分散投資を適切にして安定的に資産を増やす方法

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資産運用に関する本やサイトを見ていると、必ず1回は登場する「分散投資」。「卵を1つのカゴに盛るな」という格言でもおなじみです。投資におけるセオリー中のセオリーですが、実は「神様」と呼ばれるあの人は否定的にみています。この記事では、分散投資は誰にでもメリットがあるのか?実際にどうやってするのか?などの疑問にお答えいたします。

分散投資で安定的に資産運用したいとお考えの方のご参考になれば幸いです。

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1、分散投資とはどういうことか?

分散投資とは、資産を1つに集中せず、いろいろな形で持つことをいいます

株と債券、不動産など投資先の種類を分けることで収益を安定させる効果を発揮します。広い意味では、同じ株式でもいろいろな銘柄を買うことを分散投資と呼ぶ人もいます。

なぜ資産運用において分散投資が重要なのでしょうか。

「テールリスク」という言葉があります。確率は非常に低いものの、発生すると甚大な被害をもたらすようなことです。例えば2008年のリーマンショックや2016年の英国によるEU離脱などが挙げられます。個別の銘柄でいえば、株式における倒産や債券におけるデフォルト(貸したお金が返ってこないこと)などがあります。

分散投資の第1の目的は、テールリスクを回避することです。手元にある1000万円を全てつぎ込んで上場会社Aの株式を買うとします。可能性は低いのですが、もしA社が倒産したら全財産を失います。A株式300万円、B株式200万円、C国債300万円、D投資信託200万円というように分散投資をすれば、A社がつぶれても700万円は残るのです。

株式や不動産など、資産の特徴を分類したものをアセットクラスといい、その配分をアセットアロケーションといいます。アセットアロケーションにもとづいた実際の銘柄の組み合わせをポートフォリオといいます。

2、分散投資するメリットとデメリット

分散投資のメリットはそれだけではありません。異なるアセットクラスの商品を組み合わせると、リスクの割にリターンが高い、効率的なポートフォリオを作ることができます。ここでいうリスクとは価格の動きの大きさのことです。小さければ小さいほど損する可能性が低いので、長期の資産形成にとって好ましいとされています。リターンは収益率のことです。

もっと詳しく言えば、リスクの異なる資産を組み合わせることで効率的なポートフォリオができます。アセットクラスは違っても、変動率が同じならあまり効果はありません。

注意したいのは、この理論で検証するのはあくまでも過去のリスクとリターンということです。未来のことは誰もわかりません。過去20年間は10%の範囲内で値動きしていても、明日30%下がることもありえます。しかし、そのような大きな変動があったとしても、分散投資をしていれば耐えることができるのです

一方で分散投資にはデメリットもあります。

分散投資でリスクをおさえられるということは、大きく儲けるチャンスを逃す可能性もあるということです。先ほどの例ではA社が倒産しましたが、もし株価が2倍になっていたらと考えてください。全額集中投資していれば1000万円だった資金が2000万円になっています。分散投資の場合は1300万円になるだけです。

それでも1000万円を失う可能性を限りなくゼロに近づけ、かつ300万円の利益を手にする可能性もある分散投資。魅力的なのかどうかは、意見が分かれるところかもしれません。

3、投資の神様は分散投資を否定している?

ポートフォリオは誰にでも組むことができます。その代わりに、大きな収益をあげることは難しいのです。

米国で5本の指に入る資産家であり株式投資家のウォーレン・バフェットは、「卵を1つのカゴに盛って、しっかり見守るべき」という趣旨のことを言っています。つまり、バフェット自身は投資方針としては集中投資メインで考えているのです

ちなみに株式取引の師匠にあたるベンジャミン・グレアムは分散投資を推奨しています。ダウ平均や日経平均などのような市場全体に連動する指標を、長い時間かけて少しずつ買っていく「ドルコスト平均法」のパフォーマンスが良いということです

他にも多くの著名な投資家・投機家が集中投資によって富を築いています。チャート分析の基礎を築いたウイリアム・ギャン、伝説の相場師ジェシー・リバモア、システムトレードの第一人者ラリー・ウィリアムズなどがその例です。

しかし彼らは専業の、プロの投資家です。本業を他に持ちながら、資産運用の手段として初心者が行うときにはやはり分散投資がいいでしょう

バフェット氏はこうも言っています。「分散投資は無知に対するリスクヘッジだ。」。投資のための勉強を惜しまず、ある程度の損は我慢できるという人には集中投資が向いているかもしれません。

4、分散投資の例は?

分散投資にはどのようなものがあるのか、例をみてみましょう。

(1)アセットクラスを分けて、効率性を追求する

ポートフォリオの効率性については1950年代からさかんに研究されてきました。それ以前からある伝統的な手法として、「資産三分法」があります。

資産を「いつでも現金に換えられるもの(流動性資産)」と「リターンを追求するもの(収益性資産)」「すぐ現金に換えることはできないが、リスクの低いもの(安全性資産)」に分ける考え方です。

具体的な例としては、次のようなものがあります。

  • 流動性資産…現金、普通預金、定期預金、MMF(詳しいことは省略しますが、証券会社の口座と考えてください)
  • 収益性資産…株式、社債、株式投資信託、外貨
  • 安全性資産…不動産、国公債

資産三分法を「株式」「債券」「不動産」と説明されることも多いのですが、上記の考え方とそれほど差はありません。大切なのは、リスク(変動性)が異なる資産を組み合わせること、大きな分類(アセットクラス)としては株式・不動産・債券などがあるということです

例えば、給料から積み立てた貯金500万円があるとします。

  • 200万円は普通預金<流動性資産>
  • 100万円で電力会社とIT企業の株を買う<収益性資産>
  • 100万円で物価連動債(日本国債のバリエーションのひとつ)を買う<安全性資産>
  • 100万円で不動産投資信託(J-REIT)を買う<安全性資産と収益性資産の中間>

ケガや病気などによる就労不能、結婚などに備えてある程度の現預金を持っておきます。そのうえで、株の値上がり益も狙います。物価連動債はインフレに強い国債です。REITは不動産を証券化したようなもので、株よりも値動きが少なく、かつ年3~6%の分配金収入も望めます。

(2)株式市場全体をコツコツ買う

グレアムは20世紀前半から活躍していた人ですが、彼が唱えたのと同様の手法は現代でもよく使われています。

アセットクラス別にポートフォリオを作るだけでなく、株価指数に連動する投資信託などの商品を買うのも分散投資といえます。株価は銘柄によって個別にさまざまな価格変動をするからです。

また、商品ではなく、時間を分散するのがドルコスト平均法です。一定の期間ごとに、一定の金額を買い続けます。例えば日経平均に連動する投資信託を毎月1万円ずつ買うといった具合です。個別の株式を少額ずつ買う「るいとう(株式累積投資)」という商品もあります。

毎月買うのは面倒くさいという人は、証券会社の口座から毎月自動で購入するように設定することもできます

5、分散投資をする際のポートフォリオの組み方は?

実際に分散投資をするのは簡単です。

投資信託を買えばいいのです。

目論見書(ファンドの説明書のようなもの)を見れば、どのようにアセットアロケーションがなされており、どのようなポートフォリオなのかがわかります。自分がどれくらいのリスクをとれるかによって、商品を選べばいいのです。

一般論としては、若い人ほどリスクをとりやすいといえます。たとえ損しても、働くことによってカバーできるからです。老後資金としてあてにしていた退職金を株でスッてしまった……というのは笑えません。

資産運用の目標値があれば、達成できるような利回りの商品を買うのもいいでしょう。72の法則を使うと、複利運用したときに何年で元本が倍になるのかわかります。72を年利率で割った答えが倍になる年数です。年間リターン3%なら、次のようになります。

72÷3=24

24年で預けたお金が2倍になります。

最近では、ロボアドバイザーという便利なものもあります。簡単な質問に答えるだけで、適切なリスクを計算し、商品を提案してくれるものです。売買も全て自動でしてくれるものもあります。

もっと詳しく個別のリスクや運用方法を知りたい人は、ファイナンシャル・プランナーに相談してください。保険や不動産などの相談にも乗ってくれます。

まとめ

分散投資は今も昔も資産運用の基本です。いろいろな種類の商品を組み合わせることで、資産の大半を失うような大損を防ぎ、投資の効率を高めます。プロのトレーダーには集中投資で利益をあげている人もいますが、時間も経験もない初心者が行うなら分散投資をおすすめします。具体的な方法としては投資信託を買う、株や債券をバランスよく買う、などがあります。購入時期を分散させるドルコスト平均法もおすすめです。ロボアドバイザーやファイナンシャル・プランナーを利用するのもいいでしょう。

今回の内容が、分散投資でリスク低く資産を増やしたいとお考えの方のご参考になれば幸いです。

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太田 清比古(おおた きよひこ)
個人トレーダー・ファイナンシャルプランナー

学生時代から投資に目覚め、個別株・FX・投信・仮想通貨等手広く経験。
証券系のシステムエンジニアとして勤務する傍ら、独学でFPを取得。
余暇を利用しての投資の研究と実践を欠かさない。

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