投資家のみなさん、投資は順調でしょうか?
今回は、最近話題になったトルコリラとトルコリラ建ての投資信託について解説します。
通常の投資信託とは異なり、新興国通貨で扱われる投資信託ということで独自のメリットやデメリットが存在します。
それぞれについて理解し、自身の投資スタイルに役立てていきましょう。
1、トルコリラ投信とは?仕組みを解説
トルコリラ投信について解説します。
まずは、簡単にトルコリラと投信(投資信託)についておさらいしておきましょう。
(1)トルコリラとは?
ドル、ユーロと同じように外貨と呼ばれる外国の通貨です。
その名の通りトルコで流通しています。
とりわけ、トルコリラは南アフリカのランドやブラジルのレアルと同様に「新興国通貨」に含まれます。
新興国の特徴として、外国から資金を調達するために政策金利を高く設定する傾向があり、必然的に通貨も高金利となります。
トルコリラも高金利通貨として、日本国内で多く取引されています。
特に、FXではスワップポイントによる利益を狙ったトレードが活発です。
スワップポイントとは二国間における金利差から得られる利益のことで、利子が極端に低い日本円と高いトルコリラならではの取引と言えます。
当然、トルコリラなどの高金利通貨には大きなリスクも存在します。
発展途上国である故に国家としての力は小さく、日本やアメリカなど成熟した国家と比べて社会情勢の影響を受けやすいのです。
結果として、今年8月に発生した「トルコショック」のように前触れもなくトルコリラの価値が暴落してしまうことが起こりえるのです。
トルコショックについては、本記事内で解説します。
(2)トルコリラ投資信託とは?
投資信託とは、株や債権と同様に証券会社が販売している金融商品のひとつです。
プロの投資家や投資会社が一般投資家からお金を集め、その資金で複数の株を購入・運用します。
発生した利益を一般投資家に渡します。
プロの投資家のことをファンドマネージャーと呼ぶこともあれば、投資信託のことをファンドと呼ぶこともあります。
プロの投資家に株の購入・運用を任せられる点と分散投資ができる点において他の金融商品と比べてリスクが低く、初心者でも扱いやすいのが特徴です。
以上を踏まえて、「トルコリラ投信」について解説します。
トルコリラ投信とは、トルコの株や債権をトルコリラ建てで売買・運用する投資信託となります。
トルコリラ建てでは、日本円でトルコリラを購入し、そのトルコリラで投資信託を買うこととなります。
すなわち、投資信託自体の価格上下だけではなく為替レートも利益に影響するので注意が必要です。
2、トルコリラ投信のメリットとデメリット
トルコリラ投信について解説しました。
メリットとデメリットを詳しく解説します。
(1)トルコリラ投信のメリット
新興国であるトルコに、投資ができることがメリットとなります。
トルコは欧州とアジアの接点に位置する国家で、貿易の拡大に比例して経済の成長が見込まれます。
人口約8,000万人のうち若年層が多くさらなる内需の拡大も期待できます。
トルコ株式は新興国株式の中でも割安な水準で、今後の経済成長への期待も高いです。
また、本記事内でも解説した通りトルコリラは世界有数の高金利通貨です。
金利の高さはそのまま投資信託の分配金の高さとなり投資家に恩恵をもたらすので、長期保有によるインカムゲインを狙うことができます。
新興国投資へ挑戦したい方や、投信の長期保有による継続的な利益を狙いたい方にとって、トルコリラ投信は有力な選択肢になるのです。
(2)トルコリラ投信のデメリット
新興国は日本やアメリカなど先進国と比べてリスクが大きいです。
国家としての力が小さいため、世界情勢に影響されやすく投信としての資産価値が不安定と言えます。
事実、トルコショックが起爆剤となりトルコリラ投信の価値も全面的に暴落しました。
前年末比の下落率が5割を超える投信も存在し、トルコ関連投信全体では資産額が約2000億円目減りしました。
トルコリラ投信には大きなメリットが存在しますが、その分デメリットも大きいことを理解しておきましょう。
3、トルコショック発生の理由
トルコリラ投資を検討する上で、今年起こったトルコリラショックについて理解する必要があります。
まさに、新興国投資の危うさが現実となった事件ですので今後の投資戦略を考える上で重要なユースケースとなることでしょう。
そもそも、トルコの経済状況は決して好調とは言えませんでした。
国民一人当たりのGDPは40万前後、毎年10%を上回るインフレ率など新興国の中でも不安定です。
そんな中で、トルコショックの発端となったのがトルコによるアメリカ人牧師の拘束です。
アメリカのトランプ大統領が解放を迫っていたものの、交渉は決裂し報復とも取れる経済制裁をトルコに行いました。
報復合戦の結果、アメリカはトルコからの輸入品の関税を2倍にするとまで発表しました。
上記のようなアメリカとトルコの関係悪化から、リスクを嫌う投資家が次々とトルコリラを手放しトルコリラは売りが先行します。
最終的には年初30円だったトルコリラの価値が一時15円に下がるほどの大暴落を記録したのです。
新興国投資のリスクの高さが現実に大暴落という形で発生したケースです。
新興国投資を狙う方は十分にリスクを理解した上で投資するようにしましょう。
4、トルコリラ投信の現状
参考までに、実際のトルコリラ投信の現状を紹介します。
(1)トルコ・ボンド・オープン(毎月決算型)
純資産額:10,234百万円
基準価格:1,527円
(2)(オーロラII) トルコ投資F
純資産額:20,134百万円
基準価格:7,370円
(3)ライジング・トルコ株式ファンド
純資産額:1,459百万円
基準価格:4,695円
5、トルコリラの見通しとインフレ対策
10月9日アルバイラク大臣が、インフレ対応策を発表しました。
具体的には、すべての企業の10%の割引、小売りスーパーなどの10%の値引き、電気ガスなどのエネルギー資源の料金の値上げを見送るなどでした。
インフレ抑制に作用するのかというと疑問で、解決までには程遠い対策となりました。
一時市場も失望売りも出ましたが、すぐに落ち着き、アルバイラク大臣の発言に期待が薄かった現れかも知れません。
まとめ
話題のトルコリラ投信について、メリット・デメリットやトルコショック発生の原因について解説しました。
新興国投資は、リターンが大きい反面、リスクも大きいことが特徴です。
投資信託には多くの商品があります。
話題の投資会社の利用を検討するなど、自分の投資スタイルにあった投資信託の購入を考えてみましょう。