相場が大きく動く場面では、ボラティリティが高くなっているといった表現がされます。
この記事では、
・ボラティリティとはどのようなものなのか
・投資判断に生かすために知っておくべきポイント
について解説していきます。
1、ボラティリティとは?
ボラティリティ(volatility)とは「価格の変動率」のことです。
価格の変動が大きければボラティリティも大きくなり、価格の変動が小さければボラティリティも小さくなります。
このボラティリティを標準偏差で数値化したものは、その商品のリスクの高さを計る目安ともされており、一般的にボラティリティの高い商品は、リスクも高いと判断されます。
投資判断において一般的に用いられるボラティリティには、「ヒストリカル・ボラティリティ(HV)」と「インプライド・ボラティリティ(IV)」があります。
(1)ヒストリカル・ボラティリティ(HV)
ヒストリカル・ボラティリティ(HV)は、過去の価格の変動率をもとにして計算される指標のことです。
統計学の「標準偏差(σ)」にあたるものです。
統計学的には、±1σの範囲に約68%、±2σの範囲に約95%の確率で値が収まるとされています。
これをHVにも当てはめると、HVが20%であれば、約68%の確率で±20%の範囲に、約95%の範囲で±40%の範囲に収まると予測することができます。
HVが大きければ相場が荒れており、HVが小さければ相場が穏やかというように、相場状況の判断にも用いることができます。
HVが小さい=価格が動かないと思ってしまいがちですが、HVは値動きの”粗さ”を表すものです。
そのため、一定の変動率で価格が上昇、あるいは下落し続けていてもHVは小さくなります。
【60日ヒストリカル・ボラティリティ(年率換算)】
(出所:楽天証券)
(2)インプライド・ボラティリティ(IV)
インプライド・ボラティリティ(IV)は予想変動率とも言い、投資家の期待や予測が反映された、将来の変動率を表すボラティリティ指標です。
このIVは、実際の市場で取引されているオプション価格(プレミアム)から、以下のように逆算して求めます。
【オプション価格を構成する要素(ブラックショールズモデル)】
- 株価(原資産価格)
- 権利行使価格
- 満期までの残存期間
- 金利
- ボラティリティ
- ボラティリティを除く要素については、実際の市場で確認できます。
- 現在の市場におけるオプション価格が、このモデルにおける理論上のオプション価格と等しいと仮定すれば、ボラティリティ以外の値はすべて明らかです。
→ ボラティリティが逆算できる!
2、ボラティリティ指標の見方・ポイント
(1)低ボラティリティ状態が続くと相場が大きく動く可能性が高まる
株価が狭いレンジで推移し、ボラティリティの低い状態が長く続いていれば、相場が煮詰まり、エネルギーが溜まっていると考えられます。
そのためレンジをブレイクしたときには、相場が大きく動く可能性が高くなります。
ボラティリティが底を打ち、上昇に転じたタイミングでレンジをブレイクした方向にエントリーするという使い方ができます。
過去のデータから計算するHVでは、株価の動きが反映されるまでにタイムラグが生じてしまいます。
そのためエントリーのタイミングは、株価の動きや指標などから総合的に判断することが大切です。
(2)デイトレードにはボラティリティの高い銘柄を選ぶ
短期間で値幅をとりにいくデイトレードには、取引が活発に行われており、値動きが大きいことが重要なポイントとなります。
そこで、値動きの大きさ(荒さ)を示す指標であるボラティリティが役立ちます。
終値ベースの60日ヒストリカル・ボラティリティで100%以上というのが、デイトレードに適した銘柄を選ぶひとつの目安となります。
3、ボラティリティの高い銘柄を検索する方法
ボラティリティの高い銘柄は、各証券会社のスクリーニング機能や株式情報サイトなどで検索することができます。
(1)SBI証券 スクリーニング
SBI証券のスクリーニング機能では、60日ボラティリティ(年率換算)の高い順に一覧表示ができます。
ボラティリティや他の指標など範囲を指定した絞り込み検索が可能です。
(2)楽天証券 スーパースクリーナー
楽天証券のスクリーニング機能でも、60日ボラティリティの高い順に一覧表示ができます。
ボラティリティや他の指標など範囲を指定した絞り込み検索が可能です。
表示される、60日ボラティリティは年率換算されていません。
√254≒15.9をかけると、(およその)年率に換算できます(*254は、1年間の営業日ベースの日数、250とする場合もある)。
(3)株マップ.COM 過去60日ボラティリティランキング
株マップ.COM 過去60日ボラティリティランキングでは、市場ごとの60日ボラティリティの高い銘柄をランキング形式で検索が可能です。
(4)TradingView 株式銘柄スクリーナー
TradingView 株式銘柄スクリーナーでは、1日・1週間・1ヶ月のボラティリティから検索が可能です。
4、日経平均ボラティリティインデックスとは?
日経ボラティリティインデックス(日経平均VI)とは、投資家が予想する1ヶ月先の日経平均株価の変動率を算出し、指数化したインプライド・ボラティリティ(IV)です。
日経平均先物と日経平均オプションの価格をもとに、日本経済新聞社が算出し、公表しています(*算出方法を詳細に知りたい場合はこちら)。
日経平均VIが高くなれば、投資家は日経平均株価が大きく変動すると予想しているとみます。
実際に市場が不安定な状況では、日経平均VIが高まる傾向があります。
もし日経平均VIが20となっていれば、投資家は1カ月後の日経平均株価が約68%(標準偏差:1σ)の確率で±6%(年率換算20%)の範囲に収まると予想しているとみることができます。
(出所:日経平均プロフィル)
平常時の日経平均VIは20~30の範囲で推移することが多く、日経平均VIが30を超えてくると、市場でもリスクの高まりが意識されます。
米国の代表的な株価指数S&P500を対象としたボラティリティを指数である「VIX指数」は「恐怖指数」とも呼ばれ、投資家の相場の先行きに対する不透明感を示すものとして、世界中の投資家に広く活用されています。
日経平均VIやVIX指数など、ボラティリティインデックスは多くの投資家が注目している指標です。
日頃からチェックしておくと、リスクの高まりをいち早く察知し、投資判断につなげることができます。
5、ボラティリティ投資を実践している個人投資家さんのブログ―FREEEDA―
FREEEDAは、会社経営と不動産投資や株式投資などを行う、主婦起業家naokoさんのブログです。
もともと長期投資を行っていたnaokoさんですが、現在は月10%のリターンを狙い、ボラティリティ投資を実践されています。
これからボラティリティ投資を始めてみようという方は、銘柄選択の基準などを参考にされてはいかがでしょうか。
まとめ
ボラティリティは、デイトレードなど、大きな値動きが必要となる短期売買に適した銘柄の選定や、相場の先行きの不透明感やリスクの高まりを察知するためのツールとして役立つ指標です。
ボラティリティをうまく投資に取り入れ、活かしていただければ幸いです。