市場規模は1兆円越え!成長続けるセルフレジ(無人レジ)銘柄15選

人手不足を背景に、小売業界ではセルフレジ(無人レジ)を本格的に導入する動きが加速しており、市場でも注目が集まっています。

つい最近でも、パナソニック(6752)とセルフレジ(無人レジ)開発において業務提携することを発表したヴィンクス(3784)の株価が急騰するなど、市場におけるセルフレジ(無人レジ)への期待の高さを改めて示すものとなりました。

【2018年2月には500円台だったヴィンクス(3784)株価は2,000円を超えるま

でに急騰】

ますます無人レジの普及が加速していくことが予想される一方、無人レジや電子タグ(RFID)関連銘柄には出遅れ銘柄も散見され、今が投資のチャンスとも言えます。

まずは無人レジ・電子タグ(RFID)とはどのようなものかを知り、今後注目の無人レジ・電子タグ(RFID)関連銘柄を押さえておきましょう。

1、2018年注目 セルフレジ(無人レジ)・電子タグ(RFID)とは?

バーコードを自分でスキャンして精算するタイプの「セルフレジ」は、スーパーなどでもすでに多く導入されています。

しかしバーコードは1枚ごとにスキャンする必要があるため、精算にかかる時間の短縮や混雑の解消といった面で課題が残っていました。

「無人レジ」では、従来のバーコードの代わりとして「電子タグ(RFID)」が導入されることになります。

電子タグ(RFID)は、電波を使って非接触でデータを書き込んだり、そのデータを読み取ることができ、複数のタグのデータを一気にスキャンすることも可能です。

従来のバーコードを電子タグ(RFID)に置き換えることによって、商品をカゴに入れたまま全ての商品の情報を一気にスキャンできるようになるため、レジ打ちの人員削減と精算時間短縮の両方を実現できると期待されています。

2、セルフレジの市場規模は1兆円超え?

2017年4月には、経済産業省は「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」を策定し、2025年までに大手コンビニ5社(*)と全ての商品に電子タグを利用することについて合意したと発表しています。

(*)セブンイレブン・ファミリーマート・ローソン・ミニストップ・ニューデイズの5社

現在電子タグ(RFID)の価格は1枚5〜10円程度であり、1,000億枚となればその規模は5,000億円〜1兆円と、これだけでも市場規模1兆円超えが見えてきます。

実際には電子タグ(RFID)の価格を1枚1円程度まで下げることを目標に開発が進んでおり、もう少し金額は小さくなるかもしれません。

しかしこれはコンビニ業界だけの数字です。

ファーストリテイリング(9983)が展開するGUやユニクロや、ウエルシアホールディング(3141)やツルハホールディングス(3391)などの大手ドラッグストアもセルフレジの導入を進めています。

また電子タグ(RFID)だけでなく、1台100〜200万円するセルフレジ本体の需要も当然あります。

今後セルフレジが小売業界におけるスタンダードとなっていくとすれば、市場規模1兆円というのは通過点に過ぎないかもしれません。

3、セルフレジ(無人レジ)と電子タグ(RFID)導入のメリット・デメリット

セルフレジ(無人レジ)・電子タグ(RFID)の導入によってどのようなメリットやデメリットが考えられるのでしょうか。

(1)メリット

①人手不足の解消・人件費の削減

人手不足が深刻だといわれる中、コンビニなども例外ではなく、アルバイトを募集してもなかなか人が集まらないという状況が続いているようです。

人手を確保するために時給をあげることによって人件費が増加しており、経営者にとっては大きな課題となっています。

セルフレジを導入することによって、レジ打ちに必要となる人員を減らすことができ、人手不足の解消と人件費の削減に大きく貢献することが期待されます。

②流通・商品管理の効率化

現在でもPOSシステムなどで商品の売上情報などは管理するシステムは使われていますが、電子タグ(RFID)の導入によって、さらなる効率化が進むことが期待されます。

例えば、売上状況に基づく在庫管理によって売上予測や自動発注システムなどが進歩すれば、発注にかかる手間や廃棄ロスの削減や、検品や棚卸業務の高速化など、業務や経営の大幅な効率化を図ることが期待できます。

③消費者のメリット

セルフレジでは一度に精算ができ、レジの混雑や待ち時間短縮など消費者にとってもメリットがあります。

また電子タグ(RFID)に産地や原材料、賞味期限、レシピや使い方といった情報を記録しておき、スマホなどで確認できるような仕組みができれば、付加価値を得る手段ともなります。

これを新たな広告手法して活用するなど、様々な形で利用できる可能性を秘めていると言えます。

(2)デメリット

①コストの増加

セルフレジでは電子タグ(RFID)を各商品の包装に埋め込むという方法で導入が検討されています。

これまでのバーコードに比べると電子タグ(RFID)には多くのコストがかかることから、コストをどう抑えるかということが課題となっています。

電子タグ(RFID)の価格は、10年前は1枚100円以上、1年前でも10〜20円だったものが、直近では凸版印刷が1枚5円の電子タグ(SMARTICS-U)を発売するなど急速にコストダウンが進んでいます。

大日本印刷では2020年までに5円以下、25年に1円を目指すことを表明していましたが、これを受けコストダウンの加速が期待されるところです。

また1台100〜200万円するセルフレジ本体や、包装メーカーにおける設備の変更など、導入段階における設備投資の負担も考えなければなりません。

②セキュリティ対策

レジが無人となれば、万引きなどを防止するための対策も必要となります。

商品の代金を払わず持ち出すといった従来の万引きに加え、電子タグ(RFID)に細工して代金を払わずにレジを通すといった、これまでにない万引きの方法などが出てくる可能性もあります。

セルフレジ・電子タグ(RFID)の導入を進める前提とも言える、セキュリティ対策に関連銘柄の需要が高まることも想定されます。

③雇用の喪失

セルフレジ・電子タグ(RFID)の導入は、小売・流通業界などにとって大きな変化をもたらすものです。

急速にセルフレジが普及すれば、足りていなかった人手を補うだけにとどまらず、それまでレジ打ちなどに従事していた人の仕事までをも一気に奪ってしまう可能性もあります。

そうなると、人手不足という問題から、仕事を奪われてしまった人たちの雇用をどうするのかという新たな問題が生じてくることになります。

そういった点からは、雇用と人材を適切に再配分する人材関連銘柄などへ影響が波及していくことが考えられます。

4、セルフレジ(無人レジ)関連銘柄15選

では、実際にセルフレジ(無人レジ)や電子タグ(RFID)の普及で恩恵を受けるのはどういった銘柄なのか、注目のセルフレジ(無人レジ)関連銘柄をご紹介します。

(1)ヴィンクス

銘柄 (3784)ヴィンクス
銘柄情報 小売・流通向けPOS関連ソフトなどを開発する会社。パナソニックと協業で、セルフレジ用ロボットにPOSシステムの融合を図っている。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=3784.T
 

(2)アルファックス・フード・システム(3814)

銘柄 (3814)アルファックス・フード・システム
銘柄情報 外食向けASPサービス展開する会社。POSや注文装置などのシステム機器も手掛けている。超コンパクト・低価格のセルフレジ「セルフショット」によって飲食業界の無人レジ化による恩恵が期待される。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=3814.T
 

(3)アドソル日進(3837)

銘柄 (3837)アドソル日進
銘柄情報 大企業向け大規模システム開発に強み持つ会社。IDカードを取り出してかざす必要のないハンズフリー認証システムを開発しており、カゴに入れたまま一括で精算するシステムへの活用が期待される。またIoT機器のセキュリティにも強みがある。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=3837.T

(4)サインポスト(3996)

銘柄 (3996)サインポスト
銘柄情報 金融機関・公共向けシステム開発コンサルをメインとする会社。AI事業も手がけており、SCSK(9719)と協業で小売向けレジ無人化事業に取り組む。棚からとった時点で商品を特定する「完全スルー型」レジなどの共同開発を進めている。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=3996.T

(5)朝日ラバー(5162)

銘柄 (5162)朝日ラバー
銘柄情報 医療・衛生用や自動車内装照明向けLED用ゴムなどを手がける会社。表面改質技術を利用しRFID(無線自動識別)を応用した電子タグを開発しており、セルフレジへの応用も期待される。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=5162.T

(6)サトーHD(6287)

銘柄 (6287)サトーHD
銘柄情報 バーコード、プリンタなどの自動認識システムで世界トップクラスの会社。ICカードなどの製造、ラベル自動貼付機器など、セルフレジに関連する事業なども幅広く手がけており、セルフレジ・電子タグ銘柄としてのポテンシャルを持っている。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=6287.T

(7)東芝テック(6588)

銘柄 (6588)東芝テック
銘柄情報 POSなど流通端末で国内シェアの5割を占める最大手、世界トップの会社。レジ本体、POSシステム、RFID(無線自動識別)システム、電子レシートなどセルフレジに関連する事業を幅広く手がける。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=6588.T

(8)オプトエレクトロニクス(6664)

銘柄 (6664)オプトエレクトロニクス
銘柄情報 バーコードリーダーのレーザーエンジンで世界2位、国内シェア9割を占める会社。電子タグを読み取るスキャナ機器を製造しており、セルフレジ導入による恩恵が期待できる。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=6664.T

(9)パナソニック(6752)

銘柄 (6752)パナソニック
銘柄情報 大手総合家電メーカー。ローソン(2651)と共同で完全自動セルフレジ機「レジロボ」の実証実験を行うなど、セルフレジや電子タグ推進の中核的な役割を果たしている。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=6752.T

(10)富士通フロンティック(6945)

銘柄 (6945)富士通フロンティック
銘柄情報 ATMや現金処理など金融・流通端末をメインに手がける会社。金融機関向けのCMU-PC(自動機店内監視システム)も製造しており、セルフレジ導入によるセキュリティ対策としての流用も期待される。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=6945.T

  (11)カーディナル(7855)

銘柄 (7855)カーディナル
銘柄情報 会員証などのカード専業メーカー。ICカード・RFIDタグ関連を強化しておりセルフレジ関連の本命銘柄。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=7855.T

  (12)凸版印刷(7911)

銘柄 (7911)凸版印刷
銘柄情報 大日本印刷と並ぶ大手印刷会社。印刷技術を基盤に液晶や半導体部材関連、包装資材などにも展開。1枚5円の電子タグ(SMARTICS-U)を発売するなど、セルフレジ普及に不可欠な電子タグの低コスト化に大きく貢献している。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=7911.T

  (13)大日本印刷(7912)

銘柄 (7912)大日本印刷
銘柄情報 凸版印刷と並ぶ大手印刷会社。印刷技術を応用したエレキ事業で世界に誇る液晶フィルター技術を持つ。電子タグの低コスト化に向け、技術開発を続けている。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=7912.T

  (14)野崎印刷紙業(7919)

銘柄 (7919)野崎印刷紙業
銘柄情報 包装資材や紙器・紙工品の大手。情報機器も手掛けておりタグやラベルも高いシェアを持つ。セルフレジ導入に必要な電子タグを内蔵した包装への需要が期待される。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=7919.T

  (15)アルテック(9972)

銘柄 (9972)アルテック
銘柄情報 包装、印刷関連などの特殊産業機械専門商社。コンビニの無人レジ化では電子タグを商品の包装に埋め込むことが検討されており、包装用機械の大規模な刷新が見込まれる。
詳細情報 https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=9972.T

5、オススメ書籍 大予測「投資テーマ」別成長業界&企業2018-2019

ここまで、セルフレジ・電子タグ(RFID)に関連した銘柄についてみてきましたが、注目しておきたいテーマは他にも多くあります。

2018年次に来る銘柄をいち早く押さえておくために、おすすめの書籍をご紹介します。

大予測「投資テーマ」別成長業界&企業2018-2019・大和証券投資情報部(編)

この中では、日米欧の金融政策、東京大改造、外国人活用、宇宙開発、サイバー防衛、VR、シェアビジネスなど、今後さらなるマーケット拡大や投資家からの注目が期待されるテーマについて解説されています。

それらのテーマに関連した個別銘柄について、雑誌や投資本ではあまり取り上げらない、中小型株や海外の注目銘柄を含めた約250銘柄についても詳しく解説されており、投資銘柄選択の参考として役立つ一冊です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

成長する市場・企業の未来に投資するテーマ株投資は、市場や企業の成長を喜びながら、利益を得るという株式投資の醍醐味とも言えるものです。

またテーマ株は投資家の期待が大きく注目も集まるため、関連銘柄への投資は大きな利益が期待できます。

一方でテーマに「便乗して」買われた銘柄は、関心が薄れたときの下げもキツくなります。

そのため注目のテーマが実際にどのようなもので、どのくらいのポテンシャルを持っているのか、そして関連銘柄はそのテーマからどのような恩恵を受け、それが株価にどの程度影響するのかをしっかり見極めた上で投資するかを決めなければなりません。

今回取り上げたセルフレジは大きなポテンシャルを持ったテーマのひとつだと言えます。

この記事を参考に、セルフレジあるいはそのほかのテーマ株について理解を深め、今後の投資に役立てていただければ幸いです。