資産運用と投資は違う?資産を安定して増やすために知っておくべきこと

あなたは、資産運用と投資の違いを知っていますか。

投資、資金、資本、資産、運用……お金に関する言葉は、普段使っていますが、意味を深く考えたことはなかったかもしれません。

ここでまず「基本中のキホン」資産運用と投資の違いを勉強しましょう。

違いを知った後、あなたはきっと誰かに自慢げに話したくなってしまうかも。

それでは、誰でも知っているようで知らない用語から勉強しましょう。

今回は、資産運用と投資の違いなど、資産運用を成功させるために知っておいた方がよい知識を紹介していきます。ご参考になれば幸いです。

1、資産運用とは?


自分が保有する資産の価値を将来に向かって総合的に高めていくための行為をいいます。

具体的には株や債券などの金融商品を買ったり、預金したり、といったことが挙げられます。

では、毎月の収入から財形貯蓄で数万円を積み立てるといった場合はどうでしょうか。

給与の支払いが確定した時点で自分が保有する資産といえるので、やはり資産運用です。

学資保険や積み立て型の生命保険などもわかりやすい資産運用の例です。

掛け捨ての医療保険は違うと思われるかもしれませんが、「現金」という資産を「保険受給権」という形に変えることで(加入者本人にとって)価値を高めていると考えられるので、資産運用といえるのです。

さらに視野を広げて考えると、労働者としての価値も資産といえます。

「体は資本」とは言い得て妙です。

サラリーマンの生涯年収は3億円といわれますので、20歳前後で一般企業に入社した人は3億円分の資産をどう運用するか考える必要があります。

そのため保険や積立預金など、自分にあった金融商品を選ぶことをおすすめします。

2、投資とは?



保有する資産を、今以上に価値が高まりそうなものと交換する行為をいいます。

別のいいかたをすると、将来より多くのお金を受け取るために、今お金を払うことです。

「払う」から「受け取る」までの一連の流れを1つの投資とみなします。

その尺度は金額によって表されるのが一般的です。

支払ったものがそれ以上に増えて戻ってくることを期待して行うのが投資です。

ただし、増えなかったり反対に減ってしまったり、期待どおりにならない可能性があります。

この「期待した結果」と「実際の状況」の差がいわゆる「リスク」です。

投資をするときには、常にどのようなリスクが生じうるのか考える必要があります。

世の中には数え切れないほどの金融商品や投資案件があります。

株式、新株予約権、国公債、社債、転換社債、私募債、オプション、先物、外貨預金、投資信託、上場投資信託、不動産投資信託、私募ファンド、匿名組合事業、任意組合事業、貴金属、原油先物、不動産投資、ワイナリー投資、仮想通貨、ソーシャルレンディング、株式型クラウドファンディング……挙げればきりがありません。

これらの商品を買う行為の1つ1つを投資といいます。

3、資産運用と投資の違いとは?


資産運用では個人が持つ資産全体とその後の将来設計を視野に入れて、適時に金融商品や現物資産などの購入や売却を行っていきます。

この購入や売却など1つ1つの行為の中に、投資があります。

投資は資産運用で起こす具体的な行動の中の1つなのです。

前述の財形貯蓄や掛け捨ての医療保険は資産運用であって投資ではない例の1つです。

積み立て型の保険には投資の色が濃いものもありますが、基本的には区別されます。

資産運用という大きな枠の中に、投資や保険、貯蓄などがある、といったイメージです。

資産運用と投資の違いを表す例を挙げます。

相続した土地をそのまま駐車場として貸すという行為は、親から受け継いだ資産を活用するので資産運用といえます。

しかし賃料を受け取るために何か支払っているわけではないので、投資のイメージとは違うものです。

仮に受け取る賃料を増やしたいがために、ローンを組んで賃貸用アパートを建てるとしたら、資産運用であり、かつ投資ともいえます。

成功しなかった(入居者がつかなかった)ときはローン返済分が持ち出しになるので、駐車場に比べるとリスクが高い行為です。

4、資産運用が適しているか投資が適しているかはお金に対する目的で変わる!


資産運用と投資の違いは、目的の考え方と目標の設定方法という点にもあります。

資産運用では、まず将来自分のなりたい姿を描き、それを達成するためには今ある資産をどう活用していけばいいかを考え、目標を設定、それに対して具体的な行動を起こします。

攻めと守りを同時に行うイメージで、過剰な利益を求めることはしません。

投資では、支払ったお金に対して、いくら受け取りたいのかを基準に目標を考えます。

そこでは個人の事情をあまり考慮せず、価値が上がる商品のみを追求することになります。

とにかく攻めまくるイメージです。

資産運用は将来の人生設計を考えるうえで必要不可欠ですが、その中で投資が占める割り合い(リスク許容度)は人によって異なります。

大きな利益を追求するなら投資の件数や金額を増やし、減りさえしなければそれほど増えなくてもいいという安全追求型の人なら保険や預金など、投資以外の資産運用を多めに行うのがいいでしょう。

5、資産運用するならNISA、つみたてNISA、iDeCoがおすすめ!


長期的な視野で資産運用を考えるなら、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を利用することをおすすめします。

なぜなら1回1回の投資に対してかかる税金はわずかでも、積もり積もると大きな金額になるからです。

2017年現在、株式や投資信託などの運用益にかかる税金(譲渡益税)は20.315%(所得税・住民税・復興所得税)です。

例えば1年間で5%増える投資商品を毎年売買すると、税金がかからない場合の年利率はそのままですが、税引後の利益は4%となります。

100万円を複利で運用したとき、一定期間後にいくらになるのか、5%と4%で比較してみました。

5% 4%
10年後 148万円 163万円
20年後 219万円 265万円
30年後 324万円 432万円

30年後には100万円の差がつきます。

資産運用で節税を考えることがいかに大事かということがご理解いただけたかと思います。

(1)NISA


日本版少額投資非課税制度、対象商品は上場株式、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)、投資信託など、利用するには、証券会社の専用口座を開設する必要があります。

この口座で売買した金融商品は、1年につき元本120万円まで非課税となります。

期限は5年間

5年後の年末までに売却しないと、翌年の非課税枠に組み入れる(ロールオーバー)か、課税される通常の口座に移管されます。

例えば、2017年12月にNISA口座で100万円分の基準価額1万円の投資信託を買い、半年後に基準価額が1万5000円になったときに売却したとします。

利益は約50万円となり、通常の口座であれば約10万円の税金がかかりますが、NISA口座なら全くかかりません。

2022年末になっても保有している場合、その時点で価格が180万円になったとしたら、いったん売却すれば利益の80万円に対しては非課税。

そのままNISA口座で保有した場合、180万円全額が非課税枠として扱われますが、2023年の非課税枠を使い切った形となるので、その年中は新たな非課税投資はできません。

通常の口座に移した場合、税金計算上180万円が元本とされます。

つまり、3つのパターンのどれを選んでも、値上がり益の80万円には課税されないのです。

非課税枠の120万円ぴったり購入しようとした場合、株式やREITなどは1売買単位あたりの金額が半端なので難しいのですが、投資信託は簡単です。

なぜなら1口100円から購入可能だったり、口数ではなく金額を指定することができたりするからです。

投資信託は投資先の国や企業を分散投資できるという意味でもリスクが低く、長期の資産運用に向いています。

NISAや次に紹介するiDeCoとも相性がよく、おすすめです。

(2)つみたてNISA


2018年1月1日からはじまる、積み立てに向いたNISAです。

通常のNISAと併用はできず、どちらかを選ぶことになります。

非課税枠は40万円と少ないですが、期間が20年間と長く設定されています。

20年経過後は、NISAと違ってロールオーバーができません

つみたてNISAは対象商品に特徴があります。

長期の資産形成をうながすことを目的につくられた制度なので、商品もそれに向いたものが厳選されるよう、いくつかの要件を定められています。

具体的な要件の一部を挙げます。

  • 投資信託であること
  • 販売手数料が無料(ノーロード)
  • 信託報酬(ランニングコスト)が一定以下(インデックス投信の場合0.5%)
  • 毎月分配型ではないこと(複利効果を出すため)

長期で考える資産運用にはぴったりの制度といえます。

(3)iDeCo


出典:http://www.tantonet.jp/qa/2257
個人型確定拠出年金の略で、イデコと読みます。

運用益が非課税になるうえ、支払った掛け金が所得控除の対象になる、つまり所得税の還付を受けることができます。

例えば所得税率20%の人が毎月3万円拠出したら、単純計算で3万円×12ヶ月×20%=7万2000円の節税になります。

投資信託のほか、定期預金などの元本確保型商品も対象です。

NISAと違い、原則的に自由に引き出すことはできません。

60歳以降に一括で受け取るか、年金で受給します。税制上のメリットが大きい資産運用として注目されています。

まとめ

資産運用と投資の違い、ご納得いただけましたでしょうか。

資産運用は将来設計を含めた個人の資産全体、今ある資産を増やすための管理を指し、投資はある金融商品を、リスク管理もしながら資産をつくる目的で買うことをいいます。

投資は、資産運用の1つの手段です。

いくつか、資産運用の手法もご紹介しました。

長期的な視点で資産運用をお考えなら、運用益に税金がかからないNISAやつみたてNISA、iDeCoなどの制度を使うことをおすすめします。

今回の内容があなたの資産運用のお役に立てば幸いです。