「株式投資はリスクが高くて失敗しそう」「株式投資をしてみたいけど、失敗はしたくない」投資の必要性を感じている方が増えている一方で、株式投資についてそのように悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
株式投資は、米国株を中心にいま最も注目を集めている投資手法の一つであり、以前からも資産運用の王道のような地位にありました。しかし、一歩を踏み出せない多くの人に、「株式投資はリスクが高くて危険」というイメージが残っていることもまた事実です。
確かに株式投資は、損する可能性があります。増える見込みがあるぶん、損するリスクがあることは当然であり大前提です。
ただし、損失という失敗があるからこそ、改善して成果が生まれてくるのです。本記事では、筆者の経験や伝聞から、株式投資における失敗談を紹介します。
その上で、株式投資で失敗する原因や失敗しないためのポイントをお伝えしていきましょう。
【体験談】株式投資での失敗談
株式投資における失敗とは、投資を続けられなくなることです。株式投資では、誰でも必ず損します。
しかし、損をして株式投資を続けられなくなると、以降の利益を得られなくなってしまいます。
株式投資を続けられなくなる理由は、投資資金がなくなってしまったり、心理的に株式投資を続けることが難しくなったりとさまざまでしょう。ここでは、筆者やその知人の経験をもとにして、株式投資でよくある失敗談として次の3つを紹介します。
- 損切りできず塩漬け
- 大きなレバレッジをかけた
- 短期売買で損失が加速
失敗談①:損切りできず塩漬け
まず、筆者の親戚の失敗談を紹介します。株式の大きな価格下落で損切りできずに、塩漬けしたことがあります。
損切りとは、株式投資で損が出たときに、その損失を最小限に止めるために株を売って現金にすることです。また、塩漬けとは、損が拡大していき、損失が確定することを恐れて価値の低くなった株を保有し続けることを言います。
筆者の親戚は、とある金融機関の株式を100万円くらい保有していました。そして、急な業績の悪化で株価の下落が始まったのです。
最初の損失は、大きくありませんでしたが、徐々に下落を続けていました。その下落を一時的なもので、そのうち上昇するだろうと思っていました。
しかし、一向に上昇せず、マイナス20パーセントほどにまで下落し、売ろうにも売れずにいました。そして、結局マイナス50パーセントまで拡大し、塩漬けになってしまったのです。
塩漬けは、株式投資で本当によくある失敗事例です。投資家の心理は、得すればもっと得しようとして、損すればその損をなくそうとします。その心理が、塩漬けを招いてしまうのでしょう。
最終的に、親戚が保有していた株は、8ヶ月くらいで10パーセントくらい回復し、そのタイミングで売却しました。マイナスは約40パーセントなので、もっと早めに損切りしていれば、損失を軽く済ませられたことでしょう。
失敗談②:大きなレバレッジをかけた
続いては、筆者の友人の失敗談です。信用取引でレバレッジをかけて大きく損をして、株式投資をやめるに至ったエピソードです。
信用取引とは、証券会社からお金を借りて投資する取引のことです。また、レバレッジとは、資金を借りて自分の資金における利益率を高める方法です。
なお、株式投資で破産したり大損してしまったりした人の多くがこのレバレッジを利用しています。
筆者の友人は、約100万円のレバレッジをかけていました。ある日、レバレッジと自己資金で投資していた株式が、暴落しました。
株価が半分くらいになったところで、売却することにしたのです。しかし、残ったのは損失と負債だけでした。
損失で資金を失い、負債を抱えたことで友人は株式投資を続けられなくなりました。レバレッジは大きく儲けるのに役立ちますが、損をすると取り返しのつかないことになる場合があります。
例えば、自己資金50万円と借金100万円で運用し、資金が2倍になったとしましょう。すると、次のように計算できます。
- (50万円+100万円)×2=300万円
借金は100万円なので、返済すると手元に200万円が残ります。自己資金だけだと、2倍で100万円なので、借金のおかげで儲けられたということがわかるでしょう。
一方で、同じ条件で、資金が半分になったとします。
- (50万円+100万円)÷2=75万円
借金は100万円なので、返済すると25万円の赤字になってしまいます。自己資金だけなら半分になっても25万円が手元に残るので、借金によって大きな損失を出したことになります。
このように、レバレッジをかけた株式投資はハイリスク・ハイリターンなのです。
失敗談③:短期売買で損失が加速
続いては、筆者自身の失敗談を紹介します。株式投資の短期売買をしていて失敗してしまったエピソードです。
そのときにしていた投資方法は、「上がっている株式を購入して下がり始めたら売る」というものでした。決して短期売買をしようと思っていたわけではありません。
ただ、短期的に利益を出したくて、早めの利確を心がけていくうちにそのような取引方法になったのです。
利益が出ているときは良いのですが、価格が下がって損し始めるとうまくいかなくなりました。短期間で株価は上下を繰り返すため、損しては焦って売り、他の株式を買うということを繰り返していたのです。
結果としてほぼ利益を出すことができず、投資資金の半分ほどの損失を出してその投資方法をやめることにしました。短期間では、どの銘柄が上がるかを誰も予測できません。
また、価格の上下も運です。売買を繰り返せば手数料もかかるため、損をする確率が高くなることは当然だと言えます。
株式投資で失敗ばかりする原因
株式投資にはさまざまな手法があり、人によってやり方が異なります。そのため、投資方法に正解はありません。
しかし、あらゆる研究や投資家の過去の実績から、失敗についてはある程度原因がわかっています。ここで紹介する原因は、次の6つです。
- 高値掴み
- リスクを分散していない
- 資金がないのに信用取引をする
- 短期売買を繰り返す
- 周りの情報に振り回される
- 損切りのルールを決めていない
株式投資での失敗談は、これらのいずれかの原因に当てはまります。原因がわかれば、その対策をしていくことで、運用成績は改善していくでしょう。
ここで解説する株式投資で失敗する原因を参考に、失敗しない株式投資を実現していきましょう。
原因①:高値掴み
高値掴みとは、通常の相場よりも株価が上昇している状態で株式を購入してしまうことを言います。高値掴みをしてしまうと、その後の株価の上昇が期待できず、結局損失を出してしまう可能性が高くなります。
まだ初心者で投資に関する情報を正確に収集できないときに、高値掴みをしてしまうことが多いです。
例えば、雑誌に掲載されている株式の銘柄特集を読んで、話題の銘柄などを買ったとします。しかし、そのような銘柄はすでに他の投資家も購入している可能性が高いです。
株価は投資家心理によって上昇する傾向にあるので、他の投資家が購入し始めると株価は上昇します。そのため、遅れて購入した場合はすでに高値がついており、すぐに株価の上昇も頭打ちになるはずです。
そして、下落が始まり損をするのです。高値掴みを防ぐには、一度立ち止まって購入を検討している銘柄の情報収集をしなければなりません。
原因②:リスクを分散していない
分散投資とは、複数の銘柄を購入したり、購入タイミングを分けたりすることを言います。株式投資で失敗してしまう原因の一つはリスク分散をしていないこと、つまり集中投資していることがあります。
なぜ集中投資が失敗する原因かという績を投資した一つの会運用成績業績に依存してしまうからです。投資した企業の業績が傾いたら、投資資金は一気に減ります。
倒産してしまった場合には、株式には何の価値もなくなってしまうこともあり得ます。
また、まとまった資金を一括で投資した場合も、失敗するリスクが大きくなります。株価は、日々変動しているため、安いときもあれば高いときもあります。
高いときに購入してしまうと収益が期待できなくなる上に、下落すると大きな損失につながります。購入タイミングを複数回に分ければ、基準となる価格が安定する効果を得やすくなります。
原因③:資金がないのに信用取引をする
信用取引は、借金をして株式を購入することです。資金がない中で、信用取引をしてしまうと、リスクが倍増します。
確かに、信用取引をすると自己資金のみよりも大きな利益を期待できます。しかし、他人の資金を使うということは返済の責任が生まれるため、損失したときの影響は計り知れません。
資金にゆとりがあれば、損失をまかなえるため問題は大きくはありません。しかし、資金がない中で信用取引をしてしまうと、取り返しのつかないことになります。
株式投資で自己破産まで追い込まれる人は、ほとんど信用取引が原因だと言っても過言ではありません。短期間で稼ぎたいという気持ちが強い人ほど信用取引をしがちなので、注意が必要です。
原因④:短期売買を繰り返す
短期売買は、株式投資の主要な失敗原因の一つです。一般的な個人投資家は、短期売買では継続的に利益を出せないことを理解しておいてください。
その理由は、次の2点です。
短期的な株価の動きは誰も予測できないから
誰かの利益はその他大勢の損失になるから
株価の動きは、誰にも予測できません。短期売買で儲けられた人は、予測できたのではなく、運が良かっただけです。
また、短期売買の場合は、誰かが利益を出したならその裏には多くの人の損失があります。短期売買で利益を出し続けるというのは、例えるならジャンケンで勝ち続けるようなもので、一度負けたらそれまでの利益の多くを失うことになります。
原因⑤:周りの情報に振り回される
株式投資の方法は、10人いれば10通りのやり方があると言えるほど多亘りますます。そのため、誰かのうまくいった方法が自分に役立つとは限りません。
いろいろな情報を鵜呑みにしてそのとおりに行動していたら、うまくいかない確率が高いでしょう。投資においてお得な情報のほとんどが、情報を流す側に都合の良い情報です。
仮に、絶対に利益が出るという銘柄をすすめられたとしましょう。しかし、そのような情報を信じてはいけません。
そのような銘柄があるのなら、情報を流さずに独り占めしてしまえば良いからです。得する情報の裏には、その情報で儲けようとしている人が必ずいます。
金融機関のおすすめ商品も同じです。お得な商品の多くは、手数料が高かったり、他の商品の勧誘に都合が良かったりするものです。情報は、地道に自力で集めるしかありません。
原因⑥:損切りのルールを決めていない
損切りのルールを決めていないと、損失をズルズル拡大させて塩漬けになってしまいます。塩漬けになるのは心理的な要因が大きく、根拠がないのに値上がりを期待したり損失が確定することを過度に恐れたりしてしまうことにあります。
塩漬けのデメリットは、株式を現金にできず投資機会を逃してしまうことです。
お金は、活用して初めて意味が生まれます。しかし、塩漬けのまま放置していては、現金はなくなってしまったのと同じでしょう。
損切りのルールとは、損失を出した株式を売却して現金にし、次の投資機窺う伺うためのルールなのです。
株式投資で失敗しないためのポイント
株式投資で失敗してしまう原因は理解してもらえたことでしょう。ここでは、その原因を踏まえて、株式投資で失敗しないためのポイントを解説します。
解説するポイントは、次の6つです。
- 長期保有を前提にする
- 分散投資する
- レバレッジをかけない
- 損切りルールを決める
- 自分で投資先の情報収集をする
- 市場の動向に流されない
これから解説するポイントは、株式投資で利益をあげるためのセオリーの一部です。株式投資を実践しながら、自分なりのポイントをつかんでみてください。
ポイント①:長期保有を前提にする
株式投資にはたくさんの種類がありますが、期間で分けると次の2つの種類があります。
- 短期トレード
- 長期投資
株式投資で失敗しないためには、長期保有を前提にした投資がおすすめです。なぜなら、長期の方が安定的に利益を得やすいからです。
短期トレードは短期的な株価の値上がりにかける投資で、市場原理によって利益を出します。短期の場合、企業の成長は進まず株価の値段は需給バランスによって決まります。
企業の成長がないため、富の総量は変わりません。すると、富の奪い合いになり、利益を得た人がいればその裏に多くの損失を出す人がいます。
また、短期トレードは機関投資家などの資金力がある者の方が有利です。個人投資家で利益を得られるのは、そういった一握りの人に限られるでしょう。
一方、長期投資は、会社の成長にかける投資です。会社は長い時間をかけて成長し、規模が大きくなります。
すると、富の総量も拡大するので、投資したすべての人が利益を享受できることにつながります。つまり、長期投資の方が利益を得やすいのです。
ポイント②:分散投資する
株式投資のセオリーは、リスク分散です。シンプルに言うと、複数の銘柄を購入することです。
一つの銘柄だけに集中投資すると、資産の増減がその会社の業績に依存してしまうことになります。とはいえ、分散しすぎては利益が出にくくなってしまいます。
株式の分散投資の効果に関する研究によると、分散は3銘柄から効果が大きくなっていき、10銘柄以上はほとんど効果が変わらないとのことです。そのため、少なくとも3銘柄以上購入し、多くても10銘柄程度に収めると良いでしょう。
また、購入するタイミングを分散することも大切です。例えば、一括で100万円投資するより、10万円ずつ10回に分けて購入した方が下落リスクに備えられます。
ポイント③:レバレッジはかけない
失敗談のところで説明したように、レバレッジはハイリスク・ハイリターンなので、かけない方が失敗しにくいと言えます。特に、投資初心者の方や資金に余裕がない方は厳禁です。
レバレッジをかけなければ、元本をすべて失うことはまずありません。しかし、レバレッジをかけると元本をすべて失ったあげく、借金の返済をしなければなりません。
ポイント④:損切りルールを決める
損切りのルールを決めるだけで、損失をかなり減らすことができます。損切りのルールとは、損失を出しているときにどこまで損失が出たら売却するかをあらかじめ決めておくことです。
ルールがないと、損失を取り返すことで必死になった感情に流されてしまいます。
ルールは、シンプルなもので問題ありません。例えば、「元本の10パーセントの損失を出したら売却する」といった具合です。
自分自身の耐えられる損失に応じて決めてみてください。ルールを決めたら必ず守りましょう。
ポイント⑤:自分で投資先の情報収集をする
投資先の情報は、自分で調べましょう。つまり、他人の情報に流されないということです。
株式投資で利益を得るためには、情報収集が欠かせません。株式投資にはさまざまな手法がありますが、成果を出している投資家は自分で調査し、自分なりの仮説を持って投資先を決定している人が多いです。
情報収集といっても、新聞やニュースを見ることなど、まずは自分のできることから始めるので構いません。自分のところにくる儲け話は、すべて流している側の人が儲ける情報であることだと思ってください。
ポイント⑥:市場の動向に流されない
市場は常に上下を繰り返し、投資している会社の株式の値段も日々動きます。その値動きにいちいち反応していたら疲れるだけですし、感情に流されて非合理な売買をしてしまう恐れがあります。
特に、人の心は損失に敏感に反応する性質があります。ちょっと損失が出ただけで売却したり大きく損失を出したりしたときに、確定したくないがために塩漬けにしてしまうことがよくあります。
もちろん、市場の値動きについて、その理由や今後の動向を考えるのは良いでしょう。しかし、その値動きによって生じた一時的な感情から投資判断をすることは危険です。
長期保有を前提として損切りのルールを守り、冷静に市場の動きをチェックしましょう。
株式投資で失敗したくないなら株式市場全体に投資する
株式投資で失敗したくない人におすすめなのが、株式市場全体に投資することです。ここでは、株式市場全体を日経平均やTOPIX、米国のダウ平均やS&P500のこととします。
株式市場全体への投資をおすすめする理由は、将来的な成長ってよる富の総量の増加が期待できるからです。さらに、株式市場全体への投資は、そこに存在するすべての企業に投資することになるため、分散投資も実現できるからです。
インデックス投資
株式市場全体への投資とは、日経平均やS&P500などの株価指数に連動する投資信託に投資することです。株価指数のことをインデックスと呼びます。
インデックスに連動する投資信託のことをインデックスファンドと呼び、そのファンドを購入すればインデックス投資になるのです。
インデックス投資のメリットは、先ほどお伝えしたことを含めて次の3点です。
- 長期的な成長によって利益が期待できる
- 分散投資が実現できる
- 手数料が安い
インデックスファンドは、手数料が低く設定されているものが多いです。そのため、コストを下げながら安定的な収益を得やすいのです。
おすすめファンド
おすすめするインデックスファンドは、次の2つです。いずれも、アメリカのS&P500に連動する運用成績を目指すインデックスファンドです。
- 楽天・全米株式インデックスファンド
- eMAXIS Slim米国株式 S&P500
S&P500とは、アメリカの優良企業500社の時価総額に応じて値動きする株価指数のことです。
米国市場の魅力は、世界の中でもIT企業を中心に安定成長していることです。どちらも業界でトップクラスに低いコストで購入できるファンドです。
まとめ
株式投資で失敗しないためには、レバレッジと短期売買を避けて長期・分散で投資し、他人からの情報に流されないことが大切です。また、株式投資で失敗したくない方には、株式市場全体に投資できるインデックスファンドがおすすめです。
長期成長を期待しながらコストの低い分散投資が実現できるからです。
株式投資には、さまざまな手法があり、やり方に絶対的な正解はありません。しかし、失敗しないためのセオリーはあります。
今回お伝えしたことが、株式投資活動の一助になれば幸いです。
自分で行う株式でも、相場に左右されるインデックスファンドでもなく、絶対収益を求めたいという方にはヘッジファンドという選択肢もあります。まとまった投資資金が必要となるため、ハードルは高めですが、国内ファンドであれば1000万程度で投資することができます。
よりよいパフォーマンスを求める方はぜひ確認してみてください。