決算のタイミングで株価はどうなる?決算発表で儲けるための6つのポイント
株価を動かす第一の要因は「企業の価値」つまり業績です。
業績の判断材料として一期間の経営成績を公表する決算発表は、株価が大きく動くチャンスでもあり、リスクでもあります。
投資家として自分の保有している企業の決算発表日は、必ず把握していなくてはなりません。
決算発表前後の売買に気をつけることや、決算情報を取得する方法などについてまとめました。
決算対策のご参考になれば幸いです。
1、決算とは?決算日と決算発表日の違い
決算と株価の関係を考えるにあたって、ふたつの考え方があります。
決算日と決算発表日です。
株式会社は1年間以内の決算期間を定め、その業績を何らかの方法で発表しなければなりません。
通常は1年間を決算期間とします。
その期間の最終日が決算日です。
大多数が月末で、多くは3月末が決算日となります。
決算日がある月は決算月と呼ばれます。
9月や12月を決算月とする会社も比較的よく見られます。
企業の業績に関する最も詳細な情報は有価証券報告書に記載されますが、発表されるのは決算日のおよそ3ヶ月後になります。
会計や税務の煩雑な調査や処理、子会社の決算のまとめなどをしなければならないからです。
そこまで待っていると状況の変化に対応できないので、上場企業は決算の概要を記したものを決算短信として決算日の1ヶ月~2ヶ月後に配信しています。
本稿では、決算発表日とは決算短信の公表日のことを指します。
企業業績の区切りが決算日、業績が最短で発表されるのが決算発表日というわけです。
決算日は実は、それほど株価に影響しません。
ただ、ほとんどは決算日が配当および株主優待の権利確定日になるので、若干の影響はあります。
これらの権利を得るためには、権利確定日の3営業日前に買い、権利確定日(決算日)まで保有していなければなりません。
このタイミングを狙って売買する人がいるので、決算日の4営業日前まで株価は上がりやすく、決算日以降には下げ圧力があります。
しかし、権利確定日は初めからわかっていることで、株価に最も大きな影響を与える「サプライズ効果」はありません。
インパクトが大きいのは決算発表日です。
日本の上場企業は四半期決算が義務付けられています。
3ヶ月ごとに決算短信で業績を発表しなければならないのです。
最初の3ヶ月は第1四半期(クオーターの頭文字をとって1Qとも表記します)、半年は第2四半期または半期決算とも言います。
通年の決算は本決算と言います。
四半期決算は半月くらいで発表されるケースが多いです。
3月末決算の会社を例にとると、7月20日に1Q(4月1日~6月30日の業績)、10月20日に半期に2Q(4月1日~9月30日の業績)、翌1月20日に3Q(4月1日~12月31日の業績)、そして5月中旬に本決算(前年4月1日~3月31日)が発表されるといったスケジュールになります。
各日とも株価が大きく動く可能性があると言えます。
2、業績予想に注目!決算発表で株価はどう動く?
決算発表日には、企業がホームページなどで決算短信を発表します。
そこで「赤字か黒字か?」「利益は増えたのか?」「配当は?」などの情報が配信されるわけです。
または、ニュースでも「増収増益」など報道されるでしょう。
決算発表日には、ニュースを知った投資家たちが飛びつき、株価が急騰・急落することがあります。
気をつけなればならないのは、「利益が増えたから株価が上がる」という単純なものではないということです。
では何を見ればいいのかというと、「予想に比べて業績がどれだけかい離しているか」ということです。
ここでいう予想とは、企業自身の予想ではなく、企業分析の専門家、アナリストによる予想です。
複数のアナリストによる予想を平均したのが市場コンセンサスです。
これは個別株に限ったことではありません。
為替や株価指数においても、雇用統計や金利動向などが市場の動かす鍵となりますが、市場コンセンサスをどれだけ上回った(下回った)かによって値動きが変わります。
個別株にはいろいろなアナリストがレポートを書いていますが、全ての銘柄ではありません。
その場合、企業自身の業績予想を基準に考えることになります。
業績予想には、大企業の業績予想をするアナリスト予想と会社が公表する業績予想の2通りになります。
必ず決算発表前にチェックしておきましょう。
そして、決算発表は、予想を上回ったのか?下回ったのか?そこがポイントになります。
3、決算発表前の売買で儲ける方法
決算発表直後には価格が大きく上下に変動するリスクがあります。
このリスクを回避するためには、決算発表前に一度手仕舞いし、発表後にまた購入の是非を判断するというのも手です。
いいかえると、トレンドは決算発表まで維持する可能性があるということです。
上昇基調なら、とりあえず次回の決算発表までは持っておくという考え方ができます。
ただ、決算発表はいくつかあるニュースの中のひとつです。
他社との提携や新商品開発など、ビッグニュースがあれば転換することもあります。
だから決算発表だけでなく、いろいろなニュースに敏感になっておくことも必要です。
決算発表前に仕込み、予想を上回る内容の業績が発表されれば理想的な展開です。
企業の業績がどうなるかを、徹底的に調べて予想できれば、そのようにうまくいくこともあります。
「ビジネスモデルは今の世の中に合っているか」「季節変動要因はあるか」「ブランド力はあるか」など業績を支える要因を多角的に分析します。
決算発表までの上昇スピードがすさまじい場合は、投資家から多くの期待が集まっている状態と言えます。
やはり予想に対する期待であって、予想通りにならなかったときのリスクは大きいともいえ、注意が必要です。
業績内容を調べて、予想以上の業績が出ると思ったら持ち続ける。
よくわからなかったら決算発表前に手仕舞う。
これがオーソドックスな決算発表に備える投資手法です。
4、決算発表当日の売買で儲ける方法
売買時間中の乱高下を避けるため、決算発表は15時30分など立会時間以外になされることが多いです。
そして予想外の結果になった場合、翌日の寄り付きで終値からかい離し、チャートに窓を開けることになります。
乱高下する決算発表後の相場はデイトレードだと相当難しく、ベテランでも避ける人がいます。
時間外に発注してもストップ高・ストップ安となり取引が成立しないこともあります。
そのため当日の売買はあまりおすすめしません(発表まで持ち続けたときに寄り付きで指し値を入れてすぐに手仕舞いするという場合をのぞきます)。
それでも15時に発表されたあとにすぐ売買したいという人は、証券取引所以外のPTSやダークプールという時間外取引する方法があります。
この時間帯は乱高下のリスク(チャンス?)はもっと高いと言えます。
なぜなら、証券取引所取引と比べて市場参加者が少ないからです。
これらの取引はネット証券を中心とした各証券会社で取り扱いがあります。
5、決算発表後の売買で儲ける方法
銘柄分析やデイトレードの腕によほどの自信がない限り、個人投資家が参入するのは決算発表後がいいでしょう。
サプライズ決算のリスクを避けるためです。
決算発表直後には出来高が増えますが、乗り遅れた人もいるので、そこから徐々にトレンドを形成していくことになるでしょう。
値動きが落ち着いたら、飛び乗ってみるというのも良いかもしれません。
これらのトレードは、企業分析をよくして中長期の投資をしていることが前提です。
もし相場に張り付くことができ、反応の早さに自信があるのなら、決算発表前後は好機になるかもしれません。
大事なのは、決算発表直後のリスクを認識することです。
6、決算スケジュールを確認するポイント
決算発表をリスクととらえるか、好機ととらえるかはスタイル次第ですが、いずれにしても重要なタイミングであることは間違いありません。
スケジュールを確認できる情報源としては次のようなものがあります。
(1)SBI証券
SBI証券には決算発表スケジュールという機能があり、国内外の上場企業の決算発表日をカレンダー形式で見ることができます。
企業名で検索することもできます。
決算を利用したトレードをしようとする人、いろいろな銘柄を持っていてなるべく全数チェックしたいという人におすすめです。
(2)日経新聞電子版
会社名・証券コード、決算月、業種、日付などで検索することができます。
日経新聞を購読していなくても無料で使うことができます。
(3)四季報オンライン
一週間ごとに、その週に発表される決算が一覧されています。
「今週は自分の保有している銘柄の決算あったかな…」と一瞬で確認することができます。
毎週チェックするようにしておけば、「決算発表忘れて大暴落に巻き込まれた!」ということを防ぐことができるでしょう。
まとめ
決算発表直後の株価は乱高下しやすいものです。
値動きが気になる人は、事前に手放しておき、発表後に落ち着いたら買うというのも手です。
デイトレードによほど自信のある人なら試しにやってみてもいいでしょう。
決算スケジュールを確認するのはSBI証券、日本経済新聞、四季報オンラインなどが便利です。