株で損をしたい人はいないと思いますが、損失からは逃れられないものです。上級者でも損失を出すことはありますが、損を小さくコントロールすることで、トータルでプラスになるようにしています。
しかし、上手にトレードできずに悩んでいる方も多いですよね。
この記事では、株で損失を出す人に共通する問題点と、大きな損失を出さないための方法を解説していきます。損失が出ている方は、自分のやり方で改善できるところがないか探してみましょう。
【体験談】株で損失を出したエピソード
まずは、筆者が株で損失を出したエピソードを紹介しましょう。デイトレ向きの銘柄を買って利益が出ていたのですが、すぐに売却せず保有し続けたため、1回の取引で5万円ほど損失を出してしまったことがあります。
40万円ほどしか使っていなかったのに5万円も損失が出たので、当時はかなりのショックを受けました。
敗因は明らかで、「保有していればこのままどんどん値上がりして、お金が増えるかも!」と思ってしまったことです。たまたま利益が出ていたためそこで決済して手放せば良かったのですが、欲張ってもっと利益が出ると信じてしまったのです。
結果、その銘柄の株価は急激に下がり始め、筆者が買いでエントリーした価格をすぐに下回ってしまいました。戻ってくるかもと思って様子を見ていたのですが、一向に戻ってくる気配はなく、損切りにも失敗して大きな損失を出してしまいました。
株で損失を出す人に共通する特徴
株で損失を出す人には共通した特徴があるので、3つの特徴を解説していきます。そのまま問題点でもあるので、当てはまるところがある人は改善しましょう。
売買タイミングを間違える
筆者がこのパターンに該当しますが、株で損失を出す人はだいたい売買タイミングを間違えています。買ったら株価が下がり、売ったら株価が上がるような気がしている方は、売買タイミングを見直した方が良いでしょう。
むしろ「絶対に予想が外れる」という方は、大きく成長できるチャンスを秘めているとも言えます。買いだと思ったら売り、売りだと思ったら買いでエントリーすれば投資で成功できるからです。
自分のトレードを振り返り、買いだと思ったときに売りのサインが出ていないかなどを検証して次に活かしましょう。
生活費を投じて株を買う
生活費や貯金全額など、失っては困るお金を使ってトレードすると冷静さを失うため損失につながりやすいです。「ここで負けたら明日からの生活費がなくなる」と追い詰められるほど、株は失敗しやすくなるのです。
後述するとおり、株で大きな損失を出さないようにするには、素早く損切りを行うなど冷静な判断が必要です。熱くなって周りが見えなくなると失敗しやすいので、気持ちに余裕を持てるように余剰資金だけを使い、株の取引をしましょう。
銘柄の選び方を間違える
どんなトレードスタイルを取るかによって、取引するべき銘柄が異なります。「デイトレ向き」の銘柄や、「長期投資向き」の銘柄などがあるからです。
長期投資をしたいのにデイトレ向きの銘柄を買ってしまう場合など、銘柄の選び方を間違えることも損失につながりやすいです。間違えないように吟味することが重要ですが、相場のトレンドが急変するなど、長期投資向きの銘柄が突然デイトレ向きの銘柄に変わってしまうこともあります。
このような場合でも、損切りを素早く行うなどの冷静な判断が必要となります。
株で大きな損失を出さないための方法
株で損失を出しやすい人の特徴を見てきて、原因はさまざまであることがおわかりいただけたでしょう。しかし、損失を出しにくくするための対処法はほとんど共通しています。
以下の5つのポイントを守れば、今までよりも損失が出にくくできるでしょうから、徹底してみてください。
- 損切りは素早く行う
- 利益確定は焦らない
- 信用取引には手を出さない
- 決算前後はポジションを持たない
- 優待狙いの買いは1ヶ月前からにする
損切りは素早く行う
株で利益を出すために最も重要なのが、損切りを素早く行うことです。誰にでも予想が外れ、上がると思って買った株の価格が下がることはあるので、下落し始めたらすぐに売って逃げることが重要です。
そうは言っても、「もう少し待っていたら株価が戻ってくるかもしれないし……」と考えてしまい、なかなか損切りに踏み切れないのが人間の心理です。
そこで、「一つの銘柄の損失額が資産全体の2パーセントを超えたら損切りする」などのルールを決めておき、機械的に損切りを実行しましょう。これなら感情に左右されて損切りのチャンスを逃すことはなくなります。
利益確定は焦らない
損切りは素早く行う一方で、利益確定は焦らずできるだけ利益を大きく伸ばしてから決済しましょう。
株で損をする人は、少しでも利益が出ると嬉しくなってすぐに確定してしまう傾向があります。積み上げられる利益が小さいのに対し、損切りが遅れるため損失が大きくなり、トータルでマイナスになってしまうのです。
投資はトータルでプラスになれば良いので、「損失は小さく、利益は大きく」が鉄則です。利益は今のトレードよりも大きく伸びてから決済することを意識しましょう。
信用取引には手を出さない
信用取引は資金が少なくても大きな取引ができる魅力がありますが、リスクも大きいので株の初心者にはおすすめできません。少なくとも、一般的な現物取引で利益を出せるようになってからデビューしましょう。
信用取引とは、自分が持っていないお金や株を証券会社から借りて取引する方法です。自分の資金よりも大きな金額を動かせるので、大きな利益を狙うことができます。一方で、損失も大きくなるため、リスクも大きい取引です。
そのため、信用取引で失敗すると資金が激減してしまう可能性があります。最初は自分のお金だけを使う現物取引をやって、小さくても良いのでトータルでプラスの成績を目指しましょう。
決算前後はポジションを持たない
株価が乱高下しやすいタイミングはいくつかあり、代表例が企業の決算の前後です。乱高下は利益を出すチャンスでもありますが損失も大きくなりやすいので、非常にリスクが高いです。
損失が出て悩んでいる方は決算前後の難しいタイミングは避け、平常時の株価が安定しているときを狙いましょう。
決算発表の日時は企業によって異なります。デイトレなど短期の取引をしたい方は、取引する予定にある銘柄の決算発表日を調べ、最低でも今日でないことは確かめてから取引しましょう。
配当・優待狙いの買いは1ヶ月前からにする
株に投資するメリットの一つが、配当や株主優待をもらえることです。配当や優待の権利を得るには、銘柄ごとに異なる「権利付き最終日」に株を保有している必要があるので、この日までには買っておきましょう。
筆者は、1ヶ月前くらいには買っておくと良いと考えています。
資金効率を高めたい方の失敗例でよくあるのが、権利付き最終日に買って翌日の権利落ち日に売却するパターンです。権利付き最終日は株価が高く、権利落ち日には株価が大きく下落することが多いので、値下がりによって損をする可能性が高いのです。
他の投資家も配当や優待を欲しいと思っているので、権利付き最終日は株価が高く、権利落ち日に安くなってしまいます。値下がりによる損失が配当や優待を上回ってトータルで損をすることもあるほどです。
そのため、投資家が権利付き最終日を意識していない1ヶ月前くらいに買っておくのがおすすめです。
利益を出したいなら知っておきたい基本テクニック
続いては、株で利益を出すための基本テクニックを紹介しましょう。難易度が低い方法で損失を抑え利益を出しやすくする方法なので、「自分には株の才能がない」と思っている方にこそ試していただきたいです。
短期投資よりも長期投資をする
そもそも、短期投資は難易度が高く、長期投資の方が難易度が低いです。投資というとデイトレなど短期のイメージがあるかもしれませんが、投資の初心者がいきなりデイトレから入るのは、いきなりリングでプロボクサーと戦うようなもので、勝てなくて当然なものなのです。
長期投資の方が難易度が低いので、初心者は長期投資から始めましょう。長期投資は企業の成長とともに自然と株価が上がっていくので、業績が悪化する企業を選ばなければ、高い確率で儲けることができます。
銘柄を分散させる
投資をするときは、資金を少しずつ複数の投資先に分けた方がリスクを下げられます。これを「分散投資」と言います。
反対の集中投資の場合を先に考えてみましょう。一つの株に全部の資金を投じた場合、その企業の業績が悪化したり不祥事を起こしたりして株価が大きく下がったら、資金もみるみる減ってしまいます。
一方で、分散投資なら個別の企業の業績に振り回されにくいです。少額ずつ複数の銘柄に投資をしているので、うち1社の株価が急落しても、資産全体へのダメージは小さく済ませられます。
分散させる銘柄数は、8社~20社ほどが良いと言われています。分散効果が目立って感じられるのが8社からで、それ以上は何銘柄に分散しても構いません。
とはいえ、銘柄数が多すぎると管理しにくいので、個人投資家なら8社~20社で十分と考えられます。
購入タイミングを分散させる
銘柄数だけでなく、購入するタイミングも分散させましょう。毎月1日に約20万円分の株式を購入するといったように、金額と間隔を決めて機械的に買っていきます。
この買い方を「ドルコスト平均法」と呼び、高値掴みを避けられる方法として知られています。
株価は日々動くので、運が悪いと自分が買ったときが最高値で、以降は株価が低迷することがあり得ます。しかし、ドルコスト平均法なら少しずつ買っていくので、一度高値掴みしても、株価が下がったタイミングでも買えれば平均の購入単価を下げることができます。
上昇相場には適さないのですが、下落相場とレンジ相場では有効なので、基本的にはドルコスト平均法で買い付けるのがおすすめです。
株主優待を低リスクで手に入れる「クロス取引」とは
先ほど、「権利付き最終日に向かって株価が高くなる傾向にあるので、優待狙いで投資するなら早めに購入しておく」とお伝えしました。ですが、「クロス取引」というやり方なら、権利付き最終日と権利落ち日の2日間だけの取引で、株主優待を手に入れることができます。
「クロス取引」の場合、理論上はノーリスクで株主優待をゲットできます。
実際には手数料などのコストがかかるため多かれ少なかれ損失は出るのですが、低リスクで優待を手に入れられるので、優待狙いの投資家に人気がある取引方法です。やり方とリスクについて解説していきましょう。
やり方
クロス取引は、以下の2ステップで行います。
- 権利付き最終日に株式の現物買いと信用売りの注文を同じ株数で入れる。同じ価格で約定させるため、寄付(9:00)を迎える時に成行注文を入れておくのが望ましい。
- 権利落ち日(権利付き最終日の翌日)に、信用売りを現物の株式で決済する。
これがクロス取引のやり方で、株主優待を手に入れることができます。
上述したように、権利付き最終日に株式を買って権利落ち日に売ると、株価が下がって差額が損失となる可能性が高いのですが、クロス取引では株価の値動きによる損益がゼロになります。理由は、現物買いと信用売りで売買を相殺しているからです。
現物買いで損失が出ても、信用売りで同じ金額の利益が出るため、理論上はノーリスクで株主優待の権利だけを獲得できるのです。
ただし、配当を受け取ることはできません。現物買いは配当をもらう側ですが、信用売りは配当を支払う側になるので、配当も相殺されてしまいます。
リスク
クロス取引は損失が相殺されるという意味ではノーリスクですが、手数料などのコストが不確定であるため、タダで株主優待が手に入る方法ではありません。
特に注意したいのが「逆日歩(ぎゃくひぶ)」です。逆日歩とは、信用売りをするときに投資家が証券会社に支払う手数料のようなものです。
信用売りは投資家が証券会社から株式を借りて売りポジションを持つことですが、同じ銘柄に投資家が殺到すると、証券会社は貸すための株が足りなくなってしまいます。そうなると、他の金融機関から株を借りてくるのですが、お金を支払って借りなければなりません。
このコストを投資家に負担させるのが「逆日歩」です。
信用倍率を見れば、逆日歩がどれくらいになるか見当をつけることはできますが、いくらに確定したかは翌日までわかりません。クロス取引はできたけど、予想外に逆日歩の支払いがかさんでしまったというケースが考えられるため、クロス取引もリスクが皆無とは言えないでしょう。
なお、逆日歩が発生するのは制度信用取引です。一般信用取引は逆日歩が発生しないので、クロス取引の初心者の方などは一般の方を使えるよう、確認してから取引した方が良いでしょう。
株で損失が出たら確定申告しよう
株で損失が出ても、まだ諦めないでください。確定申告をすることで税金が還付されるので、損失を少し穴埋めすることができます。株による損失で使える「繰越控除」について解説していきましょう。
繰越控除
上場している株式の取引で出た損失は、最大3年間の繰越控除ができます。今後3年間の税金を軽くするために使える制度です。
例えば、今年(1年目)に100万円の損失が出たとしましょう。1年目は株の利益にかかる税金はもちろんゼロで、さらに100万円の損失を来年に繰り越すことができます。
2年目は、株で40万円の利益が出たと仮定します。利益が出たので本来は税金がかかるのですが、1年目の損失100万円が繰り越されているので、40万円は非課税となります。
残りの損失は60万円なので、これが翌年以降に繰り越されます。
3年目は、株で50万円の利益が出たと仮定します。これも本来は税金がかかりますが、繰り越された損失が60万円残っているので、50万円は非課税となります。
残りの損失は10万円となり、これが翌年に繰り越されます。
4年目は、株で30万円の利益が出たと仮定します。繰り越された損失が10万円なので、10万円分の利益には税金はかかりません。残り20万円分の利益に対してのみ、税金がかかります。
このように、株の損失を申告することで、翌年以降の税金を軽くすることができます。申告しなければ利益が出た年に税金を支払うことになり、ますますお金がなくなってしまうので、繰越控除の申告を行いましょう。
繰越控除の恩恵を受けるには、確定申告を行う必要があります。株の取引がなかった年でも、繰越控除の対象となる3年間は確定申告をしましょう。
まとめ
株で損失を出す人の特徴や、大きな損失を出さないための方法を中心に解説してきました。最も重要なのは、損切りを素早く行って損失を小さく抑えることです。
それでも損失が出てしまったら、繰越控除で損失を翌年以降に繰り越しましょう。翌年を含む3年間の利益を守ることができるので、繰越控除も活用してみてください。