東京五輪、消費税10%に向け導入が加速!キャッシュレス化関連銘柄20選

  • 2019年4月23日
  • 2021年10月15日

クレジットカードやデビットカード決済をはじめ、電子マネーやモバイル、QRコード決済など、現金を使わずにお金をやり取りするキャシュレス決済が、いよいよ日本でも加速してきています。

現金決済比率の高い日本はその分伸び代が大きく、キャッシュレス化に関連する企業にも大きな恩恵が期待されます。

この記事ではキャッシュレス決済のメリット・デメリットから、日本おけるキャッシュレス化に向けた動きについて解説するとともに、今後注目しておきたいキャッシュレス関連銘柄をご紹介していきます。

1、キャッシュレス化関連銘柄20選

消費税引き上げに伴うキャッシュレス化推進策など、2019年以降さらに導入が加速すると予想されるキャッシュレス決済サービスです。

電子マネーやQRコード決済などに関連した銘柄にもおのずと注目が集まります。

ここでは今後注目しておきたいキャッシュレス化関連銘柄をピックアップしてご紹介します。

(1)楽天

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
楽天
(4755)
1040円電子マネー『楽天Edy』や楽天カードなど、キャッシレス決済サーピスを幅広く展開。

(2)ぐるなび

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
ぐるなび
(2440)
723円飲食店情報サービスサイトを運営、加盟店が全国約50万店。今年8月には楽天(4755)と業務資本提携を行い、楽天が第2位株主に。今後加盟店におけるキャッシュレス決済サービス「楽天ペイ」導入加速が期待できる。

(3)ビリングシステム

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
ビリングシステム
(3623)
3,760円インターネット決済の収納代行やクイック入金サービスを手掛ける。QRコードをベースにした新世代のスマホ決済ツール「ペイビー(PayB)」は銀行を主体に電力・ガス・NHKなどとの提携を拡大。中国最大のメッセンジャーアプリ『Wechat(微信)ペイ』に対応した店舗用アプリも手掛けている。

(4)GMOペイメントゲートウェイ

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
GMOペイメント
ゲートウェイ
(3769)
7,670円GMO子会社、消費者向けEC業者に決済処理サービスを提供。通販・ECサイト向け総合決済システム「PGマルチペイメントサービス」は電子マネー決済やビットコイン決済にも対応。

(5)フライトHD

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
フライトHD
(3753)
801円モバイル型電子決済端末や決済アプリサービスを展開。同社のマルチ決済装置「インクレディスト・プレミアム」は、『iD』や『Apple Pay』など複数のモバイル決済サービスに対応しており、Apple Pay導入時には大きな注目を集めた。特需一巡後も大型案件が控えており、今後も期待が持てる。

(6)ヴィンクス

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
ヴィンクス
(3784)
988円イオングループをメインに小売・流通向けソフトを開発。無人レジ・セルフレジなども手掛ける。電子マネーシステムの新たな構築案件を受注しており注目される。

(7)アイリッジ

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
アイリッジ
(3917)
1,029円QRコード読み取り方式を採用した、電子マネーサービスプラットフォーム『MONEY EASY』を提供。短期間かつ安価に電子地域通貨サーピスを導入でき、地域活性化とキャッシレス化を推進するソリューションとして期待される。

(8)LINE

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
LINE
(3938)
3,805円モバイルメッセージアプリを運営。LINE Payでモバイル決済サービスへ参入。若者を中心に利用を拡大している。

(9)バリューデザイン

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
バリューデザイン
(3960)
2,418円自社ブランドで発行できる電子マネー・プリペイドカードシステム『バリューカード』を提供。『いきなりステーキ』の肉マイレージカードなど、導入企業は500社を超える。

(10)SKIYAKI

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
SKIYAKI
(3995)
1,023円音楽アーティストなどのファンクラブ運営、グッズECサービスエオ提供。イベント会場での利用を想定したスマホ決済サービス『SKIYAKI PAY(スキヤキペイ)』をリリースしている。

11)ヤフー

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
ヤフー
(4689)
274円Yahoo!ウォレット・Yahoo!マネーなどキャッシレス決済サーピスを展開。

(12)メディアシーク

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
メディアシーク
(4824)
805円法人向けシステムコンサルメインながら、スマホ向けQRコード読み取りアプリ『アイコニット(ICONIT)』を手がけ、順調にダウンロード数を伸ばしている。

13)インテリジェントウェイブ

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
インテリジェント
ウェイブ
(4847)718円金融決済システムの構築を得意とし、カード決済システム国内トップ。

14)メタップス

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
メタップス
(6172)
1,456円アプリ収益化支援、ネット決済代行などを手掛ける。QRコードを用いたウォレットアプリ「プリン(pring)」の育成に注力している。

15)高見沢サイバネティックス

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
高見沢
サイバネティックス
(6424)
1,083円駅自動券売機を製造販売。東京メトロから新型ICチャージ機を受注し、他社への導入も期待。

16)テクノホライゾンHD

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
テクノホライゾンHD
(6629)
388円子会社がモバイルペイメント対応マルチ決済端末を開発・販売。

17)オプトエレクトロニクス

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
オプト
エレクトロニクス
(6664)
756円バーコードリーダー大手。レーザーエンジンでは世界2位、国内シェア9割。

18)ソニー

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
ソニー
(6758)
4,709円ソニーが開発した非接触型ICカード技術方式FeliCaは、Suicaをはじめ、楽天Edy、nanaco、WAON、QUICPayなど多くのキャッシュレス決済サービスに採用される基幹技術。

19NTTドコモ

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
NTTドコモ
(9437)
2,466.5円電子マネー「iD」を手掛ける。財務状態は良好であるが、通信事業は政府からの値下げ圧力などに課題。金融や決済など非通信分野へ積極投資し、順調に拡大している。

20)エムティーアイ

銘柄
(コード)株価
(2019/3/22終値)銘柄情報
エムティーアイ
(9438)
633円『music.jp』や『ルナルナ』などのコンテンツ配信、スマホ向け有料会員数は国内最大規模。銀行口座直結型型スマートフォン決済サービス『&Pay』を提供。

(チャート:ヤフーファイナンス)

2、キャッシュレス決済とは

キャッシュレス決済とは、現金(紙幣と硬貨)を使わない決済方法のことをいい、大きく分けて、以下の3つのタイプがあります。

決済タイプ
前払い方式
(プリペイド)
あらかじめ入金しておく
プリペイドカード、交通系・流通系電子マネーなど
即時払い方式
(リアルタイムペイ)
預金から直接その場で引き落とされる

デビットカード、QRコード決済など

後払い方式
(ポストペイ)
後からまとめて請求される

クレジットカードなど

2、キャッシュレス化のメリット

(1)決済がスムーズ

キャッシュレス決済では細かなお金のやり取りが不要になり、レジなどの支払いがスムーズになり、お釣りの間違いなどもなくなります。

キャッシュレス決済が浸透すれば、Amazon Goのようなレジすらない店舗も一気に普及するのではないでしょうか。

(2)お金の製造・輸送・管理コストの削減

現金をお金の製造・輸送・管理するため、日本では年間1兆円以上のコストが発生していると推計されています。

キャッシュレス決済が普及し現金決済比率が下がれば、これらのコストを削減する効果が期待できます。

小売・飲食店などでは、レジ締めや売上管理に割く時間と人手を減らすことができ、人手不足解消にも効果が期待できます。

出所:野村総研 キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識 

(3)お金の流れを把握しやすくなる

キャッシュレス決済では支払いの記録がデータとして残るため、お金の流れを把握しやすくなります。

給与・報酬・年金などの受け取りから、公共料金や買い物の支払い、さらに納税まですべてキャッシュレスとなれば、家計の管理や確定申告などが楽になると言えます。

また各種支払いや従業員が使った経費などをデータで管理でき、企業における経理処理の手間と時間を大幅に削減する効果も期待できます。

(4)犯罪の防止

キャッシュレス化が進むことでお金の流れが見えやすくなり、反社会勢力などのマネーロンダリング(資金洗浄)や脱税などを防ぐ効果が期待できます。

また金融機関や店舗などに現金を置かなくなり、個人も現金を持ち歩かなくなれば、強盗や窃盗といった犯罪も起こりにくくなります。

3、キャッシュレス化の課題・デメリット

(1)導入コスト

店舗などが新たにキャッシュレス決済を導入する場合、決済端末が必要となります。

またクレジットカードでは、売り上げの一定割合を「決済手数料」としてクレジットカード会社に支払う必要があります。倒産などのリスクに備えるため、小規模な店ほど手数料が高くなる傾向があり、キャッシュレス化を遅らせる要因となっています。

キャッシュレス化を推進したい政府は、クレジットカード会社に対し、加盟店から受け取る手数料を引き下げるよう要請する方向で調整を進めています(参考:産経新聞2018.10.19付)。

(2)キャッシュレス決済に対応していないお店の存在

キャッシュレス決済をするには、店舗と利用者双方が同じ決済方法に対応できなければなりません。

日本ではそもそも現金しか使えない店も多く、クレジットカード対応のお店でも、VISAしか使えないお店であれば、たとえアメックスのクレジットカードを持っていても、結局現金で支払わなければならないのです。

本当の意味でのキャッシュレス化を実現するには、現金がないと支払いができない不安を取り除くという課題があると言えます。

(3)停電や電池切れの問題

先日の地震により北海道全域で大規模停電が発生した際、クレジットカードやスマホ決済サービスが利用できなくなり、「やはり現金がなければ困る」という意見が多く聞かれました。

またモバイルSuicaで改札を通ったものの、スマホの電池が切れてしまい、改札を出られなくなってしまったという話も聞きます。

このように電源が使えなくなってしまうと、決済が行えないという点がキャッシレス決済の課題としてあります。

ただ最新のiPhoneに搭載されたApple Payでは、Suicaなど「エクスプレス対応カード」であれば、予備電源によって電池が切れた状態でも利用できるようになるなど、改良が進んでいます。

安心して利用できるキャッシュレス決済の普及には、このような機能が他のサービスにも拡大していくことが期待されます。

4、日本におけるキャッシュレス化の状況

(1)個人消費の約半分は現金決済

日本では現金主義が根強く、2016年度時点では個人消費における決済の約半分が現金決済となっています。

クレディセゾン・2017年度第2四半期決算説明会資料のデータをもとに作成

(2)キャッシュレス後進国・日本

また日本のキャッシュレス比率は、電子マネーの利用拡大などによって上昇してはいるものの、主要国の中ではドイツに次いで低く、キャッシュレス後進国といわざるを得ません。

観光立国を目指す日本にとってキャッシュレス化の遅れは、現金決済に慣れていない訪日外国人の購買機会の損失や利便性の悪化にもつながり、大きな足かせになる懸念もあります。

このような状況を打開すべく、経済産業省は2025年までにキャッシュレス決済の比率を現在の倍にあたる40%に高めることなどを掲げた「キャッシュレス・ビジョン」を打ち出し、産官学のオールジャパンで取り組むことで、将来的には世界最高水準となる80%を目指す姿勢を示しています。

野村総研 キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識 をもとに作成

(3)消費税引き上げに伴うキャッシュレス化推進策

2018年10月、安倍首相は再三延期された消費税10%への引き上げを、2019年10月に実施することを表明しました。

消費税増税に伴う消費低迷への対応策として、中小店舗での購入時においてキャッシュレス決済を利用した場合、購入金額の2%をポイントとして還元し、増税による負担を軽減する案が検討されています。

この施策では、キャッシュレス決済端末などの導入にかかるコストの補助なども検討されており、これまでキャッシュレス化に慎重だった中小店舗などでも導入が一気に進む可能性があります。

(4)民間企業のキャッシュレス化に関連した動き

①Apple Pay

キャッシュレス後進国とされる日本ですが、ガラケーの時代に登場した『おサイフケータイ』は、モバイルキャシュレス決済の先駆けともいえる存在でした。

アップルも『Apple Pay』としてこの方式を導入し、iPhoneも『おサイフケータイ』として新たなスタートを切っています。

またiPhone7以降の機種ではモバイルSuicaにも対応し、全国相互利用サービスによって、今では日本各地の鉄道や路線バス、タクシーなどをカードレス・キャッシュレスで利用できるようになりました。

②LINE Pay

モバイルメッセージアプリを展開するLINEは、プリペイド式のキャッシュレス決済サービス『LINE Pay』を提供しています。

LINE Payでは、QRコード決済によって加盟店での買い物をキャッシュレスで行えるほか、お互いにLINEを利用している友達同士であれば、口座番号や手数料不要で送金が可能です。

端数が面倒な割り勘などもキャッシュレスで行えるようになり、便利になっています。

またスターバックスコーヒージャパンは、LINEと2019年上半期に包括的な戦略的提携を進め、モバイル決済を含めた様々なイノベーションに取り組むことを発表しています。

出所:LINE Pay

③郵便局のキャッシュレス決済導入(2020年2月)

2018年9月、日本郵便株式会社は、郵便局の郵便窓口におけるクレジットカードや電子マネー等によるキャッシュレス決済を導入すると発表しました。

2020年2月以降順次導入され、夏頃までには簡易郵便局を除く全国の郵便局の窓口で切手購入や、郵便料金の支払いをキャッシュレスで行えるようになります。

幅広い世代が利用し、日本全国を網羅する郵便局のキャッシュレス化が進めば、日本のキャッシュレス化の大きな進展が期待できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

キャッシュレス化は政府も重要な課題としており、消費税増税に合わせた負担軽減策の一環として検討が進んでいることから、キャッシュレス決済は2019年さらに導入が加速すると予想されます。

また仮想通貨やAI、無人レジ、人手不足解消など、今注目されているさまざまな分野との関連も強く、今後ますます目が離せないテーマでもあります。

この記事をきっかけにキャッシュレス化やその関連銘柄について興味を持っていただければ幸いです。