エコノミストの調査で、日本株に投資する投資信託の利回りは、アクティブ運用がパッシブ運用を上回っていることが分かりました。2009年から2018年のパフォーマンスを比べると、パッシブ運用の年平均利回りは7.2%だったのに対し、アクティブ運用では9.5%だったのです。
「初心者はとりあえずパッシブ運用で」といった風潮があるものの、この調査結果を知ったらアクティブ運用しないのは損に感じられますよね。確かにアクティブ運用は上級者向けですが、上手に使えば利回りをアップさせられます。
この記事では、次の内容を解説していきます。
- 投資信託におけるアクティブ運用とは何か
- アクティブ運用とパッシブ運用の比較
- アクティブ運用の投資信託を選ぶときのポイント
投資の利回りアップのためにも、アクティブ運用について理解を深めていきましょう。
投資信託のアクティブ運用とは?
アクティブ運用とは、目安の指標を上回る成果を目指す投資方法です。目安の指標とは、例えば日経平均株価やTOPIXなどのことです。
これらは、多くの株式を集めて株価を平均化した指標です。指標は「インデックス」とも呼ばれています。
指標を上回るパフォーマンスを出せれば、「市場平均より上手く運用できた」と言い換えられます。日経平均株価などと同程度の利回りで良いならアクティブ運用を行う必要はありませんが、もっと良い利回りを求めるならアクティブ運用の必要があります。
アクティブ運用の投資信託なら、投資家が「大化けする銘柄」を探す必要はありません。ファンドマネージャーを中心に、投資信託の運用会社が市場や銘柄の分析を行い投資家の資産を運用してくれるからです。
アクティブ運用の特徴
アクティブ運用の特徴は、次の5つにまとめられます。それぞれの項目について詳しくみていきましょう。
- 市場平均を上回る利益を狙える
- ファンドマネージャーに運用を託す
- テーマを決めて投資できる
- 手数料が高い
- ファンド数が多い
特徴1:市場平均を上回る利益を狙える
先ほど説明したように、アクティブ運用が目指すのは「市場平均を上回ること」です。市場全体が落ち込んで市場平均がマイナスになっているときでも、アクティブ運用ならプラスにできる可能性があります。
気をつけなければならないのは、アクティブ運用だからといって「必ず市場平均を上回る」とは限らないことです。市場平均と同程度、または下回る成果になることもあり得ます。
あくまでも「市場平均を上回ることを目指す」のがアクティブ運用です。
特徴2:ファンドマネージャーに運用を託す
投資信託は、運用のプロに投資家の資産を託す商品です。信頼できるファンドマネージャーにアクティブ運用を任せられるので、投資の初心者でも高利回りを狙えることが特徴です。
投資初心者でも、市場や銘柄を分析して投資してくれるファンドマネージャーの知恵と経験を活かした投資の恩恵を受けられることがアクティブ運用の最大のメリットでしょう。
特徴3:テーマを決めて投資できる
アクティブ運用なら、AIやロボット、仮想通貨、5Gのように「伸び代が大きい業界」にテーマを絞って投資することができます。これらの「市場平均を上回って値上がりしそうな銘柄」に集中的に投資できることがアクティブ運用の魅力の一つです。
逆に、「値上がりする見込みがない銘柄」に投資しなくて良いこともアクティブ運用でテーマを絞るメリットです。市場平均は値下がりする銘柄も含んで計算されますが、アクティブ運用で値下がりする銘柄を上手く避けられれば、市場平均より良い投資成果を残せます。
特徴4:手数料が高い
投資信託は運用のプロに資産運用を託す商品なので、対価として手数料を支払います。パッシブ運用の投資信託に比べると、アクティブ運用は手数料が高いのが玉に瑕です。
手数料が高いと、その分利益が少なくなってしまうので、投資家にとっては損となります。
アクティブ運用の手数料の目安は1%から2%ほどです。パッシブ運用だと、1%を下回る投資信託もあるので、比較すると手数料が高く感じられるでしょう。
特徴5:ファンド数が多い
アクティブ運用は、パッシブ運用よりも種類が豊富です。パッシブ運用は限られた種類の指標に連動する商品しかないのに対して、アクティブ運用はファンドマネージャーの方針次第でさまざまな商品を作れるため、当然種類が多くなるのです。
値上がりしそうな会社に投資をしたり割安で放置されている株式を買って値上がり益を狙ったり、投資信託によって方針はさまざまです。多様な商品の中から投資家は共感できる方針のファンドを選べます。
投資信託のパッシブ運用とは?
アクティブ運用の反対に当たるのが「パッシブ運用」です。パッシブ運用の特徴は、主に次の3点です。
- インデックスに連動する
- 手数料が低い
- 利回りは高くならない
なお、パッシブ運用についてはこちらで詳しく解説しています。
アクティブ運用とパッシブ運用の比較・違い
アクティブ運用とパッシブ運用の特徴について紹介したので、次は両者を比べてみましょう。基本的には、次のような関係にまとめられます。
- アクティブ運用は上級者向け、パッシブ運用は初心者向け
- アクティブ運用はハイリスク・ハイリターン、パッシブ運用はローリスク・ローリターン
アクティブ運用は上級者向け
まず、アクティブ運用は上級者向けの商品です。初心者の方はパッシブ運用から始めて、慣れてきたらアクティブ運用にチャレンジしてみることをおすすめします。
アクティブ運用はファンドマネージャーが投資方針を決めるので、中には複雑な商品もあります。運用会社から公開される投資信託についてのレポートを読むことは、投資に慣れてきた中級者以上でないと難しいでしょう。
リターンを追求するならアクティブ運用
パッシブ運用は市場平均と同じパフォーマンスを目指しますが、アクティブ運用は「市場平均を上回る」パフォーマンスを目指します。すなわち、高利回りを追求するならアクティブ運用に投資するべきです。
冒頭でも紹介したように、日本株ならアクティブ運用の方がパッシブ運用よりも高い利回りを実現できています。
ただし、高利回りの投資は同時にリスクも高くなることを意味します。全財産をアクティブ運用に投じるのはリスクを取りすぎてしまう可能性があるため、資産の一部をアクティブ運用するのがおすすめです。リスクを下げながらも、アクティブ運用を部分的に活用して利回りを上げることができます。
アクティブ運用を選ぶときの確認ポイント
最後に、アクティブ運用に投資をする前に確認するべき項目について解説しましょう。
投資信託を買う前に見るべきなのは、利回りだけではありません!次の3点について、しっかりと確認してください。
- 投資信託の目標と投資先
- 手数料・信託報酬
- 純資産の金額と変化
ポイント1:投資信託の目標と投資先
まず、アクティブ運用が何を目指して何に投資しているのかについて確認しましょう。例えば、「今後の株価の上昇を見込んで仮想通貨の関連銘柄に投資している」といった情報を調べます。
自分もその投資信託の目標や投資先に共感できるなら投資を検討していきましょう。
一方で、「仮想通貨が流行ったのは少し前のことだから、これからはあまり値上がりしないのでは?」といったように、投資方針に納得できないこともあるはず。自分が納得できない投資信託には、いくら高利回りであっても投資しない方が賢明です。投資での損得は自己責任です。
投資の目標や投資先に関する情報は、証券会社のホームページで投資信託を調べたとき、「概要」などの項目に書いてあることが多いです。より詳しく知りたい場合は、「運用レポート」などの資料を読むと良いでしょう。
ポイント2:手数料・信託報酬
アクティブ運用は信託報酬が高い傾向があるので、調べて納得した上で購入しましょう。
アクティブ運用の場合、信託報酬は1%から2%に落ち着くことが多いです。2%を超える場合は信託報酬が高い部類に入るので、それだけのコストを支払ってでも投資したいかよく考えましょう。
アクティブ運用の中でも人気がある銘柄の信託報酬は次のとおりです。いずれも1%から2%に収まっており、アクティブ運用の信託報酬としては適正な範囲です。
ポイント3:純資産の金額と変化
最後に、純資産の金額とその変化を調べましょう。純資産額は多いほど良く、変化は右肩上がりが望ましいです。
まず、純資産額は投資家から預かった資産全体のことです。投資できる資産の規模が小さいと、アクティブ運用が掲げる方針どおりの投資が難しくなることがあり、繰り上げ償還されるケースがあるのです。長く運用してもらうためにも、純資産額が大きいファンドを選びましょう。
また、純資産の規模が十分であっても、右肩下がりで資産が減っている投資信託は要注意です。資産が流出し続ければ規模が小さくなるため、運用を続けられなくなって繰り上げ償還される可能性が高まります。
投資信託 | 信託報酬 |
---|---|
ひふみプラス | 1.0584% |
SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ | 1.836% |
スパークス・新・国際優良日本株ファンド | 1.7712% |
マネックス・日本成長株ファンド | 1.47% |
まとめ
アクティブ運用の意味と、投資する際の選ぶポイントについて解説しました。アクティブ運用は市場平均を上回るパフォーマンスを目指す投資信託で、高利回りを目指すなら持っておきたいファンドです。
自分が納得できる投資方針のファンドを、適正な信託報酬で保有するのがベストです。投資の利回りを上げるためにも、アクティブ運用への投資を検討してみてはいかがでしょうか?