コロナショックは株価にも大きな影響を与えました。経済全体に対する影響はリーマンショック以上ともいわれており、株式投資をおこなう方にとっては予断を許さない状況が続いています。
この記事では、コロナショックにより大きな影響を受けた銘柄、今後、大幅な上昇・下落が見込まれる銘柄について、なぜ株価変動が起こっているのかも踏まえて解説していきます。
今が買い時の業界・銘柄についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
コロナショックで株価が下落した業界・銘柄
新型コロナウイルスの流行により、さまざまな業界・業種が打撃を受けました。
とりわけ人が集まる業態や海外とのつながりが強い業種、日常生活との関連が希薄な業界の株価は下落するケースが見られました。
鉄鋼業
鉄鋼業などの製造業では、三密を防ぐために製造を一時的に減らした企業も少なくありません。
売上が下がると株価は下がるのは当然です。ただし、業界自体が不振なのではなく、あくまでも一時的に利益が下がっているため、コロナ対策完了後、通常事業に戻れば株価も上昇する可能性が大です。
これから紹介する銘柄は、コロナショックで株価が実際の価値よりも下がったものの、今後、コロナ禍以前の水準に戻ると予想されるものです。今が買い時でもあるので、ぜひ検討してみましょう。
神戸製鋼所<5406>
出典:Yahooファイナンス
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日本を代表する鉄鋼メーカーの1つ。なお、「製鋼所」という名前ですが、鉄鋼事業以外にも輸送機用のアルミ材製造、電力卸供給事業など幅広く手掛けています。
株価は500-700のレンジで安定していましたが、新型コロナウイルスが流行によって国内外の輸送に支障が出てくるようになると急激に下落に向かいました。6月8日時点では450円まで持ち返していますが、少なくともコロナ禍以前の株価までは順当に上昇すると考えられるでしょう。
JFEホールディングス<5411>
出典:Yahooファイナンス
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NKKと川崎製鋼の経営統合により誕生した企業。なお、JFKとは、日本と鉄、エンジニアリングの頭文字を合わせたものです。製鉄だけでなく造船メーカーも傘下に抱え、日本の重工業の一端を担っています。
JFEホールディングスはコロナショックの影響を強く受け、過去何年かは1,200-1,600の幅で動いていたはずがいきなり半値近くまで下がっています。5月後半からは上昇傾向が見られており、少なくともコロナ禍以前の水準までには戻ると見ることができるでしょう。
アパレル
3月~5月、多くの小売店が閉まっていたため、2020年の春物はほとんど売れていないのが現状です。とりわけオフィス用やお出かけ用の洋服の売上は激減しました。
カジュアルウェアをメインで扱う企業やECが売上の大半を占めている企業などを除き、アパレル各社は株価が下がっていることが多いです。しかし、衣料品は必需品でもあるため、小売店が通常営業に戻れば株価が上昇する可能性は充分にあります。
オンワードホールディングス<8016>
出典:Yahooファイナンス
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大手アパレルメーカーの1つ。幅広いタイプの衣類を扱っていますが、海外ブランドやオフィス用ブランドなどが特に多いため、コロナ禍で外出自粛が進むにつれ、売上減と株価の下落が目立ってきました。
5月中旬にはコロナ禍以前の水準の約半値まで下がりましたが、緊急事態宣言が解除されて以降、徐々に上昇傾向が見られています。このまま第二波、第三波がなければ順調に株価は伸びると予想できるでしょう。
ワールド<3612>
出典:Yahooファイナンス
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オンワードホールディングスと並び、日本を代表するアパレルメーカーの1つ。多数の自社ブランドを持ち、企画から製造、販売までを一貫しておこなうスタイルが特徴です。
オンワードの店舗は、緊急事態中に休業体制をとったデパートだけでなく、営業時間を短縮して営業していたショッピングセンターなどにも多くあったため、アパレルメーカーの中では比較的早くダメージを回復できています。今後もコロナ禍以前の水準程度までには株価が戻ると予想できるでしょう。
宿泊業・航空業・旅行業
移動が制限されたため、かなりのダメージを受けているのが宿泊業と航空業、旅行業。アパレルメーカーのように「売上が減った」というだけでなく、キャンセル対応による損害も多く、大手企業でも社員の給料減やボーナスカットが実施されました。
とりわけ海外とのつながりが多い空輸業は、新型コロナウイルスの流行により大きなダメージを受けました。すぐに売上がコロナ前の水準に戻るとは言い難いため、株式買い控えの動きが見られています。
JAL<9201>
出典:Yahooファイナンス
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ANAと並び日本の空輸を代表する企業。日本各地の空港と、50を超える国々の300以上の空港に定期便や不定期便を就航しています。
比較的株価が安定しているJALですが、渡航規制が実施されてから急激に下落し、3月~5月には2,000円を切る日も多くありました。緊急事態宣言は解除されたものの、まだ国内便・国際便ともに大幅な減便を実行しています。コロナ禍以前の水準に戻るには、かなり長い時間がかかると予想できるでしょう。
パーク24<4666>
出典:Yahooファイナンス
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地球環境問題への意識の高まりから、加速度的に広がってきたシェアエコノミー。しかし、コロナ禍によって人との接触を極力避けたいという動きが強まっているため、レンタカー業界全体の先行きは厳しくなっています。
実際に、アメリカでもハーツ・グローバル・ホールディングスは5月末に破産申請しており、日本でも同様の流れが起こると考えられています。とはいえ、ウイルス対策を充分におこなうことでニーズを引き出せる可能性はあるため、今後の伸びはある程度なら期待できそうです。
コロナショックで株価が上昇した業界・銘柄
すべての業界がコロナショックでマイナスの影響を受けたわけではありません。株価が上昇した銘柄や、一時的に下がったもののコロナ禍以前よりも高値を記録している銘柄も少なくないのです。
とりわけ、医療機器や製薬、流通業では、大幅な株価上昇が見られています。まだまだ伸びると予想されますが、いつ頭打ちになるかは予想が難しいため、株価が上がり切る前に購入を検討してください。
医療機器・製薬
コロナウイルスの流行により、医療機器や医薬品の不足が問題になりました。とりわけ医療用のマスクや防護服などの消耗品、ウイルス検査用のキット、抗ウイルス薬などは世界的に不足し、株価を大きく左右しました。
オムロン<6645>
出典:Yahooファイナンス
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医療機器メーカー。体温計などが大量に必要になったことから業績は上昇し、株価を大きく伸ばしています。
今後、自宅で健康管理する人が増えると予想されることから、血圧計など家庭用医療機器のニーズがさらに伸びると考えられます。オムロンの株価もどこまで伸びるか要注目です。
ギリアド・サイエンシズ<NASDAQ:GILD>
出典:Yahooファイナンス
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ギリアド・サイエンシズは、新型コロナウイルスの治療薬として日本で認められた薬剤「ベルクリー」を製造・販売する企業です。ベルクリーは元々、エボラ出血熱の治療薬として開発されましたが、コロナウイルス感染者にも一定以上の効果が見られています。
こちらはアメリカの株式ですが、米国株式を扱う日本の証券会社でも購入できます。国内株式は通常100株単位で購入しますが、米国株式は1株から購入可のことが多いため、投資資金が少ない方にもおすすめです。
流通業
自粛期間中、普段よりもネット通販の利用が増えた方も多いでしょう。インターネットショッピングサイトは、コロナ禍以前よりも売上を伸ばし、また、商品を運ぶ運送業も普段以上にニーズが高まりました。
アマゾン<NASDAQ:AMZN>
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世界最大のネットショッピングモール「Amazon」も、コロナショックで大きく株価を延ばした企業の1つです。4月14日(現地時間)には史上最高値である2,290USドルを記録し、その後もさらに上昇し続け、6月になっても勢いは衰えていません。
Amazonの強みは、何といっても独自の販売管理システムにあります。在庫管理から発送、輸送までをすべて自社でもおこなうため、スピーディな対応が可能です。また、商品によっては他社や個人を経由するなど、柔軟な使い分けもAmazonならではの強みです。
小売業
緊急事態宣言が発出されている間、デパートなどの大型店舗は自主的に休業あるいは営業を縮小し、売上は大きく減少しました。
しかし、スーパーやドラッグストアなどの小売店は、通常以上に売上を伸ばしています。家庭で生活する時間が増えたため、紙や洗剤などの消耗品の消費が伸びただけでなく、外食や給食の利用が減ったために自炊が増えたことも一因です。
ウエルシアホールディングス<3141>
出典:Yahooファイナンス
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トイレットペーパーやマスク不足の騒ぎから、ドラッグストアの売上は上昇しました。コロナ禍以前よりも頻繁にドラッグストアに出かける人も増え、「マスクを買いに行ったついでに、お菓子やティッシュペーパーなどを買う」など、普段はスーパーで済ませる買い物をドラッグストアで済ませるケースも増えています。
ウエルシアホールディングスは、全国チェーンのウエルシア薬局などを経営する企業です。ウエルシア薬局では、調剤薬の待ち時間を減らせるインターネット処方箋受付サービスを実施しています。新型コロナウイルスの流行で、「できるだけ店舗滞在時間を減らしたい」という人々のニーズとも合致し、大きく売上を伸ばしました。
アフターコロナで中長期的に伸びそうな業界・銘柄
コロナ終息後、中長期的に株価が伸びそうな業界や銘柄を紹介します。
いずれもコロナ特需ではなく需要の再発見ともいえる業界・銘柄のため、長期的に運用したい方にもおすすめです。まとまった投資資金がない場合は、累投などの積立投資を検討してみてはいかがでしょうか。
自動車産業
感染防止の観点からレンタカー業界は厳しくなっているため、世界的に自動車を保有する動きに回帰しています。とりわけ自動車の普及率が先進国に比べて低い中国では、販売台数が大幅に伸びる可能性があります。
また、インドでも自動車や二輪車の市場が好調です。自動車関連企業は、アフターコロナの期待株の中でも特に要注目株です。
シマノ<7309>
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シマノは、自動車部品の業界トップ企業です。感染リスクが低い移動手段として二輪車や自転車の需要が高まっている中、部品を手がけるシマノの株価は大きく伸びています。
5月中旬以降には一時20,000円の大台を超えています。今後も安定した成長を期待できる銘柄の1つといえるでしょう。
本田技研工業<7267>
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自動車と二輪車のメーカー、ホンダ。オートバイの販売台数は世界首位、自動車は7位と、世界有数の自動車製造会社です。
緊急事態宣言の発出中は販売台数が減ったために株価も大幅に下落しましたが、5月下旬以降は順調にコロナ禍以前の水準に戻りつつあります。自動車に対する世界的なニーズの高まりの中、中長期的に保有したい銘柄の1つです。
ネット保険業界
生活に対する不安が高まる自粛期間中、保険加入を検討した方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、保険会社に行ったり保険外交員に相談したりといった従来型の保険は、アフターコロナ向きとはいえません。中長期的な投資先を探している方は、自宅に居ながらにして契約できるネット保険に注目してみましょう。
ライフネット生命<7157>
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ライフネット生命は、ネット専門の保険会社です。生命保険や医療保険、就業不能保険などの幅広い商品を扱っています。いずれも代理店や販売員を通さないため、リーズナブルな価格で大きな補償が特徴です。
ライフネット生命の株価は、5月に入った頃から急激に上昇しています。保険に対するニーズは今後増加することはあっても減少することは少ないと思われるため、中長期的な投資先としてもおすすめです。
つみたてNISAにおすすめの銘柄は?
株価が大きく変動しているときは、株式投資のチャンスです。しかし、株式投資は銘柄を特定して資金を投入するためリスクが大きい投資手法です。できるだけリスクを抑えて投資をおこないたい方は、複数の銘柄をまとめたファンドに投資する投資信託を検討してみてはいかがでしょうか。
つみたてNISAで投資信託を運用すれば、利益がすべて非課税になるだけでなく、最長20年間放置することも可能です。つまり、長期的に伸びそうなファンド運用にとりわけ適しているのがつみたてNISAなのです。つみたてNISAで運用でき、なおかつアフターコロナに値上がりを期待できるファンドを2つ紹介します。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
出典:Yahooファイナンス
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アメリカ市場の代表的な株価指数S&P500と同程度の価格になるように運用するインデックスファンド。コロナ禍のときは大幅に価格が下落したものの、立ち直りが早く、すでにコロナ禍以前の水準に戻っています。
長期的に見れば、アメリカの相場は上昇傾向にあるので、利益を見込みやすいです。まだまだ変動は大きいものの、数年以上のスパンで保有するのに適したファンドの1つといえるでしょう。
ニッセイ日経225インデックスファンド
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日本市場の代表的な株価指数と同程度の価格になるように運用するインデックスファンド。長期的に見れば日本の相場も上昇傾向にあるので、利益を見込みやすいです。
国内ファンドなので為替リスクがなく、初めて投資信託に投資をする方にもおすすめです。また、売り注文と利益確定の時差が外国ファンドよりも少ないため、売り時を逃しにくい点も魅力の1つといえるでしょう。
株価変動には理由あり!普段から情報収集を心掛けよう
株価が動くときには、かならず理由があります。理由を分析することで、次に動く銘柄を予想することが可能です。
今回のコロナショックによる経済影響はリーマンショック以上との声もあり、投資を始めるにはまたとない機会です。ぜひ参考にして、資産形成にお役立てください。
まとめ
- 鉄鋼業などの製造業やアパレル業は、コロナショックで株価は落ちたものの短期間でコロナ禍以前の水準に戻ることが見込まれる
- 自動車産業とネット保険業はアフターコロナの注目業界
- 株式投資が不安な方には、つみたてNISAで投資信託を運用するのがおすすめ。国内外の代表的な指標連動型のファンドなら中長期的な保有向き。