仕手株を上手売買する方法と仕手株銘柄を見分ける3つのポイント

  • 2019年4月16日
  • 2021年10月15日

仕手株は短期間で大きな利益を出せる可能性があり、仕手株を好む投資家は多くいます。

ただし仕手株は企業の価値とは無関係なマネーゲームであり、ハイリスクな投機的取引であることは忘れてはいけません。

それでもリスク覚悟で仕手株に挑戦してみたいという方は、仕手株の動きや特徴をじっくり理解してから始めましょう。

最も危ないのは仕手株と気づかずに投資してしまうことです。

まずは仕手株とはどんな株なのか理解しましょう。

1、仕手株とは?

仕手株とは、多額の資金を持つ少数の投資家たちによって大量の売買が行われ、意図的に株価の急騰・急落が引き起こされる銘柄のことを言います。

このような投資を行う投資家たちを「仕手筋」あるいは「仕手集団」と呼びます。

仕手筋による、意図的に株価を変動させる行為は株価操縦(操作)にあたり、証券取引法で禁止される違法行為です。

しかし売買を分散するなどカモフラージュすることで、バレないような形で行われているのが現状です。

そのため仕手株と材料株を明確に区別することは難しいことが多く、株価が乱高下するような銘柄は「仕手系材料株」と呼ばれます。

仕手株は1日で10%以上株価が乱高下することも珍しいことではなく、ハイリスク・ハイリターンな投資(むしろ投機に近い)です。

大きな利益を得られることもありますが、相手は資金力と経験を備えた仕手筋です。多くの個人投資家は、まんまと仕手筋のカモになって損失を抱える可能性が高いと言えます。

仕手株に投資するにせよ避けるにせよ、仕手株とはどのようなものかを知っておくことが必要となります。

2、仕手株を見つけるポイントは?

仕手株で利益を狙うにしろ、リスク回避のため仕手株を避けるにしろ、仕手株を見分けることができなければいけません。

もちろん仕手筋は気づかれないように仕手株を仕込むので、100%見極めることはできませんが、仕手株になりやすい銘柄には傾向があります。

そこで仕手株を見つけるポイントとなる、その傾向について知っておきましょう。

(1)小型株

小型株とは、東証による基準では発行済株式数が5,000万株未満の銘柄を指します。

発行済株式数が少なく、浮動株比率(発行済株のうち市場で流通する株の割合)が低い銘柄は特に狙われやすくなります。

これは仕手筋の資金力でも、浮動株の多くを支配でき、株価操縦を行いやすいためです。

  • 目安

発行株式数:〜5,000万株程度(東証1部銘柄は1億株)

浮動株比率:〜30%程度

(2)低位株

また株価の安い低位株や時価総額(発行済株式数×株価)の小さい銘柄も仕手株の対象となりやすい傾向があります。

これも株価操縦の行いやすさに繋がりますが、株価が安いため株を買い集めやすい、大きな値幅が取れるといった理由によります。

  • 目安

株価:〜500円以下

(3)信用取引のできる銘柄

信用取引は、証券会社に株や資金を借りて売買を行う投資手法のことです。

信用銘柄では証券会社から株を借りて「空売り」ができるため、「株を高く売って安く買い戻す」ことでも利益を得ることができます。

仕手筋は自ら株価の急落も含めて仕込むため、株価の上昇局面だけでなく、下落局面でも利益を狙うのは自然なことだと言えます。

そのため、小型株・低位株かつ信用取引のできる銘柄は仕手株として狙われやすいと言えます。

(4)過去の仕手株となった銘柄

発行済株数(浮動株比率)株価時価総額信用取引
(8029)ルックHD7,670,613株(36.3%)1523円114億円
(4406)新日本理化38,008,906株(13.8%)201円76億円
(8836)RISE96,013,277株(7.5%)22円21.1億円
(8107)キムラタン111,009,310株(20.3%)26円29.9億円

(2019年3月22日時点)

これらの銘柄は、過去の仕手株となった(とされる)銘柄の一部です。

いずれも、小型株・低位株・信用取引のできる銘柄という特徴を満たす銘柄となっています。

このような銘柄で、特に材料もないのに出来高が急増(それまでの5倍以上)したり、値上がり率上位に突然現れたりした場合、仕手株ではないか疑われます。

ルックホールディングス(8029)

では、仕手筋はどのような手口で投資を行い、それにより仕手株はどのような値動きをするのかをみていきましょう。

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3、仕手株を買うタイミングは?

仕手筋による玉集めの段階で仕手株を購入できれば、その後の値上がり局面で大きな利益が期待できます。

仕手株ではないかと疑われる銘柄に以下のような動きがみられた場合、買いを検討するタイミングとなります。

  1. 出来高急増(+株価の上昇)が2日以上連続したとき
  2. 空売りが急増したとき
  3. 大陽線が急に出現したとき
  4. 大陽線が出現した翌日に株価が下落したとき【大陽線が出現した翌日に窓を開けて始まった(前日終値<始値)場合、一旦利益確定して、その後の下落するタイミングで再度買うのが無難です】
  5. 出来高が減少しても株価が下がらないとき
  6. 厚い売り注文(仕手筋によるもの)が買われたとき
  7. 連続して株価が上げ続けた後の押し目(高値から1/3程度下落したとき)

これらはあくまで目安であり、ダマシである可能性も大いにあります。

そのため、資金を一気に投入するのではなく、値動きを確認しながら少しずつ買い増していく(打診買い)のが無難です。

またリスク管理を徹底する必要があり、予期しない動きがあれば早めに逃げるということを常に意識しておきましょう。

4、仕手株を売る(利益確定)タイミングは?

仕手株では、高値を深追いすることは危険です。

うまく仕手株の株価上昇に乗れたとしても、まだ上昇が続いている段階で売り抜けられるかが勝負だといえます。

売り(利益確定)タイミングとしては以下のようなものがあり、このタイミングで確実に利益を確定できるようにしましょう。

  1. 株価が上昇を始めた水準から30%上昇したとき
  2. 株価が上昇を始めた時点から、出来高の累計が浮動株数を超えたとき
  3. 出来高が1~2日で浮動株数を超えたとき
  4. 株価が上昇を始めた日にストップ高で終わったとき(一部または全部を利益確定)
  5. 株価が上昇を始めた翌日が窓を開けて始まったとき【寄付からストップ高で売買が成立しないときは、成行で売り注文を入れておき、そのままストップ高で引けるようなら半分の利益を確定させます】
  6. その翌日もストップ高(3日連続ストップ高)となったとき(残り全部を利益確定)
  7. メディアやネットなどで買い推奨され始めたとき

リスク管理を徹底し、予期しない動きがあれば早めに逃げるというのは鉄則です。

5、仕手株を売買する手口は?値動きの注意ポイント

(1)安く株を買い集めていく仕込み段階

仕手筋は仕手株に仕立てる銘柄を決めると、株価の低迷するその銘柄を買い集めていきます。これを玉集めと言います。

その際には時間をかけて少しずつ買っていくので、株価や出来高に目立った変化が現れません。そのため周囲は仕手筋が玉集めをしていることには気が付きません。

このようにして仕手筋は、予定した株数まで株を着実に買い集めていきます。

(2)大量の買い注文で株価を吊り上げて市場の注目を集める段階

それまで周囲にバレないように少しずつ買っていた仕手筋は、保有株が予定株数に達すると、今度は数倍規模の大量の買い注文を市場に出します。

この大量の買い注文により、それまで横ばいで推移していた株価が吊り上がります。

このとき自分で買い集めた株をあえて売りに出し、再び自分で買うことで出来高を膨らませて、実際に売買が活発に行われていることを装います。

これを玉転がしと言います。

同じ名義での売買をしてしまうと、相場操縦を疑われる恐れがあるため、証券会社や口座名義は別のものが用いられます。

その結果出来高を伴い、値上がり率などのランキング上位に突如現れた見慣れない銘柄に、なにか材料が出たのではないかと市場の注目が一気に集まります。

(3)利益を確定する段階

株価が上昇を見せたことで市場の注目が集まった仕手株には、仕手筋以外からの買い注文が入るようになり、その買いがさらなる買いをよび、株価はさらに上昇を始めます。

このとき、仕手筋は意図的に大量の売り注文を入れたりすることにより、株価に一時的な調整を仕組みます。これを振い落としと言い、投資家の心理が揺さぶられて買いから売りに転じ、株価は一時的に下落します。

その後再び玉転がしによって株価を吊り上げていき、さらには仕手筋と個人投資家の心理戦に入ります。この段階で一部のメディアやネット上などで騒がれ出します。

ここで個人投資家が株を買い進めていく(提灯買いといいます)状況になれば、仕手筋の思うツボで、仕手筋は株価の上昇した段階で保有株を一気に売り抜けて利益を確定させます。

仕手筋の資金の抜けた仕手株は、本来の株価水準へと急落し、個人投資家には含み損を抱えたボロ株が、そしてチャート上には高い山が残ります。

6、新たな仕手筋「ネット仕手筋」情報

従来仕手筋といえば、多額資金を持つ投資家のことでしたが、「ネット仕手筋」という新たな仕手筋が登場しています。

ネット仕手筋はその名の通り、インターネットを利用した仕手筋のことです。

ネット掲示板やツイッターなどのリアルタイムで情報を発信できるメリットを利用して、株価の急騰を仕掛ける手法をとります。

ネット仕手筋による仕手株(ネット仕手株)は、従来の仕手筋による仕掛けに比べ、情報が瞬時に広がるため、より短期で株価が乱高下しやすい傾向があります。

そのため売買のタイミングを掴むことは難しくなり、なるべく避けたほうが無難だと言えます。

特に材料がないにも関わらず短期間に急騰している銘柄は注意しましょう。

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7、さらに仕手株に詳しくなりたければ!オススメ書籍

 

仕手株・インサイダー株でがっちり儲ける コバンザメ投資術

(高島ゆう・著/アスペクト)

この本では、仕手株やインサイダー株をいち早く見抜いて、“合法的”に稼ぐためのノウハウが実例とともに解説されています。

誰かの思惑が働いている可能性がい仕手株やインサイダー株を見つけて勝つためには、何をすればよいのでしょうか。

実際に、合法的に仕手株やインサイダー株で利益を上げた著者の経験をもとに紹介されています。

仕手株についてさらに詳しく知りたいという方は、一読してみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

仕手株はハイリスクな投資(投機)であり、短期間に大きな利益を得られる可能性もありますが、個人投資家は手を出さないのが無難です。

仕手株に投資するかどうかは自己責任となりますが、いずれにせよ仕手株がどのようなものかを知らなければ投資することも、避けることもできません。

この記事を参考に、仕手株について理解を深めていただくことができれば幸いです。