新元号銘柄は今が仕込み時!経済効果で盛り上がる10銘柄

天皇陛下の生前退位のご意向を受け、議論を重ねてきた退位日について、2019年(平成31年)4月30日とすることが正式に閣議決定されました。

これに伴い現在の「平成」という元号も同日で幕を閉じ、5月1日からは新元号へと切り替わることとなります。

元号の変更は国民生活にも影響を与えるとともに、株式市場では印刷物の差し替えなど、関連業界に特需をもたらし、新元号を祝うご祝儀相場による相場の盛り上がりなども期待されます。

今回は、新元号への改元によって株式相場にどのような影響があるのか解説し、改元に関連して盛り上がりの期待できる銘柄をご紹介していきます。

1、新元号はどうやって決まる?

元号は「元号法」によって①政令で定めること、②皇位の継承があった場合に限り改めること(一世一元の制)とされています。

新元号は、有識者により選定されたいくつかの候補を、内閣官房長官などが精査した後、全閣僚が参加する閣議によって最終決定されます。

どのような元号とするのかについては、具体的に法律で規定されてはいないものの、現在では以下のような条件を満たすものとされています。

  • 国家、国民の理想を象徴する意味を持つものであること
  • 読み書きしやすい平易なものであること
  • これまでに元号として用いられていないものであること
  • 俗用されていないものでないこと
  • 漢字2字であること

改元が決まったことで次の元号が何になるのか、新元号についてはさまざま予想がされています。

平成までに247の元号がありますが、採用された字はわずか72字です。

そのうち21字は10回以上採用されており、縁起がよく元号として用いられやすい字には偏りがあります。

これまでに元号に用いられた漢字(使用回数)
永(29) 元,天(27) 治(21) 応(20) 正,長,文,和(19) 安(17) 延,暦(16) 寛,徳,保(15) 承(14) 仁(13) 嘉,平(12) 康,宝(10) 久,慶,建(9) 享,弘,貞(8) 明,禄(7) 大(6) 亀(5) 寿,万(4) 化,観,喜,神,政,中,養(3) 雲,護(2) 乾,感,吉,亨,興,景,衡,国,斎,至,字,朱,授,勝,昌,昭,祥,成,泰,鳥,禎,同,銅,白,武,福,霊,老,祚,雉(1)

また明治以降の元号は、ローマ字表記のアルファベットの頭文字をとった「M(明治)・T(大正)・S(昭和)・H(平成)」という表記が定着しており、新元号はローマ字表記した際にこれらと重複しないものとなると予想されています。

2、昭和から平成にかわったとき

昭和から平成へ変わった前回の改元時、どのような経済効果があり、どのような銘柄が動いたのでしょうか。

(1)株式市場は急騰

1989年1月7日(土曜日)、昭和天皇崩御のニュースが伝わると、テレビCMを始め、歌番組やドラマ、バラエティなどのエンタメ番組は軒並み放送中止となり、日本全国に自粛の動きが全国に広がりました。

しかし常に先を見て動く株式市場では、自粛明け後の経済波及効果を期待したとみられる買いによって、週明け9日の日経平均株価は469円高の急騰、崩御後の1週間で1,088円高(3.6%高)の大幅上昇となりました。

(2)印刷関連など新元号関連銘柄が買われた

テレビ局がエンタメ番組の放送を自粛した影響でレンタルビデオ店の貸し出しが通常の4〜5倍となるなど、昭和天皇崩御による影響はさまざまな企業に及んでいます。

特に改元によって印刷物の差し替えなどの特需が見込まれた、印刷関連銘柄(印刷・紙パルプ・インク)は大きく買われました。

3、新元号に変わることによる影響は?

(1)元号の切り替えによる国民生活や関連企業への影響

前回の改元は天皇崩御に伴うものであり、崩御当日1月7日に「平成」という新元号が公表され、翌8日から「平成」が始まりました。

生前退位となる今回は、新元号の公表を本来の2019年5月1日から前倒し、“早期”とする予定となっています。

しかし公表の時期については、「改元までに間が空きすぎると盛り上がりに欠く」といった意見や皇室行事などとの兼ね合いなどから、当初の予定よりもどんどん後ろにズレ込んでおり、現在のところ「改元の1ヶ月前」(2018年5月17日関係省庁連絡会議)とする方針で調整がなされています。

改元前日の公表となった前回に比べ、1ヶ月前であれば確かに“早期”ではあるものの、準備期間としては十分とはいえず、システムや印刷物の変更などによって、行政機関や民間企業で混乱が生じ、国民生活に影響を与える恐れもあります。

運転免許証の有効期限は、改元に先立って来春にも西暦表記に統一される方針が決定しているほか、他の行政機関でもシステムを西暦で統一することや、移行措置として改元後も「平成」を継続使用することなども検討されています。

(改元までに間が空きすぎると盛り上がりに欠くといいながら、元号を使わないあるいは改元後も元の元号を使い続けるというのでは、やや本末転倒な感じはしますが…)

また新天皇が即位する5月1日と「即位礼正殿の儀」が行われる10月22日を、その年1回限りの祝日とすることが検討されており、正式に決定されれば祝日法の定めにより、祝日と祝日に挟まれる4月30日と5月2日が休日となります。

そうなると4月27日(土)〜5月6日(月)まで10連休となり、大きな経済効果が期待されます。

一方、2018年10月末時点でまだ正式決定されておらず、来年分のカレンダーや手帳の印刷が間に合わないという問題が生じています。

カレンダー業界では、全国カレンダー出版協同組合連合会(JCAL・宮﨑安弘会長)が定める指針の下で、業界全体の記載方法を統一することで対応し、社会への影響を最小限にするための努力がなされています。

出所:2019年版カレンダーにおける未定日の表記について・全国カレンダー出版協同組合連合会

(2)「平成○○」の商標リスク

商標権は登録者が登録した商標の使用を独占し、他人の使用を排除できる権利であり、特許庁に最も早く出願した者に権利が認められることになっています。

現在「平成」は元号として使用されているため、商標登録ができませんが、改元によって「平成」が現行の元号でなくなれば、「平成」あるいは「平成〇〇」といった商標を登録することが制度上可能になります。

そうなると、「平成〇〇」というさまざまな商標をすぐさま登録する者が現れ、その商標を社名や商品名として使用している企業に対し、その権利を買い取るよう求めてきたり、商標を使用するためのライセンス料を請求されるリスクがあります。

長年使用している名称は、信用などの面から簡単には変えられない場合も多く、やむなくそのような請求に応じなければならない事態も想定されます。

会社名に「平成」を含む企業は、2018年3月時点で1,270社(東京商工リサーチ調査)、中には同一名称の会社も多く存在しており、混乱が起こる可能性があります。

(3)印刷業界への特需

ペーパーレス化が進んではいるものの、行政機関や銀行などでは依然多くの書類が使用されており、前回の改元時と同様に、改元に伴う書類の差し替えによる特需から印刷業界には恩恵が期待されます。

以前、生前退位が決定したタイミングには、特需への思惑から印刷関連銘柄の株価が上昇しています。

(4)「平成」関連ビジネスへの特需

夏には「平成最後の夏」というフレーズが流行り、「平成最後だから…」とお財布の紐も緩んで、さまざまなイベントや商品などの消費の盛り上がりが期待できます。

たとえば、音楽配信の普及により衰退しているCD業界があります。

安室奈美恵のベストアルバムは、発売2ヶ月で200万枚のダブルミリオンを記録しました。

2000年代のラブソングを中心に収録されたコンピレーションアルバム『ラブとポップ ~好きだった人を思い出す歌がある~ mixed by DJ和』は、発売から15ヶ月を経てオリコン・アルバム・デイリー・ランキング(2018年10月28日付)で1位を獲得し、オリコン62週連続TOP30入りのCD史上最大ロングヒットを記録しました。

これらはもちろん安室奈美恵自身や収録曲の人気によるものでしょう。

しかし、音楽配信が主流となる中でもこれらのCDが売れる背景には、CDという“モノ”の魅力もあると言えます。

1996年に発売され爆発的ヒットを記録した『たまごっち』。

それは今、スマホアプリゲームに形を変え、再び人気を集めています。

CDのような「懐かしさ」「エモさ」「愛着」を感じさせる“モノ”の魅力で、形を変えて受け継がれる“コンテンツ”の魅力があります。

「平成」がまもなく幕を閉じようとするなか、それらはますます人々を魅了しています。

4、まちぶせ買いしたい!注目される新元号関連銘柄10選

改元による恩恵が期待される銘柄は、生前退位が決定されたタイミングで思惑買いによって株価の上昇がみられました。

このように株価には、改元の影響は織り込まれていると考えることもできます。

しかし、退位や新元号の公表などについては未確定の部分もあり、関連するニュースが出れば思惑買いで関連銘柄が動意づく可能性もあります。

ここでは、動意づく前にまちぶせ買いを狙える新元号関連銘柄をご紹介します。

(1)東京機械製作所(6335)

東京機械製作所(6335)株価
(2018/10/30終値)
398円
日本最初の新聞輪転機メーカー。新聞発行部数の低下で業績低迷が続き株価はさえない。しかし新元号関連のニュースをきっかけに急騰する場面もあり、関連銘柄として要注目といえる。
 

(2)日本金銭機械(6418)

日本金銭機械(6418)株価
(2018/10/30終値)
1,063円
ATMや券売機など紙幣識別機や硬貨計数機などの貨幣処理機大手。改元による紙幣や貨幣の変更に伴う更新需要により、新元号関連銘柄として物色される可能性がある。カジノ関連銘柄としも注目。
 

(3)グローリー(6457)

グローリー(6457)株価
(2018/10/30終値)
2,596円
国内の金融機関向けを中心に、硬貨・紙幣処理機で国内シェア5割強を占める。改元による紙幣や貨幣の変更に伴う更新需要により、新元号関連銘柄として物色される可能性がある。
 

(4)光陽社(7946)

光陽社(7946)株価
(2018/10/30終値)
1,665円
オフセット印刷用写真製版の大手。オンデマンド、高品質印刷に強みを持ち、印刷物差し替えに伴う関連銘柄として注目。時価総額約22億円(2018年10月末時点)の小型株であり、動意づくと値は軽い。
 

(5)光村印刷(7916)

光村印刷(7916)株価
(2018/10/30終値)
2,298円
商業印刷・ビジネスフォーム、新聞受託などを手掛ける中堅印刷会社。重要印刷物の偽造防止技術に関する特許を持ち、行政機関や金融機関などの書類差し替えなどによる特需も期待される。
 

(6)野崎印刷紙業(7919)

野崎印刷紙業(7919)株価
(2018/10/30終値)
427円
包装資材や紙器・紙工品の大手。プリンタ、タグ・ラベルなども手掛ける。改元による印刷物差し替え需要期待。無人レジ関連銘柄(ICタグ)としても注目。
 

(7)カワセコンピュータサプライ(7851)

カワセコンピュータサプライ(7851)株価
(2018/10/30終値)
373円
商業印刷のほか、請求書等の印字などの情報処理、さらには発送作業の受託までを手掛け、金融関連の取引に強みを持つ。改元を控えて受注がしているが、改元後の特需も期待される。
 

(8)共立印刷(7838)

共立印刷(7838)株価
(2018/10/30終値)
257円
商業印刷・出版印刷(情報誌等)を手掛ける中堅印刷会社。現在はDMなどオンデマンド印刷を強化。出版不況よる部数落ち込みや大口顧客の発注減少で苦戦。PBR1倍割れまで株価も落ち込んでおり、割安感から新元号関連銘柄として物色される可能性がある。
 

(9)凸版印刷(7911)

凸版印刷(7911)株価
(2018/10/30終値)
1,581円
印刷業界2強の一角。印刷技術をベースに液晶・半導体部材関連や包装資材等に展開する。株価指標では割安感があり、新元号関連のニュースで印刷業界に注目が集まれば、物色される可能性がある。
 

(10)ナカバヤシ(7987)

ナカバヤシ(7987)株価
(2018/10/30終値)
621円
アルバム、図書館製本の最大手。商業印刷や文房具,機密文書細断サービスなども手掛ける。印刷物差し替えによる印刷・破棄書類の細断処理の増加による需要増が期待できる。
 

(チャート:SBI証券)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の改元は生前退位という形で行われるため、自粛といったことはなく、今上天皇の退位、新天皇の即位、新元号を祝うムードに包まれることが予想され、株式市場ではご祝儀相場も大いに期待できます。

新元号に関連した銘柄にはすでに何度か物色が見られており、株価への織り込みも進んでいるものと考えられます。

しかし依然未確定な部分もあり、今後も新元号に関連したニュースが出ると動意づく可能性は十分にあります。

新元号公表まであと少し。関連銘柄は今が仕込み時と言えるでしょう。