空売りとは?最大限活用して利益を上げるために知っておくべき5つのこと

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空売りという言葉は知っていても、それがどのようなものかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

空売りは株取引における強力な手法であり、知っていれば株で利益を上げるチャンスが倍になるといっても過言ではありません。

空売りをうまく利用すれば効率よく利益を上げていくこともできます。

その反面、仕組みを理解しないままに手を出すと痛い目にあうこともあります。

空売りに味方になってもらうには、まずは相手を知ることから!

空売りについて知り、利益を上げるために必要なポイントについてみていきましょう。

1、空売りとは?


そもそも空売りとはなにものなのか。簡単に説明すると「借りてきた株を売ること」です。

もともと手元になかった(空の)株を売るから「空売り」です。

借りたものは返さないといけないので、売った株は買い戻さないといけません。

売ったときの株価よりも買い戻すときの株価が下がっていれば、その差額が利益となります。
株

株取引の基本形は「安く買って高く売る」ことですが、空売りは「高く売って安く買う」という形をとり、株価が下がる局面で利益が出るのが特徴です。

このような証券会社から株を借りて差額を決済する取引は「信用取引」の形態のひとつで、「信用売り」といいます。

空売り=信用売り

信用取引には証券会社から株の購入資金を借りて株を購入する取引形態もあり、これを「信用買い」といいます。

「信用買い」では、買ったときよりも株価が上がれば、株の売却金額と借りていた購入資金との差額が利益となります。

2、空売りの仕組みをわかりやすく解説!


では空売り(信用売り)の仕組みについて、より詳しくみていきましょう。

(1)空売りの流れ

空売りの流れ
大まかな空売りの流れは以下のようになっています。

空売りをするには、まず証券会社に担保となる「委託保証金(証拠金)」を預けた上で、証券会社へ空売り注文をします(①)。

注文を受けた証券会社は、証券金融会社から借りてきた株(②)や自ら保有している株を投資家に貸し出します(③)。

*証券金融会社:信用取引に必要な株式や資金の貸し借りを主な業務とする会社。

株を借りた投資家は、その株を市場で売却(売建)します(④)。

その後同じ銘柄の株を買い戻して(⑤)、証券会社へ返却(決済)します(⑥)。

結果的に売却価格を購入価格が下回れば利益、逆に上回れば損失となります。

(2)委託保証金(証拠金)

空売りをする場合に借りることができる株の金額(取引可能額)は、証券会社に預ける委託保証金額によって限度額が決まります。

借りる株の金額(約定金額)に対して、必要となる委託保証金の割合を「委託保証金率」といい、証券会社が定めることになっています。

法律では委託保証金率を30%以上とするように定められています。

この委託保証金率をもとに、取引可能額は以下のように決まります。

取引可能額=委託保証金÷委託保証金率

例えば委託保証金率が40%、委託保証金20万円の場合には、50万円(=20万円÷40%)までの取引ができます。

委託保証金としては現金のほか、証券会社に預けている現物株式や債券を充てることもできます。

これを代用有価証券といいます。

代用有価証券を利用する場合、その時価評価額に所定の割合(代用掛目)をかけて評価した金額が委託保証金となります。

(3)委託保証金維持率

もし空売りをしたあと株価が予想に反して上がってしまうと、含み損が発生します。

この含み損を差し引いた実質的な委託保証金額をもとに計算する委託保証金率には下限が設定されており、これを委託保証金維持率といいます。

委託保証金維持率は証券会社ごとに定められていますが、法律では20%が下限となっています。

委託保証金率が委託保証金維持率を下回った場合には、証券会社の指定日時までに委託保証金の追加(追加保証金・追証)や決済によって委託保証金率が委託保証金維持率を上回るようにしなければなりません。

また代用有価証券を委託保証金とする場合には、代用有価証券自体の価格変動も委託保証金率に影響します。

委託保証金維持率 ≦ 委託保証金率

委託保証金率=(保証金現金+代用有価証券評価額−含み損)÷約定金額

例えば委託保証金として現金で30万円を預けると、委託保証金率が30%の場合には100万円までの取引が可能です。

もしA株式を1万株(1株100円)空売りした後、A株式が120円に値上がりした場合には20万円の含み損が発生します。

委託保証金率は(30万円−20万円(含み損))÷100万円=10%となり、委託保証金維持率が20%であれば、これまで回復するため10万円を追加して預けるか、A株式を2,500株決済しなければなりません((30万−15万円)÷75万円=20%)。

(4)信用取引区分

空売り(信用取引)には、制度信用取引と一般信用取引があり、取引区分によってそれぞれ取引できる銘柄や取引条件が定められています。

①制度信用取引

証券取引所の規則によって弁済期限(最長6ヶ月)や取引条件が決められている信用取引を「制度信用取引」といいます。

弁済期間が決まっているので、最長でも6ヶ月以内に決済する必要がある、一定の基準で証券取引所などが選定した制度信用銘柄・貸借銘柄のみが対象となるという制限があります。

②一般信用取引

決済の期限や逆日歩の金額などを、投資家と証券会社との間で自由に決定できる信用取引のことを「一般信用取引」といいます。

同一銘柄取引を空売りし、当日中に決済する取引形態を特に「日計り」といいます。

3、空売りすべき状況は?

(1)下降トレンド

いつ空売りをすべきか。

それを判断するためには全体的な株価の動き(トレンド)を読むことが重要なポイントとなります。

まずトレンドは株価が上昇していく「上昇トレンド」株価が下落していく「下降トレンド」、比較的狭い範囲(レンジ)で株価が推移する「レンジ(相場)」に分類されます。

下降トレンド
このうち「下降トレンド」にあるときが空売りのタイミングです。

そしてこのトレンドを判断する目安となるのが、株価チャートの高値同士・安値同士を結んでできる「トレンドライン」です。

上記のチャートでは、当初のレンジ相場を下抜けたポイントが空売りのタイミングです。

その後は下降トレンドに入り、下降トレンドラインを上抜けたところが決済(買い戻し)のポイントとなります。

空売りではなるべく高値で空売りして底値で決済できるのが理想ですが、この先いつトレンドが変わるのかを完全に読み切ることはプロのトレーダーでもできません。

個人の投資家ならなおさらです。

直近の高値を超えてもうこれ以上は上がらないだろうと思っていても、今回の日経平均株価の16連騰のようなこともあります。

上昇トレンドが終わったかなと思ってもすぐに空売りしなくても、少し様子をみて、下降トレンドに入ったことをしっかり確認してからでも十分間に合います。

(2)グランビルの法則

売買のタイミングを判断する方法として、グランビルの法則というものもあります。

この法則では、株価とその過去の平均値をグラフ化した「移動平均線」との関係によって買いなのか、売りなのかを判断します。

グランビルの法則
(参照:日本証券業協会

売買のタイミングとなるのは以下の8つのポイント(シグナル)です。

①買いシグナル

買いシグナル
A移動平均線が長期間下降あるいは横ばいで推移した後上昇に転じ、株価がその移動平均線を下から上へ抜ければ買い
B株価が移動平均線を下回っても、移動平均線が上昇している場合には、一時的な調整とみて買い
C移動平均線を上回る水準で停滞していた株価に上昇中の移動平均線が接近していったものの、株価が移動平均線を割り込むことなく再度上昇したときは買い
D下降中の移動平均線を株価が大きく下回って下落した場合、移動平均線の水準まで株価が自律反発する可能性が高い

②売りシグナル

売りシグナル
E上昇から横ばいあるいは下落に転じた移動平均線を株価が上から下へ割り込むと売り
F下降中の移動平均線を株価が下から上に抜けてもなお移動平均線の下降が続く場合には売り
G移動平均線を下回って推移する株価が、停滞あるいは上昇して下降中の移動平均線に接近したものの、移動平均線を上回ることなく再度下落したときは売り
H上昇中の移動平均線を株価が大きく上回って上昇した場合、移動平均線の水準まで自律反落する可能性が高い

空売りをする場合には、売りシグナルが空売りのタイミング、買いシグナルが決済のタイミングの目安となります。

ただし、このシグナルはチャートだけで判断する株価変動の傾向であるため、世界情勢や景気、企業業績などの影響によって法則通りにはいかないことも多々あります。

特にDやHで移動平均線から株価が大きく乖離した場合、突発的な要因が関係していることもあるため、チャートだけでなく様々な情報もふまえた判断が重要となります。

この2つについては他のシグナルに比べてリスクが高いため、除外しておくこともひとつの方法です。

前述のチャートを株価と移動平均線との関係で表示すると以下のようになります。
チャート

ここではトレンドの起点となったシグナルだけを表示していますが、トレンドに入った後もシグナルは随所に現れてきます。なるべく早目にシグナルを掴むことができれば、利益が大きくなる可能性は高くなりますが、トレンド入りをしっかり確認してからでも遅くはありません。

4、空売りの方法は?


では実際に空売りをする方法についてみていきましょう。

(1)信用取引口座を開設

まず空売りをするためには証券会社に信用取引口座を開設することが必要です。

口座開設料・口座管理費が無料で、取引手数料も割安なSBI証券がおすすめです。

(2)証券口座へ入金

空売りには担保となる委託保証金を証券会社に預ける必要があるため、事前に証券口座へ資金を入金しておきます。

(3)空売りする銘柄の決定・注文

株価チャートやニュースなどから値下がりが予想される銘柄を定めたら、注文を行います。
ここからはSBI証券の取引方法を例にみていきます。

①注文する銘柄のページを表示します(トップページから銘柄名、証券コードなどで検索し、注文する銘柄のページを表示します。)

SBI

②銘柄が表示されたら、「信用売」を選択します

信用売り

③注文内容を決定し、注文確認画面へ(空売りする株数、価格(指値・成行)、注文期間、預かり区分(一般・特定・NISA)、信用取引区分(制度信用・一般信用・日計り)を選択し、注文確認画面へ進みます。)

注文確認画面

④注文内容を確認して、発注します

注文発注

⑤注文完了です

注文受付
(参照:SBI証券

5、空売りする際の注意点・リスクは?


空売りは利益を得る機会が増える反面、リスクもあります。

実際に空売りをする前に、その注意点とリスクについてしっかり理解しておきましょう。

(1)空売りの損失は無限大

空売りで最も怖いのが、予想に反して株価が上昇してしまうことです。

通常の株の現物取引や信用買いでは、購入した企業が倒産してしまい株価がゼロになったとしても、損失は株の購入金額までに限定されます。

例えば1株100円で1万株購入した場合の損失の最大額は100万円(諸経費除く)です。

一方の空売り(信用売り)では、1株100円で1万株空売りした株が、200円まで値上がりした場合、含み損は100万円となります。

この段階で現物や信用買いの最大損失額に並んでいますが、株価には上限がないためその後も株価が上昇を続ければ損失は際限なく拡がっていきます

これが空売りの怖いところです。

そのため株価が予想に反して上昇するような場合には、早い段階で決済し損失を確定させる(損切り)という選択も大切になります。

(2)踏み上げに注意

業績が低迷している銘柄では株価が下がることを見込んで多くの投資家が空売りをしていることが多くあります。

その企業でヒット商品が出るなどして株価が上昇に転じると、今度は空売りをしていた投資家が利益確定や損失拡大を防ぐため、一気に買い戻すため株価が急激に上昇することがあります。

これを「踏み上げ」といいます。

踏み上げが起こると、短期間に急激な株価上昇がおき損切りも間に合わず多くの投資資金を失うことにもつながるため、空売りをする上では注意しなければなりません。

(3)貸借倍率の低い銘柄は要注意

信用データ
この踏み上げのリスクは、空売りされている株が多いほど大きくなります。

その判断材料となるのが貸借倍率です。

この貸借倍率は信用買いに対して信用売り(空売り)がどれだけあるかを示すもので、貸借倍率が1倍を下回ると空売りが膨らんでいることがわかります。

空売りしようとする銘柄の貸借倍率が1倍を下回っている、あるいは信用売残が増加しているのであれば、慎重に判断するようにしましょう。

まとめ

空売りとはどのようなものなのかご理解いただけましたでしょうか。

空売りは株価が下がっているときでも利益を出すことができ、効率的に投資を行うことができます。

その反面、通常の株取引以上に損失が拡大するリスクがあることを忘れてはいけません。

最大限の利益を上げるためには、まずリスクを正しく理解し損失を最小限に抑えることも重要です。

空売りを活用する上では、状況に応じて損切りも必要だということを常に意識する必要があります。

仕組みとリスクを正しく理解し活用すれば、空売りはあなたの強力なツールとなるはずです。

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証券会社、生損保代理店での勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。

(保有資格)1級FP技能士・証券外務員一種
(試験合格)宅建士・行政書士

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