米IT4社の決算発表!成長を続ける米国市場と停滞中の日本市場を比較

  • 2018年9月10日
  • 2021年10月15日

スコット・ギャロウェイ教授の『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』という本が出版され、注目を浴びています。

同書のAmazon商品説明によると、発売1週間で10万部を超えたということです。

GAFAとは米国の巨大なIT4社のこと。

Googleの持ち株会社Alphabet、iPhoneやMacのApple、Facebook、Amazonの頭文字をとって名付けたものです。

株式時価総額の合計は約300兆円と、日本の国家予算(特別会計を含む)に匹敵する4社の市場に対する影響力は計り知れません。

GAFAの収益力は米国市場の成長の源泉でもあるといっても過言ではないのです。それぞれの決算を振り返り、米国市場と日本市場を比較してみます。

1、GAFAの業績と株価

 

4社の直近の決算と最近の株価についてお伝えします。

(1)Google

インターネット検索大手Googleを傘下に持つAlphabetの業績から見ていきます。

2018年6月30日までの上半期の売上は638億ドル。営業利益は98億ドルで、内訳はGoogleが173億円、他の赤字が13億円、その他の調整項目が62億円でした。

調整項目には、EUでの独占禁止法による制裁金が含まれています。

利益のほとんどをGoogleの広告収入が支えており、ここで得た利益をドローンや自動運転など次世代を担う事業に再投資しているような状況が見てとれます。

通年決算における売上は2017年12月期が1109億ドル。2013年12月期の556億ドルから4年間で倍になりました。

直近の営業利益は262億ドルです。

株価は2018年8月8日時点で1261ドル。業績に比例するように4年間で倍くらいに伸びています。

<Google株価 2013年8月~2018年8月>

画像出典:Google

(2)Apple

直近の2018年第3四半期における売上は533億ドルと前期比で17%増えています。

同社ホームページのIR情報にティム・クック社長が寄せたコメントによると、iPhone、サービスそしてウェアラブルすべて好調だと言うことです。

通年決算は2017年9月期の売上が2292億ドル。営業利益は881億ドル、前期比4.6%増。同時に四半期で最高売上を達成しており、着実に成長していることがうかがえます。

株価は現在207ドル。5年間で3倍以上に伸びています。

<Apple株価 2013年8月~2018年8月>

画像出典:Google

(3)Facebook

直近は2018年4~6月の第2四半期で売上が132億ドル。前期比42%増と絶好調です。営業利益は58億で、売上の40%以上となる高い利益率も特徴的です。

増益の要因と見られるのは一人あたり売上高が増えたことです。

データの不正利用というスキャンダルがあったりしてユーザー数が伸び悩んだものの、ヘビーユーザーの信頼は厚いということでしょうか。

通年決算は2017年12月期の1年間で売上高が406億ドル。前期比47%増と勢いにのっています。

営業利益は202億ドルで前年63%増。GAFAの中では比較的規模が小さいものの、成長力には目を見張るものがあります。

<Facebook株価 2013年8月~2018年8月>

画像出典:Google

(4)Amazon

2018年1月~6月の半期は1039億ドルの売上。営業利益は49億ドルでした。

通年決算は売上が2017年12月に1779億ドルを計上。2013年は745億ドルなので、4年間で倍以上になっています。

2017年の営業利益は41億ドルと、利益率では少し見劣りします。

Amazonが他の3社と比べて特徴的なのは、一般的に本業と認識されているであろう事業よりも他の事業が収益を支えていることです。

売上高では主要となっている北米Eコマース事業では営業利益率が一桁台なのに対し、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)は20%以上。AWSの売上高成長率は2015年9月~2018年3月の2年半もの間、40%を下回ることがありません。

収益の柱を複数持っていることが強みといえます。

株価は2018年8月8日時点で1886ドルです。5年間で6倍、3年間で3倍以上に伸びています。

<Amazon株価 2013年8月~2018年8月>

画像出典:Google

2、米国企業の成長

<米国S&P500指数 1998年1月1日~2017年12月31日>

画像出典:Yahoo!FINANCE

数兆円規模の売上を持ちながら成長を続けるGAFA。

この4社を擁する米国の株式市場はどう推移しているのでしょうか。

画像は、GAFAをはじめとした米国の代表的な500銘柄で構成される株価指数S&P500の過去20年間のグラフです。

2000年のITバブル崩壊や2008年のリーマンショックなどで低調となることもありましたが、2009年以降は一貫して伸びています。

世界的な影響力を持ち、イノベーションを生み出す巨大なIT4社を抱えることで、米国市場は成長し続けているのです。

3、日本の株式市場は停滞している?

<TOPIX 1998年1月1日~2017年12月31日>

画像出典:東京証券取引所

一方、日本の株式市場は停滞していると言わざるを得ません。

TOPIX(東京証券取引所株価指数)1998年~2017年の過去20年間を振り返ると、最高値はサブプライムショック以前に記録した2007年2月。2013年以降、史上最高値を繰り返す米国市場とは対照的です。

両者の違いを生んでいるのは何でしょうか。

投資への意識の違いや消費への意欲、経済成長の原動力である人口の推移など、米国が有利となる要因は数多くあります。

日本の株式市場には、GAFAのような世界の市場を牽引する企業の存在感が乏しいことも停滞する理由のひとつです。

トヨタやソフトバンク、NTTなど、売上高からみれば遜色はありませんが、成長の勢いという意味では敵いません。

ただし視点を変えると、日本と米国のどちらが魅力的と言い切ることはできません。

割安さをはかる指標のPBRは通常1倍が目安となりますが、S&P500は3倍程度で推移し、TOPIXは1.3倍程度ですから、「株価が安いうちに買っておけばそのうち上がるだろう」と考える人にとっては、日本株に投資する理由があるわけです。

株式投資の代表的な手法には、成長性にかけるグロース投資と割安さを重視するバリュー投資の2つがあります。

どちらがいいとは言い切れません。

個別株に投資するのかインデックスを買うのかによっても違いますし、著名な投資家は両方の要素も取り入れてオリジナルの方法論をつくっていることが多いと言います。

ただGAFAのような成長を続ける巨大グローバル企業に魅力を感じる人は、米国市場に投資することが理にかなっていると言えます。

まとめ

2018年8月時点で、Google、Apple、Facebook、Amazonの米IT4社は好決算が続いています。

これら企業の活躍によって米国株式市場は成長を続けているのです。

成長株の将来性に投資したい人は米国に目を向けてみるのも良いのではないでしょうか。