『空売り比率50.8%』ヘッジファンドと空売り比率の関係

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日経平均株価が600円以上下落して終わった2018年10月23日。東京証券取引所の空売り比率は50.8%と過去最高を更新しました。

一般的に40%を超えると高水準とされる東証の空売り比率は、10月に入り全営業日で40%を上回る状況が続いています。

この記事では空売り比率とはどのようなものか、また空売りを利用してリスクを回避しながら利益をあげるヘッジファンドと空売り比率の関係について解説していきます。

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1、空売り比率とは

空売り比率とは、「1日の売り注文全体の売買代金に占める空売りの売買代金の合計」のことで、東証では「空売り集計」として日々公表しています(通常当日夕方頃更新)。

空売り比率(%)=(空売り売買代金)÷(売り注文合計売買代金)×100

出所:日本取引所グループHP

東証の集計では「価格規制あり」と「価格規制なし」という2つの区分に分けて公表され、価格規制ありの対象となる投資家は、直前の取引価格より高い値段でしか売り注文が出せません。

空売り(価格規制あり):主に機関投資家・ヘッジファンド

空売り(価格規制なし):主に個人投資家

一般的に空売り比率という場合には、この2つの区分を合計した空売り売買代金が売り注文全体の売買代金に占める比率を指します。

2013年以降信用取引の証拠金規制が緩和され、同じ証拠金を使って「信用売り→買戻し」を何度でも行えるようになった影響で、空売り比率は大きく上昇し、短期筋による『日計り売買(*)』なども、空売り比率が高める要因となっています(*日計り売買(商い):空売りした当日に買い戻して利益を確定する取引)。

空売り(信用取引の売り)は一定期間内に買い戻す必要があり、信用売り残が増加すれば将来一定の買い戻し(ショートカバー)が期待できます。

しかし日計り商いが多いと空売り比率は高まるものの、信用売り残は増加せず、空売り比率が高い状態が続いても、その後買い戻しによる株価上昇が期待できるとは言えません。

ショートカバーを期待するのであれば、信用売り残の増減もあわせて確認すべきです。

2、空売り比率で相場を読む

以下の表は、直近30営業日の日経平均株価およびTOPIXと空売り比率から相関係数を計算したものです。

(1)日経平均・TOPIXと空売り比率の相関関係

これをみると日経平均株価およびTOPIXと空売り比率の相関係数は、-0.65〜-0.64とやや強い逆相関がみられ、空売り比率が上昇すると株価が下落するという関係があると言えます。

また価格規制ありの空売り比率(主に機関投資家・ヘッジファンドの空売り)に比べ、価格規制なしの空売り比率(主に個人投資家の空売り)と株価の相関は弱く、機関投資家やヘッジファンドの空売りが株価により強く影響していることなどもわかります。

日経平均株価終値 TOPIX終値 空売り比率 空売り比率
(価格規制あり)
空売り比率
(価格規制なし)
2018-09-11 22,664.69 1,698.91 44.0 37.1 6.9
2018-09-12 22,604.61 1,691.32 44.4 38.2 6.2
2018-09-13 22,821.32 1,710.02 39.6 33.7 5.9
2018-09-14 23,094.67 1,728.61 39.4 29.0 10.4
2018-09-18 23,420.54 1,759.88 38.2 33.0 5.2
2018-09-19 23,672.52 1,785.66 37.9 32.4 5.5
2018-09-20 23,674.93 1,787.6 39.8 33.5 6.3
2018-09-21 23,869.93 1,804.02 35.2 29.8 5.4
2018-09-25 23,940.26 1,822.44 41.1 32.2 8.9
2018-09-26 24,033.79 1,821.67 39.2 33.2 6.0
2018-09-27 23,796.74 1,800.11 42.0 36.7 5.3
2018-09-28 24,120.04 1,817.25 39.2 33.7 5.5
2018-10-01 24,245.76 1,817.96 41.5 36.2 5.3
2018-10-02 24,270.62 1,824.03 44.5 36.0 8.5
2018-10-03 24,110.96 1,802.73 44.4 38.5 5.9
2018-10-04 23,975.62 1,801.19 42.7 37.0 5.7
2018-10-05 23,783.72 1,792.65 44.7 37.9 6.8
2018-10-09 23,469.39 1,761.12 44.0 39.0 5.0
2018-10-10 23,506.04 1,763.86 43.7 37.9 5.8
2018-10-11 22,590.86 1,701.86 45.2 37.7 7.5
2018-10-12 22,694.66 1,702.45 44.4 35.4 9.0
2018-10-15 22,271.30 1,675.44 48.2 39.4 8.8
2018-10-16 22,549.24 1,687.91 45.0 38.0 7.0
2018-10-17 22,841.12 1,713.87 43.1 37.2 5.9
2018-10-18 22,658.16 1,704.64 45.6 40.1 5.5
2018-10-19 22,532.08 1,692.85 48.0 41.6 6.4
2018-10-22 22,614.82 1,695.31 47.6 41.6 6.0
2018-10-23 22,010.78 1,650.72 50.8 42.6 8.2
2018-10-24 22,091.18 1,652.07 44.9 39.7 5.2
2018-10-25 21,268.73 1,600.92 47.7 40.8 6.9
相関係数(日経平均株価) -0.64 -0.57 -0.23
相関係数(TOPIX) -0.65 -0.59 -0.22

空売り比率 日経平均比較チャート

左軸:日経平均株価(円) 右軸:空売り比率(%)

出所:空売り比率 日経平均比較チャート

(2)空売り比率のセオリーで相場を読む

一般的には空売り比率の高まりは、短期的に株価が下落すると予想する投資家の増加を示唆するものとされ、上昇相場では過熱感からの反落、下落相場では下落の加速に注意が必要とされます。

ただ最近は空売り比率が高止まったまま株価が上昇していくケースも増え、これまでのセオリーが通用しにくくなってきています。

これは相場の不透明感から短期志向が強まり、細かい値動きから利益を狙うヘッジファンドなどの売り仕掛けや、警戒感からポジションを長く持てない個人投資家の日計り売買の増加が要因と考えられています。

また空売り比率にはすでに手仕舞った取引もカウントされるため、空売り比率が高まったからといって、必ずしも売りポジションが多く残っているとは限らず、空売り→買い戻し(ショートカバー)→株価上昇というセオリーが成り立つかは、信用売り残の増減などもあわせて確認すべきです。

とはいえ、空売り比率の変化が、相場に対する投資家の短期的な見通しを知る手がかりとなることには変わりありません。

一般的に情報の早い機関投資家やヘッジファンドに比べ、個人投資家の動きは遅れます。

そのため空売り比率が高いまま株価が大きく下落している場合、価格規制ありの空売り比率(主に機関投資家・ヘッジファンドの空売り)が低下し、価格規制なしの空売り比率(主に個人投資家の空売り)が上昇したときには、短期的に底を打ち、株価が切り返す傾向がみられます。

(機関投資家やヘッジファンドの売り→株価大幅下落→個人投資家の投げ売り→底打ち→機関投資家やヘッジファンドのショートカバーの流れ)

このように空売り比率の内訳の変化にも相場を読むヒントがあります。

3、ヘッジファンドと空売り比率の関係

(1)ヘッジファンドと空売り比率

ヘッジファンドはリスクを回避する方法として、また相場状況に関わらず絶対的な収益をあげる方法として、空売りを積極的に利用しています。

価格規制ありの空売り比率(主に機関投資家・ヘッジファンドの空売り)が低下する一方、価格規制なしの空売り比率(主に個人投資家の空売り)が上昇した後株価が底打ちする傾向は、機関投資家やヘッジファンドの売り→株価大幅下落→個人投資家の投げ売り→株価底打ち→機関投資家やヘッジファンドのショートカバーという一連の流れによるとの見方ができます。

個人投資家は目先の値動きに左右されやすい傾向があり、ヘッジファンドの売りで株価が下落すると、それを追うように株を売ることでさらに下落を加速させます。

売らずに持ちこたえていたロングの投資家も、損失に耐えきれず損切りや投げ売りに動き、株価の底がみえてきます。

ヘッジファンドはそこですかさず買い戻し、下げと上げの両方で利益を上げているのです。

空売り比率が急上昇した局面では、ヘッジファンドが株安を見越して売りに動いた可能性があり、株価の急落に警戒が必要となります。

警戒感から一般の投資家が追従すればヘッジファンドの思惑通りとなり、下手に持ちこたえようとすれば、圧倒的に資金力に差があるヘッジファンドの追加売りによって、さらに損失が拡大するリスクが高くなる状況です。

このように、ヘッジファンドは下落局面においても有利に戦いを進めています。

(2)個人投資家とバリュー投資

では一般の投資家はどうすればいいのか。

そのひとつの方法が、目先の値動きに囚われず、企業本来の価値を基準に投資を行うバリュー投資です。

バリュー投資では、企業本来の価値よりも株価が割安な銘柄に長期的なスタンスで投資を行います。

そのため企業本来の価値が損なわれていない限り、相場の急落で優良株の株価が下がれば、買いを入れる絶好のチャンスとなります。

著名投資家ウォーレン・バフェット氏も実践するバリュー投資は、安定した運用成果をあげる多くのファンドにも取り入れられており、下値リスクの小さいバリュー投資や、空売りを効果的に用いてリスクを抑えることが、先行きの不透明な相場でも高い収益をあげ続けるポイントと言えます。

4、安定して高い運用成績をあげるファンドと投資会社

ここでは空売りやバリュー投資を効果的に用い、安定して高い運用成果をあげているファンドと投資会社をご紹介します。

公式サイト:M&S

(1)M&S

M&Sは日本株をメインとしてバリュー投資を行う、日本の独立系の投資会社です。

企業の手掛ける事業の優位性や将来性、保有資産を徹底的に分析し、企業本来の価値と現在の企業価値(市場における時価総額)との間に乖離のある銘柄を見出し、中長期的なスタンスで投資が行われています。

運用マネジャー及び社員には外資系金融機関出身者などが多く在籍し、アクティビスト(物言う株主)としても活動しており、企業に積極的に働きかけを行うことによって、市場との乖離がなくなるのを待つだけでなく、企業価値向上と株主利益の最大化を自らの手ですすめていることが特徴です。

2016年の設立以降、ファンドは毎四半期プラスの投資成果を出しており、2016年の年間利回りは45.26%、2017年には同27.06%と驚異的な運用成果をあげています。

 

(2)Bridgewater Associates

公式サイト:Bridgewater Associates

Bridgewater Associates(ブリッジウォーター・アソシエイツ)は、レイ・ダリオ(Ray Dalio)氏(現共同最高投資責任者)が創業した、世界最大のヘッジファンドです。

本拠は米国で、年金基金、慈善団体、財団、外国政府、中央銀行などの機関投資家をクライアントに抱え、グローバルマクロ投資を行っています。

今年2月には欧州株の主要銘柄に対し、2週間で216.5億ドル(約2.3兆円)のショートポジションを積み上げたことで、市場に衝撃を与えました。

同月には日本株もショートに転じています。

また6月には「2019年は危険な節目に向かう」として、ほぼ全ての金融資産について弱気に見ていることを顧客向け文書で示しました。

好調を続けていた株式市場は2019年を待たず陰りが見え始め、直近の急落は投資家の不安は高まっています。

果たしてその警告通りとなるのか、今後の動向も気になるところです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

信用取引のルール改正や、投資家の短期志向が強まった影響などにより、最近は空売り比率が高くなる傾向にあります。

それによって、従来のセオリーが通用しないケースも増加しています。ただ、空売り比率が、相場に対する投資家の短期的な見通しを知る手がかりとなることには変わりありません。

また先行きの不透明な相場で利益をあげるためには、相場見通しを予想することもそうですが、目先の値動きに惑わされず、企業本来の価値を基準に投資することも重要なポイントと言えます。

空売り比率を相場で読むひとつのツールとして正しく理解し、役立てていただければ幸いです。

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