資方法2:REIT(不動産投資信託)

REIT(リート)は「不動産投資信託」のことで、ETFの不動産投資バージョンと思ってください。REITも証券取引所で売買します。

REITの分配金利回りは4パーセントから6パーセントほどが平均で、この記事で紹介する投資方法の中で最も高いです。

 

REITのメリットは、投資信託と同様でプロに運用を任せられることです。その上、分配金利回りが高いため、分配金による不労所得で生計を立てたい投資家に人気の商品です。

REITのデメリットは、大きな値上がりが期待できない点です。REIT自体は株式や投資信託と異なり、あまり値上がりせず価格はほとんど一定のことが多いです。

 

値上がりが限定的とはいえ、REITは分配金利回りが高く魅力的な商品です。他の投資方法で4パーセントから6パーセントの分配金利回りを実現することは難しいため、分配金狙いの投資家におすすめの投資方法です。

投資方法3:株式投資

株式投資は、投資家が株式を買うことでお金を企業に出資する投資方法です。企業はそのお金で事業を行って利益を出し、投資家に「配当金」という形で利益の一部を還元します。

株式の場合、「分配金」ではなく「配当金」という名前に変わります。

株式投資の配当金利回りは、0パーセントから4パーセントが目安です。企業によっては配当金を実施していないことがあるため、下限は0パーセントとなります。

 

株式投資のメリットは、配当金の他に「株主優待」を受け取れることです。一部の企業では、株主優待の制度が導入されており、企業の自社製品や割引券などをもらうことができます。

株主優待の中にはクオカードや商品券などお金に換算しやすいものもあり、実質的な配当金利回りを上げることができます。

 

株式投資のデメリットは、銘柄分析を自力で行わなければならないことです。投資する銘柄を決めるときは、配当金利回りの高さや株主優待の内容だけでなく、企業の事業の将来性を評価しなければなりません。

倒産せず、長きにわたって利益を出し続ける企業に投資するためには知識が必要で、誰にでもすすめられる簡単な投資方法ではありません。

 

投資信託やETF、REITへの投資を通して投資に慣れてきた中級者の方は、株式投資に挑戦してみてはいかがでしょうか?株式投資は配当金だけでなく値上がり益も期待できるので、大きくお金を増やすチャンスをつかめるかもしれません。

分配金利回りが高い投資信託ランキング

最後に、分配金利回りが高い投資信託を具体的に紹介していきます。利回りが高い順に10個を表にしたので、投資の参考にしてください。

なお、利回りや分配金、基準価額などのデータは2020年1月15日時点のものです。SBI証券ホームページから取得しています。

ファンド名基準価額年間分配金累計分配金利回り決算頻度
日興-中華圏株式ファンド(毎月分配型) (愛称:チャイワン)2,674円600円25.73%毎月
One-新光グローバル・ハイイールド債券ファンド トルコリラコース3,709円960円25.15%毎月
明治安田-明治安田米国リート・インカム・プレミアム・ファンド(毎月決算型) (愛称:スリーピース)3,837円840円22.39%毎月
三菱UFJ国際-三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択ロシアルーブル 毎月 (愛称:スマートスター)4,235円840円20.5%毎月
ニッセイ-ニッセイ世界リートオープン(毎月決算型)4,950円1,44020.3%毎月
ニッセイ-ニッセイ豪州ハイ・インカム株式ファンド(毎月決算型) (愛称:ラッキー・カントリー)4,782円1,200円19.85%毎月
ニッセイ-ニッセイオーストラリア高配当株ファンド(毎月決算型)3,628円1,020円19.84%毎月
大和-ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)4,963円960円19.72%毎月
日興-オーストラリア・インカム株式ファンド(毎月分配型) (愛称:ピンクダイヤモンド)6,624円1,200円18.78%毎月
アムンディ-アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコリラコース)2,658円480円18.73%毎月

上表の分配金利回りが高い投資信託を見ると、中国などの新興国への投資や、オーストラリアの高配当株式への投資が見られます。トルコリラやロシアルーブルなど、マイナー通貨で利益を出すことを狙っているものも見られます。

いずれも高利回りを追求したハイリスクな商品が並んでいる印象です。リスクを取った運用が今のところ上手くいっており、高い利回りを稼げていると解釈できます。

ただし、今後も同じ分配金利回りをキープできるとは限らないことは、投資する前に理解していただければと思います。

 

この中で比較的安定していると考えられるのは、先進国を含む世界のリート(不動産投資信託)とオーストラリア株式と考えられます。新興国の株式や通貨への投資より市場が安定しており、比較的低リスクの運用ができるでしょう。

まとめ

投資信託の分配金について解説しました。分配金あり・なしどちらの商品でも、メリットやデメリットがあることがおわかりいただけたでしょう。

分配金ありの投資信託を選ぶなら、商品選びの際に分配金利回りも気にしてみてください。商品によって、分配金利回りは低いものから高いものまでさまざまです。

投資信託の他にも、分配金をもらえる投資方法はあります。この記事でも紹介したとおりなので、自分に最も合った商品を探す手助けになれば幸いです。

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