【2022】株が「危険」と言われる理由とは?危険回避のために注意すべきこと

  • 2020年10月21日
  • 2022年1月29日

家族や周囲の人に株に興味があることを話すと、「危ないからやめて」「株って危険なんでしょ?」と言われませんか?筆者はよく言われてウンザリなので、投資の経験のない人には株をやっていることは言わないようにしています。

確かにリスクはありますが、巷で言われるほど危険ではないと考えています。

この記事では、株に対する「とにかく危険」という悪いイメージが勘違いであることを解説し、正しくはどんなリスクがあって、何をすれば危険を回避できるのかについて解説していきます。

「株は危険」だと言われる理由

「株は危険」だと言われる理由

「株で失敗すると借金を背負う」

「株はギャンブルだからやらない方が良い」

と思っている方がいるので、世の中一般的には「株は危険」というイメージがついています。これは、株をやったことがない人が勝手に思っているイメージなのですが、イメージが先行しすぎて「株は危険だ」と言われています。

確かにリスクはありますが、株はギャンブルではありませんし、一般的なやり方なら借金を背負うこともありません。株は危険だと思っている人がどんな勘違いをしているのか、気を付けるべき正しいリスクは何なのかについて解説していきましょう。

「株は危険」と思っている人の5つの勘違い

「株は危険」と思っている人の5つの勘違い

株は危険だと思っている人の多くは、投資を経験していない人です。やったことがないため、都市伝説のような怖い噂を信じてしまうのです。

株に対するよくある勘違いを5つ紹介していくので、もし「株はギャンブル」「借金を背負ってしまう」といった間違った認識を持っている方がいらしたら、正しい知識にアップデートしてください。

  • 株はギャンブル
  • 失敗したら借金を背負う
  • 才能がないと勝てない
  • 税金をたくさん取られる
  • 会社にバレたらクビになる

株はギャンブル

確かに、株は上手くいくこともあれば失敗することもありますが、ギャンブルとは性質が違います。

株式投資をざっくり言うと、投資家が企業に出資し、企業が出した利益の一部を受け取ることです。企業が利益を生み出すため、投資家も企業も儲かり、みんなが得をするのでプラスサムゲームです。

 

一方、ギャンブルはゼロサムゲームかマイナスサムゲームで、プラスサムゲームではありません。宝くじや競馬のようなギャンブルの場合、参加者が支払ったお金が勝者に分配され、敗者には分配されないだけです。

敗者から勝者にお金が移るだけで全体として利益が増えないので、ゼロサムゲームとなります。

さらに、手数料が胴元に支払われるので、実際は全体の利益はマイナスです。勝者と敗者をあわせた全体のお金は減ってしまうため、マイナスサムゲームにすらなってしまいます。

 

この点、株は企業が利益を生み出すことで、投資家と企業が得られるお金は増えていきます。参加した人全員が勝者になれる可能性があるので、プラスサムゲームであり、ギャンブルとは異なります。

残念ながら企業が利益を出せず、投資家も企業も得ができないことはあります。とはいえ、全員が勝者になれる可能性があるぶん、投資はギャンブルよりは儲けやすいと考えられます。

失敗したら借金を背負う

株で失敗したら借金を背負うと勘違いしている方がいますが、それは違います。確かにリスクの高い信用取引でむちゃをすると借金を背負う可能性がありますが、一般的な現物取引をやる分には、借金を背負うことはありません。

 

現物取引とは、自分が現実に持っているお金を使って株式を買うことです。値上がりしてから売却すれば、差額が利益になります。

値下がりしてから売却すると損失が出るのですが、株価はどんなに下がっても0円までなので、借金を背負うことはありません。例えば、10万円で買った株式が0円になってお金を溶かしてしまうリスクはあるのですが、それより下がって借金を背負うといったことはないのです。

 

信用取引は自分が持っていないお金を借りたり株式を借りたりして取引するため、損失が出たらいわゆる借金の返済が必要になりますが、現物取引ではそうはなりません。現物取引だけでも株で利益を出すことは十分可能なので、「株で失敗したら借金を背負う」というイメージは極端すぎると言えるでしょう。

才能がないと勝てない

株はギャンブルだと思っている人や、少し株をやってみて損を出した人は、「才能がないと株で稼ぐのは無理」と勘違いしていることがあります。確かに、難易度が高い方法もありますが、難易度が低くて誰でもできる方法もあるので、才能がないと勝てないとまで言うのは極端です。

例えば、1年で資産を2倍にするなど大きな利益を狙うには、難易度が高い方法に手を出さなければなりません。失敗する人も多いため、才能がないと稼ぐのは無理と思ってしまっても仕方ないでしょう。

 

しかし、1年で5パーセント資産を増やし、20年後に2.6倍以上にするくらいであれば、そこまで難易度は高くはありません。年率5パーセントでお金を増やせる投資商品はゴロゴロあるので、誰でも狙えるレベルです。

このように、無謀な利益の追求は確かにハイリスクですが、そうでなければ誰でもできるくらいの難易度です。実は、投資はコツコツお金を増やしたい人に合っているのです。

税金をたくさん取られる

投資で得られた利益にも税金がかかるのですが、所得税と比べて有利な税率になることが多いので、「税金をたくさん取られる」というイメージも誤りです。確かに富裕層は投資で大金を稼いでいるため税金も高くなり、そのイメージが定着しているのか株の税率が高いような錯覚を生んでいます。

実は、株の方が低税率のケースも多いのです。株式投資と給与所得の税率を、所得税と住民税それぞれについて比べてみましょう。

 

所得税の税率は、株式投資だと15.315パーセント(復興特別税を含む)であり、給与所得だと所得税が5パーセントから45パーセントです。給与所得は累進課税であるため、給与所得が大きくなるほど税率が上がります。

年間の給与所得が330万円を超えると20パーセントになるので、株の税率よりも高くなってしまいます。330万円はサラリーマンの平均年収よりも低く、税率20パーセント以上の方も大勢いらっしゃると考えられ、実は株式投資の方が税率が低いことがわかります。

 

住民税の税率は、株式投資だと5パーセント、給与所得だと10パーセントです。住民税も、株式投資の方が税率が低いのですね。

まとめると、給与所得よりも株の利益にかかる税率の方が低いケースも多いので、「株は税金をたくさん取られる」というイメージは勘違いです。高所得の富裕層は投資の方が税率を下げられるため、収益のメインを投資にして節税しているパターンも多いです。

会社にバレたらクビになる

一般的には、会社員が株の取引をしても何も問題はありません。会社のルールで禁止と定められていれば別ですが、違反していなければ株が原因で会社をクビになることはないでしょう。

ただし、インサイダー取引には注意してください。インサイダー取引とは、未公開の情報を仕入れてそれを基に取引することです。

 

例えば、営業で出入りしている会社が新製品をリリースするらしいという情報を仕入れたとします。新製品のリリースが発表されれば株価が上がることが予想されますが、一般に公表される前につかんだネタを基に株式を買うことはインサイダー取引に該当し、逮捕されてしまいます。

限られた人しか知らない情報を基にした、いわゆるズルい取引はしないでください。

 

また、公務員や企業の機密情報を扱う部署など、株式投資をしてはいけないと決められている会社や職種もあります。職場のルールを確認して、禁止されていないことを確認してから株を始めましょう。

以上の注意点を守っていれば、株の取引が会社に知られたからといってクビにはなりません。

株に投資する3つのリスク

株に投資する3つのリスク

株式投資に関する5つの勘違いを紹介したので、次は正しい知識として株式投資の3つのリスクを解説していきましょう。株式投資には、主に以下の3つのリスクが存在します。投資には元本割れのリスクがありますが、その原因をたどると、以下3つのリスクのどれかに分類されることがほとんどです。

  • 価格変動リスク
  • 信用リスク(倒産リスク)
  • 流動性リスク

価格変動リスク

価格変動リスクとは、大小さまざまな株価の値動きのことです。値下がりして損するリスクだけでなく、値上がりして得をする可能性も含めて「価格変動リスク」と言うので、一概に「単なる危険」とは言い切れない種類のリスクです。

株価が変動するのは理由がいくつかあります。決算発表や新商品・新サービスの発表のように企業の事業内容を原因とした価格変動もありますし、そうでなく投資家の需要と供給のバランスによって生じる価格変動もあります。

いずれにせよ、価格変動リスクがあるからこそ、損をする可能性もありますが得できる可能性もあるのです。投資で儲けられるのは、価格変動リスクがあるお陰とも言うことができます。

信用リスク(倒産リスク)

信用リスクは、投資先の企業の経営不振などが原因となって株価が下がることを指します。最悪の場合、倒産して株式が無価値になってしまうこともあるので、「倒産リスク」とも呼ばれています。

企業によって信用リスクの大きさは異なり、信用リスクが小さい企業の株に投資した方が株価の下落や倒産といったリスクが小さくなります。見分けるポイントの一例としては、「自己資本比率」が挙げられます。

 

企業が事業を行うために使っているお金は、自分のお金(自己資本)と銀行などから借りたお金(他人資本)の2種類があります。他人資本が返済できないくらい大きくなると経営不振や倒産に陥る可能性が高くなるので、資本のうち自己資本の割合が何パーセントかを示した「自己資本比率」を見れば、信用リスクをある程度は測ることができます。

一般的には、自己資本比率が30パーセントを超えている場合、信用リスクが低いとされています。銀行など業種によってはそれ以下でも問題ないこともありますが、銘柄選びのときは自己資本比率30パーセントを目安に探してみてはいかがでしょうか。

流動性リスク

流動性リスクは、株式を売却したいと思ってもなかなか売れないリスクのことを指します。あまり有名ではない中小企業の株式の場合、取引している投資家の人数が少ないので、自分があるときに売ろうと思っても買い手がなかなかつかないというケースがあるのです。

売りたくても売れない状態にありながら、どうしても株式を手放したり現金化したりしたいと思うなら、価格を下げるしかありません。それでも買い手がつかなければ、もっと株価を下げて……といった悪循環に陥るので、流動性リスクが高い銘柄は株価が短時間で下落しやすい特徴があります。

 

一方で、短期間で株価が急上昇する可能性を秘めているのが中小型株なので、これらに投資をしてはいけないことはありません。しかし、流動性リスクが高くて売りたいときに売れない可能性があることは理解しておきましょう。

株で危険を回避するために気をつけるべきこと

株で危険を回避するために気をつけるべきこと

株は正しく投資をすれば決して危険なものではありませんが、確かに誤った投資方法で人生を破滅させてしまった人も存在します。どうしたら危険を回避しながら投資で利益を出せるのか、気をつけるべきことを5つ紹介していきましょう。

投資は余剰資金で行う

大前提として、投資は余剰資金で行ってください。生活費やマイホーム購入のための貯金など、生きるのに必要なお金を使ってはなりません。

余剰資金の範囲であれば、投資で失敗して損をしても、人生設計を変えるほどのダメージは負いません。株で人生を破滅させてしまう人は、生活費などの必要なお金にまで手をつけてしまい、取り返しのつかないことになるから破滅するのです。

損切りは素早く行う

株価が上昇すると予想して投資しても、予想が外れて下落することもあります。予想が外れたと思ったら、すぐに売却して損切りをしましょう。

その後に株価が戻ってくる可能性もありますが、永久に戻って来ない可能性もあります。

 

株での失敗で最も多いのが「すぐ株価が戻ると思って損切りせずに放置しておいたら、損失が拡大して取り戻せないところまで膨らんでいた」という事例です。こうならないよう、損失額が資産全体の5パーセントに達したら損切りするといったルールを決めて売却しましょう。

信用取引は使わない

株で借金を背負うとしたら、信用取引を使った場合です。正しく使えれば大きな利益が手に入る一方、失敗すれば大損という諸刃の剣なので、初心者は手を出さない方が良いでしょう。

信用取引は、自分の資産を担保にして証券会社からお金を借りて株式を買ったり、株式を借りて売ったりする取引方法です。自分が持っていない資産も動かせるという意味で、少ない資金でも大きな利益を狙えるメリットがあります。

 

一方で、少ない資金で大きな損失を出してしまうリスクもあります。自分の資金を超える損失が出たら借金になってしまうかもしれないので、初心者のうちは信用取引は使わないで取引しましょう。

決算前後はポジションを持たない

企業の決算発表直後は株価が乱高下しやすいので、短期投資の初心者の方は巻き込まれて損失を被るリスクが大きいです。決算発表の前に株式を売却してポジションを持っていない状態にしておき、決算発表が終わって相場が落ち着いてから再びポジションを取るのがおすすめです。

とはいえ、すべての投資家がそうしているわけではありませんし、できない場合もあります。

 

例えば、株主優待の条件に「3年以上継続して保有していること」があると、決算をまたぐからといって売却すると条件を満たさなくなり、株主優待がもらえなくなってしまいます。

長期投資をするなら、決算前後の大きな値動きは覚悟しておきましょう。決算の内容が悪くて株価が急激に下落しているなら、長期投資の方も損切りをした方が良いとも考えられるので、決算のタイミングは押さえておきましょう。

優待狙いの買いは1ヶ月前から

株に投資するメリットの一つは、株主優待でしょう。株主優待をもらうには、銘柄ごとに決められた期日(権利付き最終日)までに株式を保有している必要があります。

ずっとその銘柄を保有しなければならないというわけではないため、権利付き最終日に買って翌日に売却することをいろいろな銘柄で繰り返せば、少ない資金でたくさんの株主優待を手に入れることができます。

 

ただし、大勢の投資家が同じことを考えているので、株価は権利付き最終日に向かって高くなり、翌日に一気に下落することが多いです。そのため、この作戦だと株式を「高く買って安く売る」ことになり、損失が出やすいです。株主優待のメリットよりも、売却による損失の方が大きいこともよくあります。

したがって、優待狙いで投資をする場合でも、権利付き最終日に買うのは避けましょう。できれば、権利付き最終日の1ヶ月前には購入しておきましょう。

まとめ

株は危険だと言われる理由やよくある勘違い、危険を回避する方法などをお伝えしてきました。「株はギャンブル」「失敗したら借金になる」といったイメージは正しくないことをご理解いただけたことでしょう。

最後に解説したように、危険を回避する行動を押さえていれば、借金を背負うなどの極端な失敗は避けることができます。

 

投資には確かに大なり小なりリスクがあるのですが、だからこそ儲けるチャンスもあります。正しくリスクに対処しながら、投資を始めてみてはいかがでしょうか?