IPOとは?儲かる確率が高い理由と購入法7選

  • 2018年2月20日
  • 2021年10月15日

公募価格で購入し、上場日に寄り付きで売却する。

それだけで、儲かる確率が高い投資法が、IPO銘柄の売買です。

そんなにうまい話があるわけないと思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、あながち間違いでもありません。

もちろん100%確実に儲かるというわけではないですが、銘柄選びを慎重に行い、「運」もよければ、儲かる確率は高いと言えるかもしれません。

ではこれからIPO株とはどういったものなのか、どうやったら購入できるのか、儲かる確率を高くする方法を探っていくことにしましょう。

1、そもそもIPOとは何か?

IPOとはInitial(最初の)・Public(公開)・Offering(募集)の頭文字をとったもので、株式公開に先駆けて、最初に株を購入する投資家を募集することです。

株式公開とは、会社が証券取引所に株式を上場し、一般の投資家が取引できるようにすることを言います。

このとき売り出される株のことを、新規公開(上場)株あるいはIPO株と言います。

IPO株を購入するには、募集に応募して当選することが必要です。

お金を払えば必ず購入できるというものではありません。

2、IPO株で利益が出る確率は?

それでは、応募に当選してIPO株を購入できた場合に、利益を出す確率はどれくらいあるのか、気になるところだと思います。

2008年〜2017年に新規公開されたIPO株において、初値が公募価格を上回った割合(つまりIPO株を公募価格で購入し、初値で売却したときに利益がでる確率)は以下のようになっています。

  • 公募価格(公開価格):IPO株取得者の購入価格
  • 初値:株式が証券取引所に上場(公開)されて初めてつく株価
IPO上場企業数 初値が公募価格を上回った企業数 割合(勝率)
2017年 90社 82社 91%
2016年 83社 67社 81%
2015年 92社 82社 89%
2014年 77社 59社 77%
2013年 54社 52社 96%
2012年 46社 37社 80%
2011年 36社 19社 53%
2010年 22社 10社 45%
2009年 19社 13社 68%
2008年 49社 41社 41%

(参考:庶民のIPO IPO実績データ

2008年のリーマンショック後は株式市場が低迷した影響もあり、勝率が落ち込んだ時期もありましたが、2017年の勝率は9割超です。

この10年間の平均勝率でも7割(72%)を超えており、高い確率でIPO株は、利益を出していることがわかります。

3、なぜ高確率で利益が出るのか?

ではなぜ初値が公募価格を上回る確率が高いのでしょうか。それにはきちんと以下のような理由があります。

(1)企業の成長期待が高い

企業が株式を上場(公開)する最大の目的は、資金調達です。

事業を拡大していくには多額の資金が必要であり、その調達手段が株式公開(IPO)なのです。

ということは、その企業は事業を拡大し成長していく可能性が高いと言えます。

業績や企業規模が拡大すれば、株価の上昇や配当の増加などによって株主にとっても恩恵が期待できます。

そのため株を買いたいという投資家が多くなり、株価が上がりやすくなります。

(2)公募価格が割安な傾向にある

IPOの目的が資金調達です。

もし売り出した株(新規公開株)が売れ残ってしまうと、予定した資金が集まらずその後の事業計画などに影響が出てしまう可能性もあります。

そこで売り出した株をすべて買ってもらえるように、企業の価値に比べ公募価格が割安に設定される傾向があります。

本来の価値より割安に株が買えるチャンスということで、株を買いたいという投資家が多くなり、株価が上がりやすくなります。

(3)IPO株は上がるという期待

IPO株は上がるという期待も、IPO株の株価を引き上げる要因となります。

そのため勝ち馬に乗りたい投資家によって、IPO株の初値が企業本来の価値や成長期待を反映した株価以上に高騰した後、急落するということもよくあります。

4、利益が出るIPO株の見極め方

IPO株で利益を出しやすいのは確かですが、すべてのIPO株で利益が出るわけではありません。銘柄の選択も必要となります。

どのような銘柄を選べば利益が出やすいのか、以下のようなポイントに注意してIPO株を見極めましょう。

(1)業績が黒字

赤字の会社は、初値が公募価格を下回る可能性が高くなります。

その会社の事業内容や業績、財務状態などについは、それらが記載された「目論見書」で確認することができます。

新規事業や新商品開発などのために設備投資、研究開発費がかさみ一時的に赤字が出ている場合など、赤字が必ずしも悪いというわけではありませんが、より慎重な判断が必要だと言えます。

(2)売り出される株数が多すぎない

IPOによって割り当てられた株は、上場日に売買が可能になります。

売り出される株数が多いと、買い注文よりも売り注文が多くなってしまい、初値から公募価格を下回ってしまう可能性が高くなります。

売り出される株数が多くなれば購入できる確率は高くなるというメリットもありますので、その銘柄の評価や注目度など、他の要因も考慮した上で最終的な判断を行うようにしましょう。

売り出し株数についても、目論見書で確認することができます。

(3)公募価格が仮条件の上限で設定されている

IPO株に応募する投資家は、2,000円〜2,500円のような幅を持って設定された仮条件の範囲内で、購入希望価格を指定して申し込みを行います。

証券会社はこの購入希望価格の状況から投資家のニーズを把握し、公募価格を決定します。

人気の高い銘柄であれば多くの投資家が上限価格での購入を希望し、公募価格は仮条件の上限(上記の例では2,500円)で設定された上で、上限価格を提示した応募者の中から抽選して割り当てを行うという流れになります。

この公募価格が仮条件の上限を下回るということは、上限価格での申し込み数では売り出す株がさばききれず、それ以下の価格で購入を希望する投資家にまで割り当てが回ってきたということです。

つまりあまり人気がないということで、初値が公募価格を下回る可能性が高くなります。

逆に公募価格が仮条件の上限で設定された銘柄は人気が高く、利益が出やすいといえます。

5、IPO株の探し方

IPO株は応募のタイミングを逃すと購入することはできません。

どんなIPO株がいつ売り出されるのか、IPO株の情報やスケジュールを確認するのに役立つサイトをご紹介します。

(1)日本経済新聞

国内のIPO銘柄の上場日、ブックビルディング期間(申込期間)、仮条件などの一覧を確認することができます。


https://www.nikkei.com/markets/kigyo/ipo/money-schedule/

(2)庶民のIPO

IPOについての詳細から銘柄情報、結果予想、過去のIPO実績などがまとめられているサイトです。


https://ipokabu.net

6、IPO株を購入する方法

ここまでの解説で、IPO株が儲かる理由がお分かりいただけましたでしょうか。

でも、実際に購入しなければ儲かりません。

それでは、IPO株を購入する方法を確認していきましょう。

(1)証券会社に口座を開設

株を購入するには証券会社に口座が必要ですが、それはIPO株も同じです。

IPO株に応募するには購入資金が必要となりますので、口座への入金もしておきましょう。

(2)ブックビルディングに申し込む

IPOを行うことが決定すると、売り出しを引き受けた証券会社から売り出し条件や目論見書などが公開されます。

このとき発行される株価の範囲として仮条件が提示され、IPO株を購入する投資家は、いくらで購入したいか希望価格を指定して申し込みを行います。

申し込みを受けた証券会社は、この購入希望価格の状況からその銘柄の需要を精査し、最終的な売出価格である公募価格を決定します。この作業をブックビルディングと言います。

(3)公募価格の決定、抽選、購入意思表示

ブックビルディングの結果決まった公募価格以上で購入を希望した投資家に、IPO株を購入する権利が与えられます。

公募価格以上での購入希望株数が、その証券会社が売り出す株数を超えた場合には抽選が行われ、当選した投資家だけがIPO株を購入する権利を得ることができます。

IPO株を購入する権利を得た投資家は、証券会社に購入意思を表示し、払込を行えば、はれてIPO株を購入することができます。

7、IPO株の当選確率を引き上げる方法

(1)ブックビルディングでは購入希望価格は仮条件の上限で申し込む

現在IPO株は非常に人気が高く、仮条件の上限で申し込まなければ当選するのが厳しい状況にあります。

(2)複数の証券会社に口座を持つ

IPO株は、IPOを行う会社から株の売り出しを引き受けた証券会社(幹事会社)でしか購入できないため、その証券会社に口座を持っていなければIPOに申し込むこともできません。

幹事会社は銘柄ごとに決定されるため、複数の証券会社に口座を持っていればIPOに申し込めるチャンスが増えて当選確率も上がります。

(3)割り当て数の多い証券会社から申し込む

幹事会社の中でも、引き受ける株数は証券会社ごとに違います。

メインの幹事会社(主幹事)が全体の80%程度を引き受け、その他の幹事会社で残りを分け合うというのが一般的です。

そのため主幹事である証券会社からの申し込みが有利だと言えます。

2017年IPO幹事引受会社数(主幹事実績のある証券会社)
証券会社 主幹事数 幹事数 合計
野村證券 27社 11社 38社
大和証券 15社 26社 41社
みずほ証券 14社 46社 60社
SMBC日興証券 11社 60社 71社
SBI証券 8社 75社 83社
東海東京証券 3社 8社 11社
マネックス証券 1社 47社 48社
東洋証券 1社 15社 16社

(参考:庶民のIPO IPO実績データ

ただし、野村證券などは主幹事数の多い反面、対面型営業による預かり資産1億円以上の優良顧客や大口投資家への割り当てが多くを占めます。そのため、一般の投資家への割り当ては相対的に少なくなります。

(4)自分にあった抽選方式の証券会社で応募する

証券会社によって、抽選方法も違っています。

資金力や取引状況によって自分に適した証券会社から応募すれば、当選確率を引き上げることができます。

①公平抽選方式

預かり資産(口座残高)や取引実績などに関わらず、同じ確率で抽選が行われる抽選方式です。

投資資金の少ない投資家の方にはおすすめの方式です。

採用証券会社:マネックス証券、松井証券、ライブスター証券、カブドットコム証券など

(野村證券や大和証券、SMBC日興証券など対面型証券会社は、ほとんどが営業マンによる割当ですが、1割程度は公平抽選で割当が決められます。)

②ステージ方式

過去の取引実績などに応じて、当選確率が上がる抽選方式です。

採用証券会社:岡三オンライン証券、楽天証券など

③口数比例方式

応募する口数が多いほど当選確率が上がる抽選方式です。

応募できる口数は、抽選時に準備する前受金(購入資金に当てる準備金)に応じて決まるため、資金力のある投資家に有利な方式です。

採用証券会社:SBI証券、楽天証券

まとめ

いかがでしたでしょうか。

IPO株は購入することができれば、高い確率で利益をもたらしてくれる魅力的な存在です。

IPO株を購入するのは「運」の要素もあり、簡単ではありませんが、その仕組みを知り、当選確率を引き上げるための努力をすることでそのチャンスは広がります。

この記事によってあなたのIPO株への理解が深まり、利益につながれば幸いです。