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【2022】アズカルアセットマネージメントとは?実績や利回り・投資戦略を解説

アズカルアセットマネージメントは、ヘッジファンドを運用する国内の投資会社です。リーマンショック直後にプラス22%の利益を出したことなど、高い実績で知られています。

この記事では、アズカルアセットマネージメントはどのような会社なのか、どんな運用を行っているのか、個人で投資することはできるのかなどを詳しく解説していきます。

アズカルアセットマネージメントの特徴

ファンドマネージャーの机

アズカルアセットマネージメントの主な顧客は機関投資家で、基本的に個人投資家には投資できません。個人で投資できるファンドをお探しの方は、他のヘッジファンドを探してみましょう。

投資先を探しているのではなく、アズカルアセットマネージメント自体について知りたい方のために、会社の特徴について解説していきます。

2005年設立の国内ヘッジファンド

アズカルアセットマネージメントは、2005年に設立された国内の会社で、ヘッジファンドの運用を行っています。オフィスは新橋にあり、住所は以下のとおりです。

〒105-0004
東京都港区新橋四丁目1-1 新虎通りCORE3F

オフィスがあり会社やビルも存在していることが確かなヘッジファンドです。

ヘッジファンドを自称する集団の中には詐欺を働くものもあります。投資会社として実体があることは、怪しいファンドではないことの証左です。

代表取締役は30年以上の運用経験

アズカルアセットマネージメントの代表取締役・CEOは稲葉真行氏です。アズカルアセットマネージメントの公式サイトに載っている稲葉氏の経歴について、表でまとめてみました。

1986年 日系大手証券会社にて個人営業、90年よりスイス野村バンクでアジア株式や債券の運用等に従事
1995年 野村総合研究所の企業調査部にて自動車部品セクター及び中小型株式セクター担当のアナリスト
1997年 イェール大学イボットソン教授が運営する金融研究所、エバーグリーン(現ウェルスファーゴの運用部門)へ派遣
1998年 野村アセットマネジメントにてグローバル株式運用
2006年 グッド・インベストメント株式会社にてCEO及びCIO、主に日本株式のロングショートの運用助言
2008年 ロンバー・オーディエ信託株式会社にて運用担当取締役
2016年4月 アズカルアセットマネージメント株式会社入社、CIO就任。2016年8月より代表取締役

表のとおり、1986年から資産運用の業務に従事する経験豊富なプロフェッショナルです。1991年のバブル崩壊、2008年のリーマンショックなど、大きな金融危機を経験した猛者でもあります。

その他の幹部メンバーについても、公式ホームページでプロフィールが公開されています。それぞれ資産運用の経験が豊富であることがわかります。

機関投資家向けヘッジファンド

アズカルアセットマネージメントは、機関投資家をメインの顧客としています。基本的に、個人で投資することはできません。

最低投資額は公開されていませんが、機関投資家向けのヘッジファンドであることから、億単位の資金が必要だと推測できます。超富裕層で億円単位の資金を投資できる人でない限り、個人での投資はできません。

 

アズカルアセットマネージメント以外にも、国内にはヘッジファンド会社が多数あります。多くのヘッジファンドの最低投資額は1,000万円で、アズカルアセットマネージメントより最低投資額のハードルが低いため、投資先を探している方は他のファンドも探してみましょう。

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資産の運用シミュレーション

第二種金融商品取引業者に登録

アズカルアセットマネージメントは、2017年12月26日付けで第二種金融商品取引業者に登録されました。

第二種金融商品取引業者は、私募ファンド(ヘッジファンド)など流動性の低い投資商品を扱う金融商品取引業者が受ける金融庁による免許のようなものです。アズカルアセットマネージメントは金融庁に認められた企業ということができます。

 

第二種金融商品取引業者に登録されると、資産の分別管理や書面の交付義務など、法令や教会規則に基づくさまざまな規制を受けることになります。言い換えると、アズカルアセットマネージメントは厳しい規制に対応できる能力がある会社だということです。

前身企業は「フィノウェイブインベストメンツ株式会社」

アズカルアセットマネージメントの前身企業は「フィノウェイブインベストメンツ株式会社」という会社です。2015年9月27日に社名が変更されました。

社名変更の理由については公表されていませんが、同社はインサイダー取引規制違反の過去があり、心機一転を図って社名を変更したとみられます。

 

インサイダー取引については、アズカルアセットマネージメントのニュースにも掲載されているとおりです。フィノウェイブインベストメンツの元役員が2010年7月に行った取引が、未公表の情報に基づいて行われたものであるとして、インサイダー取引規制に触れたとされています。同社には17万円の課徴金納付命令が出されました。

こうした過去があるものの、アズカルアセットマネージメントは現在、第二種金融商品取引業者に登録できています。インサイダー取引の再発防止策などが認められた結果と解釈でき、現在の体制に大きな問題はないでしょう。

アズカルアセットマネージメントのミッション

資産運用についてディスカッションするメンバー

アズカルアセットマネージメントが掲げるミッションは、次の3つです。

  • 暴風を避ける知恵と優れた羅針盤
  • 同じ船に乗る、家族として
  • 未来を見据えた航海

この3つの文言は、アズカルアセットマネージメントの投資哲学を端的に表しています。投資方針の理解にも役立つので、詳しく解説していきます。

暴風を避ける知恵と優れた羅針盤

市場を狂わせる金融危機を暴風にたとえた文言で、金融危機が起きても大きな影響を受けないよう、知恵を絞って対処しておくことを表しています。

代表的な金融危機といえばリーマンショックやコロナショック、バブル崩壊などですが、アズカルアセットマネージメントによると、過去200年の間、大小あわせて40回以上もの金融危機が起きているそうです。

 

金融危機は、いつも突然に起きるわけではありません。徐々に雲行きが怪しくなり、金融市場に大きな影響をもたらす場合があります。こうしたリスクに対処するためには、世界に眠っているリスクにいち早く気づき、事前に対処しておくことが大切です。

アズカルアセットマネージメントでは、アメリカやスイス、ドイツ、インドといった世界各地のパートナー企業と連携し、現地の情報を収集しています。世界中のリスクを精査してダウンサイド(損失を受ける可能性)を限定することで、投資家に効果的なリターンをもたらす投資戦略を探しているとのことです。

同じ船に乗る、家族として

アズカルアセットマネージメントが運用している商品には、役職員なども投資しています。投資家と運用会社が同じ商品に投資することを、「同じ船に乗る」とたとえているのです。

つまり、アズカルアセットマネージメントの利益が出ると、投資家だけでなく役職員らの利益にもなります。インセンティブが生まれるため、自分ごととして運用してくれるようになります。

また、役職員らが自ら投資する商品という点も、商品に説得力を与えています。投資の経験と知識が豊富な役職員たちも投資するくらい、魅力的なファンドであると解釈できるからです。

未来を見据えた航海

アズカルアセットマネージメントは、日本社会の未来への貢献も考えて、投資を行っています。たとえば、「危険な環境下などでの作業を行うロボット開発会社」への投資などです。

ただ利益を出せば良いだけでなく、未来を見据えた投資を行っていることも、アズカルアセットマネージメントの特徴です。持続可能な社会に貢献する投資は、長期的な成果が期待できます。

アズカルアセットマネージメントの投資戦略

投資の戦略を立てるファンドマネージャー

アズカルアセットマネージメントの投資戦略は、公式サイトでは「ダウンサイドが限定的で高リターンの見込める非対称性投資」と説明されています。

簡単なことばで言い換えると、「本来の価値よりも価格が下落したときに株式などを買う」という戦略です。割安株投資やバリュー株投資をイメージしていただくとわかりやすいでしょう。割安なときに株式などを買っておけば、それよりも価格が下がるリスクを限定でき、かつ大きな値上がりが期待できます。

こうした基準で投資先を厳選しているアズカルアセットマネージメントでは、具体的にどのような企業や商品に投資しているのか、詳しくみていきましょう。

アメリカ債券戦略

一つ目の投資先が、アメリカ債券です。ローン債券を担保にした証券化債券の利回りが、担保の健全性と比較して十分に高い利回りになったときに、投資する考えを基本としています。

「ローン債券を担保にした証券化債券」とは、一般的には住宅ローンや自動車ローンを証券化したものを指します。ローンを借り入れるときに担保を差し入れるので、証券の価格は基本的には担保の評価額に連動します。

 
ただし、証券は市場で取引されるため需要と供給によって価格が変動します。すなわち、アズカルアセットマネージメントの考え方は、基本的には「担保の評価額に対して証券の価格が十分に割安になったときに購入する」と解釈できます。

 

ところで、2008年のリーマンショックの引き金となったサブプライムローンも、ローン債券でした。信用度の低い人向けの住宅ローン債券で、住宅価格の上昇を背景にさまざまな金融商品に組み込まれ、普及していきました。しかし、2007年頃から住宅価格が下落して債券が紙くずになり、あらゆる金融商品に波及して世界同時株安となったのです。

アズカルアセットマネージメントのアメリカ債券戦略は、2008年のサブプライムショック時にも+22%、翌2009年には+60%と高いリターンを出した実績があります。アメリカ全体がサブプライムローンに飛びつく中、冷静にリスクを分析して適切な戦略を取った結果といえるでしょう。

インド

インドは経済成長への高い期待があり、アズカルアセットマネージメントのみならず、多くの投資会社や投資家が注目している新興国です。

経済成長の背景には、中国に次ぐ13億人を超える人口と、国の平均年齢が25歳という若さです。今後も人口増加が続くとみられ、若者たちの活気ある消費が期待できます。少子高齢化に直面する先進国にはない魅力を持っています。

 

また、インドといえばIT産業です。デジタル金融革命により、経済の効率化が急激に加速しています。こうした背景から、インドは大きなリターンが期待できる投資先となっています。今後が期待できる国なので、今が割安という言い方もできるでしょう。

アズカルアセットマネージメントでは、現地のパートナー企業と連携しており、AIによるデジタル・ローンやオフィス開発事業など、さまざまな投資が可能となっています。

ベンチャーへの投資

アズカルアセットマネージメントでは、デジタル技術を駆使して新たな価値を生み出すベンチャー企業への投資も行っています。具体的には、高精度GPS、パワーエレクトロニクス、自動運転、ロボット等、IOTやAIなどの領域です。今後が期待できる産業なので、こちらも今が割安、と考えることができます。

また、米国トップクラスのベンチャー・キャピタルが持つポートフォリオのなかから、有望な企業への投資戦略も顧客に提供しているそうです。

 

以上のように、アズカルアセットマネージメントでは、アメリカ債券やインド、ベンチャー企業への投資を行っています。いずれも、割安なときに買っておくのが基本の投資スタンスになります。

アズカルアセットマネージメントの実績・手数料

成長する市場

最後に、アズカルアセットマネージメントに投資を検討するときに重要となる利回りなどの実績や手数料について解説していきます。こうした情報は公式には公開されていないため、インターネット上の情報を総合して紹介します。

運用規模

運用規模は、2010年時点では約250億円という記事がありますが、最新の情報は公開されていません。機関投資家向けのヘッジファンドであることから、数百億円規模以上の運用を行っていると推測できます。

一般的なヘッジファンドは、運用規模が大きすぎても小さすぎても、理想的な運用ができません。会社が運用しやすい規模に収まっているのが無難ですが、投資家が最も避けたいのは、運用規模が縮小しているファンドです。

 

運用規模が縮小しているということは、大きなマイナスを出して資産が減っているか、見切りをつけた投資家からの解約が相次いでいるかのどちらか、または両方です。投資を申し込む前に、運用資産額の推移も確認しておきましょう。

利回り

アメリカ債券の運用では2008年に+22%、翌2009年には+60%であったことのみ公表されていますが、ほかの商品や年の利回りは非公開です。

アズカルアセットマネージメントの投資先はアメリカ債券、インド、世界のベンチャー企業などさまざまで、投資先によって成果が大きく異なることが推測されます。毎年のように利回り20%や60&の成果が出せるとも限らないので、投資を申し込む際には、過去の実績を確認しましょう。

また、利回りがマイナスとなる年があるかもしれません。運用成果がマイナスとなった場合、最大損失額はいくらになるのかなど、損失についても確認しましょう。

手数料

アズカルアセットマネージメントの手数料も非公開ですが、ネット上の情報をまとめると、成功報酬は約20パーセント、管理報酬は約1.5%です。一般的か、やや良心的な水準といえます。

成功報酬は、ヘッジファンドが目標の利益を上回る成果を出したときの、ヘッジファンドの取り分です。たとえば、プラスの利益が出たら20%の成功報酬を得るというヘッジファンドの場合、利益の20%が成功報酬としてヘッジファンドに支払われます。

 

一般的に、ヘッジファンドの成功報酬は20%から50%であることが多く、アズカルアセットマネージメントは最安水準といえます。役職員自ら投資しており、その収益が成功報酬の代わりになっているため、コストを低く抑えることができていると推測できます。

管理報酬は、ヘッジファンドが資産を管理したり売買したりするのにかかる手数料です。損益とは関係なく、運用資産に対してかかります。たとえば、100億円の資産を運用するヘッジファンドの管理報酬が1.5%の場合、1億5,000万円が管理報酬としてヘッジファンドに支払われます。

 

一般的に、ヘッジファンドの管理報酬は3%から10%であることが多く、約1.5%のアズカルアセットマネージメントは他社に比べて低く設定していることがわかります。機関投資家向けのファンドで運用資産額が大きく、管理報酬を下げても十分な手数料が得られるからだと推測できます。

まとめ

アズカルアセットマネージメントは、機関投資家向けのヘッジファンドです。リーマンショック後に20%や60%といった高い利回りを出した実績があり、期待の持てるファンドです。

ただし、基本的に個人で投資することはできません。ヘッジファンドを探している個人投資家の方は、他のファンドを探しましょう。

個人向けヘッジファンドに関する情報は、以下の記事をご参考ください。