日経平均株価とともに、ニュースなどでもよく耳にする東証株価指数(TOPIX)ですが、実際にどのような指数なのかと言われると、うまく説明できないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、TOPIXとはどのような指数であり、どのような銘柄で構成されているのかといったTOPIXの基本から、インデックス投資を成功させるために知っておきたいポイントについて解説していきます。
TOPIX採用銘柄に、新規組み入れとなる株式の投資方法もご紹介します。
ぜひ、銘柄選びにもお役立ていただけましたら幸いです。
1、東証株価指数(TOPIX)とは?
東証株価指数(TOPIX:Tokyo Stock Price Index)とは、東京証券取引所第一部(東証1部)に上場する全銘柄(2,061銘柄・2018年1月末時点)で構成される、日本の株式市場の動向を示す代表的な株式指数のひとつです。
TOPIXは、株価×発行済株式数で計算される「時価総額」をもとにした、「時価総額加重平均型」の指数であり、基準時(1968年4月1日)における東証1部上場全銘柄の時価総額を100としたときの、現在の「東証1部上場全銘柄の時価総額」の割合で示されます。
TOPIX=(東証第1部の時価総額 ÷ 基準時価総額)×100
*時価総額を計算する際には、実際に市場で取引されている株(浮動株)の割合が考慮される仕組みとなっています。
TOPIXを構成する東証1部時価総額は、日本の株式市場の約8割を占めているため、TOPIXは日本の株式市場全体の縮図とも言えます。
また、時価総額の大きいほど指数全体に占める割合は大きくなることから、時価総額の大きな銘柄(大型株)の動向が指数に大きく影響するという特徴があります。
TOPIXには、時価総額の大きさや流動性の大きさによって構成銘柄を分類した指標もあります。
2、TOPIXはどんな銘柄で構成されているの?
TOPIXは東証1部に上場する全銘柄で構成される指数ですが、各銘柄が同じように指数に寄与するわけではなく、時価総額の大きな銘柄(大型株)の動向が指数に大きく影響します。
TOPIX構成比率 上位10銘柄(2017年12月末) | |||
銘柄名 | コード | 業種 | TOPIX構成比率 |
トヨタ自 | 7203 | 輸送用機器 | 3.38% |
三菱UFJ | 8306 | 銀行業 | 2.22% |
ソフトバンクグループ | 9984 | 情報・通信業 | 1.53% |
NTT | 9432 | 情報・通信業 | 1.44% |
三井住友 | 8316 | 銀行業 | 1.40% |
ホンダ | 7267 | 輸送用機器 | 1.34% |
ソニー | 6758 | 電気機器 | 1.31% |
キーエンス | 6861 | 電気機器 | 1.19% |
みずほ | 8411 | 銀行業 | 1.06% |
ファナック | 6954 | 電気機器 | 0.99% |
参考:日本取引所グループ・構成銘柄別ウエイト一覧(2017年12月末時点)
TOPIXは約2,000銘柄で構成されているので、各銘柄が平等な割合であるならば、1銘柄が占める割合は約0.05%(1/2000)となります。
しかし実際には時価総額の大きさによって構成比率は決まるため、時価総額トップのトヨタ自動車は、1銘柄でTOPIX全体の約3.38%を占めています。
そのためトヨタ自動車の株価が10円動くのと、構成比率(時価総額)の小さな中小型株の株価が10円動くのでは、TOPIX指数に与える影響は全く違ったものとなります。
3、東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価の違いは?
日本の株式市場の動向を示す株式指数としては、TOPIXのほか「日経平均株価」を外すことはできません。
同じ日本の株式市場の動向を示す株式指数ではあるものの、この2つの指数には大きな違いがあります。
TOPIX | 日経平均株価 | |
構成銘柄 | 東証1部上場全銘柄 (約2,000銘柄) | 日本経済新聞社が選定した 日本を代表する225銘柄 |
算出基礎 | 構成銘柄の時価総額 (時価総額加重平均) | 構成銘柄の株価 (株価平均) |
特徴 | 時価総額の大きな銘柄(大型株) の影響力が大きい (内需関連株・銀行株など) | 株価の高い銘柄(値がさ株) の影響力が大きい (輸出関連株・ハイテク株など) |
類似する 米国株価指数 | S&P500 | NYダウ平均 |
東証1部銘柄の約1割だけで構成され、特定の銘柄の値動きに大きく左右されることも多い日経平均株価に比べ、採用銘柄数の多いTOPIXの方がより市場全体の動向を反映した指数と言えます。
ただTOPIXにおいて影響力の大きい大型株と、日経平均採用225銘柄は重複している銘柄も多いため、同じような動きをすることも多いと言えます。
また、日経平均株価は多くの投資家が注目している指数であるため、日経平均株価の動向は無視することはできません。
そのためTOPIXと日経平均株価のどちらか一方だけを使うのではなく、両方を併用することが基本です。
4、TOPIX連動型インデックスファンド一覧比較
日本株式市場の動向を示す株式指数であるTOPIXは、日本株を投資対象とするインデックスファンドのベンチマーク(比較指標)の代表格でもあります。
日本株へ投資したいと思っているものの、具体的にどの銘柄へ投資したらいいのか決められないという方は、TOPIX連動型インデックスファンドに投資してみるのも選択肢のひとつです。
TOPIX連動型インデックスファンドはその運用コストの安さも魅力であり、以下のようなファンドが人気となっています。
TOPIX連動型インデックスファンド | ||
ファンド名 | 信託報酬 (税抜) | 純資産総額 (億円) |
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 0.1717% | 16.22 |
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド | 0.1728% | 112.90 |
iFree TOPIXインデックス | 0.1836% | 3.90 |
たわらノーロード TOPIX | 0.1836% | 3.82 |
Smart-i TOPIXインデックス | 0.1836% | 0.11 |
i-SMT TOPIXインデックス(ノーロード) | 0.1836% | 0.40 |
ニッセイTOPIXインデックスファンド | 0.1944% | 146.98 |
SMT TOPIXインデックス・オープン | 0.3996% | 136.85 |
日本株式 インデックスe | 0.3996% | 34.01 |
野村(Funds-i) TOPIX | 0.4320% | 28.80 |
eMAXIS TOPIXインデックス | 0.4320% | 220.41 |
参考:楽天証券・2018年2月16日時点
5、TOPIX連動型上場投資信託(ETF)比較一覧
TOPIXをベンチマークとしたETF(上場投資信託)もあり、TOPIX連動型インデックスファンドより、さらに運用コスト(信託報酬)を抑えた運用も可能となります。
TOPIX連動型上場投資信託(ETF) | |||
名称(コード) | 管理会社 | 信託報酬 (税抜) | 純資産額 (億円) |
ダイワ上場投信-トピックス(1305) | 大和証券投資信託委託(13054) | 0.110% | 33,436 |
TOPIX連動型上場投資信託(1306) | 野村アセットマネジメント(13064) | 0.110% | 71,302 |
上場インデックスファンドTOPIX(1308) | 日興アセットマネジメント(13084) | 0.088% | 32,344 |
MAXIS トピックス上場投信(1348) | 三菱UFJ国際投信(13444) | 0.078% | 9,683 |
One ETF トピックス(1473) | アセットマネジメントOne(13694) | 0.078% | 1,081 |
iシェアーズ TOPIX ETF(1475) | ブラックロック・ジャパン(13294) | 0.060% | 1,471 |
参考:日本取引所グループ・2018年1月31日時点
6、TOPIX組み入れ銘柄のメリットと注意点
最後にTOPIXに関連して、知っておいて損がないTOPIX組み入れ銘柄のメリットについてご紹介します。
TOPIXへの組み入れとは、新規上場や東証2部や新興市場などからの昇格・指定替えによって東証1部に上場した銘柄が、TOPIXの構成銘柄に組み込まれることを言います。
TOPIXは「東証1部全銘柄」で構成されることから、東証1部へ上場すれば、当然にその銘柄はTOPIX構成銘柄の仲間入りをします。
この組み入れのタイミング(採用日)は、新規上場日や指定日(変更日)の当日ではなく、その翌月末(最終営業日)と決められています。
この上場日(指定日)から組み入れ日までの間には、新規上場銘柄へのまとまった買いと、それに伴う株価の上昇というパターンがあります。
このまとまった買いを入れるのが、前述のTOPIX連動型インデックスファンドを運営している機関投資家です。
ファンドをTOPIXへ連動させるためには、新しく構成銘柄となる株をファンドに組み入れてなくてはなりません。
これが、機関投資家が新規上場銘柄を買う理由の一つです。
特に時価総額の大きな大型上場の場合には、ファンドへの組み入れも多くなるため、大きな買いが入ることが想定されます。
東証1部への上場したタイミングでその銘柄を買っておけば、株価上昇によるメリットを得られるということになりそうですが、上場発表直後は株価が急騰し、値動きも荒くなる傾向があるため、リスクは高くなります。
そのためTOPIXへの組み入れによる値上がりを確実に狙って行くのであれば、上場発表直後の急騰から一旦下落したところで買い、TOPIX採用日まで保有するというのがおすすめです(下落しないということもありますが)。
また、TOPIX採用日以降はそれまでの機関投資家による買い需要が落ち着き、株価は下落しやすくなりますので、一旦手仕舞いをするようにしましょう。
これは、昨年東証2部から東証1部へ指定が行われた井村屋グループ(2209)の、指定替え前後のチャートです。
- 指定替え発表直後に東証1部への上場を好感して株価は急騰
- その後指定日に向け一旦利益確定などで株価は下落
- 上場後、採用日に向けて機関投資家などよる買い需要により株価は上昇
- 採用日以降は買い需要が剥落し、再び株価は下落
この井村屋グループ(2209)のケースでは、上場日に買い採用日に売るというセオリー通りの売買によって、約2ヶ月の保有で2,000円以上の値幅をとることができました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
TOPIXは日経平均株価と並び、日本の株式市場の動向を見る上で非常に重要な指数であり、日本の株式市場の縮図とも言えるものです。
日本株を対象とするインデックス投資は、TOPIXをベンチマークすることが多く、TOPIXを理解しうまく使いこなすことが、日本株のインデックス投資の成功させる上でのポイントとなります。
この記事を参考にTOPIXについて理解を深め、株式投資に活かしていただければ幸いです。