会社四季報を徹底活用して高利回りの運用を実現する10のポイント

会社四季報という名前は知っているけれど、どんな内容になっているかはよく分からない。分厚い見た目から、なかなか手が伸びない。

そんな方も多いのではないでしょうか。

会社四季報には株式投資に必要な情報が詰まっています。それを活用しないのは実にもったいないことです。

もちろんいきなりすべてを読み込むのは大変なことですが、ポイントを押さえてうまく活用することで、会社四季報は銘柄選択に役立つ強力なツールとなります。

この記事では、会社四季報とはどのようなものなのか、そしてどのように活用したら銘柄選択に役立つのか、押さえておくべきポイントをご紹介します。

今回の内容があなたの株式投資のご参考になれば幸いです。

1、会社四季報とは?

会社四季報は、1936(昭和11)年の創刊以来、80年以上続く歴史ある書籍です。

内容としては、日本国内の全上場企業の業績や財務状況などに関する最新情報のほか、東洋経済新報社の独自の業績予想などが掲載されています。

個別銘柄やランキングを取り上げる書籍、雑誌、レポートなどは多く存在しますが、すべての上場銘柄についての情報を1冊に掲載する書籍は会社四季報だけです。

個人投資家から、証券マンやディーラーといったプロの投資家まで、日本で最も多くの投資家に読まれている投資本といってもよいでしょう。

そのため会社四季報発売のタイミングには、その内容によって売買を行う投資家も多くいるため株価が動くこともよく起こります。

発行はその名前のとおり年4回(新春号・春号・夏号・秋号)発行され、それぞれ12・3・6・9月の15日前後に発売されます。

この中でも、上場企業の約7割の企業が3月決算であることから、最新の決算結果が反映される夏号(6月発売)の注目が最も高くなります。

冊子版のほか、最新の情報が随時更新され、過去のバックナンバーや検索機能なども利用できるWeb版の「会社四季報オンライン」があります。

2、会社四季報を見る10のポイント

では実際に会社四季報を見るためのポイントについてみていきましょう。

会社四季報では、企業規模に関わらず同じスペース(1ページ2社)・構成で各企業の情報が掲載されています。

その構成は、大きく分けて10の項目に分類されます。

(参照:会社四季報 2018年1集・新春号 東洋経済新報社)

(1)基本情報

社名・業務内容・証券コード・決算・本社所在地などが記載されています。

(2)業績見通しや企業動向に関するコメント

今後の業績見通しと、企業の業績や株価に影響与える可能性のある企業動向や課題などについてのコメントが記載されています。

(3)株主・役員・連結会社

名簿上位10名の株主や役員、連結会社について記載されます。

上位株主が創業家一族や役員、自社持株会などで占められていれば、企業経営や株価の安定性が高くなる傾向があります。

(4)財務状況

財務状況(資産・負債・資本金)や、ROE、ROAなど収益性に関する情報が記載されます。

自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)や収益性の高さを示すROEは、企業の安定性、収益性を測る上で重要な項目です。

(5)キャッシュフロー

営業・投資・財務の各キャッシュフロー(CF)が記載されます。

変動要因 プラスの場合 マイナスの場合
営業CF 本業の営業活動による収入・支出 本業による黒字 本業による赤字
投資CF 投資活動による収入・支出 投資回収 投資支出
財務CF 借入・返済 資金調達 借入金返済

以下のようなキャッシュフローの状態が理想です。

  • 営業CF:プラス(本業で利益が出ている)
  • 投資CF:マイナス(成長のための投資を行っている)
  • 財務CF:マイナス(負債の減少)

(6)資本異動・株価推移・格付

増資や株式分割の情報などが記載されます。

(7)配当

配当の支払実績と、予想配当額、予想配当利回りなどが記載されます。

配当額の推移から企業の安定性・収益性・成長性などを判断する要素となります。特にインカムゲインを目的とする投資においては重要な項目です。

(8)業績(実績・予想)

売上高、営業益、経常益、純利益について、直近2年分の実績と今期以後の会社予想が記載されます。

過去の業績の推移から企業の成長推移やそのスピードを、業績予想からは今後の成長見込みについて確認することができます。

(9)チャート・株価指標

月足のチャート(株価・出来高)とPER・PBR(実績・予想)が記載されます。

主に長期投資における、現在の株価水準について判断する材料となります。

(10)業績予想営業益(経常益)の前号比・営業益の四季報予想と会社予想の乖離

前号と比較した営業益(四季報予想)の増減が表示されます。

また四季報が予想する営業益と会社予想が乖離しているときには、その旨(会社比強気・会社比弱気)があわせて記載されます。

会社予想と四季報予想との乖離は、業績の上方(下方)修正につながり、株価変動に直結します。

そのため予想が乖離している旨の表示は重要チェック項目です。

3、会社四季報を買ったらすぐに確認するポイント

上場全銘柄が掲載されている会社四季報は、その網羅性が魅力ですが、その分量はかなりのものです。

それをくまなく全部読んでいては、読み終わる頃には日が暮れるどころか、次の号が発売されているかもしれません。

それでなくても、いかに早く有望株を見つけられるかが株式投資においては重要であり、せっかく銘柄を見つけてもタイミングを逃せば利益をあげることは難しくなります。

そうならないためにも、会社四季報を買ったらすぐに確認しておきたいポイントをご紹介します。

(1)業績見通しや企業動向に関するコメント欄

その企業の業績や株価に影響する動向について、最新の情報が簡潔にまとめられています。

このコメント欄を読むだけでも、その企業の現状や見通しを大まかに把握できるようになっているため、まずはここをチェックしましょう。

①見出しやコメントの内容から投資候補をピックアップ

さっと見出しに目を通すだけでも、その企業の業績・動向をつかむことができます。

②業績や財務状態など他の記載情報を総合して銘柄を絞り込む

例えば、絶好調・連続最高益などの見出しは、株価上昇の期待が高いといえる銘柄です。

このコメント欄を活用することで、短時間で効率的に銘柄選択を行うことができます。

(2)業績(実績・予想)欄・会社予想と四季報予想との比較

業績欄には過去の業績の推移とともに、今後の業績に対する会社予想が掲載されています。

過去の業績の推移から企業の成長推移やそのスピードを、業績予想からは今後の成長見込みについて確認することが重要なポイントとなります。

また欄外には、前号に比べ営業益(四季報予想)が増えたか減ったかが、矢印で記載されています。

前号比で営業益が増額修正されていれば「↑(上向き矢印)」、逆に減額修正されていれば「↓(下向き矢印)」で表示されます。

また大幅な増額や減額があれば、「大幅増額(減額)」と表示されます。

さらに「会社比強気」「会社比弱気」と記載されている銘柄もあるのですが、これは四季報が予想する営業益と会社予想が乖離している場合に記載されます。

会社予想については統一された基準があるわけではなく、それぞれの企業で見込みを公表しているにすぎません。

そのため控えめに保守的な予想をする企業もあれば、強気な予想を出す企業もあるのです。

そこで四季報では統一した基準で独自に分析した予想を公表しており、会社予想との比較した結果がここに表示されます。

「会社比強気」と出ている銘柄では、会社予想が保守的で、その後業績の上方修正が発表される可能性が高いと言えます。上方修正が行われれば、そのタイミングで株価の上昇が期待できます。

逆に「会社比弱気」と出た銘柄では、その後業績の下方修正が発表される可能性が高く、株価の下落要因となります。

4、会社四季報のデメリットは?

会社四季報は株式投資にとって、とても役に立つ存在です。ただメリットだけでなく、デメリットもあります。

(1)場所をとる、重い

会社四季報は約2,000ページのボリュームがあるため、存在感は十分です。

家の中だけで読むのであればそれほど問題はありませんが、通勤時間などに電車でとなるとその存在感がマイナスポイントとなります。

また過去の情報を確認するために、最新号以外の四季報もとっておくのがおすすめなのですが、1冊でも場所をとるのに、年4回購入するとなると保管するのにそれなりのスペースが必要となります。

(2)スクリーニングができない

スクリーニングとは、PERやPBRなどの投資指標や時価総額などの条件を設定して、その条件を満たす銘柄を絞りこむ手法のことです。

スクリーニングは、多くの銘柄の中から投資する銘柄を探す上で重要な手法ですが、紙媒体の会社四季報ではこれを手作業で行う必要があり、多くの時間がかかってしまいます。

スクリーニング機能を搭載し、この欠点を解消できる「会社四季報CD-ROM」などもあります。

5、会社四季報オンラインを使いこなす方法

会社四季報には冊子版だけでなく、インターネット上で利用できるWeb版「会社四季報オンライン」があります。

会社四季報オンラインには冊子版にはない様々な機能があり、これらの機能を使いこなすことができれば、銘柄選びに大いに役立ちます。

ここでは、ぜひ活用したい会社四季報オンラインの機能をご紹介します。

URL:会社四季報オンライン

(1)最新情報を反映した銘柄情報

企業の業績予想などは日々変化していくため、冊子版ではどうしても最新の情報とのズレが生じてしまいます。

会社四季報オンラインでは週1回情報の更新が行われるため、最新の情報をもとに銘柄選びを行うことができます。

また有料会員限定で「四季報先取り」として、四季報発売前月下旬から配信されるため、いち早く情報を得ることができるというメリットがあります。

このサービスが始まったため、実際の発売日に先行して株価が動くことが多くなっています。チャンスを逃さないためには有料会員登録も検討しましょう。

(2)スクリーニング機能

投資金額や業種、投資指標などを使って銘柄を絞り込む手法であるスクリーニングは、多くの銘柄の中から有望株をいち早く見つけ出す上で欠かせない手法といえます。

これを手作業でやらなければならないことが冊子版の、最大の欠点だとも言えるのですが、会社四季報オンラインにはスクリーニング機能が搭載されているため、この欠点が解消されます。

スクリーニング機能によって、条件を設定するだけですぐに条件を満たす銘柄を選び出すことができます。

無料会員でも一部のスクリーニング機能は利用できますが、しっかりとスクリーニングを行うには、やはり有料会員登録をしてすべての機能を使える状態で利用するのが良いでしょう。

(3)銘柄登録機能

会社四季報オンラインには、スクリーニングで抽出した銘柄や、気になる銘柄を登録しておく機能が搭載されています。

冊子版では付箋を貼るなどして行っていた作業が、オンライン上でも行うことができます。

さらに登録銘柄を一覧で確認できるだけでなく、条件を指定しての並び替えなども簡単に行えるのも、Web版のメリットだと言えるでしょう。

(4)バックナンバーの閲覧

有料会員(月額1,080円 税込)であれば、直近1年分の冊子版の内容を確認することができます。

さらにプレミアム会員(月額5,400円 税込)向けの、1936年の創刊号から最新号まですべての内容を閲覧できる「四季報アーカイブ」という機能もあります。

冊子版にはWeb版にはないよさもあるため、両方を併用するのがおすすめです。

また会社四季報オンラインにはスマホやタブレットで利用できるアプリもあり、ちょっとした空き時間の情報収集にも便利です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

会社四季報は創刊から80年以上にわたり、多くの投資家に愛用されてきた株式投資のバイブルともいえる存在です。

全上場銘柄の情報を余すことなく網羅していることが会社四季報の魅力のひとつですが、単なるデータブックにとどまることなく、独自の分析など投資判断・銘柄選択において役立つ情報が詰まっています。

また冊子版の欠点を補うWeb版の会社四季報オンラインとの相乗効果により、ますますその魅力は向上します。

会社四季報をあなたの株式投資に大いに役立てていただければ幸いです。