エアーズシー証券で海外ヘッジファンドに投資するメリット・デメリット

投資やヘッジファンドについて調べていて、「エアーズシー証券」という会社を見つけた方もいるのではないでしょうか?

エアーズシー証券は、海外ヘッジファンドを取り扱っている国内で数少ない証券会社です。ヘッジファンドに興味があるなら、口座開設するかどうかを検討したいところです。

この記事では、エアーズシー証券の特徴やメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。自分に合っている商品を見つけるための参考にしていただければ幸いです。

エアーズシー証券の特徴

エアーズシー証券は、海外ヘッジファンドを取り扱っていることや、金融商品だけでなく不動産の取り扱いもあることなど、ユニークな特徴を持っている会社です。1,000万円単位などまとまった資金がある投資家にとって、魅力的な商品を取り扱っているといえるでしょう。

この章では、エアーズシー証券の特徴について詳しく解説していきます。

海外ヘッジファンドを取り扱っている

エアーズシー証券では、海外のヘッジファンドに投資することができます。一般的な証券会社では取り扱わない商品なので、エアーズシー証券ならではの重要な特徴です。

ヘッジファンドとは、投資会社に資金を預けて運用してもらい、運用による利益を投資家が受け取る商品です。投資会社に在籍する投資のプロが専門知識を駆使して運用するため、非常に高い収益性を狙うことができます。

 

ヘッジファンドを取り扱う投資会社は国内外にあり、会社によってパフォーマンスの良し悪しは異なります。ただし、国内のヘッジファンドに比べ、海外のヘッジファンドに投資するには非常に高いハードルがあります。プライベートバンクを経由したり、1億円といった非常に大きな資金を用意したりしなければならないからです。

ところが、エアーズシー証券では一般の個人投資家でも手軽に海外ヘッジファンドを申し込めるようになっています。ヘッジファンドの問屋のようなサービスを提供しているのです。

約1億円以上でなければ申し込めない機関投資家向けのファンドでも、エアーズシー証券を通せば1,000万円から申し込める場合もあります。

金融庁に届け出を出している

海外のヘッジファンドを国内で正規に販売するには、金融庁への届け出が必要です。エアーズシー証券では、ファンドの内容を精査し、金融庁に届け出を出して承認を得た上で、海外ヘッジファンドを取り扱っています。

通常、大手の証券会社では自社の商品があり、その届け出や販売をメインに行っています。それだけでも多大な手間と労力がかかるので、わざわざ海外ヘッジファンドを取り扱おうという考えにはなりません。

 

しかし、エアーズシー証券は中小の規模感から、大手とは異なる戦略を取っています。大手の証券会社がやりたがらない海外ヘッジファンドの取り扱いという業務に取り組んでいるのは、エアーズシー証券ならではの特徴です。

金融庁に届け出を出しているので、正規のルートで海外ヘッジファンドに申し込むことができます。

不動産も取り扱っている

エアーズシー証券はヘッジファンドだけでなく、不動産も取り扱っています。金融商品仲介業者からの紹介を受け、投資家に不動産の購入や売却、土地の有効活用などの対応を行っています。

エアーズシー証券が行う不動産ビジネスの流れは、契約まで以下のように進みます。

  • 金融商品仲介業者(IFA・FP)が顧客から相談を受ける
  • IFAやFPにエアーズシー証券が物件情報を提供
  • IFAやFPが顧客に希望物件の情報を提供
  • IFAやFPが顧客をエアーズシー証券に紹介

したがって、個人投資家からエアーズシー証券に直接相談するというよりは、IFAやFPとして実務を行う方向けのビジネスとなります。

エアーズシー証券の不動産ビジネスは、主に機関投資家や法人が対象となるため、個人投資家向けのサービスはヘッジファンドとなります。

金融機関として8年の実績がある

エアーズシー証券は2002年に設立された金融機関です。18年という実績は、大手証券会社に比べると短く感じられるかもしれません。

しかし、この18年間には、2008年のリーマンショックや2006年のライブドアショックなど、金融市場を揺るがす危機もありました。金融業界の荒波を渡ってきたことは、エアーズシー証券の資金管理能力やリスク管理能力を物語っているといえるでしょう。

また、ヘッジファンドの取り扱い実績は8年以上に上ります。豊富な経験をもとに厳選された商品に投資できることも、エアーズシー証券の重要な特徴といえます。

エアーズシー証券が取り扱うファンドの例

エアーズシー証券では、海外ヘッジファンドを取り扱っています。現在とこれまでに取り扱っており、情報が公開されている5つのファンドについて詳しく紹介していきましょう。

ビクトリー・アーケイディア・ファンド

ビクトリー・アーケイディア・ファンドはエアーズシー証券が取り扱う代表的なヘッジファンドです。アメリカにある投資会社ビクトリー・アセット・マネジメント・リミテッドが運用する商品です。

運用手法は主に欧州投資信託への投資です。

ファンドの資産の最大75パーセントを欧州投資信託に投資し、残り25パーセントを当該投資信託に関する先物などに投資するロング・ショート戦略です。ロングポジション(買い建て)と同額のショートポジション(売り建て)を持ちます、市場の上下に影響されないマーケットニュートラルの状態でポジションを保有し、市場に生じたゆがみを収益源とします。

 

ビクトリー・アーケイディア・ファンドの米ドルでの年間利回りは、3%から20%程度の幅に収まっています。平均的には7%から8%程度という実績を出してきました。2008年から2019年までにマイナスを出したことがなく、常にプラスの成果を出してきた好成績なファンドです。

投資専門家のプロ集団が運用するファンドといえど、約10年も常にプラスのパフォーマンスを出し続けるのは非常に難しいです。ビクトリー・アーケイディア・ファンドを運用するファンドマネジャーらの高い実力が伺えます。

ワールドクオント・ミレニアムファンド

ワールドクオント・ミレニアムファンドは、投資資金のほぼすべてを「WMQS グローバル・エクイティー・アクティブ・エクステンション・ファンド」という原ファンドで運用する商品です。エアーズシー証券ではアンタークティカ・アセット・マネジメントのプラットフォームを利用しており、ワールドクオント・ミレニアムファンドに投資すると、原ファンドに投資したこととほぼ同様になります。

ちなみに、アンタークティカ・アセット・マネジメントはスウェーデン発祥の家具量販店IKEAの資産運用会社でもあります。

 

ワールドクオント・ミレニアムファンドの運用手法は、世界株価指数(MSCIワールド)という指数に採用されている株式を対象とした、ロング・ショート戦略です。MSCIワールドは世界の23の先進国市場に上場する1,586銘柄を平均化した指標で、投資国とそのウェイトは、アメリカ66.45%、日本7.52%、イギリス4.33%、フランス3.37%、カナダ3.26%などとなっています。すなわち、アメリカを中心に世界の先進国の株式を代表する指標です。

ワールドクオント・ミレニアムファンドではこれらの銘柄の中から600~1,000銘柄程度を選んで投資をしています。銘柄選びにはファンダメンタルズ分析やテクニカルデータに加え、ソーシャルメディアやニュースなど900を超えるデータセットを利用します。統計学やAIを用い、最新のテクノロジーを用いた分析を行っています。

 

その利回りは非常に高く、概ね10%から40%程度という実績を出してきました。なお、2009年から2017年までの実績において、2011年はマイナス3%程度と損失が生じていますが、他の年はすべてプラスの成果を出しています。

大きなリスクを取っているらしく、年ごとの収益性のばらつきは大きいですが、大きな利益を狙いたい人に向いている商品と言えるでしょう。

アンタークティカ・コア・アルファ・ファンド

アンタークティカ・コア・アルファ・ファンドは、上述したアンタークティカ・アセット・マネジメントが組成するファンドです。3つのヘッジファンドを組み合わせて投資する商品で、統計的アービトラージ戦略のファンドを中心に、マルチ運用戦略の2つのファンドをトッピングしています。

統計的アービトラージ戦略のファンドは、世界トップクラスのヘッジファンド会社「ルネッサンス・テクノロジーズ」が運用する商品です。アービトラージ戦略は最低取引とも呼ばれます。簡単にいうと、同じ性質を持つ商品が複数あって価格に「差」があるとき、割高な商品を空売りし、割安な商品を購入する手法です。

割高な商品の価格が下落したり、割安な商品の価格が値上がりしたりして同じような価格に落ち着くと予想されるため、このような手法で収益を生み出します。

 

マルチ戦略は複数の戦略を組み合わせて運用する手法です。具体的にどのような戦略を組み合わせているのかは不明ですが、複数の戦略を使っているので、収益性は平均化されます。統計的アービトラージ戦略がうまくはまらずマイナスが生じているときに、損失を補うような役割で組み込まれていると考えられます。

アンタークティカ・コア・アルファ・ファンドは、年利10%前後の利回りを出してきた実績があります。2010年から2019年までにマイナスになった年はありません。

複数の戦略を組み合わせているためか、収益性にそれほど大きなばらつきがなく、これまで10%前後の成果を出しています。大きな収益は狙いたいものの、収益性が大きくばらつくのが嫌な方には、アンタークティカ・コア・アルファ・ファンドがおすすめです。

SoMa エクイティー・パートナーズ・ファンド

SoMa エクイティー・パートナーズ・ファンドも、アンタークティカ・アセット・マネジメントのプラットフォームを利用した商品です。資金のほとんどが「SoMa オフショア・リミテッド」という原ファンドに投資されています。

原ファンドはデジタル技術関連セクターをテーマに投資しており、テーマのトレンドとともに高い収益性が期待できます。

 

実際、2017年の利回りが約10%だったのに対し、2018年から2019年には約20%、2020年には約40%と、右肩上がりでパフォーマンスを発揮しています。世界的なコロナ禍でIT関連への投資が過熱していることも味方した結果だといえるでしょう。

ただし、今後も同様にデジタル技術関連セクターに投資家の資金が集中し続けるとは限りません。市場が過熱している分、今後は損失が生じるリスクも大きいことは押さえておきましょう。

パートナー・ヘルスケア・ファンド

パートナー・ヘルスケア・ファンドも、アセット・マネジメントのプラットフォームを活用したヘッジファンドです。資金のほとんどが「PFM ヘルスケア・オフショア・ファンド・リミテッド」への投資となります。原ファンドはヘルスケア関連セクターをテーマに投資しており、トレンドとともに収益が生まれると期待できます。

過去の利回りは、概ね5%から20%程度に収まっており、非常に高い利回りを出しています。

 

ただし、2008年、2011年、2016年、2018年とマイナスになった年もあります。テーマに投資するファンドのため、テーマへの注目度が低いときや、業界として注目される要因がない時期は、収益性が低くなる場合があると考察できるでしょう。

以上のように、エアーズシー証券では収益性の高い海外ヘッジファンドを取り扱っています。年利10%や20%など、高い利回りを狙う投資家は、詳しく問い合わせてみてはいかがでしょうか?

エアーズシー証券に投資するメリット

エアーズシー証券の概要を押さえたところで、ここからは投資するメリット・デメリットについて解説していきます。ご自身にとって、メリットとデメリットのどちらが大きいのかを考えていきましょう。

まずは、メリットを紹介していきます。

海外ヘッジファンドに投資できる

エアーズシー証券の最大のメリットは、海外ヘッジファンドに投資できることです。

日本国内に住んでいる人が海外ヘッジファンドに申し込む場合、まずプライベートバンクの口座を開設し、プライベートバンクの紹介でヘッジファンドに申し込むといった複雑な流れを要します。手間と労力がかかり、面倒くさいと感じる方が多いでしょう。

しかし、エアーズシー証券の口座を開設すれば、海外ヘッジファンドへの申し込みができます。国内の証券会社で口座開設する手間は、プライベートバンクの場合と比べて非常に少なく、海外ヘッジファンドに投資するハードルがかなり低くなります。

新規受け入れ停止のファンドへの申し込みも可能

エアーズシー証券では、新規受け入れ停止のファンドへの申し込みも可能になる場合があります。一般的には募集を締め切ったファンドでも、後から申し込みが可能な場合があり、投資家にとって有利な仕組みといえます。

すべてのファンドで受け入れ停止後の申し込みができるわけではなく、ケースバイケースではありますが、エアーズシー証券で投資を始めるメリットの一つといえるでしょう。

機関投資家向けのファンドに個人でも申し込める

海外ヘッジファンドの中には、約100億円単位でないと申し込めない機関投資家向けのファンドもあります。個人投資家の資産規模では、基本的には申し込めない商品です。

しかし、エアーズシー証券では、機関投資家向けの商品でも小口で申し込めるようにカスタマイズしてあるため、個人投資家でも申し込める商品があります。一般的な国内ヘッジファンドと同等である1,000万円程度から申し込むことができるのは大きなメリットといえます。

エアーズシー証券のデメリット

エアーズシー証券には海外ヘッジファンドに投資しやすいメリットがある一方、デメリットもあります。リスクや最低投資額、為替変動リスクといったデメリットについて解説するので、エアーズシー証券での投資がご自身に合っているのか、冷静に検討していきましょう。

リスクが高い商品もある

エアーズシー証券で取り扱っている海外ヘッジファンドは、高利回りが魅力的ですが、裏を返せばリスクが高いということでもあります。投資商品におけるリスクとリターンは基本的に比例するからです。

ヘッジファンドは特殊な運用手法を用い、リスクを下げつつリターンを追求することも可能です。しかし、商品ごとに異なるリスクを投資初心者が判別するのはかなり難しいでしょう。

知らないうちに、リスクの高い商品を契約してしまったということがないよう、リスクについては詳しく説明を聞きましょう。

最低投資額が1,000万円以上

エアーズシー証券で海外ヘッジファンドに投資する場合、基本的には1,000万円が最低投資額となります。小口でヘッジファンドに投資できるようにしたのがエアーズシー証券のメリットではありますが、1,000万円は必要です。誰にでも気軽に投資できる商品とは言えないでしょう。

エアーズシー証券で投資するか検討する前に、まずご自身の余剰資金を冷静に考えてみてください。1,000万円以上を運用できるなら、エアーズシー証券も選択肢に入ってきます。

為替変動リスクがある

エアーズシー証券で投資する海外ヘッジファンドは、米ドルなど海外の通貨で運用するので、為替変動リスクがあります。米ドル建てで利益が出ていても、為替変動により、日本円に換算すると損失が出ていたというケースがあり得るのです。

日本円で利益を受け取りたい方にとって、為替変動リスクは大きなデメリットになる可能性があります。国内ヘッジファンドなど、円建ての投資先を検討すると良いでしょう。

複数のファンドから選ぶのが難しい

エアーズシー証券では複数のファンドを取り扱っていますが、その中から自分に合った商品を選ぶのに、ある程度の専門知識が必要です。

さらに、ファンドの詳細情報はホームページでは公開されていません。エアーズシー証券に問い合わせないとわからないので、「申し込むかどうかは別として、少しだけ説明を聞いてみたい」という方にとってはハードルが高いでしょう。

 

また、説明を聞いてファンドそれぞれの特徴やメリット・デメリットを理解できるかもわかりません。ヘッジファンドは非常に専門的な商品なので、投資初心者には説明すら難しく感じられる可能性があります。

エアーズシー証券がおすすめの人

最後に、エアーズシー証券がおすすめの人について紹介します。

海外も含めた分散投資をしたい人

既に国内で円建ての投資を行っており、海外も含めた分散投資をしたい人には、エアーズシー証券はおすすめできます。

国内だけに資産を集中させていると、自然災害や周辺諸国との関係悪化によって円や国内の資産が暴落したとき、自分の資産も大きな影響を受けてしまいます。海外にも投資をして、リスクの分散を図りましょう。

海外ヘッジファンドへのアクセスは限られているので、エアーズシー証券を使うと良いでしょう。

利回りが高い金融商品に投資したい人

利回りが高い金融商品を探している人にも、エアーズシー証券はおすすめです。上述したように、海外ヘッジファンドは高い利回りを出してきた実績があるからです。

とはいえ、高利回りなのは海外ヘッジファンドだけではありません。国内ヘッジファンドなど他の投資方法でも高い利回りは狙えるので、エアーズシー証券に決め打ちするのではなく、他の選択肢も充分に検討しましょう。

投資のプロに資産運用を任せたい人

投資のプロに運用を任せたい人にも、エアーズシー証券がおすすめです。ヘッジファンドのメリットは高い収益性に加え、専門家に運用を任せられることもあります。自力で運用する必要がないので、投資家の手間がかからない商品なのです。

ただし、これは国内ヘッジファンドや一般的な投資信託にも言える特徴です。エアーズシー証券だけでなく、プロに運用を任せられる類似の商品もよく検討しましょう。

まとめ

エアーズシー証券は、海外ヘッジファンドに投資ができる証券会社です。利回りの高い商品を取り扱っており、リスクを取って大きな利益を狙いたい投資家に向いた会社といえます。

ただし、利回りが高くプロに運用を任せられる商品なら、エアーズシー証券のほかにもあります。国内ヘッジファンドなど他の商品も調べ、比較してよく検討してから投資を始めましょう。

こちらの記事でヘッジファンドのランキングを紹介しているので参考にしてみてください。