ブラジルレアル投資信託の下落リスクと投資のタイミングのポイント2つ

投資家のみなさん、投資は順調でしょうか?今回は注目のブラジルレアル投資信託について解説します。

ブラジルレアル投資信託は、新興国通貨で扱われる投資信託ということで独自の特徴が存在します。

実際に投資するとなると、下落リスクや投資のタイミングを把握しておく必要があります。

ブラジルレアル投資信託をはじめとする新興国投資に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

1、ブラジルレアル投信とは?仕組みを解説

(1)ブラジルレアルとは?

ドル、ユーロと同じように外貨と呼ばれる外国の通貨です。

その名の通りブラジルで流通しています。

とりわけ、ブラジルレアルは南アフリカのランドやトルコのリラと同様に「新興国通貨」に含まれます。

新興国の特徴として、外国から資金を調達するために政策金利を高く設定する傾向があり、必然的に通貨も高金利となります。

高金利通貨としては南アフリカランドやトルコリラが有名で、国内でもスワップポイントを狙ったFXで多く取引されています。

比較的ブラジルレアルはマイナーな通貨で、国内のFX会社ではIG証券のみが取り扱っています。

ブラジルレアルなどの高金利通貨には、大きなリスクも存在します。

発展途上国である故に国家としての力は小さく、日本やアメリカなど成熟した国家と比べて社会情勢の影響を受けやすいのです。

結果として、今年8月に発生した「トルコショック」のように前触れもなく新興国通貨の価値が暴落してしまうことが起こりえるのです。

ブラジルレアルもいつ暴落が起こったとしても不思議ではないのが現状です。

(2)投資信託とは?

投資信託とは、株や債権と同様に証券会社が販売している金融商品のひとつです。

プロの投資家や投資会社が一般投資家からお金を集め、その資金で複数の株を購入・運用します。

発生した利益を一般投資家に渡します。

プロの投資家のことをファンドマネージャーと呼ぶこともあれば、投資信託のことをファンドと呼ぶこともあります。

プロの投資家に株の購入・運用を任せられる点と分散投資ができる点において他の金融商品と比べてリスクが低く、初心者でも扱いやすいのが特徴です。

以上を踏まえて、「ブラジルレアル投資信託」について解説します。

ブラジルレアル投資信託とは、ブラジルの株や債権をブラジルレアル建てで売買・運用する投資信託となります。

商品によってはブラジルの株や債権に限らず、他新興国のものを含む場合もあります。

ブラジルレアル建てでは、日本円でブラジルレアルを購入し、そのブラジルレアルで投資信託を買うこととなります。

すなわち、投資信託自体の価格上下だけではなく為替レートも利益に影響するので注意が必要です。

2、ブラジルレアル投資信託の下落の理由

ブラジルレアル投資信託ですが、その多くが下落してきています。

最も大きな理由はブラジルレアル自体の価値の下落で、今年に入り再低値である27円を記録しています。

■ブラジルレアル/日本円 チャート

ブラジルレアルの価値が下がる理由は、国家自体の経済状態が不安定であることに起因します。

ブラジルではここ数年間スタグフレーションとも呼ばれる、「不況にも関わらずインフレ率が高い」という状態です。

このスタグフレーションというのは、インフレ・デフレと比べてマクロ経済の側面から考えた時に一番まずい状態と言われています。

不況故に国民の雇用・賃金は低水準に関わらず物価だけが上昇し、満足な国民生活を保証できないためです。

上記の慢性的なスタグフレーションに加え、10月にブラジル大統領選挙を控えることからリスクを好まない投資家たちは徐々にブラジルレアルを手放し、売りが優勢となったのです。

ブラジルレアル自体の価値が下落した結果、ブラジルレアル建てで購入している投資信託の価値も下落します。

投資信託自体に多少利益が出ていたとしても外貨建ての投資信託の場合、為替の影響を大きく受けてしまうのです。

ブラジルレアル投資信託の下落の原因は、為替リスクにあったのです。

3、ブラジルレアル投資信託・今後の下落のリスク

ブラジルレアル投資信託の今後の下落リスクについて、ファンダメンタルとテクニカルの側面から解説します。

ファンダメンタルの要素としては上記でも述べましたが、直近の大きなリスクとしては10月の大統領選挙が挙げられます。

現テメル大統領は財政再建に積極的で、次期大統領がその流れを汲むかどうかにかかってくるでしょう。

かつての世論調査では、財政再建反対派のルラ元大統領がトップでしたが、収賄疑惑が有罪となり出馬を取りやめました。

筆頭候補がいなくなり、ブラジル次期大統領選挙は非常に先が読めない事態となっています。

また、以下はブラジルレアル投信のひとつである「三菱UFJ 新興国債券ファンド 通貨選択シリーズ<ブラジルレアルコース>(毎月分配型)」の設定来チャートです。

テクニカルに考えると、短期的にも長期的にも移動平均線を下抜けていることが分かります。

いわゆるデッドクロスと呼ばれるもので、今後もこのまま下落し続けるという見方が強いでしょう。

4、投資タイミングのポイント

ブラジルレアル投資信託に投資する場合、タイミングが重要となってきます。投資タイミング見極めのポイントを解説します。

(1)ブラジルの政策金利が下がった時

一般的には、政策金利が下がると通貨安となります。

しかし、ブラジルレアルは値下げ局面に上昇する傾向があります。

かつて2016年10月、ブラジルが利下げを決定した後にブラジルレアルの価値が上昇しました。

それに伴い、ブラジルレアル投資信託の資産価値も上昇しました。

今後、ブラジルの政策金利が下がるタイミングがあればブラジルレアルの価値が上がる可能性が高く、ブラジルレアル投資信託の購入を検討するタイミングと言えます。

(2)ブラジルの格付けが上がった時

今年の1月、年金改革の遅れなどを理由に格付け会社のS&Pはブラジルの格付けを「BB」から「BB-」に引き下げました。

格付けとは、投資対象として適しているかどうかを総合的に判断した指標であり、「BB-」は投資適格級を3段階下回ります。

10月の大統領選挙が無事に終わり、ブラジル経済のリスクが減少すれば格付けが戻ることを十分に考えられます。

投資適格級まで上昇することは考えにくいですが、

まずは「BB」に戻るタイミングがブラジル経済安定の証拠となります。

そのタイミングならばブラジルレアル投資信託のリスクも減少しているため、タイミングとしては適切と言えます。

5、ブラジルレアル投資信託の現状

参考までに、実際のブラジルレアル投資信託の現状を紹介します。

(1)ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインα・コース

純資産額:142.26 億円

基準価格:1,759円

(2)新光ブラジル債券ファンド

純資産額:526.46億円

基準価格:1,810円

(3)三菱UFJ 新興国債券ファンド 通貨選択シリーズ<ブラジルレアルコース>(毎月分配型)

純資産額:480.79億円

基準価格:2,298円

まとめ

話題のブラジルレアル投資信託について、特徴や今後の下落リスクについて解説しました。

新興国投資はリターンが大きい反面、リスクも大きいことが特徴です。

投資信託には、多くの商品があります。

話題のヘッジファンドの利用を検討するなど、自分の投資スタイルにあった投資信託の購入を考えてみましょう。