世界で一番わかりやすい「ヘッジファンド」の仕組み

「ヘッジファンド」投資に興味のある人なら、一度は聞いたことがあるはずです。

「ハイリスク・ハイリターン」「お金持ちがやっている」「何やらあやしい」……さまざまなイメージがあるでしょう。

今回は、謎に包まれたヘッジファンドの仕組みや投資方針、個人で投資できるのかなどの秘密を明らかにします。

「少しまとまったお金があるから、効率的に運用したいな」と考えている方は、参考にしてください。

投資全般に興味のある方にもおすすめの記事です。

目次

1、そもそもヘッジファンドとは?

ヘッジファンドとは、字面からもわかるとおり、ファンドの一種です。

ファンドとは投資家から資金を募り、株式や債権などさまざまな資産に投資する、運用のプロです。

その中でヘッジファンドたらしめている特徴とは何でしょうか。

それは、「絶対利益の追求」です。

一般的に投資信託で扱われているようなファンドは、パフォーマンスの良し悪しを株価指数のようなベンチマークと比較して判断します。

これらは大きく分けてインデックスファンドとアクティブファンドの2つに分けられ、前者は値動きがベンチマークに近ければ近いほど評価され、後者はベンチマークを上回ることを目指します。

仮に株価指数が前年比20%下落したとすると、20%下落した株式インデックスファンドの成績はすばらしく、下げ幅10%にとどまる株式アクティブファンドのマネージャーは優秀だということになるでしょう。

株式を扱うヘッジファンドは、株価指数が前年比10%上がっても、30%下がっても、高いパフォーマンスを上げられるような取引を目指します。

市場の動向にかかわらず、常に最大限のリターンを追求するのがヘッジファンドなのです。

2、ヘッジファンドの仕組みは?

ではどういった仕組みで絶対利益を追求するのでしょうか。

ヘッジファンドに多くみられる特徴には次のようなものがあります。

(1)基本的に私募

ヘッジファンドのほとんどが私募です。

大々的な募集はせずに、限られた投資家から資金を募ります。

私募の反対は公募です。

公募の場合は、証券会社や銀行などを通じて広く募集し、誰しも買うことができます。

日本の金融商品取引法における私募は、投資家が50名未満となるものです。

有名な海外ヘッジファンドなど規模の大きいものもありますが、基本的にあまり広く売り出されるものではないと考えてください。

私募であることのメリットは、広告宣伝費用がかからない、販売手数料が無料または低い、規制に縛られることが少ないためリターンを得るために本当に必要な取引に集中できる、といったことが挙げられます。

(2)ファンドマネージャーは「自分のお金」を運用する

ヘッジファンドはファンドマネージャー自身の資産運用という性格も持っており、多額の自己資金を投入していることがあります。

結果に対するこだわりはサラリーマンマネージャーと一線を画していることは特筆すべきことです。

また、一般的にヘッジファンドのマネージャーが受け取る報酬の額は、ファンドのリターンに連動します。

例えば運用資産が1000万ドル増えたら、その1%である10万ドルがファンドマネージャーに支払われるというわけです。

運用を委託され、売買する銘柄やタイミングを決める専門家は、ファンドのリターンが増えれば収入が大幅に増え、マイナスになれば自らの資産を減らすわけです。

他のファンドが真剣味に欠けるというわけではありませんが、ヘッジファンドにおけるファンドマネージャーの運用成績にかけるモチベーションは特に高くなりやすいと言えます。

(3)レバレッジを効かせる

投資家からの出資だけではなく、金融機関からの借り入れを原資にして運用するヘッジファンドは少なくありません。

いわゆるレバレッジ効果によって、運用リターンをさらに大きくすることができます。

「ハイリスク・ハイリターン」というイメージはここからくるのでしょう。

たしかに普通に考えると、2倍のレバレッジをかけた場合、投資対象の価格が10%上がればリターンは倍の20%になる反面、10%下がったらマイナス20%になってしまいます。

大きく儲かる可能性と大きく損する可能性は同程度あるというのがレバレッジ運用の常識です。

しかし、ヘッジファンドは必ずしもリスクに反比例してリターンが高くなるとは限りません。

なぜなら、次に紹介するように「リスクをヘッジする」投資戦略をとるからです。

3、ヘッジファンドの投資方針は?

ヘッジファンドの運用戦略の骨子となるのが、ロング・ショートです。

つまり、「上がりそうな銘柄を買い(ロング)、下がりそうな銘柄を売る(ショート)」ということです。

この場合のショートとは空売りのことで、価格が下がれば下がるほど利益が出る売買方法のことを指します。

投資対象を他の投資家から借りて売り、後で買い戻すことでこのようなことが可能になるのです。

市場全体が上がったときには買い持ちした銘柄がリターンを支え、下がったときは空売りした銘柄で儲けが出やすくなります。

リーマンショックのような暴落相場で、保有資産のすべてが大きく目減りするというリスクをヘッジ(回避)するのです。

世界で最初にヘッジファンド(Hedged fund)という言葉が使われたのは、「アルフレッド・ジョーンズ」が1949年に米国で設立したファンドだという説があります。

このファンドの戦略は「株式が上がると債券の価格が下がる、逆もまたしかり」という性質を利用したロング・ショートでした。

この他にも、現代のヘッジファンドは次のような戦略を用いて絶対リターンを目指しています。

(1)グローバル・マクロ

世界の経済全体を見て、有望な投資対象に資金を集中します。

英国銀行と競り勝ったというジョージ・ソロス氏のファンドが有名です。

(2)イベント・ドリブン

買収や破綻など、企業や市場に何らかの事件が起こったときに、過小(過大)評価されて動く価格に注目して投資します。

(3)マネージド・フューチャーズ

株式や為替などの伝統的資産のほか、先物のようなデリバティブ(金融派生商品)も対象に、レバレッジをかけて取引します。

コンピューターを利用したアルゴリズム取引を多く使うのも特徴です。

(4)マーケット・ニュートラル

ロング・ショートよりもさらに市場の方向性に対するリスクヘッジを重要視した戦略で、ロング・ポジションとショート・ポジションを同程度に保有します。

特に同じ様な銘柄の価格差に注目して、割高と思われるものを売り、割安と思われるものを買う戦略を裁定取引(アービトラージ)と言います。

4、ヘッジファンドと投資信託の違い

個人投資家にとってもっとも身近なファンドは投資信託でしょう。

ヘッジファンドの特徴は前に述べました。

では、あらためて投資信託とヘッジファンドとの違いは何かと聞かれると、答えに困るのではないでしょうか?

それも仕方ありません。

なぜなら、両者は明確に線引きできるものではないからです。

「投資信託であり、かつヘッジファンドでもある」「投資信託でもヘッジファンドでもない」といったファンドも少なからずあります。

投資信託とは、狭い意味では日本の投資信託法(投資信託及び投資法人に関する法律)で定義され、募集や販売、管理などに一定の規制を加えられたもののことです。

広い意味では投資家からお金を預かって運用をする金融商品、つまりファンドのうち特に自由に売買できるものを指します。

狭義の投資信託のように、ヘッジファンドはこれという明確な定義がなく、運用者が「我々がヘッジファンドだ!」といえばヘッジファンドですし、ヘッジファンド「的な」運用方針を持っていながらあまりそう認知されていないファンドも少なからずあります。

ただ、一般的なそれぞれの特徴としては次のような違いがあります。

(1)投資信託

公募されており、証券会社や銀行を通じて簡単に買えます。

最低の一口1円~1万円と小口で買えるため積立投資としても利用しやすいです。

毎月決算、毎日決算のものもあります。

指数をベンチマークとしています。

(2)ヘッジファンド

私募であり、独立系仲介業者やファンドに直接アクセスして買うことができます。

最低投資額が数十万円~数百万円、中には1億円を超えるものもあります。

基本的に一括投資で通年決算になります。

絶対リターンを追求するのがヘッジファンドの特徴です。

5、ヘッジファンドは個人で投資できる?

「個人でもヘッジファンドに投資できるの?」という質問に対してはイエスです。

個人でも基本的に法規制などの問題はなく、投資できます。

多くのヘッジファンドが個人向けに資金を募っています。

しかし、次に紹介するように、私募で初期投資額が大きいことを考えるとハードルが高いことは否めません。

6、ヘッジファンドはいくらから投資できる

かつてはヘッジファンドに投資するためには億単位のお金が必要でした。

数名の富裕層から数億ドル(数百億円)の資金を集めたファンドも少なくありません。

最近は最低投資額が数千万円、中には数十万円といったものもあります。

おおむね1000万円が一般的でしょう。

投資のあり方もヘッジファンドも多様化してきたということでしょうか。

7、ヘッジファンドの探し方は?

かつてのように、ヘッジファンドに投資できるのは富裕層だけ……という時代ではありません。

普通のサラリーマンや自営業者でも可能です。

では、どのようにすればヘッジファンドにたどり着けるのでしょうか?

(1)人に紹介してもらう

私募の形をとるヘッジファンドは、もともと人に投資家を紹介してもらうことで資金調達することを想定されていると言えます。

信頼できる友人知人に教えてもらった確かなファンドなら安心です。

ただ実際問題、周りにヘッジファンド投資をしている人がいなければできないのが難点です。

(2)ホームページを見る

国内ヘッジファンドの中には、自社のホームページから投資家を募集しているところもあります。

ファンドのパフォーマンスや雰囲気を知ることにも役立ちますので、検索して見てみましょう。

もっとも現実的でわかりやすい方法です。

(3)仲介業者を見つける

独立系証券仲介業者(IFA)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

どの証券会社やファンドにも属せず、さまざまな証券を中立的な観点で販売・アドバイスする仕事です。

国内証券会社のIFAも数多く存在しますが、中には海外のオフショア(香港や英国に近いマン島など)に籍を置くヘッジファンドを紹介しているものもあります。

「海外投資」や「ファンド投資」などをテーマにしたセミナーを開いていたり、ホームページで集客していたりするので問い合わせてみると良いでしょう。

ただし、中には正規の仲介業者を装った詐欺師もいますので、注意が必要です。

海外のヘッジファンドを探すのであれば、まず信頼できるIFAを見つけることが重要と言えます。

今回は、ヘッジファンドダイレクト株式会社をご紹介します。

グローバルなデータベースを基に独自のアルゴリズムで優良ファンド選択しお客様にご提案しています。

投資に必要な情報の提供をし、投資先を紹介します。

過去10年間で平均10%以上のリターンを獲得したファンドや、過去18年間の累計リターンが2000%を超えているものなど、契約可能なヘッジファンドは優秀なものばかりです。

ヘッジファンドダイレクト株式会社

8、いいヘッジファンドの見分け方は?

ホームページなどを探し、いくつかのヘッジファンドを見つけることができたら次の問題は、どのファンドを選ぶかです。

(1)資金と相談する

いくらよいヘッジファンドでも、買えなければ意味がありません。

最低投資額を確認し、無理のない範囲で投資しましょう。

くれぐれも全財産を預けるということはしないように心がけましょう。

(2)パフォーマンスがよい

投資の結果は何といっても数字です。

過去のパフォーマンスを見て、安定的に高いリターンを出しているかどうか確認してください。

特に参考になるのは運用開始以降の平均リターン、リスク(標準偏差)、ベストリターン、ワーストリターンです。

リスクとは、結果にどれだけバラツキがあるか、運用成績にムラがあるかということを表した数字で、小さければ小さいほど安定的であるとされます。

ちなみに平均リターンとリスクから導き出される数値がシャープレシオで、高ければ高いほど効率的(リスクが小さい割にリターンが大きい)と判断できます。

これらを比較して、よりよいものに投資してください。

ただし、これらの運用成績はあくまでも過去のものです。

未来は誰にもわからないということは忘れないでください。

(3)理念に共感できる

いかに優秀なヘッジファンドでも将来どうなるかはわかりません。

それなら、パフォーマンスへの注目はそこそこに、戦略や運用者の理念に共感できるものを選ぶことも手です。

精神衛生上も良いですし、大局的な観点で売買のタイミングを判断していることになるため、結局はリターンがよくなりやすい傾向にあります。

(4)優秀な人ばかりだから必ずしも良いというわけではない

21世紀の終盤、天才たちによって組織されたあるヘッジファンドが産声をあげ、数年で幕を閉じました。

ノーベル経済学賞受賞者や元・米国中央銀行副議長などそうそうたるメンバーを抱えて順調に滑り出したLTCM(ロング・タームス・キャピタル・マネジメント)が4年余りの運用を経て、5000億円以上の損失を出して破綻したことはよく知られています。

投資の世界では、運用者の中にビッグネームがあるからといって、成功が約束されているわけではないのです。

9、世界的に有名なヘッジファンド

(1)ブリッジウォーター・アソシエーツ

運用総額が1500億ドルを超える最大のヘッジファンドです。

世界を見渡して有望な商品や株式、債券などに投資するグローバル・マクロ戦略をとっています。

創業者のレイ・ダリオは「ヘッジファンドの帝王」として知られ、その発言はたびたび投資家の注目を浴びています。

(2)ポールソン&カンパニー

創業者のジョン・ポールソンも「帝王」に負けず劣らずの存在感を示しています。

特に有名な逸話が、サブプライムローン問題が騒がれたときに大量の関連する証券を空売りし、大儲けしたことです。

また、同社は米国大統領のドナルド・トランプ氏が投資していることでも知られています。

(3)ブラックロック

米国に本拠を持つ世界最大の資産運用会社です。

iシェアーズは世界で3割以上のシェアを誇るETF(上場投資信託)として有名ですが、300億ドル以上を預かるヘッジファンド部門を擁することはあまり知られていないかもしれません。

10、オススメのヘッジファンド2選

よいヘッジファンドの条件は、最低投資額が低く、パフォーマンスがよく、そして理念が明確であることです。

例として2社ご紹介します。

(1)アセットマネジメントONE AR国内バリュー株式ファンド(愛称:サムライバリュー)

投資信託なので100円から投資可能です。

目論見書の中で「絶対収益を獲得する」ことを謳っています。

戦略は個別株に加えて株価指数先物を利用することで市場全体の変動リスクをヘッジするということで、まぎれもないヘッジファンドと言えます。

基準価額は2011年11月の設定から2018年3月現在まで、ほぼ一貫して伸びており、安定感があるファンドです。

投資情報サイトのモーニングスターには現在79のヘッジファンドが登録されています。

その中で3年間のリターンとシャープレシオをランキングしたところ、サムライバリューが1位でした(2018年3月13日時点)。

(2)ヘッジファンドダイレクト株式会社

正確にはヘッジファンドではなく、投資助言・代理業です。

ただ、ヘッジファンド的な投資手法の観点で投資に必要な情報を提供したり、投資先を紹介したりしています。

過去10年間で平均10%以上のリターンを獲得したファンドや、過去18年間の累計リターンが2000%を超えているものなど、契約可能なヘッジファンドは優秀なものばかりです。

11、オススメの投資会社 JapanAct

JapanAct

ヘッジファンドではないですが、おすすめの投資会社を紹介します。

よい投資会社の条件は、最低投資額が低く、パフォーマンスがよく、そして理念が明確であることです。

Japan Actは、市場に放置されている割安な株式を取得し、株主として戦略的かつ建設的な対話を踏まえたうえで、提言を行うなど、積極的に経営に関与することで中長期的な企業価値向上と、株主価値の最大化を目的に活動しています。Japan Actのように、一定数の株式を保有し、投資先企業に対し、企業価値向上を目的とした積極的な提言を行う投資家をアクティビスト(物言う株主)と呼びます

Japan Actのように明確な理念のもと、特定の金融機関系列に属さず、市場平均以上のリターンを目指す投資会社であれば頼りがいも感じます。

まとめ

ヘッジファンドは市場全体の動きにかかわらず、常に収益をあげる「絶対リターンの獲得」を目指す集団です。

レバレッジをかけつつ、相反する動きが予想される銘柄に投資することでリスクをヘッジ(回避)しているため、ローリスク・ハイリターンな資産運用ができる可能性があります。

かつては億単位のお金があり、顧客からの紹介を得られる人が投資するものというイメージがありました。

しかし最近では、最低投資額1000万円からの私募タイプのものや、投資信託として公募されるため100円から買えるものもあります。

投資先の見つけ方も以前と比べて簡単になりました。

ホームページから直接問い合わせをしたり、投資助言・代理会社を利用したりして申し込める、身近な存在となりつつあります。

効率的な資産運用ができるヘッジファンドは、ある程度まとまったお金を持っている人や、積極的にリターンを狙っていきたい人におすすめです。

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