アメリカの株価指数であるダウ平均やS&P500は、リーマン・ショック時の下落などがありながらも、着実に最高値を更新し続けています。
一方日経平均株価は、アベノミクスや世界経済の回復などによって、持ち直しつつあるとはいえ、バブル崩壊から30年経った今でも、そのときの最高値を超えることができずにいます。
これだけ株価が長期間にわたって低迷しているのは、世界を見ても日本ぐらいのものです。
(出所:マネックス証券)
長期的に資産を増やしたいと思うのであれば、いつまでも行ったり来たりを繰り返す相場と右肩上がりの相場、どちらに投資するかは明らかだと言えます。
この記事では、外国株式投資の魅力とその注意点、実際に投資する方法などについて解説してきます。
1、2000万円を外国株投資!メリットと注意点
外国株投資には、日本株投資にはない多くのメリットがあります。
一方で投資コストなどのデメリットや注意すべき点もあるため、実際に投資する前に、よく理解しておくことが大切です。
(1)メリット
① 世界的な巨大グローバル企業に投資できる
外国株には、アップルやアマゾン、コカ・コーラといった、私たちにも馴染みの深い企業も多くあります。
これらの企業は、私たち日本人と同じように、世界中の人々にとって”馴染み深い”ものであり、世界中に展開する巨大なグローバル企業です。
企業時価総額ランキング(2019年3月26日時点) | |||
企業名 | 本社所在地 | 時価総額(億ドル) | |
マイクロソフト | 米国 | 9027 | |
アップル | 米国 | 8899 | |
アマゾン・ドット・コム | 米国 | 8715 | |
アリババ | 米国 | 4634 | |
アルファベット | 米国 | 4167 | |
フェイスブック | 中国 | 3966 | |
ジョンソン&ジョンソン | 米国 | 3637 | |
アルファベット | 中国 | 3584 | |
エクソンモービル | 米国 | 3384 | |
JPモービル・チェース | 米国 | 3239 | |
トヨタ自動車 | 日本 | 1734 |
(出所:ヤフーファイナンス)
この”馴染み深さ”は、それだけ強力なブランドとなっており、大きな利益を生み出す源泉、株価の上昇や配当として、株主に還元されることになります。
② これからの成長分野を牽引する企業に投資できる
今や世界のスタンダードとなっている、アップルやアマゾン、グーグル、さらにはインテル、マイクロソフトなど、成長分野を牽引する企業の多くが米国を中心とした外国企業です。
現在でもその流れは変わっておらず、電気自動車のテスラ・モーターズや配車サービスのウーバー・テクノロジーズを始め、これからの成長分野を牽引する企業が次々と誕生しています。
これらの成長企業に投資できるというのは、外国株投資の大きな魅力です。
(2)気をつけたい注意点
① 取引コストの高さ
外国株の売買手数料は日本株に比べ割高で、これは投資を行う上で大きなマイナスとなります。
株式売買手数料(約定代金100万円・税込) | ||
証券会社 | 日本株 | 米国株 |
マネックス証券 (インターネット取引) |
一日定額手数料コース
最大2,500円 (約定300万円ごと) |
(約定代金の0.486%) |
SBI証券 (スタンダードプラン) |
525円 | (約定代金の0.486%) |
(参考:マネックス証券・SBI証券 2019年3月26日時点)
さらに外国株は、その国の通貨建てで購入することになるため日本円を外貨に交換する為替手数料がかかってきます。
購入金額が大きくなれば、その分為替コストも大きくなり、為替変動リスクも伴うことになります。
② 情報が手に入りにくい
外国株の情報は、その企業のホームページや証券会社、ヤフーファイナンスやロイターといった投資情報サイトで確認することはできます。
ただ英語や現地語でしか公開されていないものもあり、日本株に比べ情報を手に入れにくいと言えます。
2、はじめての外国株!取扱い銘柄別おすすめ証券会社
外国株には、日本の証券会社を通して投資することができますが、証券会社によって取り扱う国や銘柄数には違いがあります。
そのため、どの国に投資したいのかが、証券会社を選ぶポイントとなります。
外国株に強みを持つ主な証券会社 | ||||
証券会社 | 米国株 | 中国株 | アセアン株 | その他 |
マネックス証券 | ◎ 3300銘柄以上 |
◯ 2300銘柄以上 |
× | – |
SBI証券 | ◯ 1800銘柄以上 |
◯ 1400銘柄以上 |
◎ 500銘柄以上 |
韓国株 ロシア株 |
楽天証券 | ◯ 約1700銘柄 |
◯ 900銘柄以上 |
◯ 約270銘柄 |
– |
内藤証券 | × | ◎ 4200銘柄以上 |
× | – |
岩井コスモ証券 | △ 100銘柄以上 |
△ 40銘柄以上 |
◎ 700銘柄以上 |
– |
(参考:ダイヤモンド・ザイ 2018年6月1日時点)
(1)米国株なら【マネックス証券】
米国株の取り扱い銘柄数では、他社を圧倒します。また中国株の取り扱いも充実しており、売買手数料も最安水準です。米国株の幅広い銘柄に投資したいという方には、マネックス証券がおすすめです。
(2)中国株なら【内藤証券】
中国株で特に力を入れているのが内藤証券です。取扱銘柄数はトップクラスで、香港、上海、深センの各市場、人民元建ての上海と深セン市場のA株も取引できます。中国株に関するレポートや銘柄情報も充実しており、中国株に投資したい方には、内藤証券がおすすめです。
(3)ベトナム株なら【岩井コスモ証券】
ホーチミン・ハノイの両市場に上場しているベトナム株、全銘柄を売買できるのは岩井コスモ証券ならではです。
電話・店頭取引しかできず、他の外国株の取り扱いはやや少なめです。ベトナム株に幅広く投資したい方には、岩井コスモ証券がおすすめです
(4)総合力なら【SBI証券】【楽天証券】
米国株、中国株などの代表的な銘柄を中心に、これから外国株投資を始めようという方には、SBI証券や楽天証券がおすすめです。一部取扱いのない銘柄もありますが、十分なラインナップを取り揃えています。両社とも売買手数料は業界最安値水準です。
3、軍資金2000万円あるなら!外国株投資先一覧
外国株に投資するならどの国がいいのか、日本の証券会社から投資できる、主な国ごとの特徴をまとめました。
米国株 | 世界経済の中心であり、世界的な企業から、これからの成長分野を牽引する企業まで、魅力的な銘柄の宝庫です。
株価は長期的に右肩上がりの成長を続けており、配当の高い銘柄が多いことも魅力です。 |
中国株 | 米国に次ぐ経済規模を誇ります。テンセント(00700)などのIT企業、インフラ関連を中心に注目銘柄があります。
だたし、中国経済はバブル崩壊懸念もくすぶっているため、投資するには慎重な判断が必要と言えます。 |
ベトナム株 | ベトナムは、労働力の安さや勤勉さなどから、多くの外資系企業の工場があり、ポスト中国とも目されています。
他のアセアン諸国に比べ経済発展が遅れていますが、それはこれから大きく発展する余地を残しているということであり、 投資先として有望と言えます。 |
マレーシア株 | 豊富な天然資源を有すほか、IT、観光に強みを持つ国であり、これらに関連した銘柄に投資冥利があります。 |
インドネシア株 | 若い労働力人口が多く、2.6億人の人口を抱える大国です。豊富な資源と巨大な国内市場によって、経済成長を続けており、投資先としても有望な国だと言えます |
シンガポール株 | 東南アジアの貿易・経済の中心として、早くから発展を遂げ、海外企業の誘致などを通し、世界の金融センターとしての役割を担っています。またIT先進国として有望です。 |
ロシア株 | 経済制裁や原油価格の下落などで厳しい経済状況にありましたが、世界的な景気回復に伴って回復の兆しが見えつつあります。ただし、シリア情勢などには警戒が必要です。 |
インド株 | 中国に次ぐ世界2位の人口を誇るインドは、今後中国を抜き世界最大の人口となると予想されています。
高齢化の進む中国に対し、平均年齢の若いインドは、巨大な労働力と国内市場、高い教育水準やIT技術力など、経済成長に必要な要素を多く兼ね備える、有望な市場です。 外国人投資家はインド株へ直接投資できないため、投資する場合には、米国市場などに上場するADRやインド株投資信託などを通して投資することになります。 |
韓国株 | サムスンなど、自動車や家電、ITといった分野で強みを持つ企業が多く、産業構造なども日本に近いということもあってか、成長や株価には停滞がみられます。 |
あわせて読みたい!ベトナム株で有利な銘柄は?日本で買う方法とメリット・デメリット
あわせて読みたい!インド株・投資信託の魅力と具体的な投資方法3選
4、はじめての外国株投資には米国株投資をおすすめする理由
さまざまな国がありますが、これから外国株投資を始めるのであれば、まずは米国株がおすすめです。
(1)右肩上がりの成長が続く米国市場
米国は世界第3位の人口を誇り、さらに先進国で唯一人口が増加している国でもあります。
所得水準も比較的高いことから、個人消費が経済成長を支える要因のひとつとなっています。
また米国では、世界をリードする企業が次々と誕生し、巨大企業へと成長していくことも市場の拡大をする牽引しています。
現在の世界企業の時価総額ランキングは、ほとんど米国企業の時価総額ランキングとも言えますが、その顔ぶれは10年前とは大きく様変わりしています。
この成長と変化の大きさこそが、米国市場の強さと言えるでしょう。
世界時価総額トップ | |||||
11年前(2008.5末) | 現在(2019.3.25) | ||||
企業名 | 時価総額 (億ドル) |
企業名 | 時価総額 (億ドル) |
設立年 | |
エクソンモービル | 4685 | マイクロソフト | 9027 | 1975 | |
GE | 3866 | アップル | 8899 | 1976 | |
マイクロソフト | 2936 | アマゾン・ドット・コム | 8715 | 1994 | |
シティグループ | 2695 | アリババ | 4634 | 2008 | |
ペトロチャイナ (中国) |
2618 | アルファベット | 4167 | 2015 |
さらに、米国市場(NYSE・NSDAQ)には5,000社以上が上場し、世界の株式時価総額の5割以上を占める巨大な市場です。
世界的な巨大企業から、これからの成長が期待される多種多様な企業まで、投資機会の多さも魅力のひとつと言えるでしょう。
- 強い経済地盤(世界一の経済大国・増加する人口・個人消費)
- 成長分野を牽引する企業そして巨大な株式市場規模 多種多様な業種・企業
これらの要素が米国株の成長の源となり、右肩上がりの株価上昇を支えています。
(2)高配当・連続増配株が多い
米国では、企業は株主のものという考え方が根付いていることから、利益を株主に還元に積極的な企業が多いのが特徴です。自社株買いや株主配当の実施などにより、日本株に比べ、米国株の配当利回りは高い水準となっています。
主な高配当銘柄 | |
銘柄名 | 実績配当利回り |
HSBC | 10.11% |
AT&T(T) | 6.65% |
ブリティッシュアメリカンタバコ | 6.47% |
グラクソスミスクライン | 5.90% |
(出所:日経平均株価AI予想データを元に作成・2019年3月26日時点)
また、米国株には25年以上増配を続けている銘柄が120銘柄以上あり、50年連続増配という銘柄さえあります。これは、長期的に安定して業績を上げ続ける企業の多さを示すものと言えます。
ちなみに日本株では、花王(4452)の29年連続が最長となっています。
高配当・連動増配は株価の下支えとなり、長期保有により配当を狙った投資もできます。
米国株の主な連続増配銘柄(2018年10月時点) | ||
銘柄名 | 増配年数 | 配当利回り |
アメリカン・ステイツ・ウォーター | 63年 | 1.77% |
ノースウェスト・ナチュラル・ガス | 62年 | 2.69% |
ドーバー | 62年 | 2.33% |
プロクター・アンド・ギャンブル | 61年 | 3.29% |
ジェニュイン・パーツ | 61年 | 2.84% |
エマソン・エレクトリック | 61年 | 2.68% |
スリーエム | 59年 | 2.72% |
ベクトレン | 58年 | 2.51% |
(出所:dividend.com)
(3)少額からでも購入できる
日本株は、100株など単元株ごとの売買が基本ですが、米国株は1株単位で売買できます。
約2万円あれば、アップル(APPL)やコカ・コーラ(KO)の株主になることができます。
5、軍資金2000万円でおすすめの米国株は?
(1)コカ・コーラ(KO・NYSE)
コカ・コーラ(KO・NYSE) | |
セクター | 生活防衛消費・ソフトドリンク |
株価52週レンジ | 41.45-50.84ドル |
時価総額 | 196,785,673千ドル |
PER/PBR | 30.48倍/11.57倍 |
予想配当利回り | 3.48% |
言わずと知れた、世界最大の飲料メーカーです。飲料メーカーの中でも高い利益率を誇り、ブランド力の高さが伺えます。56年連続増配を続け、業績も安定的です。ただし、健康や肥満の原因として加糖飲料が敬遠される動きもあり、今後どのような戦略をとっていくかは注意しておきたいところです。 | |
(2)ジョンソン&ジョンソン(JNJ・NYSE)
ジョンソン&ジョンソン(JNJ・NYSE) | |
セクター | ヘルスケア・製薬 |
株価52週レンジ | 136.91ドル |
時価総額 | 363,761,299千ドル |
PER/PBR | 23.97倍/6.09倍 |
予想配当利回り | 2.64% |
バンドエイドやコンタクトレンズなど私たちが普段利用する多くのヘルスケア用品を扱うトップメーカーであり、製薬・医療機器分野でも高いシェアを誇る、総合ヘルスケア企業です。生活必需品を扱うため、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄の代表格であり、56年連続増配を継続しています。高齢化に伴って、今後その業績をさらに拡大していくことも予想されます。 | |
(3)プロクター&ギャンブル(PG・NYSE))
プロクター&ギャンブル(PG・NYSE) | |
セクター | 生活防衛消費・日用雑貨 |
株価52週レンジ | 70.73-103.15ドル |
時価総額 | 255,061,067千ドル |
PER/PBR | 27.19倍/4.87倍 |
予想配当利回り | 2.81% |
洗剤のアリエールや、おむつのパンパース、髭剃りのジレットなど、私たちが普段使う多くのブランドを抱える、世界最大の一般消費財メーカーです。ディフェンシブ銘柄として業績は安定しており、62年連続増配を継続中です。競争力の高さは折り紙付きですが、やや利益の伸びは鈍化傾向にあります。 | |
(参考:ヤフーファイナンス 2019年3月25日時点)
6、外国株式情報サイト
外国株の情報は各企業のホームページなどのほか、証券会社などのレポート、さらに以下のような株式情報サイトを活用することで手に入れることができます。
(1)モーニングスター 米国株式情報
(2)ロイター 主要国株式指数
7、外国株投資で人気のブログ6選
(1)アセアン株&米国株投資家たわわらび
(2)30代で1億円を目指す
(3)トルコとイスタンブール、ちょっと投資
(4)アドルの株日記~世界中の株に投資
(5)米国株投資実践日記
(6)シーゲル流米国株投資で億万長者になる
シーゲル流米国株投資で億万長者になるアメリカ個別株とETFに投資されている個人投資家Hiroさんが、投資や各銘柄についての考えなどを綴られているブログです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。外国株は魅力ある投資先と言えます。これまで外国株には投資したことがないという方も、まずは米国株、馴染みのある企業から外国株投資を始めてみてはいかがでしょうか。