安定した職業である公務員でも、お金の不安を抱えている方は多いでしょう。そんな方におすすめしたいのが、投資です。
公務員は副業が禁止されているので、収益源が限られます。副業に当たらない投資なら公務員でもできるので、資産形成のために活用していきましょう。
この記事では、公務員も投資を始めるべき理由や、投資をする上で気をつけるべきポイントについて解説しました。おすすめの投資商品・おすすめできない投資商品も解説したので、ぜひご参考ください。
公務員も投資を始めるべき理由
勤務先が安定しており、リストラされにくく安定した収入が得られるのが公務員のメリットです。しかし、給料が少ないなどのお金の悩みを抱えていませんか?
その悩みは、投資を始めれば解決するかもしれません。
この項目では、公務員も投資を始めるべき理由を3つ解説していきます。投資をするとどんな悩みが解決するのかご理解いただければと思います。
理由1:定期預金ではお金が増えない
給料の一部を貯金している人は、銀行預金に預けていることが多いでしょう。銀行預金ではほとんど利息がつかず、預けていても増えないことはご存知だと思います。
ですが、投資なら預金よりも高い利回りで運用することができます。
銀行預金だと高利回りと言われて人気のある定期預金でも、最高で0.02パーセント程度の金利です。しかし、投資なら1パーセントから5パーセント程度の利回りが期待できます。
この利回りの違いがどれくらいの差になるのか、100万円を預金した場合と投資した場合とで比較してみましょう。
金利0.02パーセントの定期預金の場合、1年で200円しか利息はもらえません。一方、投資の利回りを1パーセントと見積もった場合、1年で1万円の利益が出るのです。投資で「利回り1パーセント」は低めに想定したので、実際はもっと大きな利益を狙うことも可能です。
1年預けて200円しか儲からない銀行預金と、1万円以上の利益が狙える投資。この後で解説するように投資にもデメリットがあるので、期待できる利益だけで比較することはできませんが、投資のほうがお金を増やせる可能性が高いことをご理解いただければと思います。
理由2:給料を補う不労所得を作る
公務員の方でも、「もう少し給料が高ければ良いのに」と悩んでいる方は多いと思います。収入を増やすならアルバイトやUber Eats(ウーバーイーツ)などの副業が一般的ですが、公務員は副業が厳しく禁止されているので、副業を始めることはできません。
公務員にもできる副収入と言えば「投資」です。投資は企業などに出資して利益の一部をもらうことで利益を出すので、「お金に働いてもらう方法」とも言われます。つまり、公務員であるあなたが副業をするのではなく、余剰資金に働いてもらうというわけです。
投資をするためのお金は必要ですが、分配金や配当金などで定期的な不労所得を得られるようになります。副業ができない公務員にとっては貴重な収入源ですし、家計も助かることでしょう。
理由3:老後のために資産を作る
2019年に話題となった「老後2,000万円問題」をご存知でしょうか?「95歳まで夫婦でゆとりある生活を送るためには、年金以外に毎月5万円ほどの資金があると良い」という金融庁のレポートが基になったものです。
毎月5万円を取り崩して生活するためには、定年退職時に2,000万円の資産が必要だということで「老後2,000万円問題」と呼ばれるようになりました。
実際に必要な金額は人によって異なるため、2,000万円より多く必要な人もいればもっと少なくて大丈夫な人もいるでしょう。ですが、年金だけではギリギリの生活になってしまうことは否めないので、老後のために多かれ少なかれ資産形成をしていかなければなりません。
貯金だけでも資産形成することは可能ですが、貯金することすらままならない公務員の世帯も多いでしょう。銀行預金よりも高い利回りが期待できる投資も上手く使うことで、効率良く資産形成ができます。
実際、老後2,000万円に触発されて若い世代でも投資を始める人が増えています。
公務員は投資しても良い?禁止?
結論からお伝えすれば、公務員も投資はできます。ただし、一定の規模以下と制限されていたり、所属する部署や職種によってルールが異なったりします。
副業禁止規定や各部署のルールに触れない範囲での投資ならできるので、ルールを確認してから始めましょう。
副業禁止規定に触れなければOK
公務員には厳しい副業禁止規定がありますが、これに触れない範囲での投資なら問題ありません。
副業禁止規定に触れてしまうと、懲戒処分の対象になる可能性が高いです。投資をしたために仕事を失っては元も子もないので、必ず副業にならない範囲に留めましょう。
基本的に、株式や投資信託、債券、FXといった金融資産への投資は副業に該当しません。ただし、不動産投資は明確に制限されています。
副業にならない不動産投資の規模は、一戸建ての物件に投資する場合は5棟以下、マンションやアパートなら10室以下です。さらに、年間の不動産投資の利益が500万円以下である必要があります。
細かくは職種・部署によって異なる
上記が基本的なルールですが、細かい規定は職種や部署によって異なります。投資をする前に、職場のルールを確認しておきましょう。
一般公開されていない重要な情報に基づいて有利に株式を取引することをインサイダー取引と言います。公務員だけでなくすべての投資家に禁じられていることで、投資でズルをできないように禁じられているのです。公務員の場合、部署によっては企業の秘密を知る機会が多いこともあるので、副業禁止規定より厳しい取引制限のルールが課されていることがあります。
このように、職種や部署によって細かい禁止規定があるかもしれません。また、株式はダメでも投資信託や債券はOKということも考えられます。
各自で職場のルールを確認し、できる範囲で投資を始めましょう。
申請や承認が必要なケースがある
副業禁止規定や職場のルールで認められない規模の投資でも、申請すれば承認される場合もあります。レアケースですが、相続によって不動産や金融資産を受け継いだ場合がそれに当たります。
例えば、親から不動産を相続して、それが上記の副業禁止規定を超える規模だったとしましょう。そのまま不動産経営を続けるなら、職場に申請を行う必要があります。
省庁や役所としても、「大規模な不動産を相続したから」という理由で解雇することは基本的にはできません。本人も、相続しただけで仕事を辞めるなんて不服でしょう。
このように、相続の場合はある意味で仕方ないと捉えられるため、規模が大きくても認められるケースが多いです。
公務員が投資する際の注意点
制限付きではありますが、公務員でも投資をすることはできるとわかりました。しかし、もう少し気をつけていただきたい「公務員ならでは」の注意点があります。
以下に説明する3つのポイントも理解した上で、投資で効率良く資産形成していきましょう。
- 本業に専念する
- インサイダー情報を基に取引しない
- 投資していることを言いふらさない
注意点1:本業に専念する
公務員の方は本業に専念し、投資に手間をかけないようにしましょう。公務員は国や地域に奉仕するべきとの原則があるので、これに背くと昇進できないどころか懲戒処分になってしまう可能性すらあるのです。
株式投資やFXは禁止されていないので、やっている公務員の方もいます。ですが、株式やFXは日中も時々刻々と価格が動くので、仕事中も価格が気になって仕方がなくなってしまう人がいます。
取引に熱中して価格が気になる人や、知らぬ間に損をしていないか怖くて気になる人などさまざまですが、本業に支障をきたすほど頭の中が投資のことだらけになってしまってはいけません。トイレに行くと装ってスマホで株価をチェックする人もいますが、あまり頻繁にトイレに行くと怪しまれますよ。
いくら禁止されていないとはいえ、本業に支障が出るくらい投資に熱中してしまうと、昇進のチャンスを逃したり、上司や部下からの信頼を失ったりします。本業で評価されなくなっては本末転倒なので、仕事はきちんとして、余力で投資をしていきましょう。
注意点2:インサイダー情報を基に取引しない
インサイダー情報は一般公開されていない企業の情報です。インサイダー情報を知っていると投資で有利に取引できるので、これを知った上での取引は法律で禁止されています。
経済産業省に務める公務員は特許情報にアクセスできるため、株式投資が禁止されています。経済産業省だけでなく、インサイダー情報に触れる部署では取引が禁止されていると思いますので、職場のルールを調べてから取引を始めましょう。
また、インサイダー情報に触れない部署の公務員でも、インサイダー情報を偶然耳にしてしまった場合は、取引を自粛しましょう。公正な取引を心がけてください。
注意点3:投資していることを言いふらさない
公務員あるあるでよく耳にするのが、投資していることを職場の人に知られてしまい、嫉妬の対象になって仕事に支障をきたしているといったケースです。噂には尾ひれがつくもので、実際は少ししか儲けがないのに「あの人は給料以上のお金を投資で儲けている」など大げさに伝わってしまうこともしばしばです。
さらに尾ひれがついて「副業をしている」などの噂を流されたら、副業禁止に触れていないか調査される可能性もありますし、たまったものではありません。
本来、投資は悪いことではないので周囲に知られても問題はありません。ですが、嫉妬の対象になると仕事がやりにくくなりますし、嫌がらせを受けることもあります。
できれば職場の人には投資をしていることを知られないようにしたほうが無難です。公務員にもさまざまな職場がありますが、風通しの悪い旧態依然とした環境にいる方も多いと思いますので、気をつけましょう。
なお、職場の人に投資をしていることが知られる原因で一番多いのが、「自分から言いふらしてしまうこと」です。少し儲かるとウキウキして同僚にポロッと話してしまう人が多く、そこから尾ひれがついて噂が広まっていくようです。
儲かると嬉しくて言いたくなる気持ちはわかりますが、職場で自慢することはやめておきましょう。
公務員におすすめの投資方法
公務員向けに投資をするべき理由や注意点を解説してきました。ここからは、具体的にどんな商品がおすすめなのか解説していきましょう。
公務員におすすめなのは、手間がかからず本業の妨げにならない投資方法です。これから解説する5つの投資方法には手間がかからない共通点があるので、詳しくお伝えしていきましょう。
- 国債
- 外貨預金
- 投資信託
- 不動産投資
- 長期の株式投資
おすすめ1:国債
国債は、国にお金を貸して利息をもらう投資方法です。満期と予定利息があらかじめ決められており、ほとんどの場合は予定通りに運用されます。
国債が公務員に向いている理由は、価格変動がないからです。運用中に資産が増えたり減ったりしないので、「価格が気になって仕事が手につかない!」となることはありません。
国債のメリットは、低リスクに運用できることです。国への投資なので、日本など先進国の国債であれば基本的には予定通りの満期・利息でお金を受け取ることができます。
一方、国債のデメリットは利回りが低いことです。日本の国債だと1パーセント弱となっており、銀行預金よりはマシといった程度の利回りです。
リスクが低いので、リターンも低くなっています。
国債は価格変動がないので、公務員の方も仕事に集中しながら投資ができます。リスクが低いので、これから投資を始める人が最初にやってみるのにぴったりの商品でしょう。
おすすめ2:外貨預金
外貨預金は、海外の通貨で預金することです。米ドルの預金だと1パーセントから2パーセント程度の金利なので、日本の定期預金金利の0.02パーセント程度よりもはるかに高い利回りが期待できます。
外貨預金が公務員におすすめなのは、銀行の口座さえ持っていればできるからです。多くの投資商品は証券会社の口座を開設しないと投資できないので口座開設の手間がかかり、忙しい人にとっては煩わしいでしょう。
利回りが高い運用を試してみたいのであれば、まずは銀行口座でできる外貨預金を試してみると良いでしょう。
外貨預金のメリットは、商品がわかりやすいことです。外貨ではあるものの、預金なので馴染みある円の預金とほぼ同じです。
お金が必要になったらすぐに引き出すことができます。
外貨預金のデメリットは、為替変動リスクがあることです。預け入れたときより円高になると、損失が出るかもしれません。ただし、為替が円安に動けば高金利と為替変動の利益を二重取りすることができます。
外貨預金はその名の通り外貨で行う預金で、わかりやすいことが特徴です。銀行口座でできる運用方法なので、まだ証券口座を開設していない人は、外貨預金から始めても良いかもしれません。
おすすめ3:投資信託
投資信託は、大勢の投資家の資金を投資会社が預かって、代わりにプロのトレーダーが運用する商品です。株式や債券などで運用されますが、銘柄選びや実際の運用などはプロがやってくれるので、投資の知識がない初心者でも気軽に始めることができます。
投資信託が公務員におすすめなのは、プロに運用を任せられるため投資家は本業に集中できるからです。投資に労力を割かなくて良いので、副業ができない公務員にぴったりの商品です。
投資信託のメリットは、プロが運用してくれることに加え、インターネット証券会社なら100円から始められることです。投資に興味があるものの怖さを感じている人でも、100円なら気軽に試せるでしょう。
投資信託のデメリットは、プロに任せるため手数料がかかることです。手数料の分、利回りは低くなって1パーセントから3パーセント程度となります。
プロに任せられる投資信託は、本業が忙しい公務員でもできる投資です。少額から始められるので、試してみてはいかがでしょうか。
おすすめ4:不動産投資
不動産投資は、賃貸のマンションなどを買って入居者から家賃をもらう投資方法です。公務員にも不動産投資がおすすめなのは、家賃の回収や新規入居者の募集などの仕事は管理会社に任せることができ、ほとんど放置で投資ができるからです。
不動産投資のメリットは、収入が安定しやすいことです。一度入居した人は数年間住み続けると考えられるため、その間の家賃収入は安定します。
不動産投資のデメリットは、公務員だと投資できる上限が決まっていることです。500万円を超える収益を生む投資はできないなどの規定があるため、投資できる規模が限られます。
副業禁止規定に触れない範囲で投資するなら、不動産投資は公務員にもおすすめです。実務は管理会社に委託できるので、本業に集中しつつ安定した副収入を得られるからです。
おすすめ5:長期の株式投資
株式投資は、企業にお金を出資する代わりに、利益の一部を投資家がもらう投資方法です。配当金として利益を還元してもらえます。
株式投資が公務員におすすめなのは、将来性のある銘柄を長期保有するだけなら手間がかからないからです。短期で売買することは大変ですが、一度買ってそのまま保有しておく長期投資なら仕事が忙しい人でもできるでしょう。
株式投資のメリットは、一部の銘柄では株主優待がもらえることです。長期保有している株主には特典を増やしている企業もあるので、長期保有と株式は相性が良いです。
株式投資のデメリットは、銘柄選びが難しいことです。企業の業績などから将来性を判断しなければならず、初心者には難しいかもしれません。
なお、インサイダー取引はしないように気をつけてください。過去には公務員が株式のインサイダー取引で逮捕されたこともありますよ。
公務員におすすめできない投資方法
上記で公務員におすすめの投資方法を解説しましたが、おすすめできない投資方法もあります。手間がかかるものや日中に価格が気になってしまうタイプの投資方法は、本業の妨げになるのでおすすめできません。
これから紹介する3つの投資方法はおすすめできないので、できれば手を出さないほうが無難でしょう。
- 短期の株式投資
- FX
- 仮想通貨
おすすめでない1:短期の株式投資
おすすめの項目でも解説した株式投資ですが、短期で取引するのはおすすめできません。
具体的には、1日から数日で売買を繰り返し、安く買って高く売った差額を儲けとする投資方法です。デイトレードと呼ばれる投資方法が含まれます。
短期の株式投資だと、日中の証券取引所が開いている時間帯に取引しなければなりません。平日9時00分から11時30分、12時30分から15時00分なので、多くの公務員の方は働いている最中のはずです。
短期取引の場合、この時間帯に値動きを見極めて取引する必要があるので、本業に集中できなくなってしまうでしょう。
有名な投資家の中には、デイトレードで数億円もの資産を築いた人もいるので、憧れる方も多いとは思います。
確かに、上手く取引すれば1年で資産を2倍に増やせることもあるほど高利回りで、魅力的ではあります。ですが、本業に集中するべき公務員におすすめできる投資方法ではありません。
また、デイトレードで儲けを出すのはとても難しいです。一握りプロのトレーダーが資産を2倍、3倍と増やしていく一方で、ほとんどのトレーダーはマイナスの利回りで資産を減らしているのです。
高い利回りが期待できる分、リスクも非常に高いのでおすすめできません。
おすすめでない2:FX
FXは為替相場の値動きを利用し、外国の通貨を安く買って高く売ることで差額を儲けとする投資方法です。短期の株式投資と同様、1日から数日の間に売買を繰り返します。
FXは海外の市場が開いていれば取引できるので、平日の夜でも取引することができます。日中は我慢して公務員の仕事をして、夜にFXで儲けるというライフスタイルも可能でしょう。
ですが、本業に集中しなければならない公務員に、夜間のFXの取引をすすめることはできません。睡眠時間を削ってFXをやると、日中の仕事に支障が出やすいからです。
また、短期の株式投資と同様にFXも難易度が高い投資方法です。プラスになるのは一部の上級者だけで、ほとんどのFXトレーダーは平均利回りマイナス5パーセントと言われていることからも、おすすめできない投資方法です。
おすすめでない3:仮想通貨
仮想通貨で儲ける仕組みは、FXとほとんど同じです。例えば、円とビットコインの相場が変動するため、ビットコインを安く買って高く売ることで差額の円が儲けとなります。
仮想通貨は土日も市場が開いていて取引できるメリットがあります。ですが、休日まで仮想通貨の取引を頑張ってしまうと、仕事の疲れが取れずに出勤することになってしまいます。
本業に支障が出るかもしれないので、おすすめできません。
また、仮想通貨は株式やFXよりも値動きが大きいです。1日で10パーセント程度変動することもよくあります。
そのため、仕事の最中でも仮想通貨が暴落していないか気になってしまい、仕事が手につかなくなってしまうかもしれません。
これらの理由から、仮想通貨のように「投資家の労力がかかる」投資方法はおすすめできません。公務員の方は、片手間で放置できる投資方法で利益を出しましょう。
節税のために利用したい制度
投資で得られた利益の約20パーセントは、税金として徴収されます。ですが、iDeCoやNISA、つみたてNISAといった制度を使うと利益が非課税となり、節税することができます。
ただし、利用できる上限などが決まっており、無限に使える制度ではありません。詳しくはこちらの記事をご覧いただき、節税できる制度を活用していきましょう。
まとめ
公務員の方に向けて、投資をするべき理由や注意点、おすすめの商品とおすすめできない商品について解説してきました。投資に関心を持っていただくことができましたでしょうか?
投資は元本保証ではないため、リスクのある運用方法です。しかし、預金よりもハイペースでお金を増やすことができます。
副業禁止規定に触れない範囲で投資して、不労所得を得たり将来の資産を形成していただければと思います。