株取引を始めたいと思っているものの、株取引が行われる日中には仕事があるため諦めているという方も多いのではないでしょうか。
諦める必要はありません。今はさまざまな取引方法を選ぶことができるようになってきました。
その中の一つ、日中だけでなく夜間にも取引ができる日経225ミニであれば、日中お忙しい方でもリアルタイムに取引ができます。
また日経225ミニは10万円程度の少ない資金で取引できるのも魅力です。
その反面リスクの高い商品でもあり、しっかりと内容を理解しておく必要があります。
この記事では、日経225ミニのしくみからそのメリットやデメリットを詳しくご紹介します。そして取引口座の開設方法まで、日経225ミニの取引を始めるために必要な6つのポイントを解説していきます。
日経225ミニを始める方は絶対に押さえておきたいポイントですので、最後までご覧ください。
1、 日経225ミニとは?
(1)日経225ミニは先物取引のひとつ
日経225ミニは、「日経平均株価指数」を売買の対象とする先物取引のひとつです。
先物取引とは、「ある商品」を「将来のある時期」に「今決めた価格」で売買することを約束(予約)する取引のことを言います。
例えば、「日経平均株価指数(商品)」を、「2018年6月8日(将来の時期)」に「20,000円(今決めた価格)」で購入することを約束するといった取引が先物取引です。
2018年6月8日に日経平均株価指数が22,000円となっていれば、22,000円のものを約束の20,000円で買えるので、差額の2,000円が利益となる仕組みです。
逆に2018年6月8日に日経平均株価指数が18,000円となっていると、18,000円のものを20,000円出して買い取らなければならないので、差額の2,000円の損失となります。
(2)日経225ミニを取引するために必要な資金
日経平均株価指数を対象として実際に取引される「日経225」には、「ミニ」と「ラージ」の2種類があり、それぞれの最低取引単位は、日経平均株価指数の100倍(ミニ)と1,000倍(ラージ)となっています。
この取引単位を「枚」といい、日経平均株価指数が20,000円のとき、日経225ミニ・1枚の取引価格は、20,000円×100=2,000,000円です。
利益や損失の金額についても、実際の値動きの100倍(日経225ミニの場合)です。そのため上記の例では、それぞれ20万円の利益・損失が生じることになります。
日経平均株価指数が20,000円であれば、日経225ミニの最低取引価格は200万円ですが、実際に取引をするのに200万円も必要ありません。
ではどうするのかというと、
証拠金という担保を証券会社に預け、値動きによって生じる差額部分だけを清算する(差金決済)という取引を行います。
このような取引を証拠金取引と言います。
証拠金取引では、少ない資金で大きな金額の取引を行うことができ、これがレバレッジ(てこ)効果というものです。
この証拠金額については、(株)日本証券クリアリング機構が計算し公表しているSPAN証拠金を元に決まり、日経225ミニの証拠金は63,000円(ラージ・630,000円の1/10、2018年1月18日時点・最新の値はこちら)となっています。
(3)SQ日・限月
SQ(エス・キュー)日とは、先物取引の要素のひとつである「(売買を行う)将来のある時期」のことです。
日経225をはじめとする先物にはSQ日があらかじめ設定され、その日を迎えると強制的に決済されます。
このSQ日はあくまで最終取引日であり、その前日までであればいつでも任意に売買することができます。
またSQ日の属する月を「限月(げんげつ)」といい、限月の第2金曜日がSQ日と決まっています。
例えば、2018年6月が限月の日経225ミニは、「日経225ミニ・2018年6月限(ろくがつぎり)」と呼び、2018年6月の第2金曜日である8日がSQ日となります。
実際に市場で取引される日経225ミニは、6月、12月のうち直近10か月(青)と3月、9月のうち直近3か月(赤)、さらにそれ以外の月で最も近い3か月(緑)の16限月分です。
SQ日が最も近い限月(下図では2018年2月限)は期近(きぢか)と呼ばれ、一般的に指標やチャートには、この期近に関する情報が表示されます。
いくつも限月が選べるとなると、どの限月に投資すればいいのか迷うところだと思います。
日経225ミニでは最長5年先の限月分まで取引することはできますが、SQ日が先になるほど取引量(出来高)が少なくなり、売買は成立しにくい(流動性が低い)という欠点があります。
そのため取引を始めたばかりの方は、出来高が多く売買のしやすい限月を選ぶとよいでしょう。
一般的にSQ日が近いほど出来高は多くなる傾向にありますが、特に3の倍数月(3月・6月・9月)のうち最もSQ日の近い限月が最も出来高の多い傾向にあります。
(4)取引時間
日経225ミニの取引時間は、日中立会(8:45〜15:15)と夜間立会(16:30〜翌5:30)の2部制となっています。
2、 日経225ミニのと株の違いを比較してみよう
日経225ミニは、「日経平均株価指数」を投資対象としていますが、その指数のもとになっている株(現物株)に投資するのとどのような違いがあるか、比較して確認してみましょう。
現物株 | 日経225ミニ | |||
取引対象 | 個別企業
(トヨタ自動車などの上場企業) |
日経平均株価指数 | ||
取引時間 | 【前場】 | 9:00-11:30 | 【日中】 | 8:45-15:15 |
【後場】 | 12:30-15:00 | 【夜間】 | 16:30-翌5:30 | |
取引期間 | 制限なし | SQ日前日まで | ||
取引単位 | 1単元(100株または1000株) | 1枚(日経平均株価指数の100倍) | ||
必要資金 | 株価×株数 | SPAN証拠金×枚数
(63,000円/枚・2018年1月時点) |
||
取引口座 | 証券総合口座 | 先物・オプション口座 | ||
新規建 | 買い | 買い | 売り | |
決済 | 売り | 売り | 買い | |
最大リスク | 投資先企業が倒産すると、株価がゼロとなることあるため、投資資金全額を失うリスクがある。 | 投資資金よりも大きな金額を取引する(証拠金取引)ため、投資資金を上回る損失が生じるリスクがある。 |
このように、一部似ている部分などもあるものの、投資商品としては別物だと言えます。
3、 日経225ミニのメリットは?
日経225ミニには以下のようなメリットがあります。
(1)なじみのある日経平均株価指数が投資対象
「日経平均株価」は、ニュースなどで耳にしない日がないほど有名な、日本の景気や経済の状態を表す代表的な指標です。
バブル時代には、今まで株を全く知らなかった人が証券会社に「日経平均株価を売ってください」といってやってきたという逸話もあるほどです。
この日経平均株価は景気や経済の状況を反映して動くため、普段目にするニュースなどからその値動きをつかみやすいというメリットがあります。
また、個別銘柄への投資では、破綻リスクや企業ごとの株価変動のリスクに備えるため分散投資が有効とされますが、日経225ミニでは日本を代表する225銘柄への分散投資となります。
(2)取引時間が長い
日本の株式市場は、9:00〜11:30と12:30〜15:00の間で取引が行われるため、日中仕事をされている方は、取引時間を確保するのが難しいと言えます。
一方日経225ミニの取引時間には、夜間立会(16:30〜翌5:30)があるため、仕事が終わった後に取引することできるというメリットがあります。
(3)少額から取引ができる
日経225ミニは証拠金取引を行うため、少額から取引できるというメリットがあります。
またレバレッジ効果によって、少額の資金で大きな取引をすることができるため、資金効率がいいこともメリットです。
また個別銘柄への分散投資には多くの資金が必要となりますが、少額で日本を代表する225銘柄への分散投資ができるというメリットもあります。
(4)売りから取引できる
現物株であれば、「安く買って高く売る」ことで利益を出します。
日経225ミニでは、これに加えて「売り」から取引を始めることができます。
つまり「高く売って安く買い戻す」ことによっても利益を出すことができ、投資機会が拡がるというメリットがあります。
4、日経225ミニのデメリットは?
メリットも多い日経225ミニですが、デメリットやリスクもあります。
デメリットやリスクを知らず想定外の損失を被ることのないよう、しっかりと確認しておきましょう。
(1)証拠金取引は利益も大きいが損失も大きい
証拠金取引によるレバレッジ効果は、少額の資金で大きな利益を出せる一方、予想と反対の値動きをした場合の損失も大きくなるというリスクを伴います。
投資資金よりも大きな金額で取引を行うことになるため、急激な価格変動など場合によっては投資資金を上回る損失が生じることもあります。
(2)追証のリスク
日経225ミニを保有する場合には、1枚あたり63,000円(2018年1月現在)以上を証券会社に証拠金として預けておく必要があります。
もし日経225ミニ・1枚を価格20,000円で購入し、価格が19,800円に下がれば、200円(値下がり額)×100=20,000円の含み損が発生します。
このとき証拠金から含み損を差し引いた金額が63,000円を下回る場合には、63,000円以上となるように追加で証拠金を預けなくてはならなくなります。
この追加の証拠金を「追証(おいしょう)」と言います。
追証が発生するかは日中立会終了時の価格で判定されます。そして翌営業日の正午までに追証を行わなかった場合には、強制的に決済され損失が確定します。
もし63,000円ちょうどの証拠金で取引を始めた場合には、価格が1円でも下がれば即追証となってしまいます。そのためいくら少額で取引ができるといっても、ある程度資金に余裕を持って取引をする必要があります。
(3)SQ日には強制決済される
現物株であれば値下がりしても、そのまま保有し続けるという選択もできますが、日経225ミニはそれができません。SQ日に強制決済されてしまうからです。
そのため日経225ミニに限ったことではありませんが、売買のタイミングやリスク管理が特に重要となります。
5、日経225ミニに向いているのはどんな人?
日経225ミニはSQ日までの限られた期間で、証拠金取引によってレバレッジをかけて取引する商品です。
そのため少額の資金を効率よく運用したい人に向いている商品だと言えます。
またデイトレードをやりたいけれど、仕事などの関係で日中の取引が難しい人でも、日経225ミニであればデイトレードが可能です。
ただし「やりたい」と「向いている」はまた別なので、思い込みや感情的になって取引をしてしまう人には向いていません。
それでも日経225ミニに挑戦したいという人は、まずは自分の性格などをよく理解した上で、利益確定や損切りなど取引ルールを定めましょう。そのルールをしっかり守って取引をすることで、日経225ミニで利益を上げることは十分に可能です。
6、おすすめ証券会社!口座開設まで
実際に日経225ミニに投資するには、先物・オプション口座を開設する必要がありますが、先物・オプション取引はリスクの高い取引であるため、口座開設には一定の基準が設けられています。
口座開設に申し込む前に、まずは以下の条件を満たしていることを確認しましょう。
(1)先物・オプション口座開設基準
①年齢条件
20歳以上80歳未満を基準としている証券会社が一般的です。
②勤務先が証券会社など証券を扱う会社ではないこと
証券会社やFX業者、銀行や保険会社などで証券を取り扱う業務に従事されている方、金融商品仲介業務に従事されている方、または金融商品仲介業を営んでいる方は先物・オプション取引口座の開設できません。
③投資経験があること
先物・オプション取引では元本以上取引を行うリスクの高い取引であるため、株式または先物・オプション取引の投資経験が必要とされます。
④十分な金融資産があること
あまりに少額な資金での取引は、すぐに追証が発生してしまう可能性が高く、リスクが大きくなるため、取引に十分な金融資産があることが必要とされます。
⑤口座名義人本人が取引すること
口座名義人本人以外が取引することは法令違反です。
⑥先物・オプション取引について理解していること
証拠金以上の損失がでる場合があることや追証、強制決済などについて理解していなければなりません。
これらの条件を満たしていることを確認したら、口座開設の申し込みを行います。
ここからはSBI証券を例にみていきますが、証券口座が開設されている場合には、手続きはすべてネット上で完結する簡単なものとなります。
(2)証券総合口座を開設
証券総合口座が開設されていることが、先物・オプション口座開設の前提となります。
まだ証券会社に口座がないという場合には、証券総合口座を開設した後に先物・オプション口座開設の申し込みを行います。
①先物・オプション口座開設の申し込み
申し込みフォームの「ご職業・投資経験等」及び「取引ルールのご確認」事項へ回答(口座開設条件を満たすかを確認)し、重要事項に関する各種書面の確認を行います。
②証券会社による口座開設の審査
申し込みフォームへの回答をもとに、証券会社が口座開設要件を満たしているかを審査します。
③口座開設・取引開始
最短で申込完了と同時に口座が開設されます。取引資金を入金すれば、すぐに日経225ミニの取引が可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日経225ミニは取引時間が長いため日中仕事で取引ができない方でも取引しやすく、少額の資金で効率よく取引ができるというメリットがあります。
一方で、投資資金以上の金額で取引を行うためリスクの高い取引でもあり、しっかりとしたリスク管理が必要となるものでもあります。
この記事で日経225ミニについて理解を深め、あなたの投資先の一つとして日経225ミニを活用していただければ幸いです。