西日本豪雨災害の影響と復興関連10銘柄

  • 2018年8月16日
  • 2021年10月15日
  • その他

今回の西日本豪雨は、死者200名以上という未曾有の大災害となっています。

住宅への被害をはじめ、断水や西日本の物流を支える鉄道・高速道路網にも大きな被害をもたらし、影響は続いています。

この記事では、今回の西日本豪雨災害の状況と注目の集まる関連銘柄についてみていきます。

1、今回の豪雨の原因は

西日本の広い範囲に甚大な被害をもたらした今回の豪雨は、長期にわたり停滞し続けた梅雨前線と南の海上から大量の水蒸気が供給されたことが重なり引き起こされたと考えられています。

それにより、通常は局地的な大雨をもたらす線状降水帯が、あちこちで発生したことで、これまでに例のない広範囲に被害が広がったと言われています。

2、現在までの被害状況

7月22日午後5時現在、死者は広島・岡山両県を中心に224人(警察庁)、行方不明者は少なくとも12名(朝日新聞)となっています。

依然多くの住民が避難生活を余儀なくされており、各地で被災者向け仮設住宅の建設も決定しました。

24日には激甚災害指定が閣議決定され、支援の拡大による復旧の加速が期待されています。

インフラへの被害は、一時約24万戸にも及んだ大規模な断水は解消に向かい、鉄道や高速道路なども復旧が進んでいます。

しかし、西日本の物流を支えるJR山陽本線の全面復旧は、11月中となる見込みとなっており、企業や経済への影響は長期にわたり続くことになりそうです。

3、企業活動への影響も拡大!

 

今回の豪雨により、物流網の寸断や、営業施設や従業員の被災など、西日本に拠点を置く企業を中心に、多くの企業に影響を与えました。

広島に本社、工場を置くマツダや岡山県総社市に物流拠点を置くアマゾン・ジャパンなどでも、一時操業を停止しましたが、現在は回復しています。

しかしヤマト運輸や佐川急便など陸運各社では、一部地域での配送の停止や配送の遅延が続いており、物流の混乱による個人・企業活動への影響は拡大しています。

4、復興への政府の対策は?復興支援関連銘柄5銘柄

安倍首相は、22日の非常災害対策本部会合において、産業復興などへの対策の策定を指示しています。

財源には2018年度予算の予備費などが充てられ、4,000億円規模での対策となる予定です。

(1)西尾レントオール

(9699)西尾レントオール
関西を地盤とする総合レンタル企業で、建機のレンタルに強みを持つ。災害復興に向けた需要拡大で注目される。

(2)神鋼環境ソリューション

(6299)神鋼環境ソリューション
神戸製鋼グループの環境装置メーカー。ゴミ焼却に強みがあり、災害ゴミ処理での活躍が期待される。

(3)日特建設

(1929)日特建設
麻生グループが筆頭株主である、基礎・地盤改良・法面などの特殊土木大手。環境・防災に強みを持っており、防災需要の拡大で注目される。

(4)前田工繊

(7821)前田工繊
河川・道路補強など防災用建築、土木資材大手。災害復興需要や防災需要の拡大で注目される。

(5)イトーヨーギョー

(5287)イトーヨーギョー
コンクリート製品の製造販売などを手掛ける。無電柱化やマンホールなどに強みを持つ。洪水時などにもふたが浮き上がらないようになったマンホールや、土石流の被害を低減する砂防えん堤の施工時に使用するコンクリート製残存型枠などの需要増加が期待されます。

5、避難生活を続ける被災者の生活環境の改善!仮設住宅関連銘柄3銘柄

豪雨被害の発生から2週間近くが経過した現在でも、住宅などに被害を受けた人などを中心に数千人以上が避難生活を余儀なくされています。

長期にわたる体育館や公民館などの避難所での生活では、慣れない窮屈な環境で、持病の悪化やエコノミークラス症候群など体調の悪化や災害関連死の発生が懸念されています。

その対策として、被災者への公営住宅の提供や、仮設住宅などの建設も各地で決定し、仮設住宅関連銘柄には注目が集まっています。

(1)三協フロンテア

(9639)三協フロンテア
仮設ハウスのレンタル・販売でトップクラスの会社。仮設住宅関連の本命銘柄。

(2)東海リース

(9761)東海リース
仮設建物リース専業大手。施工から解体まで一貫して管理し、低コストに仮設建物を提供する。解体後の廃材ゼロを目指し、再利用を可能とする取り組みを行う。

(3)日成ビルド工業

(1916)日成ビルド工業
プレハブ建築や立体駐車場を手掛ける総合メーカー。事業用施設プレハブに強みを持つ。

6、今後も引き続き警戒が必要!気象関連銘柄2銘柄

今回の豪雨では、大雨特別警報が11府県で発表されました。

この大雨特別警報は、数十年に一度の重大な土砂災害や浸水害が発生するおそれが著しく大きい状況で気象庁が発表するもので、それがこれだけの範囲で発表されるのは異例ともいえます。

しかし昨年の九州北部豪雨など、異例ともいえる豪雨が相次いでおり、もはや”異例”ではなくなってきています。

今回のような豪雨がまたいつ起こっても不思議ではなく、今後も引き続き警戒していく必要があるでしょう。

未然に被害を防ぐためには、情報が大切であり、公的な機関に加え、民間の気象情報会社の重要性はますます高まっていくことも予想されます。

(1)ウェザーニューズ

(4825)ウェザーニューズ
世界最大の民間気象情報会社。航空・鉄道・航海向けの交通気象情報に強みを持つが、個人向け気象情報サービスも積極展開し、多くの利用者を増やしている。

(2)いであ

(9768)いであ
環境調査・分析の大手。水・大気・騒音といった身の回りの環境の調査から、自然災害に強い河川や港湾、道路などのインフラ整備を支援するコンサルティングなどを行う。

まとめ

近年異常気象は頻発しており、今回のような災害がまたいつ起こっても不思議ではありません。

そのため災害を引き起こさない「防災」や、被害を最小限に留める「減災」、起きてしまった災害からより早く復興するための「復興支援」といった分野はますます重要になっていくでしょう。

そのような分野を支える企業にも注目していきたいですね。