将来の資産について不安に感じており、資産運用を始めようと思っている方も多いのではないでしょうか?また、1,000万円ものまとまった資金を運用する先について悩んでいるという方もいるでしょう。
現在、資産運用で注目されているサービスとして「WealthNavi(ウェルスナビ)」があります。ウェルスナビは、ロボアドバイザーによる資産運用を行ってくれるサービスで、投資初心者の方でも始めやすいことが特徴です。今回は、ウェルスナビで1,000万円を運用した場合どのくらいの利益が期待できるのか、手数料や各種注意点について解説していきます。
WealthNavi(ウェルスナビ)とは
WealthNavi(ウェルスナビ)とは、日本国内で26万人以上が利用しているロボアドバイザーです。厳選された7つのETF(上場投資信託)を利用し、全世界約50ヶ国の11,000もの銘柄に自動で分散投資し、株式だけでなく、債券や不動産、金などに適切に投資してくれる仕組みです。
自分で投資信託を利用する場合、株式や債券などの投資割合(ポートフォリオ)を自分で決める必要がありますが、ウェルスナビの場合は自動でポートフォリオを作成してくれます。また、状況に応じてポートフォリオのバランスを調整(リバランス)してくれるため、常に最適な分散投資が可能です。
そもそもロボアドバイザーとは?
ロボアドバイザー(ロボアド)とは、人工知能(AI)による自動的な投資運用やポートフォリオ、投資の提案をしてくれるサービスのことです。実際の運用や投資商品はAIが提案、運用を行ってくれるので、投資にかけられる時間が少ない方や、どうやって運用したら良いかわからない方におすすめのサービスです。
投資信託やファンドラップとは異なり、運用に対して人件費がかからないため運用のコストが抑えられることが特徴です。ウェルスナビの場合は、投資の運用やポートフォリオの組み方をすべて自動で行ってくれるため手間がかかりません。
ウェルスナビのポートフォリオ
ウェルスナビでは、自分のリスクの許容度に応じた最適なポートフォリオを作成してくれます。預けた資産は投資商品に運用されます。そのため、必ず利益が出るというものではなく、リターンに応じたリスクも考えられます。
ウェルスナビでは、リスクをできる限り抑えつつ、リターンを最大化できるように一人ひとりのリスク許容度に合わせた最適なポートフォリオを提供しています。
最適なポートフォリオとは、同じリスクの中で、最もリターンが高いもののことをいいます。例えば、下記の表のようにリスクが2%のポートフォリオの中で、リターンが1%、2%、3%のものがあった際には、3%のポートフォリオを作成し運用します。
ポートフォリオ | リスク | リターン |
---|---|---|
ポートフォリオA | 2% | 1% |
ポートフォリオB | 2% | 2% |
ポートフォリオC | 2% | 3% |
自分でポートフォリオを作成する場合には、上記のようなポートフォリオをそれぞれ比較して最適なものを選択する必要があります。ウェルスナビでは、リスクの許容度内で最もリターンの良い運用にしてくれるため、投資家は運用先を考える必要がないというメリットがあります。
ウェルスナビでは、リスクの許容度を5段階に分類しており、数字が大きいほどリスクが高くなっています。例えば、リスク許容度が「3」の場合のポートフォリオ例は次の通りです。
- 米国株(30%)
- 米国債券(30%)
- 日欧株(21%)
- 金(8%)
- 新興国株(6%)
- 不動産(5%)
参考:ウェルスナビ
投資先と投資割合を変えることで投資の組み合わせは無数に考えられますが、その中でもリスクを5つに分類しながら最適なリターンのポートフォリオを作成するのがウェルスナビの特徴です。
WealthNavi(ウェルスナビ)で1,000万円運用した場合の利回りは?
WealthNavi(ウェルスナビ)で運用をした場合、どのくらいの運用成績を残せるのか気になっている方も少なくないでしょう。ここでは、ウェルスナビのリスク許容度別の利回りと実際に1,000万円を10年間運用した場合に得られるリターンについて解説します。
リスク許容度別の利回り
ウェルスナビでは、5段階のリスク許容度に応じて運用方法が異なります。それぞれのリスク許容度別の利回りを確認してみましょう。
ウェルスナビのホームページでは、サービスが開始された2016年1月から2021年5月までの運用実績について、次のような条件で公開されています。
- 2016年1月に100万円を運用
- 2016年2月以降、毎月3万円を積立し運用
ウェルスナビのドル建てでの運用実績は次の通りです。
リスク許容度 | 累積元本額 | 資産評価額 | リターン |
---|---|---|---|
1 | 2.61万ドル | 3.32万ドル | 27.30% |
2 | 2.61万ドル | 3.58万ドル | 37.20% |
3 | 2.61万ドル | 3.79万ドル | 45.00% |
4 | 2.61万ドル | 3.99万ドル | 52.80% |
5 | 2.61万ドル | 4.10万ドル | 56.90% |
約5年間の運用で、27%から56%と高い利回りを維持しています。
また、ウェルスナビの円建てでの運用結果は次の通りです。
リスク許容度 | 累積元本額 | 資産評価額 | リターン |
---|---|---|---|
1 | 292万円 | 365万円 | 25.10% |
2 | 292万円 | 393万円 | 34.80% |
3 | 292万円 | 416万円 | 42.50% |
4 | 292万円 | 438万円 | 50.10% |
5 | 292万円 | 450万円 | 54.10% |
こちらも、約5年間で25%から54%の利回りとなっています。また、円建てで複利運用した場合、1年間の年率については次の通りです。
リスク許容度 | 年率 |
---|---|
1 | 4.27% |
2 | 5.73% |
3 | 6.86% |
4 | 7.90% |
5 | 8.45% |
年間の利率を見てみると、4.27%から8.45%と高い水準の利率であることがわかります。
10年間運用したらいくらになる?
では、1,000万円を10年間運用した場合、いくらになる見込みなのでしょうか?先ほど計算した、円建てでの年率をベースに10年間の運用結果をまとめると次のようになります。
リスク許容度 | 年率 | 10年後の元利金合計 |
---|---|---|
1 | 4.27% | 15,191,258円 |
2 | 5.73% | 17,457,511円 |
3 | 6.86% | 19,415,639円 |
4 | 7.90% | 21,390,180円 |
5 | 8.45% | 22,505,857円 |
このように、ウェルスナビで1,000万円を10年間運用した場合、約1.5倍から2.2倍に資産を増やすことも可能であることがわかります。
WealthNavi(ウェルスナビ)で預けた1,000万円は保証される?
資産運用をする際に考えなければならないことの一つに、「元本が保証されているのか?」という点があります。かつての日本では、山一証券という国内大手の証券会社が1997年に突然破綻しました。バブル経済の崩壊によって多額の損失を抱えた結果、証券会社としては異例の自己破産に陥りました。
このように、預けた先が万が一の事態に陥ることも考えられます。ここでは、WealthNavi(ウェルスナビ)が破綻した場合に、預けている元本の1,000万円が保証されるのかについて解説していきます。
ウェルスナビが破綻した場合どうなる?
ウェルスナビでは、資産を「分別管理」することによって、破綻した場合でも顧客の資産が返還できるような体制を取っています。そもそも分別管理とは、顧客の財産と自社の財産を完全に分別して管理するという金融商品取引法に記載されている管理方法です。
ウェルスナビなどの顧客の資産を預かる証券会社では、分別管理によって資産を管理しなければならないとされています。ウェルスナビでは、顧客の資産は現金とETFの2つに分けられており、以下の機関で管理されています。
現金 | 三井住友銀行 みずほ信託銀行 |
---|---|
ETF | DTC(世界最大規模の証券預託機関) |
上記の機関によって確実な分別管理を行っているため、ウェルスナビが破綻した場合でも資産は保護されていることが特徴です。
万が一の場合には日本投資者保護基金が補償
証券会社などでは、金融商品取引法により日本投資者保護基金への加入が義務付けられています。日本投資者保護基金では、証券会社が破綻し顧客の資金を返すことができない場合に、返還されていない資金について、1人あたり1,000万円まで補償してもらうことが可能です。
ウェルスナビは日本投資者保護基金に加入しているため、日本投資者保護基金による補償を受けることができます。ウェルスナビでは、分別管理によって顧客の資産と自社の資産を分別しているため、破綻しても顧客の資産に影響はありませんが、万が一分別管理が守られておらずお金を返すことができない状態でも、最大1,000万円まではお金が返ってきます。
したがって、1,000万円以内の運用であれば、万が一の場合でも補償されるため安心して運用ができるといえるでしょう。
WealthNavi(ウェルスナビ)で1,000万円運用した場合の手数料
WealthNavi(ウェルスナビ)で資産を運用する際に気になることの一つに「手数料がいくらかかるのか?」という点があるでしょう。ウェルスナビはロボアドバイザーなので、人件費がかからずファンドラップより手数料が抑えられることが特徴です。
ここでは、ウェルスナビの手数料について、どのような種類の手数料がかかるのか、1,000万円運用した際の手数料額について詳しく説明します。
資産に対して年率1%(税込1.1%)の手数料
ウェルスナビの手数料は、預かり資産に対して年率1%(税込1.1%)です。
ウェルスナビでは、預けた資産が自動でETFに運用されますが、取引ごとに手数料はかからず、年間で一定の手数料が差し引かれます。手数料の支払い方法は1ヶ月ごとの後払い方式で、毎月最初の営業日に前月分の手数料を日割りで計算し支払います。
例えば、ウェルスナビに1,000万円を預けて運用した場合にかかる年間の手数料は11万円です。そのため、毎月約9,000円の手数料が発生します。
為替手数料やETFの取引手数料は無料
投資商品の購入の場合には、為替手数料や取引手数料がかかる場合があります。しかし、ウェルスナビではそれらの手数料の別途支払いはありません。ウェルスナビが運用する投資商品にはETF(上場投資信託)がありますが、ETFの購入、売却時手数料はかかりません。
また、ETFでは運用会社に支払う保有コストが年率0.09%から0.13%程度かかりますが、それらの保有コストはすべてETFの中で差し引くようになっています。したがって、ETFの保有コストを別途支払う必要がないことがウェルスナビの特徴です。
さらに、ウェルスナビではETFの保有コストが顧客の負担にならないように、低コストの銘柄を中心に運用しているため、手数料が気になる方でも安心して取引することができます。
3,000万円を超えると手数料が0.5%になる
ウェルスナビの手数料形態の特徴として、3,000万円以上の保有資産については手数料が年率0.5%(税込0.55%)となります。
例えば、ウェルスナビに5,000万円を預けて運用した場合、3,000万円については年率1.0%の手数料が適用され、残りの2,000万円については、年率0.5%の手数料が適用されます。つまり、5,000万円を預けた場合の年間の手数料額は次のように計算されます。
3,000万円×1.1%+2,000万円×0.55%=44万円
このように、3,000万円を超える資産にかかる手数料は通常の半分の年率になり、保有コストを抑えることができます。
WealthNavi(ウェルスナビ)で1,000万円運用する際の注意点
WealthNavi(ウェルスナビ)で1,000万円を運用する際には、以下のような注意点があります。
- 元本保証ではない
- 運用にはコストがかかる
リスクや運用コストを考慮しなければ、自分が考えていた以上の損失が発生する可能性もあります。それぞれの注意点について、詳しく解説していきます。
元本保証ではない
ウェルスナビでは、ETF(上場投資信託)中心に運用されるため、リスクが発生します。そのため、預金商品などのように元本が保証されるわけではないことには注意が必要です。
例えば、1,000万円の保有資産でリターンが5%でリスクが3%の運用をした際には、最大で50万円程度の利益が見込めますが、30万円程度の損失が発生する可能性があります。リスクを抑えれば抑えるほど得られるリターンの見込みは少なくなることが特徴です。
そのため、自分のリスク許容度を考慮しながら、絶対に儲かるものではないということを念頭に置く必要があります。
運用にはコストがかかる
どの投資商品にもいえることですが、運用の際のコストを考える必要があります。
前述の通り、ウェルスナビでは保有資産に対して年率1%(税込1.1%)の手数料が発生します。そのため、例えばウェルスナビで1,000万円を運用した場合の年間の手数料額は11万円になります。
もし、ウェルスナビで1,000万円を1年間運用して10万円の運用益が出ても、手数料は11万円かかっているため、実質1万円の損失になります。このように、ウェルスナビの運用で利益が出たからといって、必ずしも資産が増えるというわけではないため、コストも考えながら運用する必要があります。
リスク許容度が低い場合には得られるリターンも少なくなります。ウェルスナビの場合、手数料は一律なので、低いリターンの場合は資産が増えにくいという性質があることには注意が必要です。
つまり、ウェルスナビで1,000万円を運用する場合には毎年1%以上の運用益を上げなければ手数料分の損失が発生してしまいます。したがって、ウェルスナビでは1%以上のリターンが見込めなければ投資する意味がないということになります。
まとめ
今回は、WealthNavi(ウェルスナビ)で1,000万円を運用した場合の利回りや手数料などについて解説しました。
ウェルスナビは2016年にサービスが開始した、比較的新しいロボアドバイザーですが、これまで高い運用実績を誇っています。必ずしも利益が保証されるものではありませんが、手数料やリスク許容度に注意しながら、適切に運用することで資産を増やすチャンスとなるでしょう。