みなさんの投資は順調でしょうか。
2018年も残すところあとわずかとなりましたが、世界景気は大きく減速しています。
10月に、日経平均株価は年初に記録した23,800円を再び超えました。
しかし、たったの2週間で21,300円まで下落してしまったのです。
日本だけではなく世界中で株安が進んでいます。
トランプ大統領の発言のみならず、その裏には大きく分けて5つのリスク要因が存在します。
本記事では、5つのリスク要因と今後の日本経済について解説していきます。下落相場でも利益を狙いたい投資家の方はぜひ参考にしてみてください。
1、世界の情勢と株価
株価は世界情勢に密接に関わっています。
景気は世界情勢に大きく左右されます。それによって株価も変動します。
特に、リスク局面の把握は投資家にとっては、もっとも重要です。
リスク局面に差し掛かると売りが先行し、株価が下落するためです。
少し前になりますが2016年は世界の情勢が大きく変化した一年でした。
2016年6月にはBREXITの影響で世界中の株価が大きく下落しました。
当日の日経平均株価は1,200円にも及ぶ下落を記録しました。
また、11月には米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が当選したことで日経平均株価は900円も下落してしまいました。
このように、リーマンショックのような金融危機に限らず、世界情勢が不安定になると株価に大きな影響が出るのです。
株価のトレンドを知るためには世界情勢を知っておく必要があります。
現在、世界でどのようなリスクが内在しているかを把握することが自分の資産を守り、増やすことに繋がるのです。
2、年末に向けて注意すべきリスク要因
2018年の年末に向け、注意すべきリスク要因について解説します。
(1)米中貿易チャイナリスク
今年に入り、アメリカと中国の貿易摩擦が加熱しています。
トランプ大統領の国策でもある内需拡大のため、7/6に中国からの輸入品340億円相当の品目を対象に関税を引き上げました。
いわゆる「トランプ関税」と呼ばれるものです。
トランプ関税に対し、中国側は同額のアメリカからの輸入品340億円相当の品目に対し関税を引き上げると発表しました。
さらにそれを受け、トランプ政権は2000億円相当の輸入品の関税を上げるとまで発表し、貿易の報復合戦に入るリスクが高まっています。
貿易による国益が見込めないとなると国内の消費は減速し、産業の後退に繋がります。
それが大国ともなれば影響は世界中に及ぶでしょう。
アメリカと中国という大国二国間の貿易戦争は世界中を巻き込んだ大きなリスクとして経済を脅かしているのです。
(2)米金利利上げリスク
アメリカの長期金利は世界で最も重要な経済指標の一つです。
長期金利とは新発行の国際10年の利回りを指します。
長期金利は個人向け住宅ローンや銀行が企業に融資する利回りに大きく影響するので景気を大きく左右します。
アメリカほどの大国の長期金利ともなれば世界経済に及ぼす影響は非常に大きいです。
特に日本の場合注意しなければならないのは為替の問題です。
アメリカの長期金利の上昇が発表されるとドル買いの圧力で円売りが進むからです。
結果、ドル高円安となります。
一般的に、円安が進むと海外向けの日本産業の利益増加が見込めます。
従って、アメリカ長期金利上昇により日本の景気は上向くとされています。
(3)中東原油地政学リスク
中東原油の地政学リスクにも注意が必要です。
地政学リスクとは、ある特定の地域が抱える政治や戦争などの緊張が近隣諸国に影響を及ぼし、先行きを不透明にすることを指します。
2018年8月にアメリカがイラン制裁として貴金属や鉄鋼、石炭などの取引の制限を発表しました。
また、イラン産原油を輸入している国に対して11月までに輸入をゼロにするように求めています。
イラン産の原油が市場から締め出されると当然原油価格は上昇します。
また、アメリカはイランの代わりにサウジアラビアに原油の輸出量の増加を求めています。
サウジアラビアが応じた場合、不安定なイランとサウジアラビアの緊張がさらに高まり、OPECの連帯と結束が失ってしまうリスクが生まれます。
原油は産業の要ですから、景気に大きく影響しますので、産出国の動向を把握することで世界の景気の先を読むことができます。
(4)中間選挙トランプリスク
2018年11月にアメリカ連邦議会の中間選挙が行われます。
中間選挙は大統領選挙の2年後に行われ、任期の折り返し地点となります。
実際にトランプ大統領が出馬し国民から投票されるわけではなく、有権者はこの選挙で上院議員35人、州知事36人、下院議員全員の435人に加え、多数の地方議員を選びます。
つまりは与党・共和党と野党・民主党の議席の取り合いになります。
民主党が過半数の議席を共和党から奪還する結果になれば、共和党の発言力は低下し今後2年間でトランプ政権ができることは大きく制限されることとなります。
トランプ政権が世界に及ぼす影響については本記事中でも触れてきました。
それらリスクが今後緩和されるのか、加速するかはこの中間選挙にかかっていると言っても過言ではないのです。
(5)BREXIT欧州リスク
2019年3月29日を持ってイギリスは正式にEUから離脱します。
離脱まで残り半年を切ったわけですが、その先行きは未だに不透明なままなのです。
注目すべきは離脱交渉の現状とイギリス・EUの関係です。
2020年末までは「移行期間」としてイギリスがEU単一市場と同一関税に留まることが決定するなど、BREXITが決まってからここ1年間は目立った混乱が起きていません。
しかし、アイルランドとの国境管理の問題などまだまだ課題は山積です。
離脱交渉の内容次第でEUを中心とし、世界経済に影響を与えることは必死です。
具体的には、イギリス経済の不振に伴いイギリスに本社・分社をおく企業はマイナスの影響を受けることになります。
そのため、イギリスを中心にEU・世界へと影響は波及していくことでしょう。
3、日本株の上昇基調は終焉をむかえるのか?
焦点を日本株に当てみましょう。
アベノミクスの好影響により日経平均株価は2012年から6年連続で右肩上がりの上昇相場となっています。
2018年9月にはバブル崩壊後の高値である24,286円を記録しました。
しかし、冒頭でも書きましたが2018年10月に入り大幅に下落しています。
基本的に日本の株価は世界の株価(=アメリカのNYダウ)に大きく影響されるためダウが下がると日本株も下がるのです。
原因としてはこれまでに紹介してきた世界経済の抱えるリスクが少しずつ現れてきたために他なりません。
「空白の20年」と言われ全く景気が上向かなかった日本ですが、株価は昭和から平成の初めのバブル時代に記録した高値を超え、今後も上昇が続くとは言い難いです。
投資をするならば当面は、日本株より世界の株に目を向けた方が良いかもしれません。
4.バリュー投資で乗り越える
先行きが不透明な状況で投資をするのは非常に難しいです。
しかし、例え不況下となってもバリュー投資を成功させることで利益を伸ばすことができます。
バリュー投資を成功させるには個人で投資するのではなく、投資会社を利用するのも手です。投資会社では、プロの投資家が我々一般投資家から資金を集めます。
集めた資金を元に複数の銘柄に投資を行い、運用益をリターンとして一般投資家に返します。
実質的に一般投資家はプロの投資家に資金を運用してもらうこととなり、自身で銘柄について深く調査せずとも安定した利益を狙うことができます。
投資会社の強みがよく分かる出来事として、リーマンショック時の戦術があります。
リーマンショック時には世界中の株価が軒並み暴落し、多くの経済指標が下落しました。
結果、経済指標に連動する金融商品は軒並み資産価値を大きく下げてしまいました。
一方で、投資会社の中にはリーマンショックを予期し、空売りで莫大な利益を生み出したものもあったのです。
ヘッジファンドと呼ばれることもあり、最近ではドラマ化もされるなど市場関係者だけではなく一般にも広く認知されはじめています。
5.まとめ
波乱の年末相場と、今後の世界経済を占う5つのリスク要因について解説しました。
投資判断には関連するリスクを把握しておくことが大切です。
下落局面でも、焦らずリスクを考え、企業分析をし、バリュー投資が実りある投資に結びつきましたら幸いです。