普通の投資家と優れた投資家の違いは、株価が暴落したときの対応に現れると言えます。
では、それはどのような違いなのでしょうか。
今回は、賢い投資家になっていただくために『株価が暴落した場合の対処法』についてご紹介します。
備えを万全にして、突然の暴落でも減らさない投資を目指していきましょう。
ご参考になれば幸いです。
1、暴落したらあなたはどうしますか?
株価が暴落したときの行動は、「売る」「買う」「耐える」のいずれか、またはこの組み合わせです。
これは結局平常時の投資と変わることはありません。
しかし、その選択やタイミングの判断が、普通の投資家と優れた投資家では違うのです。
(1)普通の投資家【売る】【耐える→売る】
普通の投資家は、株価が暴落すると「ヤバい!」と思い、保有している株を売ります。
損切りは株式投資の基本であり、想定外の下落に対して損切りを行うことは、損失を拡大させないためには必要であり、無難な対処です。
最悪なのは、暴落した後も損切りの判断もできず、とりあえず耐えていたものの、株価がどんどん下がり、損失に耐えきれなくなって売る、というパターンです。
この場合の損失は大きく、資金の大部分を失うことになります。
いずれにせよ、普通の投資家は暴落すると最終的に売り、相場から撤退していく傾向があります。
(2)長期投資を行う堅実な投資家【耐える】【耐える・買う】
自分の投資している銘柄の価値をしっかりと理解し、長期的なスタンスで投資している投資家は、暴落しても投げ売りのようなことはせず、下落に耐えることができます。
彼らは、株式相場は50%以上暴落することもあると理解した上で投資しています。
いつ、その暴落が起こるかまでは予測できなくても、いずれ起こるものとして投資をしています。
そのため暴落にも慌てず、ポジションを維持し、暴落後も買い続けることができます。
暴落によって一時的に含み損となることはあっても、相場の回復に伴って暴落後に買い増したポジションとともに利益を生みます。
その結果、全体としてプラスのリターンを残すことができます。
(3)優れた投資家【買う】
優れた投資家は、暴落時には積極的に株を買います。
相場が回復した段階で売り、資産を増やしていきます。
優れた長期投資家にとっても、暴落は優良株を割安に買える「バーゲンセール」であり、積極的にポジションを買い増していきます。
しかし、どんな銘柄でも買えばいいというわけではありません。
日頃から銘柄を分析し、買うべき銘柄を見定めているからこそ、暴落をチャンスに変えることができるのです。
(4)直近10年の主な日経平均株価の暴落
高値 | 安値 | 下落幅 | |
リーマン・ショック | 12028.45円 (2008/9/16) | 6994.90円 (2008/10/28) | ▲5033.55円 (▲41.85%) |
東日本大震災 | 10378.55円 (2011/3/11) | 9578.65円 (2011/3/15) | ▲799.90円 (▲7.71%) |
日銀金融緩和 | 15942.60円 (2013/5/23) | 12415.85円 (2013/6/13) | ▲3526.75円 (▲22.12%) |
チャイナ・ショック | 20663.18円 (2015/8/18) | 16901.18円 (2015/9/29) | ▲3761.49円 (▲18.20%) |
ブレグジット | 16389.17円 (2016/6/24) | 14864.01円 (2016/6/24) | ▲1525.16円 (▲9.31%) |
大統領選トランプ氏勝利 | 17427.71円 (2016/11/9) | 16111.81円 (2016/11/9) | ▲1315.90円 (▲7.55%) |
2、【暴落投資法その1】何%下落したときが買い時なのか?
日経平均株価は、リーマン・ショックの際には、サブプライム問題が表面化してからの下落を含め、高値から約60%下落しました。
そのほか、日銀の大規模な金融緩和の開始、人民元切り下げを契機としたチャイナ・ショックなど、金融問題に関連した暴落時には、高値から約20%前後下落しています。
一方、東日本大震災やブレグジット、トランプ大統領勝利における株価暴落時には、株価の下落は一時的で下落幅も10%弱となっています。
金融問題が発端となった株価の暴落では約20%程度、そのほか地政学リスクなどが発端となった株価暴落は約10%程度の下落をメドとして、この辺りが買いを入れる目安と言えます(大型株で構成される日経平均株価における目安であり、中小型株では、これよりも下落幅が大きくなる傾向があります)。
もちろん、すべてのケースで当てはまるわけではなく、問題が深刻であるほど下落期間は長期にわたり、下落幅は大きくなります。
リーマン・ショックにおける60%程度の下落も想定した上で、判断は慎重に行いましょう。
また積立投資では、投資のタイミングや投資額を変えず、それまで通りの投資を継続することが結果的にリターンの安定につながります。
3、【暴落投資法その2】慌てない!一度に資金を投入しない!
暴落は株を買う絶好のタイミングとはいえ、その暴落の底がどこだったかは、後になってわかることです。
底だと思って買った後、2段、3段の下げが来ることは少なくありません。
ただ、待ちすぎれば投資するタイミングを逃すこともあるため、資金に余裕がある場合には、ある程度底だと判断した水準まで株価が下がるのを待って、買いを入れていきます。
その後は、株を複数回に分けて購入していきます。
最初に底だと判断した株価から、さらに下がった場合には、底を打つまで段階的に追加で買いを入れていくことで、取得コストが下がります。
これはいわゆる「打診買い」や「ナンピン買い」といわれる手法です。
資金にあまり余裕がなければ、慎重に待つことも大切です。
底を待っているうちに、株価が反転することもありますが、慌てて買う必要もありません。
明確に底打ちが確認できた段階で、割安だと判断できる銘柄を買うことができればよしとしましょう。
下手に手を出して大火傷をしては、本末転倒です。
4、【暴落投資法その3】暴落時に狙う銘柄の条件は?
株式相場全体が暴落すれば、たとえ優良株であっても株価は下落します。
そのような銘柄は、暴落による混乱が収まればいち早く株価が回復し、リバウンドによる株価上昇によって、短期的に利益を狙うことができます。
以下のような条件を満たす銘柄は、暴落時に短期間でリバウンドしやすい傾向があり、狙い目と言えます。
(1)東証1部銘柄
新興株や中小型株に比べ、比較的リスクが低く流動性も高いことから、資金の戻りが早いことなどが要因と考えられます。
(2)ディフェンシブ銘柄
保険や証券、食料品、医薬品などのディフェンシブ銘柄には、暴落後に資金の逃避先としても資金が集まりやすいことなどが要因と考えられます。
(3)自分の買いたい銘柄を買う
またこれらの条件に関わらず、自分の買いたかった銘柄を安く買えるチャンスとして暴落を利用するのも良いでしょう。
さわかみ投信の澤上篤人氏は、いつか来る暴落に備えて「自分が買いたい銘柄リスト」を作っておけば良いと述べています。
これは、5年、10年にわたって、なにがあっても応援したいと思える企業を見つけておくことで、暴落した時にはその株を喜んで買いに行くことができるというものです。
この方法では、すぐに利益は出ないかもしれませんが、欲しかった銘柄を安く買えたという満足感が得られます。
そして長期的にその企業が成長し利益につながっていけば、願ったり叶ったりと言えます。
5、暴落に備える個人投資家さんの「暴落投資法」オススメブログ
(1)おうちスキーの小遣い日記~「資産運用」暴落局面における気絶投資法のススメ
おうちスキーの小遣い日記~「資産運用」暴落局面における気絶投資法のススメ
30代専業主婦投資家・おうちスキーさんが、インデックス投資で家庭の資産増大を目指すブログです。
経済の成長を信じる力とリバランスによって、黙々とインデックス投資を行い、暴落にはあえて目を背ける「気絶投資法」で望んでいます。
(2)40代でアーリーリタイアしたおっさんがたわら先進国株でベンツを買うブログ~暴落時に追加投資をする方法~
40代でアーリーリタイアしたおっさんがたわら先進国株でベンツを買うブログ~暴落時に追加投資をする方法~
積立投資を行う個人投資家・たわら男爵さんのブログです。
暴落時に重要なのは、とにかくリスク資産を売却せず、リスク市場に居続けるということ、暴落時にも積立・追加投資を続けられる、余剰資金(無リスク資産)を持つことが大切であり、それはリスク資産を持ち続けるための”保険”になるとしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
株価が暴落したときには、多くの投資家は株を売り、損失を出します。
優れた投資家は、それに買い向かい利益を上げています。
ただ誰もが優れた投資家になりたいと思っても、リーマン・ショックのように、実際の相場では底の見えないような暴落もあります。
そのような中では、ある程度の資金力がなければ、2段、3段の暴落に飲み込まれるリスクも大きくなります。
暴落が買い場であることは概ね正しいと言えますが、許容できる以上のリスクは取らないということも大事なことです。
資金力がつくまでは、暴落時にも買い向かえるくらいの余裕を持って、相場の動きに左右されない積立投資を行い、堅実な投資家になることを目指しましょう。